TOP > 経営 > 保険 > 【完全マニュアル】社会保険の加入条件・手続き・必要書類
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起業準備の際に、ぜひ一緒に考えていきたいのが、「社会保険」の加入について。
というのも、近年では社会保険の加入条件を満たしているにも関わらず、未加入の企業が増加し、国もその取り締まりを強化しているのです。そして、取り締まりを受けた企業は、法に基づく罰則を受けることに…。
せっかく起業をしても、法を守れないブラックな企業を運営したくはないですよね?
だからこそ、社会保険の加入条件・手続き・必要書類をしっかりと確認しておきましょう。
このページの目次
まず社会保険という総称には、以下の5種類の保険制度が含まれています。
(※ 厚生年金は20歳以上、介護保険は40歳以上が加入対象)
そのうち、健康保険と年金は、日本国民全員に加入の義務があります。
そのため、たとえ社会保険に加入していなくても、国民健康保険・国民年金保険に加入することとなるのです。
ではそれを前提に、社会保険に加入するしないのと違いは、一体どのようなものなのでしょうか?
それぞれの加入条件からその違いを解明していきましょう。
上の表から分かるように、日常のうち一定時間、会社に属して働いている労働者の場合は、社会保険の加入義務があると言えますね。
では、ここでいう「一定時間」とはどの程度のものなのか、ご説明していきましょう。
社会保険のうち、健康保険・厚生年金・介護保険の加入条件となる「一定時間」とは、週30時間以上を指します。
また平成28年10月から法が改正され、従業員501名以上の会社に属する場合、週20時間以上の勤務で社会保険の加入対象者に該当することとなりました。
そのため、フルタイムで勤務している正社員はもちろん、週の勤務日数・勤務時間が正社員の 3 /4 以上となるアルバイトやパート社員も、社会保険の加入対象者となるのです。
ただし、社会保険は会社との雇用関係により加入義務が発生するため、「業務委託契約」を結んでいる場合には、たとえ正社員と同等の時間勤務していたとしても、加入条件の適用とはなりません。
一方、代表取締役などの役員は、雇用契約は結んでいない上に、必ずしも週30時間以上勤務しているとは限りません。
しかし、会社の売り上げに一定時間貢献し、役員報酬をもらっている場合には、社会保険(健康保険・厚生年金・介護保険)の加入対象者となります。
なお、一人会社であっても基本的には社会保険加入は必須です。それについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ただし社会保険のうち、「労災保険」と「雇用保険」については、役員が加入対象外となる可能性があります。その点について、より詳しく見ていきましょう。
そもそも労災保険・雇用保険の加入対象者は、以下の通りです。
そう、いずれも加入対象者は労働者なのです。
この点において、厚生労働省が定める定義によると、会社を運営する権利を持つ代表取締役や、業務執行の権利を持つ役員は、これらの保険の加入条件を満たす「労働者」としては認められないとされています。
そのため業務を執行するのではなく、会社の指揮命令を受けて、業務をしている役員の場合には、労働者として認められ、労災保険や雇用保険の加入対象となる場合もあります。
これらのポイントをまとめると、役員の労災保険・雇用保険の加入については、以下のように整理することができます。
経営に関わる業務執行が中心の役員:労働者ではないので、労災・雇用保険は加入不可
業務を実際にしている役員:労働者なので、労災・雇用保険が加入できる可能性あり
実際の業務において、経営をしているのか、労働をしているのかで判断することとなります。
社会保険の加入条件は、いずれも法で定められたものです。そのため、これらの加入条件を満たしている上で、会社が社会保険に未加入の場合、国の取り締まりを受ける可能性があります。
具体的には、以下のような罰則が定められています。
6ヶ月以下の懲役、もしくは50万円以下の罰金
もちろん、未加入であればすぐに罰則というものでもありません。勧告→催告→執行というように、段階を踏むものと考えられますが、だからといって後回しにするのはおすすめしません。
社会保険において、従業員に対する不適切な対応があったとあれば、会社の信用を大きく落とすことになります。
採用で苦労するのはもちろん、取引先を失うことにもなりかねません。
また近年では、厚生労働省も、社会保険の未加入に対し、より一層目を光らせています。社会保険未加入の企業への逆風はより一層強まっていくことでしょう。
例えば建設業の場合、社会保険未加入の企業に対し、建設業許可・更新を認めないよう、建設業法の改正が検討されています。
社会保険未加入のリスクは、得られるものに比べると大きすぎるのではないでしょうか。
社会保険の加入条件、加入義務、さらにはそれらを未加入にするリスクまでしっかりと知れたところで、
この5種類の社会保険の加入手続きの方法について、それぞれに詳しく見ていきましょう。
はまとめて手続きを行います。
■ 手続きの流れ
1. 会社設立後もしくは新規雇用後、必要書類をそろえる
2. 会社所在地を所轄する年金事務所を調べる
3. 会社設立5日以内(新規雇用5日以内)に年金事務所にて申請
■ 必要書類
※ 手元にない場合は、国税省・法人番号公表サイトで情報をコピー
【従業員を雇用した場合の追加書類】
[1と2の書類のダウンロード]日本年金機構
■ 提出場所
会社所在地を所轄する年金事務所(日本年金機構)
■ 手続きの流れ
1. 新規雇用後、必要書類をそろえる
2. 会社所在地を管轄する労働基準監督署を調べる
3. 新規雇用の翌日から10日以内に、労働基準監督署にて申請
■ 提出場所
会社所在地を管轄する労働基準監督署
■ 手続きの流れ
1. 新規雇用後、必要書類をそろえる
2. 会社所在地を所轄する公共職業安定所(ハローワーク)を調べる
3. 新規雇用の翌日から10日以内に、ハローワークにて申請
■ 必要書類
[各種書類について詳しく]厚生労働省
■ 提出場所
会社所在地を所轄する公共職業安定所(ハローワーク)
社会に認められる企業になるためには、社会保険にしっかり加入し、法を守ったうえで、会社を運営していくことが重要です。
役員であっても、正社員であっても、さらにはアルバイトやパートであっても、適正な対応をすることはとても大切です。
だからこそ、社会保険の加入条件をしっかりと理解し、必要書類をきちんと用意した上で正しい手続きを行いましょう。
画像出典元:Pixabay