TOP > インタビュー一覧 > 【OKAN オフィスレポ】 フリーアドレスはもう古い?仕事内容によって働くスペースを選べるOKANの新しいオフィスの魅力に迫る!
今回は池袋にある株式会社OKANを取材しました。
OKANは働く人のライフスタイルを豊かにすることをミッションに、オフィスで気軽に健康的な食事を食べられる置き型社食サービス「オフィスおかん」や、離職の約8割の原因となっている、自身の健康状態や家庭との両立、人間関係や職場環境などのハイジーンファクターと呼ばれる要素の調査・分析・改善を支援するサービス「ハイジ」を展開しています。
そんなOKANのオフィスは、欧米のオフィスではメジャーになりつつあるABW(アクティビティベースドワーキング)というワークプレイスを導入し、オフィス設計をしているそう!
まだまだ聞きなれないABWとはどんな特徴があるのか?
新しいOKANのオフィスの魅力を、カメラマンライターのけんわたが取材しました!
このページの目次
▲オフィスについて案内してくださったのは代表取締役の沢木さん(写真左)とヒューマンサクセスグループ グループリードの手塚さん(写真右)
OKANは健康的な社内での食事を提供する「オフィスおかん」、そして健康状態や職場環境などを分析し、早期離職の改善をサポートする「ハイジ」といったサービスを通じて企業の人材流出防止や社内環境の改善をサポートするHR企業です。
今回のオフィス移転には、新しいことにチャレンジしていきたいという想いや、社員の働きやすさを追求するなど、様々な思いがあったそう。
革新的なオフィスが作られた背景についてお話を伺いました。
けんわた
オフィスを移転して約半年ほどになると思うのですが、移転の経緯をお聞かせいただけますか?
沢木さん
まずオフィス移転ってどういう目的を持ってやるかだと思うのですが、OKANには3つの目的がありました。
1つはメンバーのパフォーマンスと健康状態の向上のため、2つ目は会社のブランディングのため、3つ目はオフィスを通して何らかの事業に還元させるため。
それぞれにおいて必要性が出てきたことが移転の理由です。
ありがたいことに、会社としても急成長させて頂いているので、人数規模が増えていく中で前のオフィスではまかないきれなくなったのもあります。
狭い空間に人がたくさんいると二酸化炭素濃度が上がり、誰かが風邪を引くとすぐに広がる。
打ち合わせの場所が足りないということが起こりますよね。そうならないようにしたいなと。
けんわた
確かに、人数のわりにオフィスが狭くなると圧迫感も感じますし、仕事をする前からストレスに感じることもあります...。
沢木さん
もう1つ、リブランディングのためというのもあります。
なぜ行っているかというと、私たちのミッションは「働く人のライフスタイルを豊かにする」というものなのですが、もう少し詳しく落とし込むと「望まない離職を防ぐ」ということが重要ミッションなのです。
けんわた
今、少子高齢化で人手不足が加速する中、早期離職も問題視されていますよね。
沢木さん
そういった問題を解決したいという思いでやっている一方で、我々の基盤となる「オフィスおかん」事業は、食事を扱っているのでよくも悪くも食事サービスというイメージが強いのです。お惣菜屋さんのように。
ただ私たちとしてはただのお惣菜屋さんを運営しているのではなくて「望まない離職を防ぐ」ためのツールとして提供していて、その流れで新しく「ハイジ」というサービスをはじめました。
OKANは、組織課題解決をサポートするHRの会社ですので、オフィス移転を通して皆さんのイメージを変えたいと思っています。
けんわた
様々な思いや投資の意味も込めてオフィス移転をされたんですね。
ただ、ITベンチャーというと渋谷や六本木周辺にオフィスを構える企業が多いと思うのですが、池袋にオフィスを移転された理由はあるんですか?
沢木さん
私たちのメッセージとして「社会に対して新しい考え方や文化を発信する」という思いがあります。
同じように池袋も“暮らしやすさ”の推進で街全体のリブランディングを目指して美術館や映画館を作っているという動きがあり、そこにとても共感しました。
あと、池袋にはまだまだスタートアップが少ないので、池袋のスタートアップのロールモデルになっていこうという思いがありました。
けんわた
オフィスの設計のこだわりや理由などはありますか?
沢木さん
今回のオフィスのポイントが五感を刺激するという点とABWになっています。
ABWはオランダ発祥のワークスタイルなのですが「業務内容に合わせて仕事をする場所を変える」という考え方になります。
つまり同じ人も1日の中で業務にあわせて場所を変えながら仕事をしていくということになります。
けんわた
なるほど...!フリーアドレスの場合席は自由でも1度決めたらその日は動かないということが多いですがそれは新しいですね...!
沢木さん
個人で静かに集中するためのゾーンもあれば、電話をするためのゾーン、また2人横並びで作業できるゾーンや、立ちながら作業するゾーンもあります。
非常に生産性があげやすいのと、色々な人たちが流動的に動いていくのでコラボレーションをうみやすいと言われています。
あとは、壁をできるだけ作らないようにしています。個室の会議室以外では情報を共有しやすくするためです。
けんわた
コミュニケーションの取りやすさを意識されたオフィスなんですね。
沢木さん
あと、五感に関してですが視覚でいうと緑。
緑が視界の中に15%以上あると集中しやすいと言われているので、天井に花や緑を吊るしたり、床にも緑色を取り入れて、パッと見たときに必ず緑が入るようにしています。
けんわた
確かに、今お話を聞いているミーティングスペースも緑に溢れていますね。
沢木さん
次に聴覚。社内では鳥のさえずりだけでなく、私たちの音域では聞き得ないハイレゾ自然音を流しています。
これにはヒーリング効果があると言われています。
けんわた
す、すごい...聞こえないけど安らぎの感覚に溢れてきました。
沢木さん
次に触覚。OKANは社内に靴を脱いで上がるようになっています。
子供は裸足で育てた方が脳への刺激がいいと言われているのですが、同じようにこの刺激があることで社員もアイデアを出しやすくなるなど、脳を活性化することを図っています。
けんわた
確かにオフィスに靴を脱いで上がるというのは初めてです。家に帰ったかと思いました。
沢木さん
次に嗅覚ですが、大型の空気清浄機をオフィスの至るところに設置しています。香りについても現在導入検討中です。
最後に味覚については、こちらは社内に「オフィスおかん」の自販機を設置するのはもちろん、台所スペースもあるので健康的な食事を中心に人が集まってコラボレーションやコミュニケーションが生まれる仕組みとなっています。
けんわた
ここまでこだわられたオフィスは初めて見たかもしれないです...。
もしよければ、これから起業やオフィス移転を考えている方向けに実際に使っておすすめできる家具を教えていただけますか?
沢木さん
まずは会社をどう見せたいかを先に考えた方がいいと思います。
OKANの場合は温かみのあるオフィスを目指していたので、おしゃれなグレーの無機質な家具は合わないんですよね。
なので、木目調のウッドの机やチェアを多く取り入れています。
どの家具がいいかというよりはどのように見せたいかを考えた上でイメージにあった家具を探した方がいいと思います。
けんわた
確かに、オフィスがブランディングになるという観点で考えると見せ方を考えるのはとても大切ですね...。
かなりこだわってオフィスを作られたと思うのですが、コスト削減のためにこだわったことはありますか?
沢木さん
先ほどお伝えしたABWをスムーズに行うために、固定席は設置しませんでした。
また壁を作るのにかなりコストがかかってしまうので、壁を少なくするという取り組みが必然的にコスト削減に繋がったと言えますね。
あとは自分たちで作ったりできるところは自分たちでDIYするのもおすすめですね。前回のオフィス移転の時はオフィス家具を社員でDIYしていました。
けんわた
ありがとうございます!(オフィスを見学するのが楽しみで震えてる)
オフィスを通して何を伝えたいか、社員が快適に働くためにはどのような環境が良いか、を徹底的に考え設計されたOKANのオフィス。
様々な工夫がされて作られたオフィスにはインタビューをしている時から不思議と居心地の良さを感じていました。
それでは実際に、OKANのオフィスを見学させてもらいましょう!
OKANのオフィスに入ると左手にはABWのマップが...!
先ほど説明していただいたゾーンが描かれ社内マップのようになっています。
デザインがとてもかわいく、まるでショッピングモールを巡っているかのようです!
壁がないとお話しされていた通り、会議スペースは広々とした空間でとても開放的です!
広場の奥には集会所のようなスペースも!
定期的にこの広場を使ってイベントを開いているのだそう。
訪れた社外の方も思わずくつろいでしまいそうなスペースです。
そして広場の隅には個室の会議室がありました!
会議室ごとに和柄の名前がつけられ、扉にはその柄が描かれています。
千鳥柄がかっこよすぎる...。
けんわた
こちらの会議室はどのような用途で利用されているんですか?
手塚さん
こちらでは1対1で話をしたい場合など、クローズの空間が必要な時に利用しています。
会議室にも緑が取り入れられています。そして壁にはどこか懐かしい雰囲気の扉が...!
けんわた
まさにOKANが豚汁を持って出てきてくれそうな扉はなんですか?
手塚さん
こちらは前回のオフィスで利用していた扉をそのまま壁に飾っています。
前のオフィスでは古民家のようなスペースを設けていたのでその扉ですね。
実際に使われていた古民家の木材を使っているんですよ。
けんわた
会社なのに家を感じられる空間ってすごいですね...。
奥のワークスペースには立って仕事をする用のスペースも設けられていました!
こちらは立って仕事をしたいという社員の意見を採用して作られたそう。
健康的にも気分転換にもなりそうですね!
こちらは個人で集中する用の作業スペース。
左右が壁で仕切られているため周りの視線を気にすることなく作業に集中できます。
短時間で一気にタスクを完了させたい時など有効活用できそうですね。
けんわた
先ほどの広場よりも照明が暗いように感じますね。
手塚さん
こちらも五感のうちの視覚にアプローチをかけているんです。
実は、人間は少し暗い空間の方が集中できるという研究結果があるんですね。
集団で利用することの多い広場から個人で作業するこちらの空間に向かって、だんだん照明を暗めの暖色にするという工夫をしています。
けんわた
五感へのアプローチの幅が広すぎて自宅より快適な気がしますね。
視覚と聴覚を活性化するために取り入れられているガーデニングとヒーリングミュージック。
不思議とリラックスできる空間にオフィスへのこだわりが感じられます。
ミーティングスペースの近くにも必ず植木が置かれています!
どのスペースを歩いても常に小鳥のさえずりと、無理矢理聴きたいけどやっぱり聴けない音域が流れ、まるで自然の中にいるような居心地のよさを感じます。
1人でリラックスできる縁側スペースにも左右に緑が...!
ここまで徹底されたオフィスは見たことがありません。
けんわた
よく見るとオフィスのいたるところに空気清浄機がありますね。これには何か理由があるんですか?
手塚さん
はい。今、世界的な基準で地球環境をよくするWELL認証という認証を取得するという取り組みが進んでいて、空気がとても重要な項目になっているんです。
それにならって、OKANでも空気自体をどう適正にするかを考え、空気清浄機を多めに設置しています。
けんわた
確かに空気が淀んでいるとやる気が削がれたりしますもんね。
ずっとここで仕事をしていたいです...。
社内環境を良くしていくためには健康的な食事も必要。
そんな想いを抱く「オフィスおかん」を展開するOKANのオフィスの台所は、おしゃれさと快適さを兼ね備えたカフェのような空間でした!
台の上には移転前のオフィスにあった古民家の扉がありました。
誰もが見える位置に大きく設置することで、当初の理念も忘れずにいることができそうですね。
オフィスおかんの自販機は、健康的なお惣菜を簡単に買えるようになっています!
けんわた
自販機のメニューが全部おかんのお惣菜なんですね!
手塚さん
そうですね、多くの社員がおかんのお惣菜を利用しています。
けんわた
これは社内限定の自販機なんですか?
手塚さん
いえ、「オフィスおかん」のサービスとして導入企業様にもご利用いただいています。
冷蔵庫は3種類、自動販売機も2種類用意があり、各企業様のプランにあわせて利用いただいています。
けんわた
(自宅に欲しい)
「オフィスおかん」の商品。全国7箇所の製造パートナーの工場で作られ、新鮮な状態でオフィスに運ばれてくるそうです!
その他にも冷蔵庫やソーダストリーム、コーヒーマシンなど、様々なマシンが設置されていました!
けんわた
コーヒーはよく見ますがソーダストリームを置いてるオフィスは初めて見ました。
手塚さん
そうですね。社内で20種類以上の部活動があって、部活ごとに利用しているものが多いです。喫茶部とか、炭酸部とか。
けんわた
炭酸部ってもはや炭酸を何に活用するのかわからない部活ですが、とても楽しそうですね。
ABWで様々な社員との交流があると、新しい部活も生まれていきそうでとても楽しそうです!
今回お邪魔したOKANは、少し滞在をするだけで五感が刺激され、これまでに見たことのないオフィス空間に終始心がウキウキし、好奇心をそそられる空間でした。
沢木さんがお話しされていた通り、まさに池袋のベンチャー企業の火付け役となり、新たな働き方を提唱してくれるHR企業になる未来を想像できます。
このABWは社員の行動や会社の状況に応じて変化していくそう。
進化し続けるOKANのオフィスに、ぜひ一度遊びに行って欲しいと思います!
愛知県豊橋市出身。フリーランスのライター&カメラマンとして取材/撮影/執筆を行う。趣味は歌と旅とグルメ。
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