【融資体験談】累計5億円をデットで調達した実務家が語る、金融機関担当者を「最強のチーム」に変えるまで

【融資体験談】累計5億円をデットで調達した実務家が語る、金融機関担当者を「最強のチーム」に変えるまで

プロトスター株式会社 コーポレート部 部長 塩川 勇樹氏

記事更新日: 2026/04/24

執筆: 編集部

「創業したいけれど、手元資金だけでは不安」「融資を受けたいが、金融機関とどう向き合えばいいかわからない」そんな悩みを抱える起業家は少なくありません。

今回お話を聞いたのは、弊社コーポレート部 部長の塩川。あらゆるフェーズで累計5億円超のデットファイナンスを成功させてきた、融資の現場を知り尽くす実務家です。

「融資は単なる借金ではなく、経営の主導権を守りながら事業を前に進めるための、合理的な一手」と語る塩川に、実際の融資現場で何を見てきたのか、担当者を「最強の味方」に変えるための実体験を詳しく聞きました。

累計5億円。なぜ「エクイティ」ではなく「融資」を選び続けるのか

──塩川さんはこれまで、数々の企業で多額の資金調達を経験されています。まずは、その実績について教えてください。

塩川:これまで事業会社の管理部門を統括する立場で、あらゆるフェーズのデットファイナンスに携わってきました。

具体的には、会社拡大フェーズに3つの銀行から計3億円を調達したり、私募債を発行したりといった大規模なもの。さらには、所属していた会社での飲食店開業や保険代理店設立といった「ゼロからの創業融資」まで経験してきました。これらを合わせると、トータルで5億円ほどのデット(融資)を動かしてきたことになりますね。

──それだけの実績があると、VC(ベンチャーキャピタル)などからの「エクイティ(出資)」という選択肢もあったかと思います。なぜ融資にこだわったのでしょうか?

塩川:「できる限り株を渡したくない」という考えがあったからです。出資を受けることで、出資者の人脈を事業に活かすことができたり、アドバイスをもらえたりというメリットもありますが、その分、経営権の一部を手放すことになります。もちろん、どちらが正解かは事業の状況や戦略、資本政策によって異なりますが、仕組みを十分に理解しないままエクイティに踏み込み、気づけば経営の主導権が薄まっていた──そんなケースも耳にします。自社の勝ち筋を信じているなら、まずは融資で資金を確保することを選択肢の一つとして検討してみてほしいと思います。

創業融資の実際。事業計画を支える「根拠」の揃え方

──創業融資の準備で、塩川さんが特に意識されたことは何でしょうか。

塩川:日本政策金融公庫と民間の銀行、そのどちらにおいても、創業時は実績(試算表)がまだありません。だからこそ、「3カ年の事業計画書」が重要になります。そして、それがいかに正しいかを示すための補足資料(エビデンス)を徹底的に準備しました。

※創業から3年間の売上、経費、利益、および資金繰りの見通しを数値化した計画書

──「エビデンス」というと、具体的にどういったものですか?

塩川:審査する側からすると、数字だけ並べられた計画書を見ても「本当にこの通りにいくのか」は判断できません。そのため、「この売上が立つ根拠」として代表の過去の実績や経歴を細かく示し、「これだけのお金がかかる」という証明として見積書を必ずセットで提出する。そうやって数字の整合性を一つひとつ丁寧に裏付けていくことで、審査側が納得できる材料を揃えることを大切にしてきました。

事業推進と財務リテラシー。タイプが違うからこそ専門家を頼る

──代表が一人でこれらを準備するのは、かなりハードルが高いようにも感じます。

塩川:私がこれまでの現場で感じたのは、「事業を推進する脳みそと、会計的な脳みそはタイプが違う」ということです。代表は事業への熱い想いを持っていますが、金融機関側が求めるのはシビアで客観的な説明です。ここを一人で両立させるのは相当な労力ですし、本来は事業を作ることに集中すべきタイミングですよね。

──しかも大前提として、融資の面談は代表の出席がマストですよね。

塩川:はい、そこは絶対に逃げられません。私の場合は社内の財務担当として代表の面談に同席し、横から数字の根拠を補足することができました。ただ、創業期のスタートアップが、社内に金融機関と共通言語で話せる専門人材を抱えているケースは稀だと思います。

──社内に塩川さんのような適任者がいない場合、どうすればいいのでしょうか。

塩川:本番の面談で、代表が一人でも自信を持って自社の資金調達計画を語れるように、事前に外部のプロを頼り「完璧な準備」をしておくことです。面談の場では誰も助けてくれません。だからこそ、本番前に徹底的な面談シミュレーションを行ない、事業計画の数字の根拠をどう説明するか、厳しいツッコミにどう返すかを一緒に作り上げておく。我々もまさに黒子としてその準備をサポートしていますが、事前にプロとの壁打ちを済ませておけば、代表は事業の想いを語ることに集中できますし、結果的に融資してもらえる金額を上げることにもつながります。

【融資検討中の方へ】

累計200件超の支援実績と1万社超のネットワークで、資金調達をサポートします。

  • 着手金0円
  • 完全成功報酬
  • オンライン対応可

金融機関担当者は「審査部」へ共に戦いに行くパートナー

──数億円規模の融資を実現させてきた塩川さんならではの、金融機関担当者との向き合い方はありますか?

塩川:金融機関の担当者は数年で異動しますが、私は担当が変わるたびに一から丁寧に会社説明、事業説明をするようにしています。基本的には、金融機関は異動する前に後任に引き継ぐということになっていますが、どれほどの情報が引き継がれているか不透明ですし、その精度も人によって差があるからです。

──なぜ、そこまで徹底されるのでしょうか。

塩川:最終的に融資の稟議を審査部に通すのは、目の前の担当者だからです。こちらがどれだけ魅力的な計画を作っても、担当者が納得して「この会社を応援したい」と思ってくれなければ、良い稟議書は書けません。だからこそ私は、自社の事業を語れるように現場のイベントを積極的に手伝わせてもらったり、見学させてもらったりします。担当者を本気で巻き込むには、まずこちら側が圧倒的な熱量と根拠を持って説明し尽くす必要があるんです。

──担当者を巻き込むために、他に工夫されていることはありますか?

塩川:最近の銀行は、融資だけでなく、ビジネスマッチングやイベントの案内などの「プラスアルファの貢献」をKPI(目標)にしていることも多いです。だからこそ、こちらからも「何か良いマッチングはないですか?」と相談し、彼らのリソースを活用させてもらう。そうやって密なコミュニケーションを取ることで、単なる融資だけの関係ではなく、共に事業を大きくするチームのような関係を築くことを意識しています。

融資が決まって変わった「景色」と、融資を考えている方へのアドバイス

──実際に融資が決まった後、経営の現場はどう変わるのでしょうか?

塩川:一番は、「明日、来月の資金繰りをどうしようか」と悩む時間がなくなることです。前職の社長が、「起業して最初はお金がなくて、来月の従業員の給料をどうやって支払うかを毎月考えて、乗り切っていた」とよく語っていました。特に創業初期はお金がないのが当たり前。そんな中で資金を確保できれば、資金が尽きるまでの心の余裕ができ、その分事業成長のために時間を使えるようになります。

──精神的な変化も大きそうですね。

塩川:本当にそうですね。お金の心配をせずに、しっかり事業に向き合えるようになる。そのための時間と精神的な余裕を買うのが融資だと思っています。

──最後に、これから融資を考えている方へメッセージをお願いします。

塩川:まず大前提として、融資は決してネガティブな「借金」ではありません。事業成長にフルコミットするための、極めて合理的な経営選択です。

それを実現するためには、「数字の根拠」と「熱意」の両輪が必要です。ただ、経営者が一人で財務のプロになろうとする必要はありません。根拠となる数字やエビデンスをかき集めてロジックを組み立てる泥臭い作業は、社内外の専門家をうまく「活用して」任せればいいんです。

一人で慣れない作業に時間を割くより、うまくプロを頼って皆さんが本来の役割に集中し、一歩でも早く事業を前に進められる環境を手に入れてほしいなと思います。

融資成功の鍵は「審査を突破する根拠」と「担当者を味方にする対話」

塩川の体験談にもあったように、融資を成功させるためには、数字の整合性を示す「エビデンス」と、担当者に「この会社を応援したい」と思わせる関係構築が不可欠です。

しかし、事業を推進する力と財務の専門知識は別物であり、日々の経営に追われる多忙な中でこれらを一人で完結させるのは至難の業です。

プロトスターでは、累計5億円超の調達を経験した実務家チームが、金融機関が重視するポイントを的確に押さえたロジック構築から、将来の出口を見据えた資本政策の策定まで、資金調達をトータルでサポートします。

「まだ構想段階」という方でも、最適な資金調達のタイミングや手法をご提案します。まずはあなたの事業の展望をお聞かせください。

  • 着手金0円
  • 完全成功報酬
  • オンライン対応可
編集部

この記事を書いたライター

編集部

ページトップへ