「未踏アドバンスト事業」     エンジニアを活動資金&事業化サポートする事業の魅力

「未踏アドバンスト事業」 エンジニアを活動資金&事業化サポートする事業の魅力

記事更新日: 2019/03/20

執筆: 篠田侑李

最先端技術が誰よりも好き!ワクワクする未来を本気で実現しようとする技術者を応援する、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「未踏アドバンスト事業」をご存知ですか?

未踏アドバンスト事業
「ITを駆使してイノベーションを創出することのできる独創的なアイディアと技術を有するとともに、これらを活用する優れた能力を持つ、突出した人材を発掘・育成すること」を目的とする。

応募者は技術を用いて事業化(ビジネス、社会実装)を目指すことが必須。応募年齢は無制限

なお、未踏アドバンストの他に、若い逸材の技術を磨くプログラムとして「未踏IT事業(正式名称は未踏IT人材発掘・育成事業)」があり、25歳未満が応募できる。

 技術が大好きで、技術を極めたい!という方にはぴったりのこのプログラム。今回は統括PMの竹内氏とPMの漆原氏にお話を伺いました。

未踏IT・未踏アドバンストのプログラムは非常に寛容

「僕たちには、あなたの技術の凄さがわかります。」


漆原氏:「社会人になるとビジネスプランとかお金稼ぎとか、そういうのが求められますよね。これらを重視しすぎると、ワクワクを追い求めて未来のことに熱くなれる技術者を、潰しかねないのです」

VCなどの機関に出資を求める場合は、技術開発者がその技術の価値を上手く説明して投資家にわからせないといけません。事業計画も無理やり作り上げないといけません。

ただ、その技術があまりにぶっ飛んでいて現実的でなかったり、まだ世の中にないものだったりする場合はどうなるでしょう。

未踏IT・未踏アドバンストは、そういう卓越した人材にこそ焦点を当て、育てていく「技術力優位」のプログラムであり、そこが他のアクセラレーションプログラムとは違うといいます。

竹内氏:「未踏では、難しすぎる、とんがりすぎていると思われる技術の凄さ・価値がわかる人がPMとして参加しています。他の人から変人扱いされることもある技術者を全力で応援します。作業時間に応じた人件費を支払う仕組みなので、出資や融資とは違い、プレッシャーを感じずにのびのびと研究・開発に没頭できるのがこのプログラムの良いところです。」

漆原氏「他の誰にもわかられなくとも、僕たちにはその技術の素晴らしさがわかります。短期的な小さい成果はいりません。思いっきり挑戦をやりきってください。高い目線の若い人たちが見る未来は、必ず実現される。ただ事業化しようとすると、技術だけでは難しい。僕たちPM陣は、その難しさとワクワク感を共有し一緒に未来社会を作っていくことに醍醐味を感じています。」

プログラムの風土

このプログラムには、ビジネスの基本はまだよく知らないけれど、技術にこだわりを持ち開発に勤しむ人が沢山いるといいます。

2000年から始まった未踏IT事業では、メディアアーティストの落合陽一氏、株式会社Preferred Networksの岡野原大輔氏など、世の中で大きく活躍する技術人材を多く輩出しています。修了生の進路は、起業・企業への就職・アカデミアの分野にそれぞれ1/3ずつバランスよく分かれているそうです。

自信とエネルギーに満ち溢れた人が多く、企業の最前線で活躍する人や、経験を積んだらスピンアウトして自ら事業を起こす人もいるとか。技術を極めるプログラムで経験を積んだからこそ、修了生はそれぞれ活躍する場所を広げることができるようです。

「修了生同士のコミュニティも活発で、後輩の相談に乗ったり、合宿に参加したりするなど、プログラムの修了後も積極的に貢献してくれています。」(竹内氏)

未踏アドバンストはまだ始まったばかりですが、最初の修了生の中には、SXSWにTodai To Texas枠で参加されたNature Architects Inc.の大嶋泰介氏(計算的弾性体を社会実装するためのプラットフォームの実現)など、注目の若手エンジニアが多数います。
(大嶋氏の会社/プロジェクト:https://www.ipa.go.jp/jinzai/advanced/2017/seika.html


大嶋氏が修了後に製作したベンチ。三菱地所のInspired.Labに採用されている。

支援内容

参加者には、活動資金(未踏アドバンスト:最大1,000万円 | 未踏IT:最大230万4,000円)が作業時間に応じて支給されます。「人件費」としての支給なので、使途の報告のための事務処理に時間を割く必要がなくなり、技術開発にのめり込む時間が増えます。

やりたいことをやってお金がもらえ、片手間に必要経費を稼ぐ必要もない。このプログラムでは、没頭できる環境が保証されています

未踏IT事業ではアドバイザーとしてPM(プロジェクトマネージャー)が、未踏アドバンスト事業ではPMに加えBA(ビジネスアドバイザー)が、各プロジェクトに参加します。

支援内容はPM個人の裁量によるので、それぞれ携わる頻度や内容も違います。最初自由に挑戦する参加者/チームもあれば、PMにステップごとのアドバイスを受ける人もいるそうです。

参加するPMはお互い独立しているので、それぞれが興味を持って面白いと思うチームを支援していることもポイントです。「PMが自分の専門分野じゃないところを支援した方が、師弟関係ではなくバディー関係になるので、お互い苦労して協力していき、絆を深められます」(竹内氏)

どんな人に応募してほしいか

お金儲けも、利益の社会還元も、社会問題解決も、全部良い

寛容な支援内容と素晴らしいOB・OG陣の揃った未踏のプログラムは、とんがっている逸材を募集していると竹内氏は言います。

未踏アドバンストは企業への株式投資ではなく、個人への支援事業です。だからとても自由でやりやすいはず。未踏性のある自分の夢を実現したいと考えている人には是非応募してほしいです。次の公募がまだ3年目。普通じゃない、見たことない、私が未踏アドバンストの伝統を作る!みたいな人に早く来て、旗を立てて欲しい。失敗は勲章ですから!

近年ではスタートアップがもてはやされ、業界のディスラプトは技術スタートアップありきと言われます。技術好きの人間が未来社会を想像・創造する可能性は計り知れません。そんな彼らの可能性を信じるこのプログラム。我こそは!という方は是非応募してみてください。

「技術を社会に試したくてうずうずしている人、いらっしゃい!本気で試せる環境がここにありますよ。ぶっ飛んだ内容のご応募、お待ちしています。」(漆原氏)

2019年度の公募概要はこちら!https://www.ipa.go.jp/jinzai/advanced/2019/koubo_index.html

 

篠田侑李

この記事を書いたライター

篠田侑李

テキサス大学オースティン校で映画・メディア・インテリアデザインを学ぶ。趣味は旅行、そぞろ歩き、都内のアンテナショップ巡り。テーマパークの創り手側につくのが夢。

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