経理業務の効率化やコスト削減を目的に、代行サービスの導入を検討している企業は多いでしょう。
自社にあったサービスを選んで成果をあげるためには、選定ポイントをしっかり理解し、他社事例を参考にするのが効果的です。
この記事では、経理代行の基本から、メリット・デメリットを解説し、さらに企業の成功事例と具体的なおすすめのサービスも紹介します。
このページの目次
経理代行とは、企業の経理業務の一部または全てを外部に委託できるサービスです。
人材不足の解消や、業務効率化、コスト削減などを目的として活用されており、スタートアップから大手企業まで幅広く導入が進んでいます。
特に経理業務は専門性が高く、内容も多岐にわたるため、社内で全てをカバーするには限界があります。
こうした課題を補う手段として、経理代行サービスを活用することで、不足するスキルを補強しながら、効率の良い業務推進が可能になります。
経理代行サービスでは、日常的なルーティン業務から決算や年末調整などの専門業務まで幅広く対応可能です。
月次・年次の定期業務に加え、スポット対応や時間単位で依頼できる柔軟なサービスも存在します。
以下は経理代行サービスに依頼できる主な業務内容例です。
業務 | 内容 |
記帳 | 日々の取引や入出金などを帳簿に記録 |
請求書発行 | 商品・サービスの請求書類を作成し発行 |
給与計算 | 従業員への給与計算および支給 |
決算 | 月次決算、四半期決算、年次決算など |
年末調整 | 従業員の所得税計算、過不足の調整 |
必要に応じて、税務申告や社会保険手続きなどのオプション業務も依頼可能な場合があります。
経理代行を活用することで、企業は様々なメリットを得られます。
ここでは、主なメリット4つを確認していきましょう。
経理代行サービスを利用することで、社内に多くの専任担当者を配置する必要がなくなり、人的コストを抑えることができます。
特に、時間単位で利用できるサービスであれば、繁忙期のみスポットで依頼するような柔軟な運用が可能です。
必要な時に必要な分だけ依頼できるため、コストの最適化につながります。
経理業務を代行サービスに委託することで、社内の人員や時間を本来注力すべきコア業務に当てられるようになります。
特に中小企業やスタートアップ企業では、経営者が経理業務に時間を割かれずに済むことで、事業戦略や営業活動に専念でき、生産性や業務品質の向上に繋がることが期待できます。
税法や会計基準などは頻繁に改正されるため、社内でそのたびに対応するのは手間も時間もかかります。
経理代行サービスを利用すれば常に最新の情報に基づいた業務を提供してくれるため、自社での対応負担を大幅に軽減できます。専門知識を持つ担当者が業務を行うことで、企業は法改正に迅速かつ正確に対応でき、コンプライアンスリスクも低減できます。
多くの経理代行サービスでは、経験豊富な専門スタッフが多数在籍しています。
その多くは経理業務において複数年の経験を持っているため、複雑な経理業務も正確かつ迅速に処理できます。
また、チームや複数のスタッフが対応することで、ひとりの担当者が不在の場合でも業務が滞る心配はありません。
メリットの多い経理代行ですが、一方で注意すべきデメリットも存在します。
導入する際は、メリットだけでなくデメリットも把握したうえで、慎重に判断しましょう。
経理業務を外部に委託すると、社内に経理ノウハウが蓄積されにくくなり、経理人材を育成する機会も失われてしまいます。
さらに、業務プロセスが委託先に依存することで、内容がブラックボックス化する恐れもあります。
将来的に経理業務の内製化を検討している企業は、特に注意が必要なポイントです。
経理代行サービスでは一般的にセキュリティ対策が講じられていますが、外部に機密情報を預ける以上、情報漏洩のリスクがゼロではありません。
特に個人情報や財務データの扱いには細心の注意が必要で、業務の切り分けを事前にしっかり行っておくことが重要です。
食品大手のA社では、経費処理において各部門担当者が伝票を起票して、経理部門がチェックする方式をとっており、手間がかかっていました。
そこで経理代行サービスを導入し、経費処理をアウトソース先に集約するようにしました。
これにより、経理・財務部門の実務工数を8割削減し、業務負荷を大幅に軽減することができました。
交通インフラを手がけるB社では、固定資産管理やグループ企業の連結決算など複雑な業務において、属人化による担当者の負担増加という課題を抱えていました。
そこで、高度な業務も受託可能な経理代行サービスを導入し、当該業務のBPO化を実現。
作業時間を大幅に削減し、さらに業務のマニュアル化やペーパーレス化も実現しました。
教育関連のスタートアップ企業であるC社では、経理担当者の退職や産育休が重なったことで人手不足が発生し、早急にリソースを補う必要がありました。
そこでリモートアシスタント型の代行サービスを導入し、各種仕訳登録や支払依頼、支払い業務などを依頼しました。
業務負担軽減を実現し、少数精鋭でのチーム運営を可能にしています。
D社では、バックオフィス担当者の退職に伴い後任の採用を進めていましたが、スキルの高い人材を確保できなかったため、代行サービスの導入を決めました。
経理のプロに任せることで、処理スピードを高めて効率よく業務を推進できるようになり、さらに業務フローの改善提案も受けています。
モバイル向けのゲームやWebメディアを運営するE社では、社長自身が経理業務を行う、会計事務所に任せるなどさまざまな業務体制を試行錯誤していました。
しかし、拡大に合わせて、より効率の良い管理体制を目指して外注サービスを導入。
専門知識が豊富で柔軟なサービスを選択することで、社内に管理部門をおかずに幅広い業務をアウトソースで遂行できています。
画像出典元:「Wheat Accounting」公式HP
「Wheat Accounting」は、高水準のスキルを有したオペレーターが、税理士をはじめとする専門家と連携し業務を遂行する代行サービスです。
バックオフィスの幅広い領域に対応できることに加えて、月額3万円から利用できるリーズナブルさも魅力です。
初期費用:要問合せ
月額費用:30,000円+オプション対応分(税抜)
画像出典元:「クラウドワークス エージェント」公式HP
「クラウドワークス エージェント」は、業界最大670万人のフリーランスを抱え、最適なスキルを持った人材に業務を依頼できるサービスです。
経理をはじめとするバックオフィス業務だけでなく、エンジニア、クリエイティブ、ディレクターなど、さまざまな職種の人材を活用できるのも特徴です。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「BackofficeForce」公式HP
「BackofficeForce」は、経理、財務、労務といったバックオフィス業務全般の支援を行う会社です。
20年以上の実績と1,000社を超える支援実績があり、経験豊富な人材がチームで業務を担当するため、安心して任せられるのが特長です。
詳細については、お問い合わせが必要です。
画像出典元:「秘書とクロコ」公式HP
「秘書とクロコ」は、経理はもちろん、営業や秘書業務などの幅広い業務を必要な時に必要な分だけ依頼できる柔軟性の高いサービスです。
また、高品質な業務対応が可能でありながら、月額3万円ほどから利用できるリーズナブルさも魅力です。
トライアルプラン | プラン5 (毎月5時間) |
プラン10 (毎月10時間) |
プラン20 (毎月20時間) |
プラン30 (毎月30時間) |
|
初期費用 | 要問合せ | ||||
月額利用料 | 無料 | 12,650円 | 25,300円 | 50,600円 | 75,900円 |
(税込)
画像出典元:「Web特命係 経理代行」公式HP
「Web特命係 経理代行」は、中小企業や個人事業者を中心に経理業務の支援を行う会社。
記帳代行を中心に、経理のコア業務をしっかりカバーしています。
都度依頼が可能なプランと、月額17,500円から利用できる月額プランがあり、柔軟かつリーズナブルに活用できるのが特長です。
都度見積もり (単発依頼) |
特命係mini (5時間/月) |
特命係Standard (20時間/月) |
特命係Plus (50時間/月) |
|
初期費用 | 要問合せ | |||
月額利用料 | 3,500円~ | 17,500円 | 66,000円 | 150,000円 |
(税抜)
経理代行サービスには多くの種類があり、自社に最適なサービスを選ぶためには、課題や目的に応じた選定基準を持つことが重要です。
以下のポイントを参考に、慎重に比較・検討しましょう。
経理代行サービスによって、対応可能な業務範囲は異なります。
自社のニーズに合わせて、必要な業務を依頼できるか事前に確認しましょう。
例えば、記帳代行のみを依頼したいのか、給与計算や年末調整まで含めて依頼したいのかなど、具体的な業務範囲を明確にしておくことが重要です。
経理代行サービスの品質は、スタッフのスキルや経験に大きく左右されます。
実績や経験年数、経理関連の資格保有などを中心にスキルを見定め、さらに人柄やコミュニケーション能力も確認しておくと良いでしょう。
事前に担当者と面談する機会を設けて、疑問点や不安な点を解消しておくのがおすすめです。
代行サービスでは企業の機密情報を扱うため、セキュリティ体制や情報管理が徹底しているかを確認することは非常に重要です。
具体的には、プライバシーマークの取得や情報セキュリティに関する認証を受けているかなどを確認しましょう。
また、情報漏洩が発生した場合の対応についても確認しておくと良いでしょう。
経理業務は期日やタイミングが重要なうえ、急な対応が求められることもあるため、対応時間が柔軟でスピーディーなサービスを選ぶことが大切です。
レスポンスの速さや、緊急時の対応について事前に確認しておきましょう。
また、契約前に担当者とのコミュニケーションがスムーズに行えるか確認することも重要です。
実際に経理代行サービスを導入する際の、具体的なステップについても解説します。
まずは、自社に合った内容の経理代行サービスに問い合わせをします。
電話やメール、Webサイトの問い合わせフォームなど、複数の方法があるためニーズに合ったものを選びましょう。
問い合わせの際には、自社の業務課題や要望を具体的に伝えることで、より有意義な提案を受けることができます。
サービス担当者から、現在の経理業務の状況や課題についてヒアリングを受けます。
ここでも、改めて自社のニーズや要望を具体的に伝えることが大切です。
ヒアリングを通して、代行サービスの提供内容が自社の課題解決に役立つか、どのような体制で利用できるかなどを確認しましょう。
ヒアリング内容に基づいて、代行サービス側から最適なプランと見積りが提示されます。
プラン内容や料金について納得できるまで確認すること、不明な点や疑問点があれば担当者に質問し、しっかりと理解することが重要です。
プラン内容や料金が自社にあっていることが確認できたら、契約を締結しましょう。
この際、契約内容をしっかりと確認し、契約期間や解約条件などの不明な点は事前に質問しておくことが大切です。
契約が完了し、業務の実行体制やオペレーションが固まったら、経理代行サービスの利用開始です。
業務の進捗状況について定期的な確認の場を設け、さらに運用をブラッシュアップしていきましょう。
また、疑問点などがあれば担当者に随時連絡を取りましょう。
経理代行サービスの導入は、企業の経理業務効率化やコスト削減を実現できる効果的な取り組みです。
代行サービスの業務内容、メリット・デメリットをしっかりと理解し、事例も参考にしたうえで、自社の課題やニーズに合ったサービスを選びましょう。
画像出典元:o-dan