国内No.1チャット小説アプリ「Balloon」を運営する、株式会社FOWDの代表取締役、久保田涼矢さん。22歳の若さで起業し、そのバイタリティーあふれる姿勢から数々の投資家をうならせている。
そんな久保田さんに自身の考え方やこれまでの経験について伺うと、「チャンスが来たら必ずモノにできる状態でいる」という考えは、久保田さんの経験全てから紡ぎ出されたものであることが分かった。
プロフィール
久保田涼矢
物心つく前に両親が離婚したので、幼いころは祖母に育てられました。中学生の時に初めて自身の生い立ちについて知ったのですが、周りがいわゆる“普通の幸せ”を得ている中で、僕は自分の知らない範囲で起こっていることや、予想外の出来事に振り回されてきた気がしました。この経験が今の自分のベースでもある、「想定外の状況、出来事を避けたい」という想いの源泉になりました。
中学の時から「最終的に頼りになるのは自分自身」だと強く感じ始めたので、実家から離れた高校への入学を決め、一人暮らしを始めました。
高校在学中は生活費を稼ぐためにウェブ制作の受託をしました。この経験から計画的に準備をして生活を立て、人生を切り開いていく能力がつき始めました。
高校卒業後は様々な人との出会い・経験を求めて上京し、様々な職に就きました。多くの業務を一人でこなす経験をしていく中で、優先度を整理したり、並行して物事を考える能力が身につきました。
中でもベンチャーキャピタルで働いたことで、会社を始めるには「自分の中の正義」、つまり何のためなら会社を続けられるか、を持っていないと精神的に続かないのだろうと強く感じました。では何のためなら自分は頑張って働けるかということを考えたときに、真っ先に思い浮かんだのが「家族」というキーワードでした。
人生の半分以上一人暮らしをしているので、僕にとって、家に帰ったらご飯があるというのはフィクションなんです。でも、だからこそ人の温かさを有難く感じたり、当たり前のことを特別だとも感じられます。「周りの人、近しい人をハッピーにしたい」という想いはずっと価値観として持っていて、ならば一緒に楽しめるエンタメ領域で事業をやろう、と決意し、FOWDを創業しました。
↑FOWDが運営しているチャット小説アプリ「Balloon」。多くの若い女性から人気を集めている。
僕は「これをやりたい」と思ったときに、それに必要な能力を自分が持ち合わせていない状況が一番嫌なので、あらゆる選択肢を吟味し、想定外のリスクを取るような状況が起こらないように心がけています。
このためには先を読む能力が必要なのですが、それも自分の小さい頃からの経験が活きているんです。僕は小さい頃からボードゲームが好きだったのですが、そのおかげで今でも仕事で「自分がどう動けば、どういう結果が得られるのか」を常に頭の中でシミュレーションしますし、自分を碁盤の石として見る感覚は常にあります。
先を読むことはコミュニケーションにも活かされています。例えば誰かとお会いする前にはより良い関係を築けるよう、相手のことを徹底的に調べます。後になって「もっと良い会話ができたはずだ」と後悔したくないですから。これは実は塾講師のアルバイトでも鍛えられました。
集中力が長く続かない子供達相手に仕事をする中で、どうやったら関心をもって授業を聞いてくれるか考えた結果、子供達の間で流行っているものを事前に調べることにたどり着きました。子供達に身近なもの、関心のあるものを例に交えて話すと、相手の理解力・関心を高められ、自分の労力以上の効果を引き出せるようになりました。
また、僕が子供のころにやっていた少林寺拳法の「力愛不二(りきあいふじ)」という教えも僕の中での芯になっています。この言葉は簡単に言うと、暴力を振るわれている人を守るには相応の強さが必要だ、という意味です。力愛不二の教えはビジネスでも一緒だと考えていて、自分が「こんな仕事をしたい」「ユーザーにこう感じて欲しい」と思っても、それを実現するだけの力が必要だと思います。
チャンスが来たらモノにするには、地道に一つずつ努力を重ねて、自分ができることを増やす事が大切だと思います。僕はその努力をこれからも続け、自社のプロダクトを通して周りの人をハッピーにしていきたいと思っています。
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