起業経験者は企業からも求められる!起業の価値やリスク、セカンドキャリアにつながる起業の終わらせ方について考える

起業経験者は企業からも求められる!起業の価値やリスク、セカンドキャリアにつながる起業の終わらせ方について考える

TOKYO Re:STARTERキックオフイベント

記事更新日: 2024/08/08

執筆: 宮林有紀

2024年6月15日に令和6年度の『TOKYO Re:STARTER』のキックオフイベントが開催された。

『TOKYO Re:STARTER』とは、過去の起業経験や挑戦が評価されるエコシステムを構築し、起業家のセカンドキャリア創出や、再挑戦を支援することで「何度でも挑戦できるTOKYO」を目指す事業だ。

本イベントにおいて、「再起業?キャリアアップ?起業経験を生かしたセカンドキャリア」というテーマで、株式会社tonari 代表取締役社長 高橋弘樹氏起業家 エンジェル投資家 成田修造氏株式会社ウツワ 代表取締役 ハヤカワ五味氏によるトークセッションが行われた。

起業経験者が様々な形で求められているという現状や起業のリスク、終わらせ方まで、リアルな情報満載のディスカッションをレポートする。

【登壇者】

成田修造氏

慶應義塾大学在学中に(株)アトコレを設立。2012年より(株)クラウドワークスに参画し、大学4年生で執行役員となる。株式上場後は取締役副社長兼COOや取締役執行役員兼CINOを歴任。2023年に同社を卒業し、起業等新たな挑戦を開始。

ハヤカワ五味氏

大学入学後にランジェリーブランド「feast」を立ち上げる。2019年からは生理から選択を考えるプロジェクト「ILLUMINATE」を立ち上げ、2022年にM&Aでユーグレナグループに参画。

高橋弘樹氏

テレビ東京に入社後、2023年に独立し株式会社tonariを創業。ビジネス動画メディア『ReHacQ』はYouTube登録者70万人を超える。テレビでは『家、ついて行ってイイですか?』、Webでは『日経テレ東大学』『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』などを企画・演出。

◼︎ TOKYO RE:STARTER コミュニティとは 東京都は、過去に起業した経験を糧に再起を目指す有望な起業家を掘り起こし、再チャレンジにつなげる「東京都リスタート・アントレプレナー支援事業(TOKYO Re:STARTER)」を実施しています。

TOKYO Re:STARTER コミュニティでは、先輩起業家の経験やキャリアを深掘りするトークセッション、起業経験者の採用に積極的なスタートアップとのネットワーキングイベントなどを開催。過去に起業に挑戦した経験を基にセカンドキャリアを切り拓いた著名人の事例から学び、次なる挑戦に向けて動き出すきっかけを提供します。

ぜひ、下記のボタンから開催予定のイベントをチェックしてください!

起業経験をキャリアに生かす方法とは

高橋:今回のテーマは、「起業経験を生かしたセカンドキャリア」です。

起業という体験から得られる価値について考え、ビジネスパーソンの今後のキャリアに生かしていきましょう。

成田:僕は慶應義塾大学在学中にベンチャー企業でオープンイノベーション支援サービスを手がけたり、大手人材紹介会社との提携事業の立ち上げを行いました。

その後、アート作品の解説まとめサイトなどを手がける株式会社アトコレを起業しましたが、それはうまくいきませんでしたね。

2012年に株式会社クラウドワークスの立ち上げに参加して、3年目で株式上場を果たし、取締役副社長兼COO(最高執行責任者)として全事業を統括し、2022年には取締役執行役員兼CINO(最高イノベーション責任者)として新規事業開発や投資に携わっていましたが、2022年12月にクラウドワークスを退社しました。

今は複数の企業の社外取締役などを行いながら、次の起業の準備をしています。

ハヤカワ:私は多摩美術大学在学中にランジェリーブランド「feast」を立ち上げ、2022年に株式会社ブルマーレに事業譲渡しました。

2019年に立ち上げたヘルスケア事業の株式会社ILLUMINATEは、2022年にユーグレナグループにグループインしましたが、2024年4月末に退社したところです。

個人の会社経営は続けていますが、今はキャリアブレイク中です。

すべて順風満帆にこられたわけではないので、今日はいろいろなお話ができると思います。

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経済が停滞している日本を救うのが起業家の使命

成田修造氏

高橋:少し前までの東大生の流行りは起業してIPOさせることでしたが、今は連続起業家が注目されているようですね。

起業して数年で売却し、次の起業をしてまた数年で売却、これを繰り返すことが流行っていると聞きました。

成田:確かにそれは事実ですが、良くない風潮ですよね。

就職して忙しい生活で高年収を得るより、自分の好きなことで効率的に稼ぎたいという考え方です。

ハヤカワ:学生の連続起業家の成功事例が増えたので、うらやましくなるのでしょう。

成田:キャリアプランの1つとして起業が身近になったのは良いことですが、日本や東京都が推進している起業は効率的に稼ぐことではないと思います。

日本が必死にスタートアップ支援を行っているのは、産業を生み出せていないからです。

1950〜60年に創業された企業が今の日本経済を支えていますが、1990年代以降は新たな大企業を生み出せていないので、儲けるための手段としての起業ではなく、日本の産業を生み出す起業家を輩出しないといけません。

リスクを回避する方法|起業の失敗は準備不足が原因!

ハヤカワ五味氏

高橋:「借金が残ったり、倒産したりする事が怖い」という、起業のリスクに関してはいかがお考えですか。

成田:『BIG THINGS』という本に書かれていたのは、失敗する理由のほとんどは計画不足だということ。

多面的にプランを精査して、うまくいくかいかないかを考えて、うまくいかない要因を潰していないと失敗します。

起業も同じで、見切り発車ではうまくいきません。

高橋:しかし、完璧な計画を目指すと、永遠に起業できない可能性が出てきますよね。

藤田晋さんを例にすると、20代の頃と今では大きく違う部分があるので、最初から完璧を目指さなくても良いのではないでしょうか。

成田:藤田晋さんの場合は、20代の時から売上がたつビジネスを行っていたからうまくいきました。

売上を考えずにスタートするとまずうまくいきません。

起業家にとって、資金調達や資金繰りに関する能力は必要不可欠です。

ハヤカワ:「売上より、自分が好きだから、この事業をやりたい!」という方が結構いるんですよね。

少しもお金が残らない経営方法だと、走りながらどれだけ工夫しても続けるのは難しいでしょう。

もう1つの大事なポイントは、「ここまで失敗したら撤退する」というラインを決めておくこと。

撤退ラインさえ決めておけば、借金を背負うリスクを減らせます。

高橋:自己資金で運営するか、資金調達すれば、借金しなくても起業できますしね。

「借入しないか、借入をするならいくらまで」と決めておくと良いでしょう。

安全に起業したいなら「誰かを真似る」ことが大事

高橋弘樹氏

高橋:起業で失敗しない方法はあるのでしょうか?

成田:それは、誰かがすでにやっていることを真似ることです。

「起業=新しいことをやる」と思われがちですが、実は逆で、成功している起業家は誰かがやったことを真似しています。

起業家は既存の事業に新しいエッセンスを入れるだけで良いので、9割は真似で、1割だけ新しいアイデアで行うのがもっとも安全です。

ハヤカワ:完全にゼロからの新しいビジネスモデルを試みる人もいますが、今の世の中に存在しないやり方で稼げるのか?なぜ誰もやっていないのか?の検証をしないといけません。

世の中には頭が抜群に良い人がこれだけいるのに、そういう人たちがまだやってないなら成功する確率はかなり低いのです。

稀に成功する可能性があったとしても、初心者が狙うのはリスキーです。

私も「小さい胸の方向けの下着」という意味では新しいものをつくりましたが、超ありふれたビジネスモデルである「物販」という方法を選びました。

あとは、リスクを減らしたいなら、いきなり起業するのではなく副業として個人で何か試してみても良いでしょう。

高橋:たとえば、副業として3年ほど活動して、顧客をつくってから本格的に起業するとリスクを減らせます。

成田起業する前の準備も大切なんですよね。

ハヤカワ会社を立ち上げることはただの手続きなので、準備をしたり、どうやって走っていくかが起業の本質です。

経験者だからこそわかる新事実!イノベーションに斬新さは必要ない!?

高橋:ベンチャーは既存のマーケットに参入するもの、スタートアップはこれまでにないマーケットを開拓する、とどこかで聞いた覚えがありますが、実際はどうなのでしょう?

成田:イノベーションは未知のものではなく、既存のものと既存のものを掛け合わせるのがイノベーションで、iPhoneもすでにあった技術を組み合わせて良いプロダクトをつくっただけです。

楽天などのEコマースも、物販を店舗ではなくネットでやっているだけです。

これがイノベーションで、新しいマーケットをつくるわけではなく、マーケットはすでに決まっています。

世の中の人々がお金を出すポイントは食事だったり、欲しいものだったりで、いつの時代も変わりません。

その中でどこかを奪いあうかに過ぎないので、新しいお金の使い道ができることはないでしょう。

高橋:では、これまでに人々が見たことのないプロダクトをつくることが大切なのでしょうか?

成田:それも少し違っていて、人々が過去に見たことがあるモノでも成功します。

1990年以降に創業した日本企業で売上一兆円以上になったのは、オープンハウスと楽天の2社です。

オープンハウスは家をつくる事業なので、目新しいことはしてはないですよね。

それなのに成功した理由は、営業力や土地の仕入れ、製品の内容、などの組み合わせで他社にはない強みをつくったからです。

だから、起業を難しく考えなくても良くて、既存のマーケットの中で自社の強みを生かせる経営方法を考えれば良いだけです。

ハヤカワ:完全に未知なものだと、お客様は購入を控えます。

見たこともないものにお金をつかうのは怖いですよね。

だからこそ、馴染みのあるものに新しい価値をつけて売ることが大切です。

高橋:新しい体験すらなくても良いのでしょうか?

成田新しい体験も必須ではないと思います。

そういった目に見えた斬新さは、さほど必要ありません。

もっとも重要なのは、どの方向に向かっているかの「解像度」をできる限り高くすることです。

たとえば、Googleみたいな会社を目指すのか?数億円ぐらいの会社を目指すのか?それぞれで立ち上げ方も経営方法も違いますよね。

実は一番大事!事業の終わらせ方で起業家の未来が決まる

高橋:ハヤカワさんは、満足できる金額で事業譲渡できましたか?

ハヤカワ:ポジティブな金額ではありませんでした。

アパレル事業は自己資金(一部は借り入れ)で経営していましたが、ヘルスケア事業は株式で資金調達していて、事業を終らせる時には株主への説明が必要なので、譲渡金額が予想より低いと少し大変です。

しかし、小規模事業でもM&Aできるケースが増えていて、様々な形のイグジットがあるのは起業リスクの軽減につながります。

高橋:起業後に上場するか廃業するかの二択ではなく、譲渡する選択肢もあるということですね。

周りに失敗した人はいますか?

ハヤカワ:もちろん、たくさんいますが、失敗した時に関係者やステークホルダーへ丁寧に説明していた人は、今も活躍しています。

高橋:成田さんは、事業をたたむ時の気持ちはいかがでしたか?

成田:絶望的でした。

イメージするものを形にするのは難しいのだと知りましたね。

ただ、やめることは怖くなかったです。

やめ時を逃すことがもっとも危険だと肝に銘じていたので、会社の資金がなくなってきた時に潔くやめられました。

高橋:メンタル的にはどうでしたか?

成田:落ち込みましたが、やめた後に優しい声をかけてくれる人がたくさんいて救われましたね。

たたむ際には、共同創業者をはじめ、株主や周りの人々に丁寧に説明したので、その成果があったのだと思います。

高橋:ハヤカワさんは、やめる時にどういったことに注意しましたか?

ハヤカワ:私は双極性障害の症状が強い時期があって、今考えると借りてはいけない額を借りてしまったんです。

同世代の友達が住宅ローンで組む金額なんですよね。

「みんながマンションを買っている中で、自分は借入金を返すのか…」と思うと、心が押しつぶされそうで、そのまま逃げたい気持ちでした。

だけど、先輩から「株主や従業員、関係者への対応は絶対に丁寧にすべきだ」とアドバイスをもらって、苦しい中でも死守しました。

そこまでやり遂げられたので、この起業経験は大成功とはいえなくても悪くはなかったのではないかという感想です。

起業するメリット|お金ではなく「やりがい」が起業家を育てる

高橋:起業ならではのメリットはなんだと思いますか?

ハヤカワ:メリットは、視野が広がったことです。

全体を俯瞰しながら、どう事業を進めていくかを考えられるようになりました。

他には、会社員だと一緒に働く人を選べないことや、「KPIが間違ってるのでは?」とモヤモヤしたこともありましたが、起業家ならすべて自分で決められるので納得して働けます。

また、大企業だと配属先が選べないという課題がありますが、スタートアップは入社してからやることが明確で、やりたい仕事ができるのもメリットです。

成田:今まで自分たちではできなかったことが実現していくプロセスが、非常に面白かったですね。

お金のためではなく、ただ楽しいことをしている感覚で、夜中まで働いても嫌な気持ちになりませんでした。

高橋:ブラック感はありませんか?

成田強制ではなく、やりたい人が好きなだけやれば良いという雰囲気でしたね。

高橋:それが合う人と合わない人がいて、合う人だとすごく楽しいんですよね。

ハヤカワ合わない人はスタートアップに入らないほうが良いし、ストックオプションで儲けようと思っている人も苦しくなるでしょう。

スタートアップは、儲けよりも「やりがい」です。

会社だと「一日8時間働けば良い」という感じですが、スタートアップだと楽しいから無限に何時間でも働きたくなります。

元起業家は日本企業を救う唯一の人材

ハヤカワ:最近は起業の失敗経験もキャリアの1つとして受け取ってもらえるので、規模の大きな企業への就職が実現するケースをよく耳にします。

成田:起業家は主体的に自分で決めたり、判断したり、責任を取ったりすることに慣れている人が多いですよね。

そういった人材は高く評価されるのでしょう。

高橋:起業家は組織の言うことを聞かなそうですが(笑)

成田:うまくいってる企業なら言うこと聞かない人材は必要ありませんが、停滞している企業は元起業家に新しい風を入れてもらわないと生き残れません。

新しいものを生み出せる人は、元起業家のような自分で動ける人です。

高橋:これまでは組織になじめる人が求められていましたが、今は組織をかき回す人を探している会社が増えているんですね。

ハヤカワ:新規事業と既存の事業を比較すると、新規事業を立ち上げるのはすごく難しく、既存の事業を継続するほうが簡単です。

新規事業にリソースを持っていかれることをみな嫌いますが、そんな環境でも新規事業を起こせるのは外部から入ってきた元起業家が多いのでしょう。

高橋:既存事業のほうが利益率が高かったら、新規事業へのやる気が起きませんよね。

ハヤカワ:はい。しかし、新規事業も立ち上げないと企業の力が徐々に弱っていきます。

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TOKYO Re:STARTER コミュニティでは、先輩起業家の経験やキャリアを深掘りするトークセッション、起業経験者の採用に積極的なスタートアップとのネットワーキングイベントなどを開催。過去に起業に挑戦した経験を基にセカンドキャリアを切り拓いた著名人の事例から学び、次なる挑戦に向けて動き出すきっかけを提供します。

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これからの日本が進むべき道|日本企業が生き延びるために

成田:大きな会社をつくるためには、裾野を広くしないといけません。

起業家の裾野を広げれば広げるほど確率的に大きな企業ができるし、それにつられて大企業も変革が進みます。

戦後は焼け野原になって産業がない状態で、みんな個人商店などで起業せざるを得なかったんですよね。

その中で、小さな町工場が大きな工場になっていくなど、なにくそ精神で「もう一回復活してやる!」と頑張った人たちがグローバル企業をつくりました。

現在は成熟した社会になり、挑戦する理由がない時代です。

高橋:今の日本社会のように安心して暮らせて、経済が安定しているほうが挑戦しやすい気もしますが、他の国はどうなのでしょうか?

成田:先進国においては、アメリカや中国以外で、挑戦しやすい国はほぼないと思います。

アメリカは、移民の人たちがものすごく努力していて、ハングリー精神で頑張るからこそ結果が出ています。

中国はその逆で、トップダウンで人材を輩出する政策です。

トップエリートたちが生き残って、その人たちが産業をつくっています。

日本には、アメリカや中国のような状況がありません。

高橋:これからの日本は、どうすれば良いのでしょうか?

成田:出生率が下がり、経済も30年停滞し、円安も加速され、人々の危機感は広がってきていて、それで「日本全体で頑張ろう」という雰囲気がでてきているのは良い傾向です。

ハヤカワ:SNSを見ていると、少し前までは年収を上げることより、節約してやりくりすることに人々の意識が向いていて、挑戦することを諦めている人が多かったのでしょう。

しかし、「今のままではヤバイかも」という空気が、ここ最近は出てきた気がします。

まだ一部の人だけなのかもしれませんが、日本人は周りの顔をみて動くので、社会全体に波及していけば起業や挑戦する人が増えるでしょう。

質疑応答

質問1:普通の人にはできない「大きな企業」のつくり方

参加者:東大生ですが、既存のアイデアを真似ながら最後までやり続ければ、大きな産業構造になるのでしょうか。

成田:グローバル規模の企業をつくることは、ものすごく難しいので、ほとんどの人が不可能です。

だから普通の人の場合は、既存の事業を真似る方法が向いています。

しかし、東大生などの普通の人ができない大きな企業をつくる能力がある方は、そちらを目指してもらいたいです。

大企業をつくるために重要なのは、選ぶ産業を見極めること。

たとえば、日本の自動車産業は世界でトップクラスなのに、新しい大企業を生み出せていないので可能性があります。

そういった背景がある産業で起業すると、成長させやすいでしょう。

時代ごとの違いもあるので、これから伸びるトレンドを先取りすることも大切です。

質問2:事業経営の落とし穴は?

ハヤカワ:「ちょっと違和感あるな」と感じた時、その悪い予感は当たるので無視しないほうが良いでしょう。

成田事業アイデアがズレている、採用した人をマネジメントできない、返済できないお金を借りたり正しい使い方ができない、この3点に気をつけるべきです。

質問3:仲間の集め方は?

成田:僕は同世代の面白い人とつながることに力をいれていて、それが役立ちました。

ハヤカワ:時間をかけないと人の本性はわからないので、学生時代の友達など長く知っている人のほうが安心です。

質問4:地方の学生起業家はどうすれば増える?

参加者:地方の学生ですが、周囲は起業より就職が一般的です。学生の意識改革はどうすれば良いでしょうか。

成田:地方の大学生が起業して成功事例をつくれば良いだけで、「まず自分がやる!」という意識が大切です。

ハヤカワ:美術系大学出身者の起業家は非常に少ないのですが、わずか5〜6人でも集まって発信することで、次の世代の選択肢に起業が入るので、やれる人が起業して事例をつくっていきましょう。

質問5:50代のセカンドキャリア

参加者:50代でスタートアップに転職をしようと思っても年齢で引っかかってしまうため、起業したいと思い始めました。

高橋:50代だと、スタートアップの若い社員とうまくやっていくのが難しい気がします。

成田:アメリカでの起業に成功する確率を統計データでみると、一番成功しやすいのは45歳です。

ジョブズやビル・ゲイツなど一部の優れた人がいるから、「スタートアップは若い人」というイメージがありますが、実際には45歳ぐらいが最適な時期なので、起業を検討しても良いですよね。

ハヤカワ:受け入れてくれるスタートアップがあれば入れば良いし、なければ起業するという消去法でも良いでしょう。

質問6:関わらないほうが良い人は?

ハヤカワ成功してる時に寄ってくる人はテイカーが多かったので、関わらなければ良かったと思いましたね。

成田:その人の発言が本物かどうか見極めれば判断できるでしょう。

質問7:お金への不安の消し方は?

参加者:いろいろ旅をして、20歳で上京してベンチャーに入り、今年からは独立する予定ですがお金への不安が消えません。

ハヤカワ:求人をチェックして、「起業がうまくいかなかったら、ここで働けばいくらぐらいのお給料がもらえるから大丈夫」と思っておくと、別の選択肢があるだけで安心感があります。

成田地方にいけば、毎月5万円で生活できるので、お金の不安を感じにくいでしょう。

もっと本質的な話をすると、自分の自信になる学力や知能、スキルをつけるために精一杯努力することでしか不安はなくなりません。

その経験がないのであれば、インターネットや図書館で勉強して自分を鍛え、社会に出る力をつけるのが解決策ですね。

質問8:意思決定できない時の乗り越え方は?

成田:意思決定はスキルなので、これまでに同じような意思決定をしてきた人の情報を多面的に集めれば、勝手に答えの輪郭がみえてきます。

ハヤカワ:時間的な余裕があれば、問題は一旦横に置いておいて、情報を集める等、いろいろ見て回ると解決しやすいです。

質問9:M&Aは女性だと不利?

ハヤカワ:PLや事業の状態しか見られないので、代表者が女性でも不利ではありませんでした。

まとめ

高橋:起業は倒産するリスクがあって怖いと思いますが、不安は知らないから感じるものです。

日本には解決する制度がたくさん揃っているので、知るだけで気持ちが大きく変わるでしょう。

今回のディスカッションを、ぜひ今後に生かしてください。

それでは、みなさま本日はありがとうございました。

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宮林有紀

この記事を書いたライター

宮林有紀

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