5年以上前に始まったマイナンバーですが、近年より重大さが増してきています。
導入当初は口座と紐づけるなど税金との関連が目立っていましたが、現在では様々な申請にマイナンバーが必要になっています。
今回の記事では会社が従業員からマイナンバーを収集する方法を解説します。
また、収集したマイナンバーの管理・廃棄についてもご紹介します。
この記事を読んでいただければ、マイナンバーの収集方法を把握することができます。
このページの目次
マイナンバーの具体的な収集方法をご紹介する前に、まずこの章では基本的な内容をご紹介いたします。
会社がマイナンバーを収集する主な理由は、税や社会保険の手続きに必要だからです。
給与から天引きする税金計算に必要なのはもちろん、健康保険や厚生年金、雇用保険など多岐にわたってマイナンバーが必要となっています。
会社にマイナンバーを求められた場合、従業員は提出する必要があります。
会社がマイナンバーを預かる理由は各種手続きに必要なためです。
前項でご紹介したとおり、会社がマイナンバーを利用する理由は、源泉徴収や社会保障関係に申請するためです。
社会保険や納税以外で会社が従業員のマイナンバーを利用する事は、マイナンバー法第9条で禁止されているため、立派な犯罪となります。
マイナンバーは高度な個人情報です。
マイナンバーを預かる企業側には管理義務が発生します。
マイナンバーの取り扱いに関しては、マイナンバー法第12条等に明記されています。
基本的に必要がなくなった場合(従業員が退社など)は、マイナンバー情報の即廃棄・削除を原則としています。
しかし、マイナンバーを記載した保険や納税関連の書類は一定期間の所持・保存を義務付けられているものがあります。
マイナンバーが明記されている書類には、会社側に管理義務が発生します。
前章では会社側がなぜマイナンバーを必要とするのか、また管理義務の有無について解説いたしました。
この章では会社がどのようにして、マイナンバーを収集していけば良いのかをご紹介します。
マイナンバーを収集する前に、まず管理の方針を策定します。
大事な個人情報を扱うことになるので、組織としてマイナンバーをどう扱うのかを決めましょう。
マイナンバーは会社内で収集・利用・保存・提供・削除・廃棄のフェーズを経ることになります。
フェーズごとに取扱方法や責任者を定めましょう。
担当者の明確化は政府が発行する「ガイドライン」にも記載があります。
社内の整備をすると同時に、マイナンバーを提出してもらう従業員に対して、利用目的を説明しましょう。
利用目的の公表と通知は個人情報保護法第18条に基づくものなので、必ず行ってください。
具体的な例としては「源泉徴収票作成事務」「健康保険・厚生年金保険届出事務」「労働保険届出事務」にのみ利用し、それ以外の利用はしない旨を伝えます。
会社は、マイナンバーを従業員から収集する時に方針の策定と利用目的を通知しましょう。
組織としてマイナンバーの受け取る体制が整ったところで、実際にマイナンバーを受け取りましょう。
一般的な収集方法は主に3つになります。
1つ目は、紙媒体での回収です。
従業員にマイナンバー通知書やマイナンバーカードをコピーして、提出してもらいます。
2つ目は、メールでの回収です。
スマートフォンのカメラ機能を使って、マイナンバー通知書やマイナンバーカードを撮影してもらい、提出してもらいます。
3つは従業員自身にシステムに入力してもらう方法です。
現在市場に普及している労務管理システムは、ほとんどがマイナンバー管理に対応しています。
そのシステムへ従業員自身でマイナンバーを入力してもらいます。
1~3のいずれもマイナンバーのデータが会社側に渡るので、取扱と管理には十分に気を配る必要があります。
マイナンバーを収集するとともに、必ず本人確認も行いましょう。
マイナンバー法第16条にも規定されているので、必ず実施してください。
マイナンバーカードを提出してもらった場合には、本人確認と番号の確認が同時に行えるので確認の手間を省くことができます。
マイナンバーカード以外(マイナンバー通知書や住民票の写し)での提出には、本人確認が必要になります。
本人確認用の書類は不要
運転免許証やパスポートなど本人と確認できる書類が必要
前章ではマイナンバーの収集法について解説いたしました。
この章では収集したマイナンバーに対する管理・廃棄についてご紹介いたします。
マイナンバー情報は、マイナンバー法第19条に規定された場合を除き、保管そのものが禁止です。
一定期間の保存が義務付けられている書類を除き、原則として即廃棄・即削除となっています。
例えば従業員のデータを管理するために、マイナンバーを使い続けることは違反行為となります。
繰り返しになりますが、マイナンバー法第19条に規定された場合を除き、マイナンバーを保管してはいけません。
保存義務のある書類にマイナンバーが記載されている場合は、マイナンバー法第12条等に基づき、安全に管理する義務が会社に発生します。
書類が紙ベースの場合には、鍵のついたキャビネットや金庫に保存するなど物理的に安全な場所で管理しましょう。
データの場合には、電子機器自体の持ち出し禁止や情報漏洩が発生しないようにセキュリティソフトを導入します。
またシステムへのアクセスログを取得するなど、監視体制もキチンと構築しましょう。
マイナンバーが記載された書類の保存期間が過ぎた場合、廃棄・削除が求められます。
廃棄・削除方法は具体的に「焼却・溶解」や「ソフトによるデータ削除」「ハードディスクの物理的破壊」となります。
大事なポイントは復元が不可能な状態まで処分を行うことです。
個人情報の漏洩は会社のイメージダウンにつながりますので、しっかりと対処しましょう。
画像出典元:「MFクラウドマイナンバー」公式HP
マイナンバー管理に必要な機能がすべてそろっている「MFクラウドマイナンバー」。大手金融機関による出資のもと、情報全てを暗号化した厳重管理が行えます。
MFクラウドマイナンバーは、MFクラウド給与と連携されているため、源泉徴収票等の法定調書への印字が可能となっており、使い勝手の良いマイナンバー管理システムです。
・マイナンバーの取得と収集
・マイナンバーの利用と提供
・マイナンバーの保管と廃棄
企業の規模によって、「スモールビジネス」「ビジネス」の2つのプランから選択できます。
この料金プランは、「マネーフォワードクラウドマイナンバー」だけでなく、マネーフォワードが提供しているシステムを利用できます。
「マネーフォワードクラウドマイナンバー」の他に利用できるシステムは以下の通りです。
1ヵ月間、ビジネスプランが無料で試せるので迷っている場合は、一度利用してみるといいでしょう。
30万事業所が利用している「人事労務freee」。会社の規模やフェーズに合わせた利用が可能で、少人数から大人数まで、起業初期から大企業まで対応しています。
クラウド上ですべての作業を完結させられるため、物理的なリスクを軽減可能。メールだけでなく電話やチャットといったサポート体制も充実しています。
・スムーズな収集
・安全な保管
・確実な利用
の4つのプランが用意されています。
ミニマムプランの場合、3人までは1人あたり660円、4人目以降は1人あたり300円で利用できます。
画像出典元:「SmartHR」公式HP
毎月1,000社以上が導入しているという「SmartHR」。従業員が直接情報を入力するため、煩雑な書類業務から解放されます。
勤務管理サービスや採用管理システム、チャットサービスなどの各種システムとの連携が豊富で充実。自社に合わせた使い方ができると、様々な企業が導入しているマイナンバー管理システムです。
・入退社手続き
・ペーパーレス年末調整
・Web給与明細
・雇用契約
・各種労務手続きや電子申請
・ラクラク分析レポート
<¥0プラン>
・従業員数30名まで
・印刷代行やチャットサポートなど利用不可機能あり
<スモールプラン>
・従業員数50名まで
<スタンダードプラン>
・従業員数51名以上
<プロフェッショナルプラン>
・今後提供予定
詳細はお問い合わせが必要です。
画像出典元:「オフィスステーション マイナンバー」公式HP
「オフィスステーション マイナンバー」は、厳重なセキュリティのもとで従業員のマイナンバーを管理できるツールです。
サイト改ざん防止システムの導入や通信データの暗号化など、金融機関並みのセキュリティを誇ります。
月額費用も規定の人数幅であれば一定のため、毎月のコストを気にせず企業規模に合わせて導入できるのが魅力です。
初回契約時のみ、登録料は110,000円(税込)がかかります。
月額料金は、利用する従業員数によって変動し、各従業員数の範囲内であれば、表中の料金しか発生しません。
従業員数 | 〜100名 | 101〜200名 | 201〜300名 |
登録料(税込) | 110,000円 | ||
月額利用料(税込) | 3,300円 | 4,400円 | 5,500円 |
※300名超の場合は、100名ごとに1,100円(税込)追加となります
今回はマイナンバーの収集方法についてご紹介をしました。
マイナンバーの収集をいきなりは行わず、マイナンバーに対する取扱を組織で定めましょう。
その上でマイナンバーを収集し、必要ならば本人確認も行います。
収集後のマイナンバーは特定のケースを除き、原則は廃棄となります。
この記事で、従業員のマイナンバーを収集に必要な管理体制を確認しましょう。
画像出典元:写真AC