TOP > インタビュー一覧 > 一人ひとりがオーナーシップを持つことで、会社も個人も幸せになる。組織成長を実践までサポートする『全員経営者マインドセット』に込めた想い
2019年4月12日、より良い組織のあり方や、組織の成長の仕方にフォーカスした『全員経営者マインドセット』が出版されます。
成長とは何か、どうすれば成長できるのかを紐解いた『成長マインドセット』の出版から1年、新たに記した本著に込めた想いとは。
著者である、株式会社アイランドクレア代表取締役の吉田行宏さんにお話を伺いました。
吉田行宏 プロフィール
ーはじめに、吉田さんが『全員経営者マインドセット』を通して発信したいことについて教えてください。
本を通して伝えたいのは、「自分の人生の経営者になろう」というメッセージです。
自分の人生の決定権を人に委ねるのではなく、自分自身でしっかりオーナーシップを持つ。そうすることで、人生がより楽しく、素晴らしいものになると考えています。
これまでさまざまな人と話をする中で、自分の人生にオーナーシップを持てていない人が意外に多いことに気が付きました。自分の人生についてもそうですし、人生の中で大きな時間を占める仕事に対しても、決定権を他者に委ねてしまう人が多いと感じました。
会社と自分の人生は別物で、自分の時間を切り売りしてお金をもらっていると考えたり、自分の影響力なんて限定的なものだから、会社の経営や全体への責任なんて無いと考えたりする人がいます。こういった気持ちで働いていたら、本当はもっとダイナミックで楽しいはずの人生まで、萎縮したものになってしまいます。こうした課題感から本を書きました。
ー前回出版された『成長マインドセット』は個人の成長がテーマでしたが、今回の著書では組織に焦点を当てられていますね。
そうですね。お伝えしたいのは、会社の中でもオーナーシップを持つことができるということ、そして、オーナーシップを持つ人がたくさん集まると会社の成長にもつながるということです。
ただ、「オーナーシップを持て」と会社側から言われても、ポジショントークに聞こえてしまいます。そんなこと言って安い給料で長時間働かせようとしているんじゃないか、会社の責任を転嫁しているだけじゃないかと解釈されてしまうんですね。
本当に社員のことを考えている経営者もたくさんいるんですが、それが伝わらないんです。社長も、頑張って働いている社員も、それぞれ心の中で叫んでいるのに、お互いに届かない状態があります。
しかし、本来は両者とも、会社が成長して、そこで働く社員も幸せになることを目指しているはずです。それなのに起きてしまうボタンのかけ違いを、この本で解消できればと考えています。
ー本にはどんな特徴がありますか?
独自に考案したMSマトリクスという図をベースにしています。想いだけだと精神論や自己啓発のように聞こえてしまいますが、この図は様々な経営者とお話する際に使い、実際に「腹落ちした」「すべきことが明確になった」という声を多数いただいている実績があります。
MSマトリクス
価値観は人それぞれですが、言語が多すぎるとなかなか共通認識が生まれないので、この図を「良い会社・組織を作るにはどうすればいいか」をシンプルに考えるためのベースにしてもらえばと思います。
また、概念を知るだけで終わりではなく、具体的な事例や社内で使えるワークなどを紹介することで「すぐに実践できる」ことを重視しています。
特に、経営者やマネジメント層、リーダーに読んでいただきたいですね。また「会社とは何か」の理解に役立つので、働くすべての人にプラスになると思っています。
前作の『成長マインドセット』を読んでいない人にもわかる内容になっていますし、読んでいただいた人にはさらに考えを深める手助けになると思います。
ー吉田さんはさまざまな企業で組織の成長を支援されていますが、書籍という形をとったのはなぜですか?
私はガリバーで働いていた頃から、社員にオーナーシップを持って働くことの重要性を伝えてきました。
はじめは1on1やチーム勉強会のような小さな単位でしたが、企業の急成長に伴って大人数に向けた研修的なワークショップが必要になりました。ガリバーを退任して様々な企業を支援するようになった後も、個別対応が物理的に難しいこともあり、大人数向けのワークショップを続けてきました。
しかし、研修をするには一箇所に集まってもらわないといけないですし、一度に伝えられる人数には限りがあります。より多くの人に伝えるためにはどうしたらいいか考えた時、書籍化が選択肢に上がりました。
はじめは、研修の臨場感を本にして伝えるのは難しいのではないかと思っていました。しかし実際に書いてみて試読会などを重ねるうちに、「伝わるかもしれない」という手応えが強くなったんです。
ー実際に前作の『成長マインドセット』出版されてみて手応えはいかがでしたか。
出版すると、本当にたくさんの方に読んでいただくことができました。料理研究家や旅館の経営者など、研修をしているだけでは出会えなかったさまざまな方も感想を書いてくださいました。それを見ても内容が十分伝わることがわかりましたし、書籍を使って独自に社内でワークショップを始める会社も出てきたんです。
書籍化は本当に大変でしたが、自分の考え方を伝えるツールとしてあり得るということがわかりました。ただ、個人編を書いてみて、これだけでは十分でないという感覚も残ったんです。これまで私はいろいろな企業の経営を支援してきたので、組織に特化した内容をもっと深く伝えたいと思いました。
特に、これまでの経験から企業の組織作りの重要性を感じていました。多くの企業が組織の重要さはわかっているものの、優先度・緊急度が高い事業に意識も工数も取られてしまっていました。
また、実際に組織を育成したり、組織の成長について学んだりする機会が少ない状況もありましたね。経営者は独学で組織の育成に取り組む人が多かったです。
こうした状況を見ていて、組織を成長させるための原理原則をうまく伝えられれば、それを軸に経営者やリーダーが自分なりのやり方を深めていけるはずだと考えました。
また、企業に対する事業やテクニック、資金的な支援はあるものの、組織に関する支援がほとんどないことにも気づいたため、自分が組織の原理原則を伝える役割になろうと思ったんです。
ー伝え方で意識している点はありますか?
こちらから何かを教え、諭すことはしないようにしています。結局組織は人なので、マネジメントも組織によって千差万別。最終的にどうするか決めるのは経営者やリーダーです。
私は25社以上の企業をサポートしていますが、経営者に正解を示したことはありません。さまざまな選択肢を提示したり、選択する理由を深掘りしたりして、可能性を最大化し、リスクを最小化するための思考のサポートをしています。
それと同じように、書籍もあくまで私なりの考え方やこれまでの事例を紹介して、苦労している経営者やリーダーが自分なりの解を見つけ出せるよう支援する形を取っています。
人は一方的に意見を押し付けられると、思考停止に陥ってしまいがちです。そうならないよう、リアルな課題に対してのワークを入れて、自分で考えられる作りにしています。
ー最後に、読者にメッセージをお願いします。
ほとんどの会社のミッションやビジョンは、世の中をより良くすることに繋がっていると思います。だからこそ、会社が事業を推進するために誰かを犠牲にしたり、我慢をさせたりするべきではないはずです。
経営者やリーダーは、売上目標を達成するためのリソースとしての側面だけで組織を見るのではなく、ミッション・ビジョン実現の経営メンバー仲間として組織や社員を大事にしてほしいと思います。
一方で、社員の方は会社の捉え方が変わるといいなと思います。会社という船に強制的に乗せられているわけではありません。一緒に船を進める重要なメンバーなのです。
オーナーシップを意識し、自分のマインドセットが変化することで、その役割はどんどん大きくなります。そうなると仕事のやりがいや楽しさが変わり、人生の見え方も広がると思います。
実際に、私が支援している会社でもMSマトリクスを活用しており、どんどんオーナーシップを持って働ける人が増えました。マインドセットが変わると言動が変わります。他責の言葉を使わなくなり、会議でも積極的に発言できるようになります。他の社員からも「彼、明らかに成長したよね」という声が増えていきます。
会社全体としても、社長対その他社員、という対立構造がなくなり、社長と一緒に考えて決めて進んでいこう、という空気が社員の中にできてきます。信頼関係が強固になり、コミュニケーションも円滑になっていく、そういう組織をもっと増やしていきたいですね。そしてその結果、オーナーシップを持って人生を謳歌する人が増えるといいと思います。
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