勤怠管理の目的と法律を解説!課題と勤怠管理システムのメリットは?

勤怠管理の目的と法律を解説!課題と勤怠管理システムのメリットは?

記事更新日: 2020/11/17

執筆: 編集部

この記事は、勤怠管理の目的を法的な観点を含めて説明しています。

勤怠管理は働き方改革や法改正で「労働時間の把握」には罰則が伴う義務です。

勤怠管理をする上での必要な項目と記録方法を説明します。

多様な働き方やリモートなどが増え、従来の勤怠管理では対応が難しくなっています。

勤怠管理の目的を理解すると、勤怠管理システムを導入するメリットが見えてきます。

勤怠管理の目的

勤怠管理の目的は、会社が法令遵守と客観的な労働時間の管理をすることです。

会社が、労働者の勤怠管理することは、法令が定める義務です。

労働基準法をはじめ、労働関係に関する各種法律では、会社が労働者の勤務時間を客観的に把握すること、適正な給与支払いが行われていること、従業員の健康管理を適切に行うことを求めています。

勤怠管理の目的は、この3つを適切に行うために必要なものです。

目的1:勤務時間の把握

従業員の勤務時間の把握は、労働基準法に定められている会社側の義務です。

会社は、賃金台帳において、従業員の労働日数、労働時間数、休日労働時間数、時間外労働時間数、深夜労働時間数といった事項を適正に記入しなければならないこととなっています。

また、賃金台帳や「労働関係に関する重要な書類」については、5年間(2020年3月31日までの書類は3年)の保存義務を設けています。

労働関係に関する重要な書類には、始業・終業時刻を記録したものやタイムカード等の記録、残業命令書やその報告書、労働者自らが労働時間を記録した報告書のことです。

会社がこれらの書類を適正に記入し、記録しておくことは、法律が定める義務です。

会社が賃金台帳の記入を怠った場合や、故意に虚偽の労働時間を記入した場合は、30万円以下の罰金に処されます。

労働基準法

(賃金台帳)

第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

(記録の保存)

第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。

…(略)…

第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 …(略)…第百六条から第百九条までの規定に違反した者

引用:e-Gov 労働基準法

 

目的2:給与支払い

会社は、従業員の給与を適正に支払う必要があります。

従業員の給与を適正に計算するためには、従業員の勤務時間を正確に把握し、確認が必要です。

労働基準法では、時間外労働、休日労働、深夜労働においては、割増賃金を支払うように求めていますし、割増率も法令で細かく規定しています。

従業員の労働時間の正確な記録は法令が定める義務でもあるのですが、適正な給与を支払うためにも必要なものとなるのです。

労働基準法

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

…(略)…

4 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

5 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

引用:e-Gov 労働基準法

 

目的3:従業員の健康管理

会社は、従業員の健康管理について、適切に管理する責務があります。

2019年4月より働き方改革に関する各種法律が施行されました。

その1つに、企業に対し、働く人の健康を守る措置をとることを義務付けています。

働き方改革では、残業時間の上限規制、年5日の有給休暇の取得を義務付け、勤務間インターバル制の導入を促進しています。

また、フレックスタイム制の拡充、産業医・産業保健機能の強化など、働き過ぎを防ぎ、健康を守る措置を実現するための制度を充実させてきました。

会社は、従業員の健康を守ることはもちろん、労働時間を適正に把握し、過重な長時間労働が行われていないか、従業員の労働時間に問題がないかなど、労働時間管理上の問題点の把握、そして問題点があった場合は解消する措置を講ずべきことを義務付けています。

労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

(6)労働時間を管理する者の職務

 事業場において労務管理を行う部署の責任者は、当該事業場内における労働時間の適正な把握等労働時間管理の適正化に関する事項を管理し、労働時間管理上の問題点の把握及びその解消を図ること。

参考:厚生労働省|労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

 

勤怠管理の目的を満たす管理項目と記録方法

では、勤怠管理においては、どのような項目を管理するべきなのでしょうか。

法令で定められている項目、企業として把握、管理するべき項目とに分けて解説します。

法令に定められている項目と記録方法

勤怠管理は、労働基準法をはじめ、労働関係に関する各種法律により義務付けられているものです。

では、どのような項目が法令により定められているのでしょうか。

賃金台帳

賃金台帳は、労働基準法によって記入・保存が義務付けられている書類です。

賃金台帳には、次の項目の記載が必要です。

1. 労働日数

2. 労働時間数

3. 休日労働時間数

4. 早出残業時間数

5. 深夜労働時間数

6. 基本賃金

7. 所定時間外割増賃金

賃金台帳は、5年間(2020年3月31日までの書類は3年)保存することが義務付けられています。

 

タイムカード等

会社は、従業員の労働時間を適正に把握するために、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録しなければなりません。

始業・終業時刻の記録は、原則として次の方法により行います。

1. 使用者が現認することにより確認し、適正に記録する方法

2. タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録する方法

原則は上記2つの確認方法ですが、例外として自己申告による確認方法があります。

自己申告による確認方法には、厚生労働省が定めるガイドラインに従った措置を講ずる必要があります。

また、タイムカード等の始業・終業時刻の記録は、労働基準法が定める「労働関係に関する重要な書類」に該当し、5年間(2020年3月31日までの書類は3年)の保存が義務付けられています。

 

労働者名簿

労働者名簿は、労働基準法によって記入、保存が義務付けられている書類です。

労働者名簿も5年間(2020年3月31日までの書類は3年)の保存が義務付けられています。

労働基準法

(労働者名簿)

第百七条 使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。

2 前項の規定により記入すべき事項に変更があつた場合においては、遅滞なく訂正しなければならない。

引用:e-Gov 労働基準法

 

有給休暇の取得日数

働き方改革により、有給休暇の取得が義務付けられました。

これまでは、有給休暇は従業員の自己申告制でしたが、年次有給休暇が10日以上付与される労働者は、年5日の年次有給休暇を取得させることが会社の義務となりました。

これは法律上の義務ですから違反すると罰則もあります。

会社は、これまで以上に従業員の年次有給休暇の取得について把握しておく必要があります。

 

企業として把握・管理するべき項目

法令で義務付けられているわけではないけれど、企業が従業員の勤怠管理について把握・記録しておくべき項目には、どのようなものがあるのでしょうか。

勤務態度

遅刻や無断欠勤等があった場合、それらを把握しておくためには、記録をしている必要があります。

会社は就業規則で減給の制裁規定を定めている場合があります。

その対象に、遅刻や無断欠勤等の勤務態度が含まれている場合、これらのことを記録しておくことは重要です。

実際の減給処分にする場合も、勤怠記録があることで、証拠書類となります。

 

勤怠管理の目的を満たす対象範囲

では、勤怠管理の対象範囲は、どのようになっているのでしょうか。

対象者と対象事業者をみてみましょう。

対象者

勤怠管理をすべき対象者は、次の2つに該当する者を除くすべての労働者となります。

1. 労働基準法41条に定める者

2. みなし労働時間制が適用される労働者

この2つに該当する者だけが対象外となり、この2つを除くすべての労働者が勤怠管理の対象者となります。

対象者でない労働者でも会社は健康確保を図る必要があります。

労働者全てが勤怠管理の対象者と考えましょう。

労働基準法41条に定める者

労働基準法41条では、次の者について、労働時間等の規定の適用外としています。

次の事業に従事する者

  • 土地の耕作、開墾の事業
  • 植物の栽植、栽培、採取、伐採の事業
  • 農林の事業(林業を除く)
  • 動物の飼育、水産動植物の採捕、養殖の事業
  • 畜産、養蚕、水産の事業

監督または管理の地位にある者、機密の事務を取り扱う者

行政官庁の許可を受けたもの

労働基準法

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

別表第一

…(略)…

六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業

七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業

 

みなし労働時間制が適用される労働者

みなし労働時間制が適用される労働者とは、次の労働者が該当します。

1. 事業場外で労働する者であって、労働時間の算定が困難なもの

2. 専門業務型裁量労働制が適用される者

3. 企画業務型裁量労働制が適用される者

 

対象事業

対象となる事業所は、労働者を雇っているすべての事業所が対象となります。

労働者を雇っている場合、労働基準法の対象となり、勤怠管理の対象事業として法令が適用されます。

 

勤怠管理の課題

これまで、勤怠管理は、出勤簿やタイムカードを通して行われてきました。

ですが、近年この方法による勤怠管理の課題も浮かび上がってきています。

どのような課題があるのでしょうか。

課題1:勤務形態の多様化

働き方改革により、勤務形態の多様化が進んでいます。

同じ従業員でも正規雇用や非正規雇用、アルバイト、パート、無期雇用、有期雇用等、様々な形態が登場しています。

また、フレックスタイム制の導入や高度プロフェッショナル制度の導入など、勤務形態にも様々な形があります。

これら新しい時代にマッチした勤怠管理が求められていますが、従来の出勤簿やタイムカード形式では、多様な雇用形態、勤務形態に対応できていない一面もあります。

課題2:労働時間と有給休暇の把握義務化

働き方改革により、残業時間の上限規制が登場しました。

年次有給休暇の取得義務も新たに定められています。

これまでは、年次有給休暇の取得は、従業員の自己申告制でした。

法律により年5日の年次有給休暇の取得が使用者側に義務付けられました。

これらの規制は法律によるものですので、罰則規定もあります。

企業側としては法律違反にならないためにも、従業員の労働時間や有給休暇の取得について適切に把握しておく必要があります。

従来の出勤簿やタイムカード形式では、リアルタイムで労働時間の把握することは難しい一面があります。

過去の適切な記録はできますが、今後は、あらかじめ月ごとの上限を計算し、残業時間がオーバーしないように管理していく必要があります。

また、年次有給休暇の取得ができていない従業員には、適切に助言する必要もでてきます。

様々な法改正に対応し、法律に違反しない管理システムが求められているのです。

課題3:自己申告の承認が難しい

ガイドライン規定では、自己申告制の場合は労働時間と実際の労働時間が合致しているか実態調査をする必要があります。

従来の出勤簿等の方法では、実際の労働時間と申告された労働時間が適正であるかの判断をするのが難しいという課題があります。

 

勤怠管理システムのメリット

近年では、勤怠管理システムを導入する企業が増えてきました。

それには、勤怠管理をシステムで行うことによるメリットが大きいためです。

どのようなメリットがあるのでしょうか。

メリット1 多様化への対応

近年、様々な雇用形態、勤務形態が登場しています。

多様化した雇用、勤務形態に対応できるのが、勤怠管理システムの大きなメリットです。

様々な雇用形態に対応でき、それぞれの勤務形態による管理が可能となります。

勤務時間の計算から、基本給、割増賃金の計算等、すべてシステム上で行うことができ、間違いが生じません。

システムであれば、業種による慣習や業界の特性等も踏まえて、仕組みを作ることが可能ですので、自社にあったシステム仕様にすることが可能です。

管理の効率があがることで、生産性の向上につながります。

メリット2 法令への対応

労働関係の法律は、労働基準法をはじめ、各種法律が存在します。

法律を遵守しなければならないことはもちろんですが、違反してしまうと罰則規定もあります。

一番怖いのが知らず知らずのうちに法を犯していたという事態です。

勤怠管理システムであれば、最新の法令に対応した形になっていますので、違反する前に気づくことができます。

残業時間の上限規制や年次有給休暇の取得義務等、あらかじめ把握しておかなければ対応が難しい問題も、システムであれば、対応が可能です。

常にバージョンアップし、法令に対応できる形になっているのは、システム導入のメリットです。

メリット3 コスト削減

紙ベースでの勤怠管理では、様々なコストがかかってきます。

勤怠管理は、法律による保管義務がありますので、保管場所を確保する必要があります。

集計や計算等を人員で行う場合、人件費もかかります。

勤怠管理システムであれば、紙は必要ありませんし、保管場所も必要ありません。

計算もシステムが自動で行いますので、集計にかかる人件費も節約できます。

勤怠管理システムは先行投資

企業にとって勤怠管理はとても重要ですが、勤怠管理自体が売上を上げるわけではありません。

管理にかけるコストを削減することで、本来の売上に向けた資金や人員の投入、それによる効率化が可能となるのです。

勤怠管理システムを入れることで生産性の向上につながるということがやはり一番のメリットではないでしょうか。

 

まとめ

勤怠管理の目的について解説してきました。

勤怠管理は、法令に定められた会社の義務です。

法令に基づいた形で管理しておかないと、法律違反になり、罰則規定もあります。

勤怠管理では、どのような項目を管理しなければならないのか、またなぜ管理しなければならないのかをしっかりと理解していく必要があります。

また、近年では従来のタイムカード等による勤怠管理に課題も見えてきたため、勤怠管理システムを導入する企業も増えてきています。

多様な働き方への対応と法令順守なら勤怠管理システムの導入を検討しましょう。

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画像出典元:pixabay

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