「コストセンター」という用語、耳にした事はありますか?
コストセンターは、総務や経理、人事部など利益を生まない部門のことをいいますが、その目的や役割については、詳しくしらないという人が多いのではないでしょうか。
当記事では、コストセンターとは何かを解説すると共に、役割や目的、コストセンターを語る上で欠かせない「プロフィットセンター」との違いについても解説します。
この機会にコストセンターについての理解を深めてください。
このページの目次
コストセンターとはシンプルにコスト(業務に必要だった費用)だけを集計し収益を計算しない部門のことをいい、原価中心点とよばれることもあります。
会社においてコストを考える総務部や経理部などがコストセンターにあたる場合が多くあります。
なぜコストセンターとよばれるかというと、コストセンターにあたる部門は費用に対して責任をもつからです。
コスト面だけを意識するので、収益を生むことはありません。収益につながらないので、組織の中でコストセンターが軽視させることも少なくありません。
コストセンターは収益を重要視しないため、ビジネスチャンスであっても費用規模が大きければ、その企画に対してNGを出す傾向にあります。
コストセンターとよく比較をされるのがプロフィットセンターです。コストセンターがコストだけを集計するのに対して、プロフィットセンターは真逆で利益を生む部門つまり営業部門がメインとなります。
コストセンターがコストをおさえることに責任をもつ部門であるのに対して、プロフィットセンターは利益を出すことに責任をもつ部門ということです。
しかしプロフィットセンターは営業部門が全てではなく、利益に直結するようなマーケティング部門だったり商品を製造する部門をプロフィットセンターとよぶ場合もあります。
コストセンターの定義はプロフィットセンターのようにはっきりと決まってるわけではなく、考え方によっても変わります。
例えばコールセンターであれば、以下の二通りの考え方ができます。
・コスト面を考えいかに効率よく進めるかといった考え方
・いかに利益につながるかを優先する考え方
コールセンターでもプロフィットセンターの考え方であれば、営業と同じ効果があるといえます。つまりお客様対応をするだけでなく、売り上げにつなげているようなトークが必要になります。
このように各企業の考え方ひとつによって、それぞれの部門がコストセンターであるかプロフィットセンターであるかが変わってきます。
最近では、コストセンターからプロフィットセンターへの重要性の移行が多く見られます。
コスト削減がメインではなく生産性を高めることにより、会社の売り上げをあげようと考えているからです。しかしコストセンターの存在も重要です。
ここではその理由を説明していきます。
「コストセンターではなくプロフィットセンターが重要視されるべき」といった意見が多く見られ、最近ではネガティブにとらえられることが増えています。
確かに会社は利益を出すことが必要であり、利益に直結する営業部などのプロフィットセンターが重要であることは間違いありません。
しかし利益を出すためにはコストセンターの存在も必要なのです。コストが高ければ利益が下がってしまいますし、利益を生むためには直接利益にかかわらない部門の人たちの功績が大きいのです。
コストセンターはもともと原価管理をするために会計学から出た言葉です。しかし最近では経営学を語る上でコストセンターやプロフィットセンターといった言葉がでまわるようになり、よりそれぞれの言葉に説得力が必要になりました。
標準原価法で考える場合は、それぞれのコストセンターにて標準原価と実際原価を出してそれらに対して責任を追うことになります。
プロフィットセンターも会計上では利益を管理するものだったのが、利益を出すためには費用が必要なんだから収入と利益の両方を管理するべきとなったのも経営学上での考え方です。
コストセンターは「利益を生まない部門」ととられられることが多くあります。例えばカスタマーセンターも直接利益を生まないためコストセンターと考えられます。
そのため限られた予算でコストを抑えることが最重要課題になることが多くあるのですが、カスタマーセンターの一番の課題は「顧客満足度」です。
このようにコストセンターのとらえられ方一つで、会社が間違った方向に進むこともあるのです。
上記のようにネガティブにとらえられがちなコストセンターですが、それではプロフィットセンターに完全移行するべきなのでしょうか。ここではコストセンターの必要性を考えてみます。
コストセンターというとコスト削減がメインの考え方のように聞こえます。しかし決してそれだけではありません。
コストセンターといわれる経理や人事、それぞれが専門の仕事をしているからこそ会社の利益につながるのです。
コストセンターは会計学上ではコスト削減のみに対して責任をもつことになっているのですが、経営をしていく上では実際にはそんなシンプルな話ではありません。
コストセンターの中でも、経理は重要な役割があります。コスト削減はもちろんのこと、利益や粗税公課などの計算を全てしています。そのため経理がいなければ、利益を出すことも節税対策をすることもできないのです。
ただ売り上げをあげれば、利益につながるというわけではないのです。極端な例を出すと、毎年売り上げが上がっている会社が「税金の未納が発覚」といったニュースも決して少なくはありません。
人事部も直接利益につながるわけではありません。しかし良い人材を採用するためには、正しい採用の戦略が必要になります。現在会社にとってどのような人材が必要か、その人材を発掘するためにはどのような広告を出すのか、費用対効果はあるのかなど考えるべきことが多くあります。
そもそも利益をあげるためには、良い営業マンを採用する必要があります。
いくら利益を出していても、会社が法にひっかかるようなことをしていてはなんにもなりません。しっかりとした総務がいる会社は法務、勤怠管理などで心配をすることがないのです。
コストセンターとプロフィットセンターどちらが正しいか、また利益を求めるプロフィットセンターが重要ではないかといった議論がされています。しかし、実際にはどちらも必要です。
コストセンターにあたる仕事は、利益に直結しないかもしれませんが、コストセンターがあるからこそ、利益につながるのです。
そもそも利益だけを重要視していては、実際の利益につながることはないのです。コストセンターとプロフィットセンターの両方のバランスが会社経営には必要だということです。
画像出典元: pixabay
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