TOP > SaaS > 法務 > 契約管理 > 【不安解消】電子契約の受取側の対応方法をわかりやすく解説!デメリット・メリットも紹介
テレワークや在宅勤務の増加に伴い、紙の契約書から電子契約に切り替える企業が増えています。
本記事では、そもそも電子契約とは何か、電子契約の受け取り側はどう対応すればいいのか、電子契約のデメリットとその対策について解説します。
電子契約のメリット、さらに電子契約サービスの見極めポイントも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
このページの目次
電子契約とは、紙の契約書の代わりにデジタル形式で契約を締結する方法を指します。
例えば、メール・ウェブサイト・専用のソフトウェアなどを使って、契約締結・押印・保管まで全てをオンライン上で完結することが可能です。
電子署名法第3条によって、電子契約は紙の契約と同じ法的効力を持つことが定められています。
まず、取引先が利用する電子契約サービスが立会人型・当事者型のどちらに対応しているか確認してください。
電子契約には、メール認証で簡単に契約が出来る立会人型と、認証局での本人確認や費用が必要となる当事者型の2種類があります。
両者は、それぞれにメリットとデメリットがあり、手間やコストも異なるため、電子契約を受け入れるか否か判断する上で重要な要素となるでしょう。
電子契約の導入を検討する場合、確認すべき事項は下記の3つがあります。
今まで紙の契約書のみでしか取引をしてこなかったという場合は、そのまま電子契約を進めてしまうと社内ルール違反となってしまう可能性があります。
改定案の作成・経営陣の承認などといったプロセスにしたがって追記や変更を行いましょう。
例えば、会社で使用する印章の種類・保管方法・使用時のルールが記載された印章管理規定、社内で作成した文章・取引先から受領した書面の管理方法が記載された文書管理規定などの修正が必要です。
契約書の種類が、法令上で電子化が認められているか確認する必要があります。
2023年6月に施行された改正特定商取引法(特商法)によって、一定数の契約書は電子化可能になりました。
しかし、下記3つに関しては、各法令によって紙での交付が義務とされているため、電子契約を利用することができません。
文書名 | 法令 |
事業用定期借地契約 | 借地借家法23条 |
企業担保権の設定又は変更を目的とする契約 | 企業担保法3条 |
任意後見契約書 | 任意後見契約に関する法律3条 |
この3つに関しては、公正証書によって契約を締結すべきことが法的に義務付けられているため、紙の契約書での締結が必要となります。
そのほかに、条件付きで電子契約の利用ができる契約書というものもあるため、法令をしっかり確認した上で検討しましょう。
電子契約の契約期間は、電子署名法施行規則6条4項によって「電子証明書の有効期間は、五年を超えないものであること」と定められています。
一方で、長期の電子契約を結ぶ方法もあり、署名種類によって有効期限が変わってきます。
署名種類 | 有効期間 |
電子署名のみ | 最長5年間 |
電子署名・タイムスタンプ | 最長10年間 |
電子署名・アーカイブスタンプ | アーカイブスタンプを掛け直すたびに延長ができる |
締結完了前に契約期間の確認をし、電子契約の有効期間が知らない間に失効していたといった問題が起こらないように気をつけましょう。
電子契約の受け取り側は、「社内ルール上、紙の契約書への押印でないと証拠として認められない」といった理由で電子契約自体を断ることも可能です。
電子契約を断る場合は、取引先に紙の契約書を作成してもらい、その契約書に署名・押印して原本は自社で保管をしましょう。
そのほかにも、送られてきたPDFをプリントアウトして、そのプリントアウトした紙の契約書に署名・押印するといった方法もあります。
ここでは、電子契約のデメリットとその対策を3パターン解説します。
電子契約を導入する場合、社内調整の手間がデメリットといえます。
電子契約にマッチした新しい運用ルールの策定やオペレーションの構築、それに伴う周知や反対意見への対応は大きな負担を伴うでしょう。
社内だけでなく、取引先やパートナー企業との調整も必要となります。
明確な運用ルールを策定し、分かりやすいマニュアルを用意することで、社内だけでなく取引先やパートナー企業とのトラブルを未然に防ぐことができます。
問題が発生した際に、迅速な対応ができる専用のサポートチームを作ったり、導入後に定期的なフィードバックを収集して改善点を反映させるといった方法も有効です。
事業用定期借地契約・企業担保権の設定又は変更を目的とする契約・任意後見契約書については、電子契約化することが法令によりできません。(2024年8月時点)
今後、法改正がある可能性も考えられるため、常に最新の法律を把握しておきましょう。
また、法令で電子契約化できない契約書の場合、紙の契約書で締結・保管した上で、社内管理や検索の効率化のためにスキャン保存を併用するといった方法もあります。
物理的に保管する紙の契約書とは異なり、電子契約はデータをサーバー上に保管するため、サイバー攻撃の懸念があります。
サイバー攻撃を受けてしまうと、情報漏洩・契約書の改ざんといった企業の信用に直結する問題となるため、未然に防がなければなりません。
セキュリティ対策の強化は、サイバー攻撃を未然に防ぐために有効です。
暗号化技術を用いた電子署名や管理を行うことで改ざんがしにくくなったり、二要素認証・多要素認証を導入して不正アクセスを防止するといった方法があります。
そのほかにも、社内セキュリティポリシーを策定し、社員全員が遵守するように教育機会を設けるのも良いでしょう。
続いては、電子契約のメリットについて5つ解説します。
紙の契約書の場合、作成した書類を印刷・押印・送付や返送といった作業が必要となり、多くの手間と時間がかかります。
電子署名であれば、時間や場所を問わずにオンライン上で作成から締結完了・保管まで可能なため、業務効率化につながります。
紙の契約書は、印刷にかかる費用や送料・印紙代といったコストが必要ですが、電子署名であればこのようなコストを削減することが可能です。
紙の契約書の場合は、保管できる場所の確保・管理が必要となり、過去の契約書を参照したい場合に膨大な書類の中から物理的に探す必要があります。
一方で、電子契約であれば、サーバー上にデータが保管されるため、保管場所を節約することができます。
また、検索機能を利用すれば場所や時間を問わず、簡単に必要な契約書を確認することができます。
紙の契約書は、全ての契約期限をExcelなどを活用して管理し、更新に伴い契約を締結し直す必要があります。
電子契約であれば、システムに自動で更新期限が近い契約をアラート通知をしてくれる機能が搭載されているなど、契約更新漏れを防ぐことができます。
さらに、オンライン上でそのまま更新手続きを進められるだけでなく、現在どの段階まで手続きが進んでいるのか簡単に確認できるという点もメリットです。
社内ルールの規定や金庫を活用した厳重な保管などによって、紙の契約書でも多くの対策はされていますが、書類の偽造・改ざん・自然災害による消失リスクは否めません。
電子契約であれば、システム自体のセキュリティが高く構築されており、アクセス制限や承認権限の設定、暗号化技術を活用した改ざん防止対策が可能となります。
データで管理されているため、紛失・劣化・自然災害による消失リスクを大幅に下げることができるでしょう。
電子契約サービスの見極めポイントについて解説します。
電子契約サービスを見極めるポイントは、システムの利用料に対して費用対効果があっているかという点を考えましょう。
基本的に電子契約システムは、月額契約もしくは年間契約で支払うサブスクリプション型のサービスが多いです。
今まで紙の契約書にかかっていた印刷費・印紙税・送料・人件費などを計算し、費用対効果を元に検討すると良いでしょう。
ただし、定量的に測りにくい導入後の業務効率化や社員の働き方についても考慮する必要があります。
電子契約サービスのセキュリティ対策を比較した上で見極めるのも重要なポイントです。
例えば、IPアドレス制限・二要素認証・多要素認証などの設定が可能であれば、不正アクセスやなりすまし防止対策になります。
そのほかにも、通信やファイルの暗号化、機密保持ポリシー、ISO/IEC27001などの認証取得などを確認することも大切です。
多機能なシステムを選んでも、導入後に社員や取引先にとって操作性が悪く、使いこなすことができなければ意味がありません。
また、導入後に不明点や不具合などを迅速に相談できるサポート体制が整っているかという点も予め確認しておくと良いでしょう。
電子署名には、立会人型と当事者型という2種類の署名方法があります。
電子契約サービスによって、対応している署名方法が異なるため、自社や取引先のニーズに応じて選定することが重要です。
電子契約サービスを見極める際は、国内のシェア数も確認しておきましょう。
多くの企業や組織で使用されている実績があれば、信頼性の高さやサポートの充実が期待できます。
また、多くの企業が利用している分、堅牢なセキュリティ対策が施されていたり、定期的なセキュリティ診断を実施しているとも考えられます。
電子契約の受け取り側はどう対応すればいいのか、電子契約のデメリットとその対策、5つの導入メリットについて解説しました。
電子契約の受け取り側は、社内調整やサイバー攻撃の懸念などデメリットもありますが、操作性やセキュリティの高い電子サービスを利用するといった解決策もあります。
日本政府も電子契約の推進をしており、今後も導入企業が増えると予測されるため、自社にマッチしたシステムを活用してください。
画像出典元:O-DAN
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