エンジェル投資家とは、創業したてで実績のない企業にも出資してくれる個人投資家のことです。
その資金は返済不要という大きな特性があります。
資金調達に悩む起業家にとってまさに天使のような存在ですが、エンジェル投資家とは一体何者なのでしょうか。
本記事では、エンジェル投資家の特性から、探す方法&出資をしてもらうためのコツなどをご紹介します!
このページの目次
エンジェル投資家とは、創業して間もない企業へ出資する個人投資家のことを指します。
出資額は人によって違いますが、100万円〜1,000万円程度で、比較的小額であることが多いです。
エンジェル投資家からの出資には3つのメリットがあります。
エンジェル投資家から出資された資金はあくまで投資ということになるので、銀行などからの融資と違って返済義務がありません。
返済に伴う利子なども一切支払う必要がありません。
エンジェル投資家は、投資家である前に事業で成功を収めた一流起業家であることが多いです。
そのため、会社を経営していくうえでの知識や経験など、様々なノウハウを持ち合わせているので、助言や忠告など貴重なアドバイスをもらえることも多いです。
前述のとおり、エンジェル投資家は経営者としての実績がある人が多く、そうした方から出資を受けた場合、その投資家が持っているネットワークを活かして人脈を広げられる可能性があります。
起業家にとって天使のような存在であるエンジェル投資家ですが、そもそもなぜ出資してくれるのでしょうか?
もちろん理由は人によって異なるのですが、ここでは代表的な理由を紹介します。
もっとも分かりやすいエンジェル投資家の目的がこれです。
出資先の会社が成長することでその会社の株式の価値も大幅に上がるので、創業初期の出資で安く手に入れた株式を、会社が成長したあとに高く売却することで利益を得るのです。
元起業家のエンジェル投資家に多い理由が「起業家を応援したい」というものです。
自身が資金調達に苦労した経験があるからこそ、起業家を応援するのは自然なことだといえます。
このようなエンジェル投資家は、出資後も経営に関する相談に乗ってくれる場合が多いです。
のぞき見というと言い方は悪いかもしれませんが、出資をして一部経営に関わることで、リアルな経営の課題やその乗り越え方を学ぶことができます。
自分も起業家として活動しているエンジェル投資家の場合、そのような貴重な経験を100万円〜1,000万円でできるのならの安いと感じるようです。
これも元起業家のエンジェル投資家に多い理由です。
創業初期に投資した企業が成功し、今のGoogleやFacebook、日本で言えばメルカリのようになることで、業界に自分の名前を残すということが目的の投資家もいます。
メルカリに投資した松山 大河氏は、名を残す目的があったかどうか定かではありませんが、結果として注目される存在になったことは間違いありません。
山田 進太郎氏(メルカリ創業者)と六本木の交差点を歩いている最中に、その場で数千万円の投資を決めたのは有名な話です。
ここまで代表的な理由を4つほど挙げましたが、どれか一つの理由というより複数の理由で投資しているエンジェル投資家がほとんどです。
ただ理由が何であれ、必ずいえるのはエンジェル投資家は出資先の会社の成長を期待して投資しているということ。
そのため出資を受けた場合、エンジェル投資家の期待に応えて企業を成長させる義務が生じるということは覚えておきましょう。
※外部サイトのStartupListに飛びます
事業を行うにあたって、出資してもらうという意味ではエンジェル投資家もベンチャーキャピタルも同じですが、明確な違いがあります。
ベンチャーキャピタルは、株式公開を目指すような将来が期待される企業などに対し、会社の株式を取得して出資を行う投資会社で、出資する際は銀行などの金融機関と同じような厳しい審査があります。
一方エンジェル投資家の場合は、あくまで個人投資家となるので、ベンチャーキャピタルのような審査はないことがほとんどで、その投資家の一存で出資が決まります。
個人投資家であるエンジェル投資家は、出資する金額も低めで、一般的の出資額として100万~1,000万円程度とされています。
一方ベンチャーキャピタルの場合は、数億円・数十億円といった大きな額を出資することも可能です。
なお、ベンチャーキャピタルについては以下の記事で詳しく解説しています。
エンジェル投資家の探し方は、主に4つの方法があります。
ピッチコンテストとは、複数の起業家がアクセラレーターや投資家などの審査員に対して、事業のプレゼンテーションを行うイベントのことです。
エンジェル投資家がピッチコンテストの審査員をしている場合も多いので、ピッチコンテストでのアピールを通して出資が決まる可能性があります。
さらに、自分の会社の魅力をしっかりとアピールできた場合、記事などで取り上げてもらえるため会社の認知度の向上にも繋がります。
コンテストは、地方自治体が開催しているものから企業が開催しているもの、規模も大小それぞれあるので、挑戦してみるのも面白いのではないでしょうか?
マッチングサイトの一番のメリットは、多くの投資家の中から自分に合った投資家を見つけられることです。
ただし、マッチングサイトを使う場合は、実名制のマッチングサイトを使いましょう。実名制のマッチングサイトは安心材料が多く、料金も良心的なものが多いです。
マッチングサイトついてはこちらの章で紹介しています。
▼おすすめのマッチングサイト3選
交流会やイベントへの参加は、投資家にすぐに直接会えるという点ではメリットがあり、熱意をアピールできる場だと言えます。
しかし、実際に会える投資家はどうしても限られてしまうので、自分にマッチする投資家と会えるかはわかりません。
交流会やイベントは多く開催されているので、是非あなたに合うエンジェル投資家が登壇するイベントをインターネットやFacebookなどで探してみてください。
やや難易度が高いですが、エンジェル投資家として活動している起業家や経営者などにメールやTwitterのDMなどで直接連絡し、自分を売り込むといったやり方はエンジェル投資家を見つけるためのひとつの方法です。
まったくつてがない中で連絡しても可能性は低いため、知り合いの起業家や経営者に紹介してもらうのが理想的ではあります。
有名なエンジェル投資家についてはこちらの章で紹介しています。
▼有名なエンジェル投資家10名
「どのマッチングサイトを選べば良いのか分からない」といった方に、厳選した3つのサイトをご紹介します。
多忙を極める起業家の方々にとって、自社に最適な投資家を見つけ出し、比較・検討するのは大きな負担となります。
そこで、起業家が最小限の負担で資金調達を達成し、事業推進に注力するために生まれたサービスが「StartupList(スタートアップリスト)」です。
StartupListを利用すれば、VC、CVC、エンジェル投資家を含む投資家のリストを一覧で見ることが出来ます。
登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
Founder(ファウンダー)は、エンジェル投資家と起業家のマッチングサイトの中では日本最大級の登録数を誇ります。
そのため、起業家がより自身の事業に合ったエンジェル投資家を探しやすいといえます。
ANGEL PORT(エンジェル ポート)はフリマアプリ「Fril」の創業者である、堀井翔太さんが作ったマッチングサイトです。
投資家はエンジェル投資家のみとなっており、SNSのDMと同じような機能のため気軽に相談ができるのが特徴です。
エンジェル投資家と出会えたとしても、必ず出資してもらえるわけではありません。
では、どうすれば出資を受けやすくなるのでしょう。
出資を受けるためのコツを5つにまとめました。
プロダクトの完成度が高くても、市場規模が小さければそれだけ利益も少なく、投資家のリターンも期待外れのものになります。
事業がスケールするかどうかが、投資の価値があるかどうかに直結します。
良いプロダクトを生み出すためにはペルソナ(サービスや商品を利用する典型的なユーザ像)を正確に捉えられているかにかかっています。
ペルソナの設定がプロダクトとマッチしているかどうか、慎重に検証してみてください。
トラクションとは、スタートアップ企業の成長に必要な「牽引力(勢い)」のことです。
事業が思うように成長せず、失敗に終わったスタートアップについて「トラクションが足りなかった」などと言われることがあります。
成長の兆しを予期できる材料を準備しておきましょう。
投資を受ける際に事業計画書を提出することは必須です。が、そこに競合他社と比較した際の優位性は書かれていますか?
投資家が納得できる根拠や優位性をイメージしやすい図などを用意しておきましょう。
エンジェル投資家は最終的に起業家がどんな人物かを見極めようとします。
事実と異なる言動や、誠実さを欠いた対応をすると、どんなに魅力的な事業計画書を用意していても、信用を失い投資する価値がないと判断されるでしょう。
以上をふまえたうえで、これから始めようとしている事業を客観的に見直してみましょう。
エンジェル投資家に会う前に、なるべく沢山の人から様々な意見をもらうことも大切です。
そして、どんな意見も受け入れる素直さを忘れないようにしてくださいね。
※外部サイトのStartupListに飛びます
これから事業を始めようとしている起業家にとって、出資してくれるエンジェル投資家の存在は非常に心強いものがあります。
しかし、エンジェル投資家から出資を募る場合、注意しておくべきことも存在しますので、注意点をしっかり覚えておくようにしてください。
前項でも紹介したことですが、エンジェル投資家は出資してくれる他、経営などについてのアドバイスも無償で行ってくれることケースもあるなど、非常にありがたい存在です。
しかしながら、なかにはアドバイスの域を超え、自分の会社のように深く経営に関与してくるエンジェル投資家もいるので注意が必要です。
したがって、出資を募る場合はその投資家に関しても調べておくと良いでしょう。
なおエンジェル投資家のほとんどは第一線で活躍する人たちですので、評判などある程度のことは調べられるはずです。
“うまい話には裏がある”とは良く言ったもので、残念ながらエンジェル投資家を名乗って詐欺を働く人も存在します。
特にサイトを通じて投資家を探すマッチングサイトにおいては注意が必要で、サイトによっては管理がずさんなところも存在します。
そのため、マッチングサイトを利用してエンジェル投資家を探す際は、そのサイトの信用性に加えて、投資家のプロフィールなどもしっかりチェックする必要があります。
そもそもエンジェル投資家から出資を受けるというのは決して容易なことではありませんし、すぐに見つかるほど生易しいものでもありません。
もし言葉巧みに誘ってきた場合は、疑う気持ちも忘れないようにしてください。
なお以下の記事では、詐欺ではないですが、「起業で一攫千金」などという上手い話に乗ってしまい、多くの時間や労力を搾取された事例を紹介しています。
こちらもぜひ参考にしてください。
先ほども紹介したように、マッチングサイトへの投資家募集の掲載は、金融商品取引法における発行開示規制に該当するリスクがあります。
たとえ罰せられることになったとしても、マッチングサイトは責任を負ってくれません。
自分の身を守るためには、きちんと法律を理解して使用するか、あやしいマッチングサイトは利用を避けるようにしましょう。
最後に有名なエンジェル投資家を10名ご紹介します。
それぞれのSNSアカウントも載せていますので、まずはエンジェル投資家がどんな人物なのか、調べてみてはいかがでしょうか?
クラウドファンディング事業で有名な「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」気軽に始められるネットショップ「BASE(ベイス)」の創業者。
2018年には起業家に寄りそった「人生相談」込みのベンチャーキャピタル「NOW」を梶谷亮介氏と共に設立。
主な投資先はSNSやシェアリングエコノミーなど、個人の居場所をつくる事業に取り組む企業に限定している。
2008年に株式会社エウレカを設立。男女のマッチングを実現するアプリ「Pairs(ペアーズ)」が大ヒット。2015年に株式会社エウレカをニューヨークの企業へ売却し、その後エンジェル投資家としての活動を広げる。
年間10社を目安にスタートアップに投資を行う。
Seed段階の起業家を軸に投資をするベンチャーキャピタルのEast Ventures共同パートナー。
投資歴20年以上の敏腕投資家。
代表的な投資先は、今や誰もが知るニュースアプリ「Gunosy(グノシー)」やフリマアプリ「メルカリ」など。
ユニリーバ・ジャパンを経て、語学、音楽、スポーツの個人指導のコーチを見つける会社「コーチ・ユナイテッド」を創業。2013年に同社の全株式をクックパッドへ売却。
2015年には起業家による投資家集団「Tokyo Founders Fund」を設立し、これまでにない投資のしくみをつくることを目的とする。
年間15社ほどに投資を行う。
大学在学中に起業し、これまでに2社の上場に成功。現在はオークファン代表取締役社長。国内でのネットオークション利用者の40%近くが利用する企業へと成長させた。
主な投資先はIT・ネット・ソーシャルネットワーク系。
投資先を決めるポイントは「絶対に5年後も生き残って事業をやり切ってくれる人かどうか」。
日本を代表する IT企業「ディー・エヌ・エー(DeNA)」の共同創業者。
主な投資先はIT・ネット系ベンチャー企業が中心。
代表的な投資先はブログ事業でおなじみの「はてな」など。
https://twitter.com/shgk
バーコード比較アプリ「ショッピッ!」や、今や多くの人が使うタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車」「全国タクシー配車」などを世に配信した。
その後3つの会社を創業・売却。2016年に4社目の起業となるクラウドポートを創業。
投資先はヘルスケア、人工知能、SaaSなど自身の興味のあるジャンルをメインとする。
https://twitter.com/yoyoshibata
ドリームインキュベータに入社後、2007年に株式会社アトランティスを創業し、2011年に売却。2016年にはAnyPay株式会社を設立。
約40社のスタートアップに投資を行ってきた投資家。
1週間のうち1日は本を読む日にしたり、家族との時間を大切にするなど投資以外にも重点を置く。
メルカリの創業者であり、長者番付にも名を連ねる株式会社メルカリ代表取締役会長兼CEO。
代表的な投資先にはCAMPFIRE、スマートニュースなど。
ドイツ証券を経てグリー株式会社へ入社しCFOとして資金調達などに奔走。2017年に株式会社メルペイ代表取締役に就任。
※外部サイトのStartupListに飛びます
起業家にとって、エンジェル投資家は心強いパートナーとなり、事業拡大の手助けをしてくれることでしょう。
特性を理解したうえで、事業を応援してくれそうなエンジェル投資家を探してみてください。
情熱を持ってアプローチすればエンジェル投資家の心を掴めるかもしれません。
資金調達の方法はエンジェル投資以外にもありますので、広い視野をもって自身にぴったりの方法を探してみましょう。
自社に合ったVC・投資家を効率的に見つけませんか?
起業ログを運営するプロトスター会社は、起業家が最適な投資家探しをしたいというニーズに応え、国内最大級の起業家・投資家検索サービスStartupList(スタートアップリスト)を提供しています。
StartupListでは、投資家の投資レンジや評価基準、過去の経歴等から自社に合った投資家を検索可能。StartupList上で、見つけた投資家とそのままコンタクトをとることもできます。
現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
画像出典元:写真 AC