個人間取引の活発化に伴い、契約書の作成は避けて通れない課題となっています。
しかし、従来の紙ベースの契約書は作成に手間と時間がかかり、個人にとっては負担が大きい場合が多いのではないでしょうか。
そこで注目したいのが、電子契約サービスです。
導入することで、これらの課題を解決し、取引をスムーズに進めることが可能になります。
今回は、個人事業主やフリーランス向けに、電子契約サービスのメリット・デメリット、導入時のポイントや注意点などを解説します。
このページの目次
インターネットとスマートフォンの普及により、個人間取引は急速に増加しています。
オークションサイトやフリマアプリ、SNSなどを活用することで、簡単かつ迅速に取引を行うことが可能になりました。
しかしその一方で、以下のようなトラブルも増加しています。
これらのトラブルは、契約書を交わしておけば防ぐことができた可能性が高いものです。
現在では電子契約サービスを利用することで、個人でも簡単に契約書を作成し、取引相手と共有できます。
個人間取引であっても、トラブルを避けるために契約書の作成をおすすめします。
電子契約サービスは、紙ベースの契約書では得られない、さまざまな利点があります。
メリットを理解することで、導入の検討に活かしてください。
紙の契約書では、印刷代や郵送代、保管費などの費用が発生しますが、電子契約書を利用すればこれらのコストは不要となります。
また、電子契約書は印紙税が非課税なので、その分コストを削減できます。
電子契約サービスの多くは、契約書のひな型を用意しているため、契約書の作成が効率的に行えます。
さらに、すべての契約業務がオンライン上で完結するので、契約書の送信・印刷・製本・捺印・保管の手間を省くことが可能です。
契約締結までの時間も、紙の契約書と比較すると大幅に短縮できます。
コスト削減や業務効率化など、多くのメリットをもたらす電子契約サービスですが、導入を検討する前に把握しておくべきデメリットもあります。
以下では、電子契約サービスを導入する際に直面する可能性のある課題や注意点について詳しく解説します。
電子契約を行うには、相手の同意や協力が不可欠です。
相手が電子契約サービスに慣れていない、電子契約に抵抗感を持っているなど、導入を躊躇する場合があります。
このような場合は、相手から詳しく話しを聞き、電子契約サービスのメリットを丁寧に説明し、理解を得ることが必須です。
また、双方異なる電子契約サービスを利用している場合、契約書のやり取りが煩雑になる可能性があります。
事前に互換性の有無を確認し、互換性がない場合は、お互いに納得できる解決策を検討しましょう。
具体的には、以下の方法が考えられます。
状況に合わせて、最適な方法を選択しましょう。
2023年6月、特定商取引における契約の電子化が可能となり、多くの契約書が電子契約を行えるようになりました。
しかし、現時点では電子化できない契約や、電子化には相手の承諾や希望が必要な契約が存在します。
状況 | 詳細 | 該当する契約書 |
電子化できない契約 | 公正証書によって締結すべきことが法律で定められている契約 | 事業用定期借地契約・企業担保権の設定又は変更を目的とする契約・任意後見契約書など |
相手の希望を確認する必要がある契約 | 労働条件に関する書類や、その他相手の希望を確認する必要がある契約 | 雇用条件通知書・派遣労働者に対する就業条件明示書・秘密保持契約など |
相手の事前承諾が必要な契約 | 内容によっては相手の不利益になる可能性がある契約 | 建設工事の請負契約書・投資信託契約の約款・金銭消費貸借契約書など |
法律の改正や裁判所の判断などにより状況が変化する可能性がありますので、最新の情報を確認し、必要に応じて対応しましょう。
電子契約サービスは、多種多様なサービスがあるため、どれを選べば良いのか迷うことも少なくありません。
こちらでは、導入における主な注意点と、個人事業主・フリーランスが選択を誤らないためのポイントを確認していきましょう。
電子契約サービスの中には、特定の契約書に特化したものがあります。
導入を検討している電子契約サービスが、作成したい契約書をサポートしているか、事前に確認しましょう。
具体的な契約書名や内容をカスタマーサポートに伝え、対応可能かどうかを確認すると、より確実です。
電子契約は、インターネットを介して契約手続きを完結できる便利なツールですが、情報漏えいなどのセキュリティリスクが伴うことも事実です。
契約書には個人情報が含まれることが多く、漏えいした場合の被害は深刻です。
不正アクセスやサイバー攻撃によるデータ漏えいは、社会的信用を失墜させるだけでなく、賠償責任に発展する可能性もあります。
そのため、電子契約を行う際には、セキュリティ対策が十分に行われている信頼できるサービスを選びましょう。
電子契約サービスは、月額無料のものから10万円前後のものまで幅広く提供されています。
特に個人事業主やフリーランスは、契約件数が少ないため、コストを意識する必要があります。
そこで重要となるのが、低価格でありながら機能が充実しているサービスを選ぶことです。
また、価格だけでなく、ランニングコストについても考慮しなくてはなりません。
例えば、従量課金で送信料がかかるサービスも存在します。
契約件数が多い場合、このようなサービスはコストが高くなる可能性があります。
導入前に、今後の契約件数や、電子契約サービスで処理したい契約の割合などを想定し、シュミレーションを行うようにしましょう。
電子契約サービスを選ぶ際には、使いやすさと機能性をしっかり確認することが大切です。
多くのサービスでは、無料トライアルが用意されています。
実際に利用してみて、直感的に操作できるかどうか、必要な機能が備わっているか確かめましょう。
ただし無料トライアルでは、契約件数や機能が制限されている場合があります。
無料トライアルを活用するとともに、有料プランの契約件数や機能についても調査しておくと良いでしょう。
個人事業主・フリーランスが導入しやすい電子契約サービスをピックアップしました。
特徴や料金体系を紹介しますので、自分に合ったサービスを選んで、業務をスムーズに進めましょう。
画像出典元:「電子印鑑GMOサイン」公式HP
送信料1件あたり110円〜と、リーズナブルな価格が魅力のサービスです。
豊富な機能を標準搭載しており、契約業務の効率化が図れます。
電話や有人チャット、活用ウェビナーなど、サポートが充実しており、初めて電子契約サービスを導入する人でも安心して利用できます。
お試しプラン | 契約印&実印プラン (立会人型&当事者型) |
|
月額費用 | 0円 | 9,680円 |
契約印タイプ(立会人型)送信料 | 0円 | 110円 / 件 |
実印タイプ(当事者型)送信料 | ─ | 330円 / 件 |
電子証明書 | ─ | 1枚⽬無料、 2枚⽬以降8,800円 /枚 / 年 |
ユーザー数 | 1名まで | 無制限 |
月間送信数 | 5件まで | 無制限 |
(税込)
2024年5月現在、契約印&実印プランが2ヵ月間無料になるキャンペーンを実施しています。
詳しい内容は、直接お問い合わせください。
画像出典元:「クラウドサイン」公式HP
シンプルな操作画面で、誰でも簡単に契約業務が行えるため、ITに不安を感じる方にふさわしいサービスです。
また、相手がクラウドサインのアカウントを持っていなくても契約が締結できるため、個人間取引の契約にも最適です。
Free | Light | |
月額費用 | 0円 | 11,000円 |
送信費用 | 0円 | 220円 |
ユーザー数 | 1名まで | 無制限 |
月間送信数 | 3件まで | 無制限 |
内容 | 契約書の送信・保管・検索などの基本的な機能を搭載 | 個人事業主や従業員数が少ない企業に適したプラン |
(税込)
その他、一般企業向けの機能を搭載した標準プラン「Corporate」、セキュリティを強化したプラン「Business」などがあります。
画像出典元:「みんなの電子署名」公式HP
みんなの電子署名は、完全無料で始められるという大きな特徴を持っています。
無料でありながら、通信経路とデータ保存の面において、高レベルなセキュリティ体制が確立されています。
アカウントを登録するだけで、電子署名やワークフロー、操作ログ管理など、すべての機能が利用可能なのもうれしいポイントです。
初期費用・月額費用・送信料:無料
文書の保管期間が1年以上経過すると料金が発生します。
支払いはチケット制となっており、1枚550円(税込)で50文書まで保管可能です。
上記以外の電子契約サービスについて知りたい方は、こちらの人気ランキングも参考にしてみてください。
個人間の取引をスムーズに進めるためには、電子契約サービスの導入が有効です。
取引における課題を解決し、多くのメリットをもたらすことができます。
しかし、導入する際には、デメリットやサービスの選択方法、使用にあたっての注意点を理解しておくことが肝心です。
これらを踏まえて、自分に合ったサービスを見つけ、効率的な取引を実現しましょう。
画像出典元:Unsplash、pixabay
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