今回は、「五月雨式に申し訳ございません」の意味や例文、さらに英語での言い換えについても解説します。
ビジネスメールで良く使われ表現で「物事がだらだらと続いていることに対するお詫び」を意味する言葉ですが、具体的にどのような使い方をすればいいのか悩んでしまう方も多いでしょう。
よく似た言葉の「矢継ぎ早に申し訳ございません」との違いも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
編集部
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ビジネスメールでよく目にする「五月雨式に申し訳ございません」とは、一体どのような意味なのでしょうか?
読み方や語源についても解説します。
「五月雨式」は、「さみだれしき」と読みます。
意味は、「物事がだらだらと続いていること」または「そういったやり方」を表現する言葉です。
例えば、要件を1通にまとめず複数に分けて連絡をするとき、「度々連絡をして申し訳ない」という気持ちを込めて「五月雨式に申し訳ございません」を使います。
また、成果物を順次納品するときも、「五月雨式に納品させていただきます」のように使用できます。
立場や相手を問わず使えるビジネス表現なので、メールやチャットでも重宝します。
「五月雨式に申し訳ございません」の語源は、「五月雨(さみだれ)」に関係しています。
五月雨とは、旧暦5月(現在の6月)に降る雨、つまり「梅雨」を意味した言葉です。
雨の日が長く続く状態を指す「五月雨」から、物事が長くだらだらと続く状態を「五月雨式(さみだれしき)」と表しています。
五月雨は夏の季語でもあり、松尾芭蕉の俳句にも登場している言葉です。
まさに「五月雨式に申し訳ございません」とは、季節の移り変わりを尊ぶ日本人ならではのビジネス用語といえるでしょう。
五月雨は梅雨を指す言葉ですが、現代では「いつまでもだらだらと続く状態」を意味するものとしても使われます。
そのため、ビジネスシーンで「五月雨に申し訳ございません」「五月雨式に申し訳ございません」と送られてきた場合、どちらも同じ意味であると考えてよいでしょう。
「五月雨」と「五月雨式」のどちらを使っても間違いではありません。
「五月雨式に申し訳ございません」は、どのように使用するべきなのでしょうか?
「五月雨式に申し訳ございません」の正しい使い方や注意点を解説します。
立て続けに連絡をするときに「五月雨式に申し訳ございません」を使用すると、「度々メールをしてごめんなさい」といった気持ちを届けることができます。
取引先にメールを送ったあと、「〇〇のことを伝え忘れていた!」ということはありませんか?
また、取引先から返信が来てないにもかかわらず、新たに連絡しなければいけないことができたということも多いでしょう。
そんなときは、「五月雨式に申し訳ございません」と伝えてから、要件をメールしてみてください。
「五月雨式に申し訳ございません」と使うことで、相手からの返事を待たず再度連絡をしても穏便に済ませることができます。
成果物を複数回に渡って納品するときは、「五月雨式」を使用して、「お手数をおかけしてごめんなさい」といった気持ちを伝えましょう。
こまめに成果物を納品してしまうと、そのたびに返信や確認をしなければいけないため、取引先に迷惑をかけてしまいます。
このため、事前に「申し訳ありませんが、完成したものから五月雨式に送付してもよろしいでしょうか」などの確認をとっておくのがおすすめです。
分割納品の可否を伺う場合は、「在庫がない」などの理由を明確に伝えることを忘れないようにしましょう。
取引先に出来上がったものからどんどん納品してほしいときは、「完成次第、五月雨式に納品いただければ幸いです」と伝えてみてください。
成果物によっては、完成したものから順次確認していきたい場合も多くあります。
この場合、全ての成果物が揃ってから納品をしてもらうと自社に都合が悪いので、「五月雨式」を使用してお願いしてみましょう。
また、順次納品を依頼するため、「大変恐縮ですが」「誠に恐れ入りますが」などのクッション言葉を文頭につけると、より丁寧な言い方になりますよ。
「五月雨式に申し訳ございません」という表現が良く使われるからか、「五月雨式」自体に謝罪の意味があると考える人がいますが、これはNGです。
五月雨式は「物事がだらだらと続く状態」を指している言葉であって、謝罪の意味は含んでいません。
このため、「五月雨式ですが、〇〇をご確認お願いいたします」などと送ってしまうと、「何度も連絡してきてるのに誠意を感じられないな」と思われる可能性があります。
謝罪の気持ちを込めたい場合は、必ず「申し訳ございません」といった言葉をつけて、お詫びの旨を伝えましょう。
実際にビジネスメールでは、「五月雨式に申し訳ございません」をどのように使用すればいいのでしょうか?
「五月雨式」がつく表現も含めて例文を紹介します。
「五月雨式に申し訳ございません」や「五月雨式」がつく表現を送る場合は、以下のような例文を使ってみましょう。
「五月雨式に申し訳ございません」を使用することで、取引先へスマートにお詫びの気持ちやお願いを伝えることができます。
上手に使いこなして、できるビジネスマンになってみましょう。
「五月雨式に申し訳ございません」や「五月雨式」がつく表現が送られてきたときは、以下のように返答してみてください。
五月雨式にご連絡をしてしまい申し訳ございません。
→ご連絡をいただき誠にありがとうございます。
五月雨式に納品してしまい、申し訳ございません。
→順次確認させていただきます。
誠に恐れ入りますが、完成次第、五月雨式に送付いただければ幸いです。
→承知いたしました。早急に対応させていただきます。
五月雨式になってしまいますが、できるだけ早急に資料を送付いたします。
→資料が揃いましたら、返信させていただきます。
大変恐縮ですが、進捗状況を五月雨式にご連絡いただきますようお願い申し上げます。
→承知いたしました。
「五月雨式に申し訳ございません」は英語で変換するとどのような表現になるのでしょうか?
実際によく使われる2つの表現を紹介します。
「五月雨」を英語でそのまま訳すと「May rain」や「rainy season」のように意味が変わってきてしまいます。
英語で表現する際は、「度々」「何度も」「続けて」 といった意味合いの言葉を使ってみましょう。
「I apologize for ~.」の代わりに「Apologies for ~.」を使用しても問題ありません。
また、「when you are busy(忙しいとき)」をつけると、「お忙しいにもかかわらず、五月雨式にご連絡をしてしまい申し訳ございません」と伝えることができます。
「詳細をお伝えするのが五月雨式で申し訳ございません」は、英語で以下のように表現します。
資料などを一度にまとめて送れないときは、上記の表現を使ってみてください。
「五月雨式に申し訳ございません」とよく似た言葉として、「矢継ぎ早に申し訳ございません」が挙げられます。
こちらでは、「矢継ぎ早に申し訳ございません」の意味や「五月雨式に申し訳ございません」との違いについて解説しましょう。
「矢継ぎ早に申し訳ございません」とは、「間をおかず立て続けに物事を行なってしまったことへのお詫び」を意味する表現です。
「矢継ぎ早」は、矢を次々に射る行動が語源とされており、物事がどんどん早く進んでいく様子を表しています。
ビジネスメールでは、取引先の返事が来ていないにもかかわらず、緊急で伝えなければいけない用事があった場合、「矢継ぎ早にご連絡をしてしまい申し訳ございません」と使えるでしょう。
それぞれの意味は以下の通りです。
一見、物事が続いているという面からどちらも同じ意味を持っているように感じますが、ビジネスシーンでは「五月雨式に申し訳ございません」を使うのがおすすめです。
例えば、「矢継ぎ早にご連絡をしてしまい申し訳ございません」を使うと、「急いで連絡をしてきたのかな?早く対応しなきゃ!」と取引先を焦らせる可能性があります。
要件によっては、「急がせるなんて失礼だな」と思われてしまうので、使用シーンは限られてくるでしょう。
一方、「五月雨式にご連絡をしてしまい申し訳ございません」は「こちら(自社)の都合で何度もメールをしてごめんなさい」といったニュアンスになります。
「あくまで自社が悪い」と伝えられるので、穏便に物事を運ぶことができるでしょう。
五月雨式の言い換え語としては、以下の3つが挙げられます。
それぞれの意味や使い方を解説しましょう。
続けざまとは、「何度も連続して物事が起きること」を意味した言葉です。
ビジネスメールでは、何度も連絡をしてしまうときに、「続けざまのご連絡を失礼いたします」と使用することができます。
ただ、受け手にドライな印象を与える可能性があるので、ぜひ「五月雨式に申し訳ございません」を使ってみましょう。
ひっきりなしとは、「物事が途切れずに続けて起きること」を意味した言葉です。
「ひっきりなしに電話が鳴っている」など、日常的に使う表現ですが、ビジネスシーンでは使用されない言葉でしょう。
断続的とは、「物事が途切れながら続くさま」を意味した言葉です。
「断続的に雨が降っている」などのように使われますが、こちらもビジネスシーンではあまり見かけない言葉でしょう。
「五月雨式に申し訳ございません」とは、「物事がだらだらと続いていることに対するお詫び」を意味する言葉です。
何度も連絡をしてしまったときや複数回に分けて納品するときなど、ビジネスシーンでよく使われます。
送り手の非を詫びる意味が込められるので、取引先とスムーズに連絡を取りたいときに、ぜひ使用してみましょう。
画像出典元:Pixabay、Unsplash
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