マイナンバーは高度の個人情報であり、事業者は適切に管理しなければいけません。
特に注意すべきは廃棄時とデータの削除時です。
そこで重要なのが、政府のマイナンバーのガイドラインを遵守し、廃棄と削除をすることです。
ガイドラインを遵守することでマイナンバーを適切に管理することができ、漏えいのリスクを大きく下げることができます。
今回はマイナンバーの廃棄と削除方法とガイドラインの保管体制を確認していきます。
このページの目次
マイナンバーのガイドラインとは企業のマイナンバーの運用にあたる指針のことをいいます。
個人情報を利用するメリットに配慮しつつも、個人の権利や利益を保護し、適切なマイナンバーの取り扱いを確保することが目的です。
事業者はマイナンバーのガイドラインに従ってマイナンバーを取り扱いをしなければなりません。
具体的なマイナンバーのガイドラインについて確認していきましょう。
ガイドラインには大きく分けて4つのポイントがあります。
「取得」では社会保障や税金に関係するときにのみ、従業員などからマイナンバーの提供を求めることができること及び不必要なときにはマイナンバーの提供を求めることができないことが定められています。
「保管・廃棄」では社会保障及び税金でマイナンバーが必要な場合には継続して保管しなければならず、必要出なくなった場合は保存期間を経過後、速やかに破棄しなければいけないことが定められています。
「委託」ではマイナンバーの管理を委託する際には委託者はガイドラインに基づき、適切な管理をしなければならない点と再委託する際は必ず最初の委託者の承諾を得なければいけないということが定められています。
「安全管理措置」ではマイナンバーの漏えいや滅失などを防ぐために「組織的・人的・物理的・技術的」の4つの観点から必要な安全管理を講じる必要があることが定められています。
給与所得の源泉徴収票、退職所得の源泉徴収票、報酬・料金・契約金・賞金の支払調書、不動産の使用料・譲受対価・斡旋料等の支払調書、配当・剰余金の分配及び基金利息の支払調書
給与所得の給与支払報告書、退職所得の特別徴収票
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、従たる給与の扶養控除等(異動)申告書、退職所得受給に関する申告書、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
雇用保険被保険者資格取得(喪失)届、高年齢雇用継続給付支給申請書、育児休業給付金支給申請書、介護休業給付金支給申請書
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、健康保険被保険者(異動)届、国民年金第3号被保険者関係届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
社会保障や税金に必要な書類に関しては一通りマイナンバーを記載しなければなりません。
マイナンバー情報そのものは従業員の退職などで必要がなくなった場合は、速やかに廃棄します。
しかし、上記のマイナンバーを記載した書類は保管義務があります。
例えば、法定調書には保管義務はありませんが、法定調書の作成の元となった領収書などの書類は7年の保管義務があります。
扶養控除等申告書や退職所得受給に関する申告書等についても7年間の保管義務ががるので、適切に管理・保管しなければなりません。
そのため「マイナンバーを記載した書類を保管期間の確認」と「保管期間が過ぎたら確実に廃棄する」が重要です。
マイナンバーのガイドラインにおいて、最も重要視すべきことは安全管理措置の徹底です。
マイナンバーの漏えい・毀損は企業の信用度を大きく落とすことになりかねません。
取引先だけではなく、従業員からの信頼も大きく損ねるため、企業に与えるダメージは計り知れないものとなるでしょう。
安全管理措置を徹底し、マイナンバーを管理するというのは非常に重要なこととなります。
安全管理措置は下記の手順を踏んで、マイナンバーを安全に管理していきましょう。
マイナンバーを適正に取り扱うための方針を策定
マイナンバーの具体的な取扱いを明記した規定の策定
体制の整備や規定の運用等を組織的に実施
事務担当者の教育や監督の徹底
マイナンバーを管理する機器や区域の管理
アクセス制御や不正アクセスの防止など電子データを保護する
従業員の退職などで不必要になったマイナンバーは廃棄、削除します。
ガイドラインに沿った適切に廃棄・削除ができなれば、マイナンバーが漏えいする可能性があります。
マイナンバーガイドラインが推奨している廃棄と削除の方法は下記の通りです。
マイナンバーに関する書類を廃棄する場合は、焼却、溶解など復元不可能な手段を用いることが推奨されています。
シュレッダーによる廃棄の場合、紙切れから復元することができるため、推奨されていません。
必ず復元不可能な方法で破棄するようにしましょう。
マイナンバーのデータを削除する場合は専用のソフトウェアまたは物理的な破壊が推奨されています。
ゴミ箱を空にするという一般的なデータ削除方法では、一見削除されているように見えますが、実はソフトウェア等を利用することで容易に復元することができてしまいます。
漏えいの危険性があるので、絶対にやめましょう。
物理的な破損では費用がかかるので、データ削除専用のソフトウェアを活用することをおすすめします。
専用のソフトウェアを利用すると、データ復元不可能な状態にして削除することができます。
安全に廃棄や削除ができるので、データを破棄する際は専用のソフトウェアを利用しましょう。
ガイドラインでは時期がくると自動的にデータを廃棄するシステムの導入も推奨しています。
従業員が多くなると、マイナンバーの管理も大変になります。
そのため、破棄すべきデータが残ってしまった、完全に削除しきれてなかったなどの問題が起きることが予想されるでしょう。
マイナンバーからの管理時からシステムを活用すると、自動的にデータを破棄してくれるので、このような心配もありません。
マイナンバーの破棄はシステムを導入することも検討した方がよいでしょう。
マイナンバーは上述の通り、ガイドラインにおいて管理体制を徹底し、廃棄・削除まで厳密にしなければなりません。
ここまで管理体制を徹底しなければいけない理由は2つあります。
マイナンバーは高度な個人情報です。
マイナンバー単体で行政手続きを行うことができないため、悪用され実際に被害を受ける可能性は現在のところ低いです。
マイナンバーは今後銀行口座の紐づけ、健康保険証との紐づけなどが行われるため、高度の個人情報となってくることは間違いありません。
事業者のマイナンバーの管理はそれだけ重要になってくるということです。
マイナンバーの情報漏洩には罰則があります。
代表的な罰則としては下記があります。
マイナンバーの情報を漏えいした場合、罰則があり、重たい処分を受けなければなりません。
事業者はマイナンバーの廃棄と削除までを適切に行い、情報の管理を徹底する必要があります。
画像出典元:「MFクラウドマイナンバー」公式HP
マイナンバー管理に必要な機能がすべてそろっている「MFクラウドマイナンバー」。大手金融機関による出資のもと、情報全てを暗号化した厳重管理が行えます。
MFクラウドマイナンバーは、MFクラウド給与と連携されているため、源泉徴収票等の法定調書への印字が可能となっており、使い勝手の良いマイナンバー管理システムです。
・マイナンバーの取得と収集
・マイナンバーの利用と提供
・マイナンバーの保管と廃棄
企業の規模によって、「スモールビジネス」「ビジネス」の2つのプランから選択できます。
この料金プランは、「マネーフォワードクラウドマイナンバー」だけでなく、マネーフォワードが提供しているシステムを利用できます。
「マネーフォワードクラウドマイナンバー」の他に利用できるシステムは以下の通りです。
1ヵ月間、ビジネスプランが無料で試せるので迷っている場合は、一度利用してみるといいでしょう。
30万事業所が利用している「人事労務freee」。会社の規模やフェーズに合わせた利用が可能で、少人数から大人数まで、起業初期から大企業まで対応しています。
クラウド上ですべての作業を完結させられるため、物理的なリスクを軽減可能。メールだけでなく電話やチャットといったサポート体制も充実しています。
・スムーズな収集
・安全な保管
・確実な利用
の4つのプランが用意されています。
ミニマムプランの場合、3人までは1人あたり660円、4人目以降は1人あたり300円で利用できます。
画像出典元:「SmartHR」公式HP
毎月1,000社以上が導入しているという「SmartHR」。従業員が直接情報を入力するため、煩雑な書類業務から解放されます。
勤務管理サービスや採用管理システム、チャットサービスなどの各種システムとの連携が豊富で充実。自社に合わせた使い方ができると、様々な企業が導入しているマイナンバー管理システムです。
・入退社手続き
・ペーパーレス年末調整
・Web給与明細
・雇用契約
・各種労務手続きや電子申請
・ラクラク分析レポート
<¥0プラン>
・従業員数30名まで
・印刷代行やチャットサポートなど利用不可機能あり
<スモールプラン>
・従業員数50名まで
<スタンダードプラン>
・従業員数51名以上
<プロフェッショナルプラン>
・今後提供予定
詳細はお問い合わせが必要です。
画像出典元:「オフィスステーション マイナンバー」公式HP
「オフィスステーション マイナンバー」は、厳重なセキュリティのもとで従業員のマイナンバーを管理できるツールです。
サイト改ざん防止システムの導入や通信データの暗号化など、金融機関並みのセキュリティを誇ります。
月額費用も規定の人数幅であれば一定のため、毎月のコストを気にせず企業規模に合わせて導入できるのが魅力です。
初回契約時のみ、登録料は110,000円(税込)がかかります。
月額料金は、利用する従業員数によって変動し、各従業員数の範囲内であれば、表中の料金しか発生しません。
従業員数 | 〜100名 | 101〜200名 | 201〜300名 |
登録料(税込) | 110,000円 | ||
月額利用料(税込) | 3,300円 | 4,400円 | 5,500円 |
※300名超の場合は、100名ごとに1,100円(税込)追加となります
今回はマイナンバーのガイドラインや削除と廃棄の方法について解説してきました。
ポイントは下記の通りです。
マイナンバーは管理だけでなく、廃棄や削除が重要です。
ぜひ本記事や政府のガイドラインを参考に、適切な破棄、削除を実施してみてください。
画像出典元:O-DAN