申告書作成ツールを活用すると、法人税や確定申告などの煩雑な申告書作成業務を自動化し、効率的に申告作業が行えるようになります。
申告書作成作業にかかる多くの時間や労力を省き、申告漏れやミスを防ぐために、申告書作成ツールの活用は有効な手段といえるでしょう。
本記事では、法人向けから個人事業主向けまで、幅広いニーズに対応したおすすめの申告書作成ツール10選を紹介します。
ツール選びのポイントや、導入のメリット・デメリットも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
申告書作成ツールとは、法人税や消費税、確定申告など、税務に関するさまざまな申告書の作成を自動化・効率化するためのサービスです。
近年、インボイス制度や相続税・贈与税の改正など複雑化する税務申告に加え、深刻な人手不足という課題も重なり、申告書作成ツールの必要性がますます高まっています。
申告書作成ツールは、税務申告業務の効率化と省力化に貢献し、税務関係者や中小企業の負担を軽減する重要なツールです。
申告書作成ツールを導入することで、おもに次のようなことが実現できます。
法人税・消費税・地方税・所得税・確定申告など、さまざまな申告書の作成を支援します。
専門知識がなくてもかんたんに作れるほか、最新の税制改正に対応し、常に正確な申告書を作成することが可能です。
所得や控除額など、入力した金額にもとづき自動で税額を計算することもできます。
作成した申告書を電子化し、電子申告としてオンラインで送信することが可能です。
紙の申請書に比べ、電子申告は印刷したり郵送したりする必要がなく、提出にかかる時間と手間が大幅に削減できます。
電子申告は、データ処理による審査が可能となるため、還付金などがある場合、手続きの迅速化も期待できるでしょう。
入力内容のチェックから所得控除・経費・税額など税務上のチェックなどまで、申告漏れや誤りなどを未然に防止するための、さまざまなチェック機能が搭載されています。
多様なチェック機能により、自身で申告書を作成するよりも、正確かつスピーディーな申告が可能です。
チェック機能は、申告漏れや誤りによる税務調査のリスクを減らすだけでなく、節税対策にも役立ちます。
(税抜価格)
画像出典元:「freee申告」公式HP
「freee申告」は、決算から申告までワンストップでサポートする、クラウド型の法人向け申告書作成ツールです。
freee会計とfreee申告を連携させることで、申告書の入力から税額計算、電子申告までを効率化します。
認定アドバイザー税理士に相談できる「法人税 申告後もあんしんプラン」が用意されているので、税務調査があった場合など申告後も安心です。
評価の高いポイント3つ★★★
ベーシックプラン | 申告後もあんしんプラン | |
初期費用 | 0円 | |
年間利用料 | 24,800円 | 43,800円 |
(税別)
画像出典元:「PCAクラウド 法人税」公式HP
「PCAクラウド 法人税」は、法人税申告業務の効率化・省力化を実現する、中小企業向けのクラウド法人税申告ツールです。
クラウド・サブスク・オンプレミスの3形態から選べて、実際の申告書に近い入力スタイルで作成できます。
普通法人・公益社団・一般財団など、多様な法人格の確定申告に対応しているほか、複数のPCAシリーズと柔軟に連携させることも可能です。
評価の高いポイント3つ★★★
法人税のみ | 法人税+会計+固定資産 | |
初期費用 | 0円 | |
月額利用料 | 23,100円 | 32,340円 (1ソフトあたり10,780円) |
(税込)
画像出典元:「申告書作成ソフト」公式HP
「申告書作成ソフト」は、長年の税務申告ソフトウェア開発で得た知見とノウハウを注ぎ込んだ、株式会社NTTデータが提供する申告書作成ツールです。
法人税・減価償却・消費税・所得税・内訳概況書など全15種類から選べ、それぞれ個別の税目・申告書に特化しており、必要な機能をすべて集約。
国内を代表するさまざまな会計・給与ソフトと連携させることができ、効率的な申請書作成を実現します。
評価の高いポイント3つ★★★
15種類のうちの主な4種類の料金は以下の通りです。
製品名 | 販売形態 | Professional Edition | Standard Edition | Light Edition |
法人税の達人 | ダウンロード版 | 55,900円/年 | 37,100円/年 | 24,700円/年 |
パッケージ版 | 58,700円/年 | 39,900円/年 | 27,500円/年 | |
消費税の達人 | ダウンロード版 | 31,900円/年 | 17,100円/年 | 9,500円/年 |
パッケージ版 | 34,700円/年 | 19,900円/年 | 12,300円/年 | |
内訳概況書の達人 | ダウンロード版 | 39,900円/年 | 21,900円/年 | 11,400円/年 |
パッケージ版 | 41,700円/年 | 24,700円/年 | 14,200円/年 | |
電子申告の達人 | ダウンロード版 | 36,000円/年 | ― | ― |
(税別)
画像出典元:「魔法陣」公式HP
「魔法陣」は、税務会計ソフトとして30年以上の実績と安定性を誇る、個人事業者および中小企業向けのクラウド申告書作成ツールです。
法人税をはじめ、地方税・相続税・贈与税・所得税・相続税・減価償却・年末調整など、幅広い申告書の作成に対応。
作成した申告書データを電子申告へと変換できるので、e-Taxなどのソフトを使わず、そのまま国税庁や地方税ポータルセンターに送信できます。
評価の高いポイント3つ★★★
魔法陣会員サイトに登録すれば、申請書・届出書のみ最大200件まで無料で利用でき、電子申告は、1ライセンス年間26,400円(税込)となります。
魔法陣税務シリーズの価格は、以下のとおりです。
製品名 | 1本目 | 2本目以降 | |
法人税・地方税 | 新規購入 | 63,800円 | 27,500円 |
バージョンアップ | 29,700円 | 8,800円 | |
内訳書・概況書 | 新規購入 | 30,800円 | 13,200円 |
バージョンアップ | 11,000円 | 8,800円 | |
所得税 | 新規購入 | 39,600円 | 16,500円 |
バージョンアップ | 18,700円 | 8,800円 | |
相続税 | 新規購入 | 99,000円 | 41,800円 |
バージョンアップ | 44,000円 | 8,800円 | |
法定調書・年末調整 | 新規購入 | 30,800円 | 13,200円 |
バージョンアップ | 15,400円 | 8,800円 | |
消費税 | 新規購入 | 20,900円 | 11,000円 |
バージョンアップ | 12,100円 | 8,800円 | |
減価償却 | 新規購入 | 39,600円 | 16,500円 |
バージョンアップ | 14,300円 | 8,800円 |
(税込)
画像出典元:「申告ロボット」公式HP
「申告ロボット」は、ソフトをインストールすることなく、ブラウザのみで申告業務が完結できる、完全クラウド対応の法人税申告書作成ツールです。
およそ200種類の別表が用意されているため、中小企業をはじめ、外形標準課税対象とされる大企業などまで幅広く活用できます。
AIによる税制改正自動反映や、国税・地方税における電子申請機能など、申告書作成業務を効率化・自動化する機能が豊富なのも特長です。
評価の高いポイント3つ★★★
初期費用 | 要問い合わせ |
月額利用料 | 10,000円 |
(税込)
画像出典元:「年末調整Web申告」公式HP
「年末調整Web申告」は、企業の年末調整業務を効率化・省力化する、クラウド型の年末調整申告書作成ツールです。
分かりやすく操作しやすい画面設計にくわえ、申告入力をアシストするナビゲーション機能の搭載により、スムーズかつ簡単に作成できるでしょう。
従業員の申告状況をリアルタイムに可視化し、未申告者には督促メールの送信ができるなど、年末調整業務を効率化する機能も充実しています。
評価の高いポイント3つ★★★
初期費用 | 200,000円 |
年間利用料 | 500円/人(250,000円〜) ※最低利用人数:500人 |
(税別)
画像出典元:「全力法人税」公式HP
「全力法人税」は、必要な機能だけに絞り込み、シンプルで使いやすさにこだわった、スモールビジネス向けのクラウド型申告書作成ツールです。
ツール開発には元国税調査官と税理士が監修し、法人税に関する知識がなくても効率的に申告書が作成できるよう設計されています。
国内主要な会計ソフト「弥生会計・freee・マネーフォワード・会計王・ 弥生会計オンライン」と、データ連携させることも可能です。
国税(e-Tax)・地方税(eLTAX)など、電子申告にも対応しています。
評価の高いポイント3つ★★★
初年度 | 翌年度以降 | |
基本料金 (事業所が1箇所の場合) |
21,800円 | 10,000円 |
オプション料金 (事業所が2箇所以上の場合) |
上記基本料金+7,980円 |
(税別)
画像出典元:「マネーフォワード クラウド確定申告」公式HP
「マネーフォワード クラウド確定申告」は、面倒な確定申告書作成を自動化し、効率的な申告業務を実現する、個人事業主向けのクラウド申告書作成ツールです。
銀行口座・クレジットカード・ショッピングサイトなどさまざまなサービスと連携させ、日々の取引明細データを自動取得できます。
入力したデータにもとづき、白色申告・青色申告の確定申告が自動で作成できるほか、決済書も同時に作成することも可能です。
評価の高いポイント3つ★★★
パーソナルミニ | パーソナル | パーソナルプラス | |
初期費用 | 0円 | ||
月額利用料 | 1,280円 | 1,680円 | 2,980円 |
(税別)
画像出典元:「みんなの青色申告」公式HP
「みんなの青色申告」は、申告書作成を効率化し、正確な税務処理を支援する、個人事業主に特化した確定申告書作成ツールです。
あらかじめ勘定科目が設定された業種別テンプレートが用意されているので、はじめてでも効率的かつ簡単に帳簿付けが行えます。
改正電子帳簿保存法はもちろん、インボイス制度にも対応しているので、法令遵守の適切な運用が実現できるでしょう。
評価の高いポイント3つ★★★
ソフトインストール型で製品本体価格は、10,780円(税込)です。
画像出典元:「弥生のクラウド確定申告ソフト」公式HP
「弥生のクラウド確定申告ソフト」は、個人事業主や法人の確定申告を効率化する、クラウド型の申告書作成ツールです。
白色申告・青色申告の両方に対応し、初心者でも簡単に申請書作成ができるよう、見やすく分かりやすい画面デザインとなっています。
銀行口座やクレジットカードの取引データの自動取込・自動仕訳や、税金の自動計算など、確定申告を効率化する機能も豊富です。
評価の高いポイント3つ★★★
フリープラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
初期費用 | 0円 | ||
年間利用料 | 0円 | 11,500円 | 21,000円 |
(税別)
セルフプラン | ベーシックプラン | トータルプラン | |
初期費用 | 0円 | ||
年間利用料 | 10,300円 | 17,250円 | 30,000円 |
(税別)
申告書作成ツールでは、収入や支出、税金の控除額などの情報を自動計算したり、過去の申告データを取り込んで反映させたりすることが可能です。
こうした機能により、手作業による手間や負担を大きく削減できます。
とくに青色申告の場合、領収書やレシートなどの証憑書類から多くの項目を入力する必要があり、手続きが煩雑になることが多いでしょう。
ツールを活用することで煩雑になりがちな作業を効率化し、スムーズな申告が実現できます。
税制改正が頻繁に行われる昨今、個人の所得税や法人税のみならず、消費税や地方税など、税金に関する法令もめまぐるしく変化しています。
税制改正の内容を自身で把握し、申告書に反映させて作成するのは非常に難しく、とても多くの時間や労力が必要です。
申告書作成ツールは、こうした税制改正を自動的に反映してくれるため、常に最新の情報にもとづいた適切な申告が行えます。
申告書作成ツールでは、インタビュー形式で、質問に答えていくだけで必要な情報を自動的に反映させ、申告書を自動作成してくれるものが多いです。
こうした機能を活用することで、税務に関する専門的な知識がなくても、適切な申告書を比較的簡単に作ることができます。
数字を入力すると自動的に計算してくれるので、所得控除や税額控除など、複雑な計算が必要な項目も計算ミスを防ぎ、スムーズな申告が行えるでしょう。
申告書作成ツールは、入力された情報が自動的に計算や転記されるため、ツールに過信することで、ミスを見逃してしまうことも考えられます。
ツールによってはチェック機能が備わっていますが、すべての入力を網羅しているわけではありません。
ツールは、あくまでも申告作業を補助するものであるという意識を持ち、自身の目できちんと確認することも重要です。
機能が豊富に搭載されていたり、ツール独自の操作方法を採用していたり、使いこなすためにはある程度の学習が必要です。
申告書にはさまざまな項目があり、それぞれどのような意味を持つのかを、きちんと理解する必要もあるでしょう。
ツールを導入すれば結果が得られるわけではなく、正しく活用することで、本来の効果が得られるという認識を持つことが重要です。
確定申告書(青色申告・白色申告)をはじめ、法人税申告書、消費税申告書、源泉徴収票など、作成したい申告書に対応しているかを確認しましょう。
会計ソフトとの連携機能もチェックすべきポイントです。
とくに、青色申告の場合は、帳簿データと申告書データの整合性が求められるため、会計ソフトとの連携は必須といっても過言ではありません。
既存の会計ソフトがある場合、申告書作成ツールと連携できるか必ず確認しましょう。
申告書作成ツールの多くは、専門知識のない方でも、比較的簡単に申告書が作成できるよう設計されています。
しかしながら、ツールによって操作方法や画面デザインなどが大きく異なるため、きちんと確認することが重要です。
「シンプルな画面デザインで直感的に操作できるか」「解説やヘルプ機能が充実しているか」など、インターフェースに注目するとよいでしょう。
申告書作成ツールは、無料トライアルやデモを提供しているケースが多いので、積極的に活用することをおすすめします。
申告書作成業務では、税法や会計に関する専門知識が求められるため、導入後のサポート体制もチェックしておくべきポイントです。
サポート体制が充実していると、導入後の不明点やトラブル発生時に迅速に対応してもらえるため、安心して利用できます。
具体的には、以下の要素を判断材料にするとよいでしょう。
申告書作成ツールの導入を検討している企業にとって、最適なツールを選ぶことはとても重要です。
本記事で紹介した10選は、法人税から個人事業主向けの確定申告などまで、それぞれ異なる機能や強みを持っています。
ぜひ、自社に合ったツールを選定・導入し、効率的かつ適切な申告書作成業務を実現させましょう。
画像出典元:O-dan