親族や取引先からお中元が届いた時、相手にどうお礼を伝えたらよいか迷ったことはありませんか?
近頃は宅配を利用したお中元が多いため、無事に届いたことを伝えるためにも、お中元をいただいたら「お礼状」を送るのがおすすめです。
この記事では、お中元のお礼状のマナーや書き方、注意するポイントについて解説します。
ビジネス用の文例や、縦書き礼状の見本、迷いがちな季節の挨拶フレーズも豊富に紹介しますので、ぜひご参考ください。
このページの目次
お中元をいただいた際にだすお礼状には、いくつか気をつけなければならない点があります。
ここではお礼状を出す際に、特に注意したいマナーを2点ご紹介します。
個人でもビジネスでも、お中元が届いたら3日以内、遅くても1週間以内にはお礼状を出しましょう。
すぐに出せない場合は、取り急ぎ電話やメールで品物が届いたことを伝えておくのもおすすめです。
もし、お礼状を送る時期が遅れてしまった場合は、お詫びの言葉を添えて送れば問題ありません。
遅くなってしまったからといって何もしないのが一番失礼にあたるので、十分注意しましょう。
お礼状は、必ず手紙かはがきを使って送りましょう。
中でも最も丁寧な形式は「手書きの縦書きの手紙」とされているので、ビジネスでは縦書きの封書を使うようにしましょう。
また、上司や恩師といった目上の方へのお礼状も縦書きの形式で送るほうがいいでしょう。
親族や知人・友人などの場合は、はがきや横書きの手紙でも問題ありません。
なお、はがきでお礼状を出す場合は文面が他の人に見えてしまうため、差し障りのない範囲の文章が好ましいとされています。
お礼状の基本構成は6つのまとまりでできており、一度覚えれば迷わず書けるでしょう。
基本構成はどのお礼状でも似ているため、様々な場面で使えるように身につけておくと便利です。
1. 頭語と結語
2. 時候の挨拶
3. 相手の健康を尋ねる
4. お中元へのお礼
5. 相手の健康を気遣う
6. 日付や差出人
頭語と結語とは、初めの挨拶と終わりの挨拶のことです。
頭語と結語は一対になっているため、バラバラの組み合わせで書かないように注意しましょう。
相手との関係性によって使う、一般的な頭語・結語の組み合わせは以下のとおりです。
ビジネスであれば「拝啓・敬具」を使用すれば問題ありません。
相手 | 頭語 | 結語 |
ビジネス全般 | 拝啓(はいけい) | 敬具(けいぐ) |
目上の方 | 謹啓(きんけい) | 謹言(きんげん) |
友人・親族 | 前略(ぜんりゃく) | 草々(そうそう) |
頭語と結語には、ほかにも組み合わせのパターンがあるので、別の言い方を使いたい!という方は、以下のリンクもご参考ください。
相手に合わせた頭語を選んで書いたら、次に季節を表現する時候の挨拶から書き出します。
季節によって時候の挨拶は異なり、同じ月の中でも書く時期によって変化があるので、お礼状を出す時期にあったものを選びましょう。
お中元シーズンである7月は「大暑の候・盛夏の候・猛暑の候」、8月は「晩夏の候・立秋の候・残暑の候」が一般的な時候の挨拶とされています。
またシンプルな「暑い日が続いておりますが…」も時候の挨拶の1つです。
時候の挨拶に続いて、相手の近況を尋ねる文言を書きましょう。
例えば「◯◯の候、ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます」のように書きます。
こちらは相手との関係性によって使い分けできると、より丁寧なお礼状が書けます。
後半の文例集で様々なパターンを載せているので気に入ったものを使ってみてください。
お中元が無事届いたこと、いただいたことに対して感謝の意を伝えましょう。
こちらの部分はさまざまな文例を参考にするより、自分の気持ちを素直に伝えたほうが喜ばれます。
また普段からお世話になっていることへの感謝も伝えると、より好印象に感じられるでしょう。
お礼を伝えられたら、相手の健康や息災を願う言葉で結びの挨拶とします。
結びの挨拶は季節を表すものと、1年間通して使うものがあるので、覚えておきましょう。
ビジネスシーンであれば「これから暑さが厳しくなる折、皆様のますますのご健勝と貴社のご繁栄をお祈り申しあげます。」といった激励の文言を加えるのもおすすめします。
頭語に合わせた結語の後に、お礼状を出した日付と差出人を書きます。
代筆の場合は、差出人の名前の後に、妻が代筆したのであれば「内」、妻以外は「代」と書きます。
書き加える位置は、縦書きであれば差出人の左下、横書きであれば差出人の後ろになります。
(例)令和〇年△月□日 夫の氏名
内
なお、親族や友人や面識のある取引先であれば妻が代筆をしても問題ありませんが、それ以外は自分で書くことをおすすめします。
また、会社同士のお中元に対してお礼を出す場合、代表取締役やその部署の部長などの名前でお礼を出しますが、これを部下や秘書が代筆するのは自明なので「代」を記載する必要はありません。
お礼状の基本構成を踏まえ、ここではビジネス・知人・身内へのお礼状の文例を3つずつ紹介します。
また、お中元を辞退する場合や、お礼状が遅れてしまった場合の例も記載するのでご参考ください。
ビジネスシーンでお中元のお礼状を出す場合は、相手企業との関係も踏まえた言葉遣いが必要です。また仲の良い担当者間でのやりとりであっても、砕けすぎないようにしましょう。
拝啓
盛夏の候、貴社はますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたびは結構なお品をお送りいただきまして、ありがとうございました。
ありがたく拝受しました。あらためて御礼申し上げます。
暑さ厳しき時折柄、皆様のご健勝と貴社の益々のご発展をお祈り申し上げますとともに、今後とも変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社 〇〇〇〇○○
代表取締役 鈴木一郎
拝啓
猛暑の候 貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、本日は結構なお中元のお品を賜り、誠にありがとうございました。
毎々のご配慮に恐縮するとともに、心よりお礼申し上げます。
平素はこちらこそお世話になっておりますのに 格別のご芳志のほど恐縮に存じます。
酷暑のみぎり 皆様くれぐれもご自愛のほどお祈りいたします。
まずは略儀ながら書面にてお礼申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社 〇〇〇〇○○
代表取締役 鈴木一郎
拝啓
時下ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
さて、このたびは心のこもったお品をお贈りいただき、誠にありがとうございました。
○○様には、日ごろ何かとお力添えをいただきまして、弊社としても非常に心強く思っております。今後とも、変わらぬご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
時節柄、くれぐれもご自愛くださいませ。
まずは略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社 〇〇〇〇○○
代表取締役 鈴木一郎
ビジネス相手への先ほどの文例を縦書きに記すと、以下のようになります。
頭語・結語の配置や、差出人の書き方の配置などご参考ください。
知人・友人へお礼状を送る場合は、硬くなりすぎない程度に丁寧な文言を選びましょう。
近頃は電話やLINEなどでお礼を伝えることが多くなったため、お礼状にすると新鮮で喜ばれるかもしれません。
拝啓
厳しい暑さが続いておりますが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、本日は心のこもったお中元のお品をいただき、誠にありがとうございました。
家族でおいしく頂き、幸せなひとときを過ごすことができました。
ご丁寧なお心遣いに感謝申し上げます。
まだまだ暑い日が続くようですので、どうぞご自愛ください。
略儀ながら書中にてお礼申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
拝啓
暑さ厳しき折 ◯◯様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。
おかげさまで私たちはいたって元気に過ごしております。
さて、本日はお心のこもったお品をいただき、本当にありがとうございました。いつもながら細やかなお心遣いに恐縮するばかりです。
暑さはまだまだ続くようです。皆様どうぞご自愛ください。
略儀ながら書中にてお礼申し上げます。ありがとうございました。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
拝啓
夕立を心待ちにしたくなるような猛暑の毎日が続いております。皆さまお変わりはありませんでしょうか。
おかげさまで、家族全員夏バテなどせず毎日元気に過ごしております。
このたびは、ご丁重なお中元の品をお送りくださいまして、誠にありがとうございます。アイスは子どもたちの大好物なので、覚えておいてくださり、本当にうれしかったです。さっそく、明日のおやつに家族全員でいただこうと思っております。
まだまだ厳しい暑さが続くと思いますが、熱中症などには十分気をつけてお過ごしください。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
両親や兄弟へ送るお礼状は、普段言葉では伝えられない感謝の気持ちを伝えてみるといいでしょう。
特に親しい間柄だからこそ、手書きのお礼状が嬉しく感じるかもしれません。
拝啓
暑さも本番を迎えたばかりですが、皆様お変わりございませんか。
本日は、結構なお中元の品をお届けいただき、誠にありがとうございました。
家族一同大喜びで、さっそく賞味させていただきました。
いつもながらのお心遣いに感謝いたしております。
まだまだ暑い日が続くようですので、どうぞご自愛ください。
略儀ながら書面にてお礼申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
拝啓
真夏日の暑い日が続いておりますが、皆さまお元気でいらっしゃいますか。私たちは、おかげさまで元気に過ごしております。
このたびは、結構なお心遣いのお品をいただきまして、本当にありがとうございました。
さっそくではありますが、初夏の慌ただしさも忘れるほどにおいしく頂きました。
いつもながら細やかなお気遣い、誠にありがとうございます。
今年の夏は例年にない暑さかと申します。くれぐれもご自愛くださいますよう、お祈り申し上げます。
取り急ぎ、暑中の挨拶とお礼まで。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
拝啓
皆さま、変わりなくお過ごしでしょうか。おかげさまで、家族一同元気に暮らしております。
さて、この度は美味しいシャーベットをお贈りいただき、ありがとうございました。
家族全員毎日、お風呂上りに美味しくいただくのを楽しみにしております。
暑さはこれからが本番です。皆さまどうぞご自愛くださいませ。
まずはお礼まで。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
今後も良好な関係を築きたい気持ちで送られるお中元ですが、場合によってはお断りしなければならないケースもあります。
お中元を辞退する場合は、いただいた厚意に対して感謝をした上でお断りの文言を入れるといいでしょう。
理由を伝えずに品物を返送したり、受け取りを拒否したりすることは大変失礼な行為にあたりますので注意してください。
また、品物を返送する場合は、届いた状態の上に包装を重ね、お断りの文言を添えて返送します。
拝啓
盛夏の候、ますますご清祥のことと心よりお喜び申し上げます。
日頃は何かとお世話になりまして、感謝申し上げます。
この度は、お心尽くしのお中元の品をお贈りいただき、ありがとうございます。
ご厚意を頂きながら心苦しいのですが、弊社では従来よりお取引先からのご贈答品はいただかないという規則がございます。誠に申し訳ございませんがお送りいただいた品をご返送させていただきます。
堅苦しいことを申しますようで、たいへん申し訳なく心苦しい限りでございますが、どうかお気を悪くなさいませんよう、なにとぞご理解のほどお願い申し上げます。
はなはだ不躾ではありますが、書中にて恵贈品ご返送のご連絡と、お詫びを申し上げます 。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社 〇〇〇〇○○
代表取締役 鈴木一郎
拝啓
盛夏の候、ますますご清祥のことと心よりお喜び申し上げます。
この度は、お心尽くしのお中元の品をお贈りいただき、ありがとうございます。
ご厚意を頂きながら心苦しいのですが、弊社では従来からお取引先からのご贈答は全て辞退させていただくこととなっております。
なにとぞ、ご理解のほど宜しくお願いします。
いただきました品はお気持ちだけ頂戴しまして、はなはだ失礼とは存じますが、ご返送させていただきました。
今後はどうかお気遣いをなされませぬように、お願い申し上げます。
誠に勝手なことでありますが、どうかお気を悪くなさいませんよう、ご理解のほどお願い申し上げます。
どうぞ今後とも変わらぬお付き合いのほど、お願いいたします。
まずは、お礼かたがたお詫び申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社 〇〇〇〇○○
代表取締役 鈴木一郎
拝啓
暑さ厳しい折ではございますが、お健やかにお過ごしでしょうか。
私どもはおかげさまで元気に過ごしております。
さて、先日は心のこもった御中元の品をお送りいただき、本当にありがとうございました。日頃から何かとお心にかけていただきまして、温かなお心遣いに感謝申し上げます。
私どものほうこそ、日ごろご無沙汰ばかりで何のお役にも立てませんのに恐縮しております。どうか今後はこのようなお気遣いなさいませんように、お願い申し上げます。
猛暑のおり、どうかお体を大切になさってください。
略儀ながらお礼とお願いを申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
お礼状が遅れた場合は、お中元を受け取ったお礼を述べた文章のあとに、お礼状が遅れたことを詫びる文章を挿入しましょう。
その際、遅れた理由を長々と書かず、端的に遅れたことへの詫びを書くのが適切です。
拝啓
盛夏の候、ますますご清祥のことと心よりお喜び申し上げます。
日頃は何かとお世話になりまして、感謝申し上げます。
この度は、お心尽くしのお中元の品をお贈りいただき、ありがとうございます。
本来であれば早急にお礼を申し上げるところ、遅くなりまして大変申し訳ございません。
暑さ厳しき折からくれぐれもご自愛くださいますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中にて御礼申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
株式会社 〇〇〇〇○○
代表取締役 鈴木一郎
拝啓
暑さ厳しい折ではございますが、お健やかにお過ごしでしょうか。
私どもはおかげさまで元気に過ごしております。
さて、先日は心のこもった御中元の品をお送りいただき、本当にありがとうございました。
すぐにでもお礼申し上げるべきところ、忙しさにかまけて遅くなり申し訳ございません。
猛暑のおり、どうかお体を大切になさってください。
略儀ながらお礼とお願いを申し上げます。
敬具
令和〇年〇月〇日
鈴木一郎
お礼状のはじめと終わりで使う頭語と結語のパターンと、お中元シーズンの7~8月に使える時候の挨拶、さらに結びの挨拶におすすめのフレーズをまとめてみました。
挨拶に迷った時は、ぜひ活用してみてください。
相手との関係性によって使用すべき、頭語と結語のパターンは以下のとおりです。
一般的には太字の頭語・結語が使用されていることが多く、ビジネスであれば「拝啓・敬具」を使用すれば問題ないでしょう。
目上の方への「謹啓・謹言」などは、謹んで申し上げます、(相手を敬って)申し上げましたという意味です。
また、女性が差出人の場合のみ使用できる頭語・結語もありますが、ビジネスシーンではあまり使われていません。
相手 | 頭語 | 結語 |
ビジネス全般 | ・拝啓(はいけい) ・拝呈(はいてい) ・啓上(けいじょう) |
・敬具(けいぐ) ・敬白(けいはく) ・拝具(はいぐ) |
目上の方 | ・謹啓(きんけい) ・謹呈(きんてい) ・恭啓(きょうけい) ・謹んで申し上げます(※) |
・謹言(きんげん) ・謹白(きんぱく) ・敬白(けいはく) ・かしこ(※) |
友人・親族 | ・前略(ぜんりゃく) ・冠省(かんしょう) ・前文お許しください ・前略失礼いたします ・前略ごめんください(※) |
・草々(そうそう) ・不一(ふいつ) ・かしこ(※) |
(※)女性が差出人の場合
7月 |
|
8月 |
|
7月 |
|
8月 |
|
お中元のお礼状は今後の付き合いをより良好なものにするためにも、できるだけ丁寧に書くことをおすすめします。
今までお礼状を出したことがなかった方も、ご紹介したポイントを押さえたお礼状を出せば好印象を持ってもらえるかもしれません。
ぜひ文例のアイディアを参考に、筆をとってみてはいかがでしょうか。
画像出典元:写真AC、pixabay
【時候の挨拶9月編】上中下旬のビジネスからカジュアルまでの例文集
体調を気遣うメールの例文集!上司・ビジネスに使える言葉と返信例
【例文付き】8月上旬~下旬に使える時候の挨拶をビジネス・カジュアル別に紹介
【例文あり】暑中見舞い・残暑見舞いの書き方|送る時期やマナーも解説
【例文付き】7月上旬~下旬に使える時候の挨拶をビジネス・カジュアル別に紹介
【6月時候の挨拶】上旬〜下旬の書き出しをビジネス・カジュアル別に例文付きで紹介!
【例文アリ】部署異動のメール・スピーチを作成するポイントを簡単に紹介!
【例文付き】11月の時候の挨拶|ビジネスとカジュアルで使える!好感度UPの秘訣も
お歳暮のお礼状の書き方|ビジネスでも使えるシーン別文例まとめ
「ご担当者様」の正しい使い方!封筒やメールの例文・3つの英語表現