突然ですが、この記事を読んでいる皆様は普段、「ポイ活」していますか?
通常もらえるポイントは「次回その店舗を利用する時」や「提携サービスで買い物をする時」などに利用することが一般的ですよね。
また、楽天やOliveなどの提携サービスが数多にわたるようなポイントは「ポイント経済圏」などと呼ばれることもあるほど、◯◯ポイントが我々の生活に浸透した概念になっていることはもはや疑いようがありません。
そんなサービスを利用する頻度や金額に応じてもらえる「ポイント」を「株」に置き換えて「資産形成」という付加価値を与えようとしているのが、ZOZO社長の前澤氏が11月20日にリリースしたサービス「カブアンド」です。
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カブアンドの仕組みをかなりざっくりいうと、基本的には普段利用するポイントと同じで、サービスを利用する度にポイントの代わりに「株」がもらえるというものです。
また、株とサービスの連携といえばまず思いつくのが株主優待ですが、株主優待とカブアンドは真逆のサービスとなっています。
現在カブアンドで利用すると株がもらえるサービスは「電気」、「ガス」、「モバイル」、「ひかり(インターネット)」、「ウォーターサーバー」、「ふるさと納税」のいわゆるインフラ系サービスです。
ただ、将来的カブアンドで多くのユーザーが集まることがわかれば、更に多くのサービスの提携も期待できます。
結論、カブアンドピース社の未公開株式を、サービス利用額の1%~20%の範囲で利用に応じて貰えます。
カブアンドを通して受け取ることができる株はカブアンド(KABU&)を運営する前澤社長が起業した「カブアンドピース社」の未公開株式です。
しかし、サービス利用をして還元を受ける段階では「株交換券」という形で付与され、その段階ではカブアンドピース社の未公開株式と交換することもできるけど、普通にポイントとして使うこともできます。
なぜそこにワンクッション挟むのかというと、今後サービスを展開する中で「意外とカブアンドや提携サービスの業績がよくない」という展開になったときに、ユーザーが損をせずに済むという保証のようなものだと認識しておけばとりあえずはOKでしょう。
しかし、あくまで株交換券はカブアンド社の株へと交換することを前提に発行されています。(最初からポイントがほしいならカブアンドをやる必要はないため)
なので、カブアンドとカブアンドを利用するユーザーが理想とするシナリオは以下のようになります。
カブアンドを利用して還元されるのは「カブアンドピース社」の未公開株式だと説明しましたが、そもそも未公開株式とは何なのでしょう?
それを説明する上でわかりやすいのは、公開株式、いわゆる普通の「株」です。
「円安で輸出企業の株価が上場来高値」や、「世界的なAIブームで半導体企業に買いが集中」などのニュースを見てもわかるように、公開されている株式は、市場に参加している人々(株を買っている人々)の「期待」によって株価が決まりますよね。
ニュースの例でいうと、円安になると、「日本製品は海外で売れやすくなるだろう」と多くの人が”期待”するので株価はあがります。
これに対して、未公開株式は市場の人々がその価格を決定することはできません。未公開=非上場企業は一般の人々が株を買うことを許可していないからです。
では、誰がカブアンドピース社の株価を決めるのか?となりますが、そもそも世界には未公開企業の方が圧倒的に多く未公開企業の価値を測定するプロたちがたくさんいます。
カブアンドピース社の現在の株価は5円ですが、これも山田コンサルティングというプロ集団によって行われているので、一般ユーザーはそんなに気にする必要はありません。
もちろん、カブアンドピース社も上場を目指しているし、それを前提としたサービスなので上場後にカブアンドピース社の株価を決めるのは市場に参加している皆さんです。
例えば、カブアンドを通して「ひかり」サービスを月額1万円利用したとすると、通常会員の場合5%還元なので、株交換券が500枚もらえることになります。
先述の通り、株交換券はカブアンドピース社の株式と交換できるポイントのようなもので、「1枚=1円」の価値があります。
そして、現在の「カブアンドピース社」の株価は1株=5円なので毎月100株がもらえることになります。
同じく前澤氏が経営する「ZOZO」の株価は1株=4675円(2024年11月20日現在)なので、100株取得しようとすると50万円近くもします。
あまり意味のない例えですが、一般的に上場している企業の株を100株取得しようとするとそれくらいの費用がかかるんだな~くらいの認識をもってもらえれば、毎月これから上場しようとしている企業の株を100株、タダでもらえるということのすごさが理解できると思います。
カブアンドピース創業主の前澤氏はインタビューを通して、「国民総株主時代」、「一億総株主」などと、株価や業績のアップに先んじて「とにかく株主を増やすこと」をミッションに掲げています。
日本がこれ以上困窮しないように国民総株主を目指します!https://t.co/1T0hfNYISI
— 前澤友作 (@yousuck2020)November 21, 2024
この背景には、日本特有の「家計預金における現金比率の高さ」という課題があります。
というもの、日本は諸外国に比べて資産を株や投資信託などの金融商品ではなく現金で保有する比率が高く、それが日本で活動する企業への資金流入の停滞を招き、国際競争力低下の一因になっているとの見方もあります。
参考:日本経済新聞社物価上昇でも現預金志向 日本の家計は5割超、米国は1割
実際、それを解消するために近年では「積立NISA」などの親しみやすい金融商品が登場したり、高校生の必修授業に「金融リテラシー」が組み込まれるなど、日本全体が「貯蓄から投資へ」という大局的なトレンドの中にあります。
実はカブアンドも、利用するだけであれば証券口座は不要なものの、実際にカブアンドピース社の株を売ったり買ったりしたい(上場後)、となると証券口座の開設が必要となるので、株式投資を行う母集団を大きくするという意味では、この課題を解決するための1つのソリューションにはなります。
しかしなによりもカブアンドが「貯蓄から投資へ」の旗振り役になるポテンシャルを秘めているのは、カブアンドには一般的な株式投資と比較してリスクがないという点です。
ユーザーは自らの資金ではなくサービスを利用したときにポイントのようにもらえる株交換券で取引することになるので、自己資金ゼロで投資を始めることができます。
この章では、まだ走り出したばかりで先行きがつかめないカブアンドの、現時点で想定できる利用ポイントや理論上のデメリット、注意点を解説していきます。
カブアンドについては「株主」や「投資」、など株式投資を連想させる言葉でしか説明できないことが多いのですが、株式投資と根本的に異なる点があります。
それはユーザー増加による、株式の「希釈化」が大前提という点です。
どういうこと?と思った方のためにわかりやすい例を用いて説明します。
まず、一般的な上場企業は「発行する株式の数」と市場(株主)の期待や恐怖などの感情との間に相関関係はありません。
つまり、企業価値100万円かつ発行株式100株の会社の株価は100万円÷100株で1万円となりますが、ここで業績が上がったりしてその企業への期待値が膨らみ、価値が200万円になっても、基本的に発行株式の数は100のままなので、株価は200万円÷100株=株価2万円と市場の感情と株価は連動します。
次にカブアンドの場合を説明します。
カブアンドと上場企業との違いは、カブアンドへの期待が膨らむ(ユーザーが集まる、カブアンドピース社の価値もあがる)とそれに応じて発行株式数も増えるという点です。
カブアンドの企業価値が100万円かつ発行株式数(=ユーザー数)100株の状態からカブアンドの人気が出てユーザーが集まると、利用に応じて株式が発行されるカブアンドでは、カブアンドの企業価値が200万円に上がってもユーザー数(=株数)も一緒に200株に増えるので、結局株価は200万円÷200株で1万円のままで、株主は1円も儲からないという状態になります。(これを希釈化と呼びます)
なので、通常の株式投資のようにただ単に企業価値が上がるからといって、株価も上がって儲かるというわけではないという点に注意が必要です。
これはカブアンドに限らず、いわゆる「ポイ活」全般に言えることですがカブアンドの提携サービスは「株がもらえる」だけであって必ずしもコスパがいいとは限らないのです。
例えば、下記はカブアンドモバイルの料金表ですが、たしかにもらえる株引換券を考えると割安ではあるものの、無理をして高額を使ったり、また現在楽天モバイルなどの格安SIMを利用している人が乗り換えてしまったりすると、あまりうまみがあるとは言えないのです。
つまり、既存サービスと比較してサービスの質が、「株をもらえる」というメリットも考慮してプラスマイナスでプラスになるのかどうかを見極める必要があるということです。
しかし、ここは現時点では口コミなどを集めたり確認したりすることは難しいので、「まずは試しに使ってみる」のがいいでしょう。
基本的なことですが、「株」という少しわかりにくいインセンティブなだけに、ポイントのように躍起になって集めて結果的に収支がマイナスになったりしてしまわないよう、注意しましょう。
まあそもそも、1円も損したくない、みたいな人はおとなしくポイントでも貯めればいいわけですが。
いかがだったでしょうか
今回は2024年11月20日にはじまったほやほやのサービス、「カブアンド」について説明しました。
まだまだ走り出したばかりのサービスなので、今後新しく情報が分かり次第書き足していくと思いますので、ぜひぜひ再度チェックしてみてくださいね。