TOP > 組織 > マーケティング > Account Engagement・Marketoを徹底比較!自社に最適なMAツールは?
Account Engagement(旧:Pardot)とMarketoは、ともにMA(マーケティングオートメーション)の代表的なツールです。
どちらも見込み顧客の掘り起こしや育成、管理に有益といわれますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
Account EngagementとMarketoの特徴やメリット、さらには両者を比較して選ぶときのポイントを紹介します。
比較に加え「そもそもマーケティングオートメーションとは何か」という点も解説するので、「MAツールについて、いまいちピンと来なかった」という人は、ぜひ本記事で理解を深めてください。
このページの目次
Account Engagement(旧Pardot)は、アメリカ「Salesforce社」のMAツールです。
世界有数のリサーチ&アドバイザリ企業である「Gartner(ガートナー)社」が毎年発表する市場レポート「Gartner Magic Quadrant for CRM Lead Management部門」で、2017年には3位にランクインしています。
Account EngagementはCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)のリードマネジメント部門において、非常に高い市場評価を受けました。
日本では、リリース当初に日本語対応がなかったことがネックでした。しかし、2017年より日本語対応が可能に。
現在では日本国内のMAツール市場でも高いシェアを誇り、多くの企業に導入されています。
Account Engagementの特徴やメリットについて詳しく見ていきましょう。
Account Engagementの最大の特徴&メリットは、Salesforce社が提供するCRM「Sales Cloud」とデータの連係ができるという点です。
同じ画面からCRMとMAツールにアクセスできるため、営業担当者やマーケティング担当者はいちいちシステムを切り替える必要がありません。
見込み顧客の関心の推移を適切に測りやすく、ベストなタイミングで見込み顧客へアプローチできるようになります。
ちなみに、Sales Cloudは CRM(顧客管理)シェアでは世界No.1。このツールとシームレスに繋がることができるメリットは非常に大きいのではないでしょうか。
Account Engagementを導入すれば、どのようなユーザーが「いつ」「どのページを」「どのくらいの時間」見たのかが分かります。
サイトの閲覧履歴やKW検索履歴を追いかけて絞り込むこともできるため、顧客ごとにきめ細やかなアプローチが可能です。また、Webサイトの閲覧状況、マーケティングメールの開封状況なども見込み顧客ごとに分類してデータ保存します。
訪問率や開封率を数値化して評価しやすく、マーケティング担当や営業担当は「次どのようなアクションをすべきか」が分かりやすくなるでしょう。
これは「何となく興味がある顧客」を「興味がある顧客」「情報を知りたい顧客」に育てていく「リード(顧客)ナーチャリング」に有益です。
Account Engagementなら、本格的なHTMLメールやランディングページの作成が可能です。直感的な操作が可能なエディターを使っているため、誰でも比較的容易に作業できます。
また、見込み顧客の興味レベルや属性、行動ごとに提供するコンテンツを変えられるのもポイントです。
以下のような悩み・トラブルがある会社は、Account Engagementの導入がおすすめです。
定量制のデータ分析ツールでは、必要なデータまで抽出できないケースが多々あります。例えば、手続き途中で離脱した顧客のトラッキングなどは困難でしょう。
しかし、Account EngagementならWebサイトの閲覧履歴を可視化できるため、離脱した顧客へのアプローチが可能です。また、見込み顧客が成約済みの顧客と同じページや製品を閲覧していた場合は、似たような商品を提案してアプローチし、顧客獲得につなげることができます。
一度はサービスを使ってくれたのに、その後の利用が全くない「休眠顧客」。これを掘り起こしていくことも顧客獲得につながります。しかし、「一度きりの利用」という人が大量にいる場合、どの休眠顧客から優先的にアプローチすべきか判断しにくいでしょう。
この点、Account Engagementなら「ページを見ただけ=1点」「資料ダウンロード=10点」などと顧客の関心を数値で可視化できます。
休眠顧客の取った行動にスコアをつけて評価できるため、どの人からアプローチしていくべきかが把握しやすくなるのです。
企業の多くはWebページやセミナーの案内ページ、HTMLメールの作成などは別部門のデザイナーに任せているケースが多いのではないでしょうか。
この場合、デザイナーが複数の仕事を掛け持っていれば、必ずしも「すぐに納品」というわけにはいきません。
「今アプローチをかけたい」という絶好のタイミングを逃すケースも多く、営業担当として頭の痛い問題です。
しかしAccount Engagementなら、テンプレートを活用して簡単にWebページ、案内ページ、HTMLメールを作成できます。マーケティングや営業部門がそれぞれのタイミングでアプローチを始められるため、機会損失の防止につながるでしょう。
Adobe Marketo Engage(以下、Marketo)は、世界39カ国、およそ5,000以上の企業で導入されているMAツールです。2018年にAdobeによって買収され、Adobeのノウハウを生かしたシステム構築が期待できます。
日本国内のMAツール市場ではトップシェアを誇るといわれ、連携できるサービスやデータも多様です。MAツールの導入を検討している企業なら、必ず候補に挙がるのではないでしょうか。
Marketoの特徴や導入メリットを紹介します。
見込み顧客のデータをFacebook、Googleやその他の広告プラットフォームと接続し、適切なアプローチを仕掛けることが可能です。
匿名の訪問者でもWebの閲覧履歴や行動から再ターゲット化し、顧客獲得のチャンスを広げます。
また、見込み顧客の居住地などから推測される情報に基づき、コンテンツをローカライズさせられるのも大きなポイント。ターゲットとなる顧客に合わせて、よりパーソナルな提案を行えます。
Marketoの強力なメールマーケティング機能は、マーケター用に設定されたもの。プログラミング等なしで多様な機能が使えます。
まず、見込み顧客が何らかのアクションを起こしたらメールを配信する「トリガーメール」の設定が可能です。
見込み顧客が「SNSでシェアした」「フォームに入力した」などのタイミングでメールアピールができます。
また、システムに内蔵された「オーディエンスハブ機能」により、各セグメントのメンバーを自動更新してくるのも見逃せません。
見込み顧客の行動や属性が変わっても、続けて適切なアプローチが可能です。
見込み顧客を「顧客」にするには、長期的にアプローチを続けることが必須。Marketoなら、多彩なメールマーケティングシステムを煩雑な設定なしで利用できます。
「アカウントベースドマーケティング」を通じて、見込み顧客の優先順位を明確にします。
収益ベースのアカウントアナリティクス、リード管理機能、アカウントターゲティングなどは、すべて一元管理可能。
有望な顧客を割り出してターゲットにしやすいため、成約までのスピードは早くなるでしょう。
情報が一元的に管理されるため、マーケティング担当、営業担当が情報を共有することも容易です。
重要な見込み顧客の状況は各チームに届けられるため、何らかの動きがあれば素早くリアクションできます。
Marketoの導入に向いているのは、以下のような悩み・トラブルがある企業です。
MarketoはWebサイトを検索上位に表示させ、新規顧客獲得を目指す機能があります。
Marketo専用のダッシュボードで操作が容易なため、SEOの経験や知識が少ない人でも上位を狙えるKWの策定や分析が可能です。
SEO関連の主な機能としては、
などがあります。
いずれの数値はすべてグラフ化されるため、効果は一目で分かります。具体的な目標が立てやすく効率的にSEOに取り組めます。
Marketoには、自社コンテンツが各種SNSでどの程度の成果を上げているかチェックする機能が付いています。
自社コンテンツがどのSNSで高く評価されているのか、どのSNSとは相性が良いまたは悪いのかの把握が容易です。
この機能を使えば、Web広告をどのSNSに集中させるべきか見えやすくなります。効率の良いマーケティングが行えるようになり、無駄がありません。
また、SNSならではのつながりを効果的に生かすことも可能です。自社に興味のある顧客をSNSから発掘しやすく、見込み顧客をナーチャリングしていく上でも有益といえるでしょう。
優先度の高いターゲットを絞り込めるMarketoなら、全く見込みのないターゲットにアプローチせずにすみます。
リソースの無駄遣いを防げる上、見込みの高い顧客に集中することが可能。結果的に広告コストのカットにつながるでしょう。
また、広告をターゲットごとに細かくパーソナライズできるので、見込み顧客の興味を惹く確率はグンと高まります。少ないステップでナーチャリングが進み、見込み顧客が「今すぐ」顧客になるまでのスピード感が違います。
どちらのMAツールを選ぶにしろ、必要な機能は最低限そろっています。MAの必要性を感じている企業なら、Account Engagement、Marketoのどちらを選んでも「大ハズレ」とはならないでしょう。
しかし、より自社に適したツールを選びたい場合、チェックしておきたいポイントがいくつかあります。
Account EngagementかMarketoか迷ったとき、確認したいポイントを紹介します。
Account EngagementもMarketoも、外部システムとの連携が可能です。ただしCRMに「Sales Cloud」を利用している場合は、同じSalesforce社のAccount Engagementの方が親和性は高いでしょう。
とはいえ、Marketoも650社超えの外部パートナーエコシステムが構築されており、多様な外部システムと連携が可能です。
Account EngagementかMarketoか検討する際は、現在自社がどのようなCRM、SFA(営業管理システム)などを使っているのかきちんと把握しておきましょう。
多様なデータとの連係ができれば、マーケティング効果はより一層高まります。自社が持つ既存のシステムやデータを生かせる方がおすすめです。
一般的にMAツールは、「○というアクションが起こったら△する」などと条件をつけて起動させます。
例えば「ターゲットがパンフレットをダウンロードしたらメールを送る」「フォームに入力したら□の広告を出す」などです。
このような「~したら」という条件をより細かく設定できるのはMarketoといわれます。MAを細やかかつ効果的に行いたいと考えているなら、Marketoの方が希望にかなっているかもしれません。
ただし、細かく機能設定できるということは、その分操作や管理も煩雑になりやすいといえます。多様な機能があっても、使いこなせる人がいなければ意味がありません。使い方や使う人のスキルとのマッチングを確認した上で選びましょう。
インターフェースは、画面の見やすさや印象にかかわります。「見た目はどうでもよいのでは?」という声もありますが、日々大勢の社員がかかわるならば見逃せないポイントです。
どちらかというと、Account Engagementは営業向け、Marketoはマーケター向けという印象です。どちらに重きを置くかで、選ぶべきツールは変わるでしょう。
また、まとめてたくさんの命令を出せるのはAccount Engagementであるといわれます。一方Marketoは一つ一つ確認しながら操作するため、条件の設定等には時間がかかるかもしれません。
上記を考えると、ツールに慣れている人はAccount Engagement、初心者やMAツールに触ったことがない人はMarketoの方が使いやすく感じるのではないでしょうか。
ただしオペレーションには相性もあります。一部分だけでは判断できないため、実際にオペレーションに携わるメンバーに、見やすさや使いやすさをチェックしてもらうのがおすすめです。
MAツールを導入する上で、料金の検討は不可欠です。それぞれの料金については、次のとおりです。
プラン | Growth | Plus | Advanced |
料金/月 | ¥150,000(税抜) | ¥300,000(税抜) | ¥480,000(税抜) |
機能 |
・ファイルホスティング:100MB |
・ファイルホスティング:500MB |
・Einstein(人工知能)の活用 |
プラン | SELECT | PRIME | ULTIMATE | ENTERPRISE |
機能 |
・基本的なマーケティングオートメーションと効果測定 |
・リード管理とABM、カスタマージャーニーの分析、AIによるパーソナライゼーション |
・包括的で強力なオートメーション機能とアトリビューション機能 |
・最大のスケーラビリティと柔軟性 |
まずAccount Engagementは、「Growth」「Plus」「Advanced」の3プランがあります。
このうち最も利用されているのは一番高額な「Advanced」だそう。こちらならAccount Engagementが提供するMAに必要な機能のほとんどを活用できます。Advancedの価格は月額480,000円~です。
一方、Marketoは、データベースのサイズにより料金が異なります。そのため問い合わせ後でないと、実際の価格は分かりません。
プランは「SELECT」「PRIME」「ULTIMATE」「ENTERPRISE」の4つがあり、最もサービス範囲の広いのが「ENTERPRISE」です。
MarketoとAccount Engagementは、いずれもBtoB、BtoC向けのMAツールです。
近年は人的リソースの不足やコストカットの観点から積極的に業務効率化を図る企業が少なくありません。そのような企業にとって見込み客の開拓・育成、管理などを自動化することは非常に意義があるといえるでしょう。
しかし、「他の企業がやっているから」「良さそうだから」という理由でMAを導入しても、望む効果は得にくいかもしれません。
MarketoとAccount Engagementを導入する前に、そもそもMAとはどのようなもので、どのような目的のために導入されるのかを確認しておきましょう。
MAとは、マーケティングにかかわるさまざまな業務を可視化・自動化し、業務効率の向上を図ることです。
企業の営業活動は見込み客の開拓・育成・管理とさまざまなフェーズがあり、それぞれにつき膨大な量のタスクが発生します。
主な業務をざっと挙げると、次のようなものがあります。
従来までは、こうした業務を別々のシステムで行うケースが多々ありました。しかしそれでは業務が分断される上、情報の共有が困難です。
MAを導入することで全ての業務が一つのシステムに集約され、企業のマーケティング活動はよりスムーズになります。
新規顧客を獲得するには、顧客が必要とする情報を最適なタイミング・方法で提供することが不可欠です。
マーケティングを行うときは顧客ごとに最適化されるのが望ましいですが、人的なオペレーションを行っていてはすぐにリソースが不足してしまいます。
ここでMAを使えば、営業活動の自動化が可能です。新規顧客の獲得に大いに効果を発揮してくれるでしょう。
MAにより自動化できるものには、以下のようなものがあります。
見込み顧客の企業名や企業情報、個人名、ニーズの有無などの管理が可能。さらに、ログの分析によってこのユーザーがサイト上でどのような行動を取ったか・何を調べたのかまで把握しやすくなります。
このような見込み顧客の情報を分析・管理してリストアップしておけば、後で条件ごとに絞り込むのも難しくはありません。
興味の優先度順やニーズ別に並び替えることもでき、個々の状況に合わせた営業活動を展開しやすくなるでしょう。
MAを導入すれば、メールコンテンツの配信がより戦略的・効果的に行えます。見込み顧客のナーチャリングに有益です。
メール配信のみを自動化した「メール配信ツール」との大きな違いは、作成した顧客リストと顧客ごとのデータを連動させられるという点です。
興味・関心の度合いによって見込み顧客を選別できるため、よくあるメール配信システムとは一線を画します。
開封率やその後顧客が取った行動と関連付けて分析しやすく、より効果的なマーケティングを展開できるのです。
MA導入により、見込み顧客のウェブ上での行動をトラッキングしたりコンバージョン数・ページ閲覧数を把握したりなどが容易になります。
例えばキャンペーンやセミナーを行った場合は、申し込み数や資料のダウンロード数をピックアップしデータ化も可能です。
実施したマーケティングに体する反応が見えやすくなれば、正確な効果測定は難しくありません。
結果をグラフ化して可視化して共有もできるので、企業全体のマーケティング効率向上も期待できるでしょう。
近年MAツールを導入する企業も増えており、MAツールのバリエーションは多様化しています。Account Engagementとmarketo以外にも、注目度の高いMAツールがいくつかあります。
どのツールもMAに必要な基本機能はそろっていますが、細かく見るとカバーする範囲や使いやすさ、実装方法などは異なります。
MAツールを導入する際はさまざまなツールと対比させ、十分に比較・検討する必要があるでしょう。
MAツールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
MAツールの資料をまとめて手に入れることで、情報収集や比較を効率的に行えます!
Account EngagementもMarketoも、MAツール市場では高いシェアを誇るツールです。それぞれ得意とするポイントが微妙に異なるため、自社のケースと比較しながら選びましょう。
また、マーケティングを戦略的に行っていく上で、MAツールの利用は不可欠です。
マーケティングにかかわる大量の業務で企業のリソースが逼迫していると感じるなら、早めに導入の検討を始めることをおすすめします。
画像出典元:Pixabay
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