再開発が進む品川に新たなオープンイノベーション拠点が設立されました。その名も「AND ON SHINAGAWA(アンドオンシナガワ)」。早速、7月25日に行われた説明会に参加し、どのような場所となるのか取材しました。
AND ON SHINAGAWAは「モビリティ変革」「MaaS」とのその周辺領域に特化したスタートアップを対象とするオープンイノベーション拠点です。運営の主体となる京急電鉄は、自社とその鉄道沿線の持続的発達のために「既存のビジネスモデルを変革し新しい価値を創出していく必要がある」と考え、モビリティを軸とした新たなライフスタイルの創出を狙いとしています。「ユーザーにとって真に何が便利かを考えペインを解決していくには、デジタルでアップデートしていくことが今後は必要になる。そのためにも新しさやスピード感に強みを持つスタートアップと協力していきたい」と京急電鉄の橋本さんは語りました。
モビリティという観点からライフスタイルを変えていくためには、スタートアップだけでなく、投資家や行政などの力も必要となります。複数の団体が1対1ではなく、n対nのコミュニケーションをとれるよう、AND ON SHINAGAWAはエコシステム(生態系)型のコミュニティ形成を目指しています。
そんなAND ON SHINAGAWAのデザインを手がけたのはヒトカラメディアです。エコシステムに重要な要素であるフレキシブルと一体感の2つがテーマとなっています。個室をなくし開けた空間で自由に動くことができる一方で、床や天井の色の違いと、かぎかっこのようなモニュメントの活用によって、内と外を無意識に感じられる構成となっています。これにより白が基調となっている内側の空間では、一体感を味わえます。
ヒトカラメディアの長橋さんは「品川は東海道五十三次の支点となった場所。古くから移動にゆかりのあるこの地に設立することには、AND ON SHINAGAWAがモビリティの拠点になってほしいという思いもある」と語りました。
AND ON SHINAGAWAは基本的にワークスペースとして利用されます。共有エリアと専用エリアが存在し、後者では1つの企業につき3名~10名の利用が可能です。もちろん会議室も存在します。企業の成長により手狭となった場合は、ヒトカラメディアによるオフィス移転のサポートも受けることができます。
またイベントスペースとしてAND ON SHINAGAWAを借りることもできます。この場合は外部企業であっても利用が可能です。
AND ON SHINAGAWA内でエコシステム型のコミュニティを形成するには、イベントが重要になります。モビリティ系スタートアップのピッチイベントなど、月に1回以上、開催することで実現していこうとしています。
8月26日、27日には「京急オープンイノベーションデイズ」と題したイベントが開催されます。スタートアップのピッチイベントを行うほか、京急電鉄によるアクセラレータプログラムの成果発表会も行われる予定です。
コワーキングスペースは数あれど、MaaSといった一つの事業に特化した空間は珍しいのではないでしょうか。このAND ON SHINAGAWAから生み出されるモビリティインフラが、私たちの生活を一新させることになるかもしれません。
山口出身。一橋大学商学部に所属。記者・インタビュアーを目指している。
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