TOP > 組織 > リーガル > 【イラスト付き】割印とは?割印の正しい押し方と注意点、契印や収入印紙に押す消印との違いも解説!
割印とは、2部以上の文書が同一の内容であることを証明するために、文書にまたがって押印することです。
最近は、電子契約を行う企業も増え、割印を押す機会が減ってきてはいるものの、いざという時に正しく押印できず手間取るのは避けたいところです。
この記事では、紙の契約書には必ず必要になる割印の特徴、割印の正しい押し方、割印と混同しがちなその他の押印の特徴をわかりやすく解説していきます。
このページの目次
割印とは:
2通以上ある重要書類の「同一性」「関連性」を担保するため、文書にまたがって押印する印のこと。
押印者:契約書の場合、「甲」と「乙」など契約する全員。
割印に使う印鑑:実印・認印のどちらでもOK。
割印は、印鑑の陰影を重ねれば、「どちらも同じ書類である」「関連性のある書類である」と証明でき、契約書の改ざんを防止することができます。
割印に使う印鑑は、実印・認印のどちらでもOKですが、契約書に押した印鑑と同じものを使う必要があります。
割印は、
などに押印されます。
割印は、主に契約書・領収書等に押しますが、押し方はそれぞれ異なります。
契約書への割印は、2部以上ある契約書それぞれに陰影が掛かるように押します。
なお、このとき使う印鑑は、契約書に捺印・押印に使った印鑑と同じものを使ってください。
契約書が3部以上あるときも、「重ねて・ずらして押す」という決まりは同じです。ただし個人サイズの印鑑では、1度に3部陰影を残すのは難しいかもしれません。
この場合は、それぞれの契約書に陰影が残るよう2回に分けて押印します。「1部・2部をずらして一つ」「2部・3部をずらして一つ」という具合です。
領収書の場合は、切り離し線の上に左右バランスよく押印するのが決まりです。切り離したとき、陰影が半分ずつ残るようにしましょう。
また、領収書の中には、切り離し線がないものも少なくありません。この場合は領収書を契約書に重ねて、半分ずつ陰影を残すのが一般的です。
割印の他にも、重要文書には印鑑を押印することがあります。
その中でも、契印は、割印と同様に契約書の改ざんを防ぐもので混同しやすいため、違いについてよく理解しておきましょう。
契印とは、複数ページにわたる契約書・協議書等の重要書類のつなぎ目・綴じ目に押す印鑑で、契約書の差し替えや抜き取りがないことを証明するものです。
ホチキスで留めただけの書類は、針を抜けば簡単に改ざんできてしまうため、1ページの抜けも許さないよう、各ページに印鑑を押す必要があります。
製本テープで製本されている場合、特定のページだけを抜き取るのは容易ではありません。
製本された契約書の場合は、1ページずつ押印する必要はなく、制本テープの上に表・裏のどちらかに押印すればOKです。
捨印は、文書の内容に訂正があった際に、訂正印として利用する印鑑を前もって文書の欄外に押しておく印です。
捨印を押しておけば、文書の内容に訂正があった際に、いちいち訂正印をもらうという手間が省けます。
但し、訂正印を悪用して書類の改ざんが行われてしまうリスクもあるため、捨印に応じず都度訂正印を押すことも可能です。
止印とは、契約書等の重要な書類に大幅な空白があったとき、内容が書き足されないよう末尾に押印することです。
止印は、文章の上にかぶらないように押印し、関係者が複数いても代表者1名がだけが、文末に押印すればOKです。
また、「以下余白」という文言で止印の代わりもできます。
消印とは、収入印紙の再利用を防止するため収入印紙と書類の上にまたがるように押印する印です。
消印は、契約印とそろえる必要はなく、シャチハタ・認印など、どのような印鑑も使え、最悪ボールペン・サインペンで名字を書いても代用できます。
捺印と押印は、どちらも「印鑑を押すこと」を意味しますが、厳密な意味は異なります。
捺印は「署名捺印」を略したもの、すなわち、直筆の署名とセットで押される印鑑です。
押印は「記名押印」の略したもの、すなわち直筆に限らない方法で記された名前のことです。
例えば、印刷された名前・代筆された名前・スタンプで押された名前等が該当します。
自分で署名して印鑑を押す場合は「捺印」、自署以外の名前に印鑑を押す場合は「押印」と区別しておくとよいでしょう。
画像出典元:「はんこdeハンコ」公式HP
通常の印鑑よりも縦に長い割印専用の印鑑なら、契約書の部数が多いときでも、1度に複数の書面に押印できます。
主なサイズとして、以下のバリエーションがあります。
社名の長さ・文字のバランスを考慮して、見栄えのよいものを選びましょう。
印鑑の書体に決まりはなく、見やすさ・見栄え等を考慮して、好きな書体を選びましょう。
印鑑の書体には、以下のようなものがあります。
一般的に、最も見やすいのと言われているのは古印体、格式を感じさせるのは篆書体です。
割印専用として購入するなら、チタンが耐久性が高く、陰影がキレイに出て最適でしょう。
印鑑の素材には、以下のようなものがあります。
印鑑の最高級素材といえば象牙ですが、近年は、宇宙開発素材としても使われる「チタン」の人気が急上昇中です。
基本的に、割印でシヤチハタを使うことは認められません。
シヤチハタは、厳密には「スタンプ」で、朱肉よりも消えやすく印影がどれも同じで、印鑑証明用としての登録も認められていません。
シヤチハタしか持っていない人は、早急に「朱肉で押す印鑑」を購入し、印鑑証明まで取っておくと、ビジネスシーンで重宝します。
捺印マットは、陰影をキレイに出すための「下敷き」で、重要文書に押印する場合は使うことをおすすめします。
捺印マットは、材質・サイズの種類が豊富ですが、陰影をキレイに残したい場合は、厚さが4mm以上あるものを選びましょう。
印鑑の多くは、上下を判別するための「あたり」が付いており、印鑑の側面に凹凸があったら、それが上側に来るように持ちましょう。
その後片手でしっかりと紙を抑え、背筋を伸ばして印鑑を持ちます。肩甲骨が閉じてしまうと力が均等に伝わりにくくなるため、肩甲骨を開くことを意識しましょう。
印鑑の朱肉は軽く2~3回押し当て、印鑑を書類にまたがって乗せたら、「の」の字を描くように力を込めます。
強く押し当てたり何度も朱肉を付けたりすると、押印したときにズレ・にじみが生じやすくなるため、朱肉は適量を意識しましょう。
割印はあくまでも文書の同一性・関連性を担保するもので、契約内容の効力とは無関係なため、割印がなくても契約は有効となります。
ただし、万が一契約について訴訟トラブルが発生した場合は、契約書に割印があった方が有利と言われています。
割印の押印に失敗した場合は、その横に改めて押せばOKで、「二重線で消して、その上から押印」等の処理は必要ありません。
失敗した印の上にもう一度押印することは、印影がブレて印鑑としての効力がなくなる可能性が高いのでやめましょう。
割印の押印の順序に関して、法律で決まりはありません。
左から「甲」「乙」「丙」と続くことが多く、マナー的に取引相手方を一番左、もしくは上にする企業も多いようですが、実際は決まっている訳ではありません。
印紙税法施行令5条及び印紙税基本通達65条によると、法人の場合は、「代表者かその代理人・使用人・その他の従業者の印章または署名によらなければならない」とあり、代表者以外の印でも割印が可能です。
印は、「通常印判といわれるもののほか、氏名、名称等を表示した日付印、役職名、名称等を表示した印」が可能で、比較的幅広い印が認められています。
割印不要の契約方法として、近年導入が進んでいる電子契約があります。
電子契約は、インターネット上で電子ファイルに電子署名やタイムスタンプを付与して法的効力のある契約を締結させるため、割印などの押印作業が不要です。
「脱ハンコ」ができるため、人件費、契約締結までの時間短縮、製本・収入印紙代などコスト削減ができます。
電子契約は、電子データ(PDF)に電子署名とタイムスタンプを付与することで、紙の契約書と同等の法的効力のある契約が締結できる契約方法です。
電子契約を締結するのに必要なのが、電子契約サービスで、導入することでオンライン上で契約の作成・共有・締結ができる便利なシステムです。
電子契約サービスの導入によって、以下のようなメリットを得ることができます。
電子契約サービスについて、料金、導入事例などまとめた資料もありますので、以下もご確認ください。
割印は、2部以上ある契約書や領収書・協議書などに押す印鑑です。
適切に割印された書類は証拠力が高く、万が一トラブルが発生したときも書類の内容に従ってスムーズに解決できるメリットがあります。
割印の意味や正しい押し方を知り、いざという時にスマートに対応できるようにしておきましょう。
画像出典元:PAKUTASO、Unsplash、Pixabay
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