起業を考えている方のなかには「起業に失敗してしまったら、その後のキャリアはどうなるのか?」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
起業失敗への不安をなくすためには、失敗した事例を学び、再起する方法について知っておくことが重要です。
本記事では、起業失敗の原因や廃業後のキャリアプラン、再起業や転職を行い再起した事例について、詳しく解説します。
このページの目次
起業家にとって一番の心配は、起業に失敗したその後の生活ではないでしょうか。
万一、起業に失敗した場合、起業家には大きく2つの選択肢があります。
起業失敗の原因や改善点がわかっていれば、起業経験を生かして再起業にチャレンジする選択肢があります。
業種によって新たに勉強をしたり技術を習得したりする必要があるかもしれませんが、別のビジネスにチャレンジする際にも過去の起業経験が強みになる可能性は大いにあります。
金融機関からの融資が難しくなるなどの制約がある場合もありますが、仮に起業失敗のその後に自己破産していても再起業は可能です。
過去の失敗をしっかりと振り返り、参入する市場を慎重に選定したうえで再起業にチャレンジしてもよいでしょう。
起業に失敗し、その後に再就職や転職をする起業家は多くいます。
実は、起業時に培ったノウハウや経験、人脈などが企業からポジティブに評価されるケースもあるのです。
起業の経験から得たスキルや業界知識を活かせるような会社の求人を受けてみてもいいですし、起業時に得た人脈を元に転職活動を行ってみてもいいでしょう。
また、起業する前に勤めていた会社を円満に退社したのであれば、再就職を相談してみてもよいかもしれません。
会社員として働き、自己資金を貯めながらビジネスについて学ぶのは再起業の準備にもなります。
起業失敗の原因を知っておくことは、新たなビジネスを立ち上げるうえでとても重要です。
ここでは、陥りやすい3つの起業失敗の定義と原因について詳しく解説していきます。
起業失敗の多くは「資金繰りがうまくできずに倒産」してしまうケースです。
「黒字倒産」といって、ビジネスが好調でも資金繰りを誤って支払いの期限までにキャッシュが足りず倒産してしまうこともあります。
資金繰りが悪化する原因には、次のような要因が考えられます。
起業後すぐは自己資金でまかなえていても、事業拡大を狙った資金調達のタイミングで、不適切な人材採用や設備投資を行うと急激に資金繰りが悪化する可能性があります。
資金繰りには、事業拡大に必要な資金の適切な見積もりや売上予測などの予測が欠かせません。
また、追加で資金を調達する際の方法や返済方法についても広い選択肢から検討しておくと、資金繰りの悪化が避けられるかもしれません。
メンバーの離脱は、資金や知識、人的ネットワークの喪失など、事業にとても大きな影響を与えます。
メンバーが離脱する原因には、次のようなものが考えられます。
起業では、異なる専門知識や経験を持つメンバー同士が協力することで、強力なチームが形成できます。
しかし、メンバー同士の強みが似ている場合、チームで役割分担がうまく行えずに対立してしまうケースがあります。
また、ビジョンや経営方針など、ビジネスの方向性に関する意見の不一致は、中長期的な経営に大きく関わる部分のため、大きな対立のきっかけとなりかねません。
どれだけ忙しくても必ず定期的にミーティングを行う約束をするなど、互いの意見を尊重し、ポジティブな話し合いができる環境をつくりましょう。
起業家の力量はそのままビジネスに反映されるため、事業運営への見通しの甘さは起業失敗に直結します。
経営の力量不足は次のような形で現れます。
起業への意気込みはあっても、事業経営に関して人任せであったり、自身で決断・実行するのが苦手だったりする場合は、起業失敗に陥りやすくなります。
「投資家の言う通りにすれば成功する」「設備投資すれば売上アップする」「信頼している従業員の意見をすべて採用しよう」などといった考え方は危険です。
逆に自分が良いと思ったものを信じすぎてしまうのも良くありません。市場のニーズを捉えられていない状態で広告やマーケティング費用にお金をかけても売上は上がりません。
外部のアドバイザーや社内の意見、ユーザーの声を参考にしつつ最終的には自らの判断で決断するバランス感覚が求められます。
たとえ起業に失敗しても、再起業や再就職など再起する道はあります。
ここでは、起業失敗から再起した起業家の事例を具体的に紹介します。
起業後になんらかの事情で廃業してしまったものの、ビジネスのアプローチ方法や内容を変えて再起業された方の事例をご紹介します。
元事業 | 再起業 |
不動産&リフォーム業 | シニア人材活用サービス事業 |
工場内での英会話レッスン | 海外進出を考えている事業者向け英文サポート |
旅行好きな方向け マッチングサービス事業 |
大学生向けノーコード プログラミングスクール |
上記の例では、廃業後も精力的に活動していく中でビジネスチャンスを見出し、過去の起業経験や反省点を強みに変化させているのが特徴です。
また、同業界でも「レッスンからビジネスサポート」「アプリ集客からスクール経営」などと、アプローチ方法を変えて再起業されているケースもあります。
廃業した原因の改善や、市場ニーズに合致する事業にチャレンジする意欲があれば、再起業に向けて活動してみるのもよいでしょう。
廃業を経験すると「起業失敗がその後のマイナスポイントになる」「年齢的に就職が厳しい」など、再就職へ不安を抱く方もいるかもしれません。
しかし、起業経験はビジネス感覚やマネジメント能力など、さまざまな能力を有している人材としてポジティブに捉えられるケースもあります。
特に自分で新しく事業を立ち上げた経験は、これから発展、事業拡大をしていくベンチャー企業などで高く評価されます。
実際に就職活動を経験して、次のように感じた起業経験者もいます。
プロトスター株式会社 中川 絢太
ゼロからイチを立ち上げた経験がもっとも評価された部分でしょう。
もう1つは、ある程度の規模の組織をマネジメントした経験も評価されたと思います。
また、起業時にやりとりしていた取引先と信頼関係ができていれば、取引先や別の会社への入社を紹介してもらえるなど、一般的な転職活動よりもスムーズに進みます。
経営戦略の立案や資金調達の経験、今までの人脈などを積極的に活用して、再就職に向けて活動してみてください。
参考:TOKYO Re:STARTERコミュニティイベント第2回セッションレポート
TOKYO Re:STARTERは、東京都が主催する起業経験者の再チャレンジを支援する事業です。
参加者の目的に合わせた「TOKYO Re:STARTER Community」と「TOKYO Re:STARTER STUDIO」といった2つのプログラムで、新たなキャリアを築くためのサポートを提供しています。
TOKYO Re:STARTER Communityでは、起業家たちに再チャレンジのきっかけを提供します。
他の起業経験者との交流や、先輩起業家、起業経験者が活躍する事業会社からのアドバイスを通じて、さまざまなキャリアパスへのヒントが得られます。
全8回を予定するコミュニティイベントが毎月開催されており、起業に挑戦した経験を活かし、セカンドキャリアを切り拓いた起業経験者から、再チャレンジのきっかけを学べます。
TOKYO Re:STARTER STUDIOは、スタートアップとしての起業に再チャレンジしたい人を支援するアクセラレーションプログラムです。
経験が豊富なメンターやエンジニア、マーケターのサポートを受けながら、事業検証・開発を行う事ができます。
さらに、デモデイ(2025年3月開催予定)でピッチを行い、投資家からの資金調達や企業との業務提携を目指せます。
過去の失敗を活かして、スタートアップとしての起業で新たな一歩を踏み出したい方は、ぜひTOKYO Re:STARTER STUDIOにエントリーしてみてください。
(TOKYO Re:STARTER STUDIOは2024年10月31日まで募集)
起業後、順調に事業が拡大していても、資金繰りの悪化やメンバーとの対立などで突然廃業に追い込まれるかもしれません。
しかし、起業に失敗してもその後のキャリアに傷がつくわけではありません。
再就職、再起業のどちらを目指す場合でも、起業経験を活かす選択肢はあります。
TOKYO Re:STARTERは、起業後の再就職や再起業を目指す起業家たちにとって、心強い味方となってくれます。
起業経験を活かしてセカンドキャリアを歩みたい、もう一度起業にチャレンジしたい方は、ぜひコミュニティへ参加してみてください。
画像出典元:写真AC