TOP > イベント > イベント > 注目ベンチャー複数登壇!フェデックス・スモール・ビジネス・アイデア・コンテスト参加レポ
当日は有効応募数54件の中から書類選考を通過した10 組がプレゼンを行い、フェデックスの経営陣と経済分野の専門家によって、 2 組の受賞者が決定されました。
詳しい当日の様子をご紹介します!
このページの目次
近年、海外へのビジネス展開は大企業だけのものではなくなり、中小企業も越境EC等を利用して、積極的に顧客層を広げています。
フェデックスが日本の中小企業の海外進出を物流面で支える中、更にビジコンという形で中小企業支援を行う背景には、会社の歴史とイノベーションに対する姿勢があります。
45年前の創業時は中小企業だったフェデックスも、創始者のフレッド・スミス氏が業界に先駆けて導入したイノベーションによって、グローバル企業という現在の地位を築き上げました。
フェデックスのイノベーションとして知られるのが、「Hub and Spoke (ハブ・アンド・スポーク)」の物流モデルです。
各出荷場所から配送場所へそれぞれの貨物を直接運ぶのではなく、地域ごとの中心拠点(ハブ)に貨物を一度集約させ、そこからより細かな目的地(スポーク)毎に仕分けて運送する方式にすることで、物流の大幅な効率化を達成しました。
当時はその革新性がまだ認められていなかったハブ・アンド・スポーク モデルですが、その後スミス氏本人がそのモデルの有効性を実証するため、ビジネスを興したことでフェデックスは誕生しました。
このような設立背景を持つフェデックスだからこそ、中小企業向けのビジネスアイデアコンテストという新しい取り組みを行っているのです。
審査員は
の4名です。
オープニングでは松本氏が、フェデックスの成り立ちを紹介するとともに、スミス氏の成功には”4つの重要な要素”が考えられると紹介しました。それはビジネスに対する情熱、ビジネス拡大への行動力、将来への明確なビジョン、そして資金です。
松本氏は「コンテストへの参加で、参加者のビジネスに対する情熱と行動力はすでに示されており、最終選考会のピッチでは明確なビジョンを聞くことができる、そしてその先に賞金としての資金が待っている。皆さんはまさにビジネス成功への道を歩んでいる。」と話されました。
さて、いよいよ最終候補者のピッチがスタートです!
全10社がピッチを行い、様々なビジネスアイデアが提示されました。この記事では幾つかをピックアップしてご紹介します!
スマホを使って制御可能なセキュリティつき宅配ボックス「VOX」を、戸建・集合住宅や店舗施設・駅などへ設置展開する、というビジネスアイデア。
これによって米国で特に顕著な、不在配達率の高さや盗難発生率の高さを解決でき、更に受け取りロッカーにまでいく時間も短縮できるとのこと。
スマホで安全に解錠認証できるため、敷設側は通信ケーブル等を用意する必要がなく、電源も中に入っているソーラーパネルで発電できるため不要。
代表の原氏
荷物の盗難防止にも繋がり、再配達撲滅により無駄なエネルギー消費・コスト負担をなくすことができるだけでなく、製造・小売にとっても無駄な製造・在庫回避という観点で価値提供することが可能になるそうです。
目指しているのは、VOXの無料配布で月額利用料をとるというビジネスモデル。
家にいなくても荷物を受け取れ、人々を時間の束縛から解放できるアイデアでした!
臓器移植の経験から、内臓肉の物流方法に興味を持ったという代表の石井氏(写真右)。
ホルモンは他の肉と比べると安価だが、鮮度が命。流通過程での管理が重要。
そんなホルモンの鮮度を保ちながら遠方に届けられる、臓器移植の技術を応用した「パーシャルスノー物流」についてのプレゼンでした。
パーシャルスノー方法だと、中の氷が溶けきるまではマイナス1度をキープでき、細菌の繁殖も防ぎ、更に真空状態なので肉も酸化しないそう。地産地消しかできなかったものを、遠方に運べるようになります。
大がかりな設備を必要とせず、一般物流チェーンを使えるのでランニングコストを抑えられる点も特徴で、この技術は魚・野菜など生鮮品全般に応用できるとのこと。
生産者にも消費者にも喜ばれる、物流とマーケットの可能性を広げるビジネススキームを練ると共に、将来はこの技術で臓器移植に貢献したいそうです!
アジア原産の蛾「エリサン」を使ったビジネスアイデアを披露した(株)4CYCLE。
エリサンから取れるシルクは通常の蚕から取れるものと違って多孔質。よってエリサンシルクはUVカットや消臭機能を持つ天然の機能性繊維を作れるそうです。
さらに、普通の蚕は桑の葉しか食べませんが、エリサンはキャッサバの葉を食べるという広食生。キャッサバは非常に安価で、芋の部分はバイオエタノールやタピオカの原料として使われますが葉は捨てられているそうです。その葉をエリサンの餌にすることで、資源の有効利用にも繋がります。
代表の田井中氏
また、現地の農業大学・高校と連携し養蚕指導を行う人材育成もし、エリサンシルクの生産を増やし現地農家の収入も上げられるとのこと。
最後に、エリサンの蛹は良質な動物性蛋白質食品して大きな可能性を秘めており、エリサンからは繊維と食品の2つの産物が得られるとのことでした。
自走カプセル内視鏡検査システム「ミニマーメイド」についてのピッチ。
日本人の1/3は癌で亡くなる時代ですが、従来の内視鏡では一度に検査できる臓器が限られます。
胃カメラやお尻から入れる大腸カメラは抵抗があるので、自覚症状が出るまで受診せず、手遅れとなる例が多くあるそう。
そこで(株)ミューは、錠剤の形をした「自走カプセル内視鏡」を飲むだけで、苦痛を伴わず一度に全消化管が検査できる方法を開発。
ミニマーメイドは外から制御装置を用いて操作でき、体内を自由に移動しながら臓器の様子を診ることができる。
ミニマーメイドを手に興味津々な審査員
他社のものは胃にしか使えなかったり、自走できなかったりするそうですが、ミニマーメイドは全臓器に対応しているとのこと。
開発者の大塚氏が自身の身体で10回以上試しており、安全性と有効性は確認済ですが、さらに多くの臨床試験を実施した後、医療機器として海外の承認を得ることによって、世界各国にこの検査法の普及を図ろうと計画しているそうです。
「自覚症状がない健康な方が苦痛なく定期検査を受けられるので癌の早期発見、生存率の向上と健康寿命の延伸、医療費の削減に貢献できると考えています。さらにこれは治療なども行える医療ミニロボットへ進化する端緒となる」とのことでした。
準優勝に輝いたのは…
バリアフリーマップをユーザーと共に作り上げるアプリWheeLog!を開発をした一般社団法人Wheelogでした!
Wheelogには、準優勝を記念した盾と、賞金110万円が贈呈されました。
代表の織田友理子氏は「人の命を守るとか、助けるというアイデアが沢山見られたことが興味深かった。
頂いた賞金はアプリのシステム改善に使い、サクサク動くようにしてユーザーにとってより良いものにしていきたい。そして情熱を持って、世界展開していくことをイメージしながら、今回の賞に恥じないよう邁進していきたい」とのことでした。
そして、優勝に輝いたのは…
自走式カプセル内視鏡をプレゼンした(株)ミューでした!!
(株)ミューには記念の盾と、優勝賞金275万円が贈呈されました。
「優勝できることを想像していなかったのでとても嬉しい。
今回のコンテストでは、分野や事業の違いに関わらず、皆同じように苦労を重ねてここまで来ているので、すごく刺激を受けた。今後できるだけ早く実用化できるようにしていきたいし、早速海外でプレゼンするための機械の小型化に資金を使っていきたい」とのことでした。
審査員の牧野准教授は、「ハイレベルな戦いだったので非常に悩んだ」とのこと。
「2000-2005年の間は日本のベンチャーにおいて海外や既製品のマネが多くて、絶望していた期間もありましたが、今回のコンテストでは皆様の独自のアイデアを聞いてすごくワクワクしました。
また、自分の仕事に情熱をもって取り組んでいらっしゃる方ばかりだったので、大学での自分の教え子達に皆さんの姿をぜひ見せたいと思いました。」
プレゼンについての総評もあり、「サイエンス系はアイデアをわかりやすく伝え、何に価値があるのかハッキリと示すことが大事です。
ソーシャル系は収益の仕組みをしっかり伝えることが大切で、大義名分だけではなく、事業の土台である収入を得る仕組みがしっかりあることをアピールすることが大切です。」とのことでした。
様々なビジネスアイデアが披露され、日本の中小企業の力強さを感じられるコンテストでした!
参加者の方からは、「違うフィールドだけど物流という点で繋がり、色々な話が聞けて面白かった」「今回名刺交換した方と、次の面会の約束に繋がった」「業種は違うけれど志は同じ。自分より年上の方が頑張っている姿を見て刺激を受けた」などの声が聞かれました。
発表されたビジネスアイデアが実用化され、より良い世の中の創造に貢献しているのを見るのが、とても楽しみです!
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