借金によって生活が困窮してしまい、自己破産をすることが頭をよぎる人もいるのではないでしょうか。
自己破産をする前に、どういった制度なのか、自己破産後はどのような生活になるのかを理解しておくのが賢明です。
自己破産をするとどんなメリットやリスクがあるのか、自己破産後にお金に困ったときの対策方法としてどんなものがあるのかを見ていきましょう。
このページの目次
自己破産は、借金の支払いを免除してもらうための手続きの1つです。
借金が膨れ上がり、返済不可能な状況に陥ってしまったときに自己保有の財産を清算することを指します。
所有している財産を現金に換え、借入をしている債権者に対して配当していけば、借金を整理できるということです。
財産を現金に換えても借金を返しきれない場合でも、許可さえ下りれば残った借金を免除できます。
自己破産の具体的な手続きは「破産手続き」と「免責手続き」の2段階で行われます。
まずは財産を現金に換えて配当します。それでも借金が残っている場合に、免責手続きが行われます。
つまり、財産を現金化して借金を帳消しにできた場合、免責の手続きはしないということになります。
いきなり免責の手続きが出来るわけではなく、財産を配当する破産手続きが自己破産の第1段階、免責手続きが第2段階となるので覚えておきましょう。
自己破産は、借金に困ってさえいれば、どんな人でも利用できるわけではありません。
例えば、ギャンブルで大金をつぎ込んで借金を背負っていたり、返せないのをわかったうえで借入をしてしまった場合には免責許可を得るのは難しいです。
ただ裁判所の裁量によっては免責を認められる場合もあります。債務者の姿勢によって免責許可が得られるかどうかが変わりますので、覚えておきましょう。
自己破産をすると時価20万円以上の財産は原則的に没収対象となります。
家や車を所有している場合は、自己破産をするとなくなると思ったほうが良いでしょう。
家や車に限らず、時価20万円以上の財産であれば、衣服や家具などでも没収となります。
ただ、所有しているすべての財産を没収されるわけではないので、自己破産した直後に路頭に迷ってしまう事態は避けられます。
マイホームを所有している場合は、任意売却あるいは競売によって処分されることになります。
任意売却であれば、転居費用を確保できる場合があるので、新たな住まい探しもしやすいでしょう。
車も一括購入なら可能なので、格安な中古車を購入するという手もあります。
自己破産後は、信用情報機関に自己破産の情報が載ることになります。
そうなると、新たに金融機関での借入をしようとしても審査には必ず落ちてしまいます。
自己破産の情報は5~10年の間は信用情報機関で載り続けるので、事故情報が破棄されるまで待ち続けるしかありません。
仮に新たな借金ができるとしても、借金癖のある人の場合はまた返済不可能な状況に陥るリスクもあります。
クレジットカードが作れなかったり、ローンが組めなかったりするのは不便に感じるかもしれません。
しかし、再出発して、借金とは無縁の生活をするためには必要なことだという見方もできます。
例外的にヤミ金での借入は可能ですが、暴利なうえに威圧的な取り立てをしてくるのでヤミ金は絶対に利用しないようにしましょう。
キャッシングやカードローンによる借入による借金は自己破産の対象となります。しかし、すべての債務がなくなるわけではありません。
帳消しにならない債務としては、税金や損害賠償、交通違反の罰金などが挙げられます。
経営者である場合は雇用している従業員の給料の請求権も帳消しにはできません。
免責にならない借金があるのなら、自己破産の手続きを進める前にできる限り支払うのが賢明です。
自己破産をする前に少しでも借金を返しておく余力があるなら、免責債権よりも、このような非免責債権の支払いを優先したほうが良いでしょう。
非免責債権の金額が大きいほど、自己破産をしても生活は楽にならないリスクがあるので要注意です。
自分の力だけでは返し切れないほどの借金が帳消しになるのが、自己破産の最大のメリットです。
自己破産をすれば、毎月の借金返済に追われる日々ではなくなり、生活の苦しみから解放されます。
借金の返済のためにさらに借金をするということもなくなるでしょう。
借金による精神的なストレスからも解放されるのも自己破産のメリットの一つと言えます。
いつもお金が足りなかったり、返済期日を守れなかったりすると大きなストレスを抱えてしまうものです。
督促状が届いたり、催促の電話がかかってきたりすることで精神的に追い詰められるケースは珍しくありません。
しかし、借金がなくなれば、お金が足りなくて支払いができないという悩みからも解放されます。
自己破産によって家や車などのような財産は失ってしまうことは先述した通りです。
しかし、すべての財産を失うわけではありません。
洋服や冷蔵庫、パソコンなど、生活必需品とされるものは残ります。
現金に関しては99万円まで手元に残せるので、自己破産後に生活を立て直すことも可能です。
携帯電話も利用料金を延滞しておらず、本体代金の支払いが済んでいる状態であれば、自己破産後でも利用を続けられます。
自己破産は借金を帳消しにするだけではなく、自己破産後の生活のことも考えられている制度です。
手続きをした途端に財産すべてを回収されて生活が破綻してしまうということはまずありません。
困窮した生活から抜け出すために設けられている制度なので安心して良いでしょう。
自己破産をすると家族にも悪影響があるのではないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。
信用情報機関に自己情報が掲載されたり、財産を没収されたりするのは、あくまでも債務者本人だけです。
家族がクレジットカードを利用したり、ローンを組んだりすることは問題なくできます。
自己破産による影響で自分の子どもが就活で不利になってしまうということもありません。
家族が社会的な立場として不利になることはないのも、自己破産のメリットだと言えます。
ただ、マイホームを所有していて引越しを余儀なくされた場合には、同居している家族も共に引越しをしなければならないという点には注意しておきましょう。
自己破産をしたけれど、税金の支払いが多く残っているといった理由で変わらずお金に困っている状況を抜け出せないケースもあります。
無駄な買い物を避けたり、食費を切り詰めてみたりしても解決しないなら収入を増やすことで対策できます。
ただし、仕事の給料を増やすのはなかなか難しいものです。
手軽に収入を得る方法としては日払いバイトがあります。日払いなのですぐにお金を手に入れることができるでしょう。今すぐにでもお金が必要という場合には自分ができそうな日払いバイトがないかを探してみてください。
最終手段として考えるべきですが、自己破産後にお金に困ったときは親や友人を頼ってお金を借りることもできます。
クレジットカードは作れないので、借入をするなら周囲の人に頼るしかありません。
しかし、お金を借りるのであれば、具体的な返済プランを立てる必要があります。いくら借りて毎月いくら払い、いつまでに完済するのかをお互いが納得できる形で決めましょう。
きちんと支払いをする意思を伝えるためにも借用書を交わすことも大切です。お金を借りるからには相手からの信用を失わないようにするためにも、必ず毎月の期限までに返済しましょう。
自己破産をすると、返済のために財産は債権者に配当され、信用情報機関に事故情報が載るというリスクがあります。
しかし、自己破産後は借金問題を解決できるので、借金で生活が苦しい毎日から抜け出せるという大きなメリットがあるのも事実です。
自己破産をするメリットとリスクの両方を踏まえ、本当に自己破産すべきかをよく考えてみてください。
画像出典元:pixabay、PAKUTASO
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