この記事では、企業のマイナンバー管理について解説します。
企業がマイナンバーを管理する時は「取得」「保管」「廃棄」のルールの理解が必要です。
さらに、3つのルールの具体的なガイドライン「安全管理措置」を整備する必要があります。
高度な個人情報であるマイナンバーの管理には罰則があります。
企業がマイナンバーを管理する時の課題や負担をマイナンバー管理システムで解決できますので活用してきましょう。
このページの目次
マイナンバーとは、国が個人に割り当てた12桁の個人番号の通称です。
企業が従業員からマイナンバーを預かる理由は、企業が行う労務管理手続きに必要だからです。
マイナンバー法では企業が従業員のマイナンバーを利用できるのは「納税」「社会保障」「災害対策」の分野と決められています。
マイナンバーの中には個人の納税や保険が記録されており、高度な個人情報のため預かる企業は徹底した管理体制が義務付けられています。
企業がマイナンバーを管理するポイントは4つです。
企業は従業員からマイナンバーを預かる時、従業員に使用目的を説明します。
従業員は企業へ下記を提出します。
1、マイナンバーカード
2、通知カードと身分証明
3、マイナンバー記載の住民票と身分証明
1から3のいずれかの書類を従業員から預かる事が法的に正しい「取得」となります。
例外として、小さい会社は従業員本人と担当者が直接目視で確認が取れれば上記の書類提出は不要です。
また、派遣社員のマイナンバー管理は派遣元に責任があるため、派遣先の企業は取得できません。
マイナンバーが記載された書類を保管・管理するエリアやデータベースの事を「管理区域」と言います。
また、マイナンバーを利用して書類を作成するエリアを「取扱区域」と呼びます。
会社の規模により管理区域や取り扱い区域の大きさや管理場所の数が変わりますが、入退室の管理や書類を扱った人の管理などの履歴を残すなど徹底した管理が企業には義務付けされています。
取扱区域でマイナンバー記載の書類を作成する場合は、他の人に見られないように注意が必要です。
従業員からマイナンバーを取得した時の書類は、従業員退社後は速やかに廃棄します。
ただし、マイナンバーを記載した保険や納税関連の書類は法律で保管期間が決められていますので、従業員が退社しても一定期間の保管が必要です。
帳簿書類等 | 7年間保存 |
給与所得者の扶養控除等申告書等 | 7年間保存 |
法定調書を作成する元となる書類(領収書など) | 7年間保存 |
マイナンバーの管理と取り扱いに関しては「マイナンバーガイドライン」を順守します。
マイナンバーガイドラインでは、マイナンバーの管理に関して「基本方針」や「取扱規定」などを厳格に定める必要性が記載されています。
従業員100名以下の企業は、安全管理措置に関してルールが緩和されています。
しかし、マイナンバーという従業員の高度な個人情報を管理するために管理体制の整備は企業にとっては必須です。
安全管理措置とは、マイナンバーガイドラインが提案しているマイナンバー管理の体制の注意点をまとめた項目の名称です。
安全管理措置は下記の4つの措置に基づいて実施する必要があります。
組織的安全管理措置とはマイナンバーを管理するための役割や責任、仕事内容を明確化することです。
組織的安全管理措置のポイントは下記のとおりです。
マイナンバー管理に対する組織的な管理を行うことで、情報漏えいのリスクが低くなる他、管理の効率化を図ることができます。
人的安全管理措置とは従業員のマイナンバー管理の意識を高めることです。
人的安全管理措置のポイントは下記のとおりです。
人的安全管理措置を行うことで、従業員の意識が向上し、ヒューマンエラーによるマイナンバーの流出や紛失を避けることができます。
物理的安全管理措置とはマイナンバーを管理するデータやパソコンを守ることです。
物理的安全管理措置のポイントは下記のとおりです。
物理的安全管理措置により、パソコンや書類の管理を徹底し、マイナンバーの流出を防ぎます。
技術的安全管理措置とはマイナンバーに関する情報に対するアクセスを限定的にして、不正なアクセスを防止することをいいます。
技術的安全管理措置のポイントは下記のとおりです。
マイナンバーへのアクセスを限定的にすることで、情報の保護と情報流出防止をします。
マイナンバーの漏えいには最大4年の懲役が課せられます。
懲役になる罰則になるケースは主に下記のとおりです。
罰則事例 | 罰則内容 |
故意に従業員のマイナンバーを第三者に漏洩させる | ・懲役4年以下 ・200万円以下の罰金 ・もしくは、上記を併科 |
不当な方法で従業員のマイナンバーを取得する | ・懲役2年以下 ・100万円以下の罰金 |
職権を乱用して、従業員のマイナンバーを取得する | ・懲役6月以下 ・50万円以下の罰金 |
このようにマイナンバーを適切に管理しなければ、重たい罰則があります。
企業が従業員のマイナンバーを管理する重要性を理解することが必須です。
マイナンバー法は今後も法改正が予想されます。
マイナンバー法は近年デジタル化の流れにのっとり、健康保険証との一体化や預金口座の紐づけなどあらゆる改正が進んでいくでしょう。
法改正に基づき、企業は担当者の知識の向上や就業規則の整備などしなければいけず、負担も大きくなっていきます。
法改正に対して迅速に対応することは今後企業の課題となってくるでしょう。
企業がマイナンバー管理で重要な事は「管理体制の整備」と「管理に関する人材の育成」です。
この2つがマイナンバー管理体制の順守には必須です。
マイナンバー記載書類は長期間の保存が必要な書類も多く、管理を「人材」と「体制」に頼る事はリスクと限界があります。
そこで、マイナンバー管理を効率的に運用できる「マイナンバー管理システム」というのが注目されています。
画像出典元:「MFクラウドマイナンバー」公式HP
マイナンバー管理に必要な機能がすべてそろっている「MFクラウドマイナンバー」。大手金融機関による出資のもと、情報全てを暗号化した厳重管理が行えます。
MFクラウドマイナンバーは、MFクラウド給与と連携されているため、源泉徴収票等の法定調書への印字が可能となっており、使い勝手の良いマイナンバー管理システムです。
・マイナンバーの取得と収集
・マイナンバーの利用と提供
・マイナンバーの保管と廃棄
企業の規模によって、「スモールビジネス」「ビジネス」の2つのプランから選択できます。
この料金プランは、「マネーフォワードクラウドマイナンバー」だけでなく、マネーフォワードが提供しているシステムを利用できます。
「マネーフォワードクラウドマイナンバー」の他に利用できるシステムは以下の通りです。
1ヵ月間、ビジネスプランが無料で試せるので迷っている場合は、一度利用してみるといいでしょう。
30万事業所が利用している「人事労務freee」。会社の規模やフェーズに合わせた利用が可能で、少人数から大人数まで、起業初期から大企業まで対応しています。
クラウド上ですべての作業を完結させられるため、物理的なリスクを軽減可能。メールだけでなく電話やチャットといったサポート体制も充実しています。
・スムーズな収集
・安全な保管
・確実な利用
の4つのプランが用意されています。
ミニマムプランの場合、3人までは1人あたり660円、4人目以降は1人あたり300円で利用できます。
画像出典元:「SmartHR」公式HP
毎月1,000社以上が導入しているという「SmartHR」。従業員が直接情報を入力するため、煩雑な書類業務から解放されます。
勤務管理サービスや採用管理システム、チャットサービスなどの各種システムとの連携が豊富で充実。自社に合わせた使い方ができると、様々な企業が導入しているマイナンバー管理システムです。
・入退社手続き
・ペーパーレス年末調整
・Web給与明細
・雇用契約
・各種労務手続きや電子申請
・ラクラク分析レポート
<¥0プラン>
・従業員数30名まで
・印刷代行やチャットサポートなど利用不可機能あり
<スモールプラン>
・従業員数50名まで
<スタンダードプラン>
・従業員数51名以上
<プロフェッショナルプラン>
・今後提供予定
詳細はお問い合わせが必要です。
画像出典元:「オフィスステーション マイナンバー」公式HP
「オフィスステーション マイナンバー」は、厳重なセキュリティのもとで従業員のマイナンバーを管理できるツールです。
サイト改ざん防止システムの導入や通信データの暗号化など、金融機関並みのセキュリティを誇ります。
月額費用も規定の人数幅であれば一定のため、毎月のコストを気にせず企業規模に合わせて導入できるのが魅力です。
初回契約時のみ、登録料は110,000円(税込)がかかります。
月額料金は、利用する従業員数によって変動し、各従業員数の範囲内であれば、表中の料金しか発生しません。
従業員数 | 〜100名 | 101〜200名 | 201〜300名 |
登録料(税込) | 110,000円 | ||
月額利用料(税込) | 3,300円 | 4,400円 | 5,500円 |
※300名超の場合は、100名ごとに1,100円(税込)追加となります
今回はマイナンバー管理の流れや課題、効率的な管理方法について解説してきました。
ポイントは下記のとおりです。
マイナンバー管理システムを導入し、効率化させていきましょう。
画像出典元:O-DAN