インターン入社2週間で20人の起業家と話した私が起業家になるまで~AdMel代表・高橋桃花が語る、プロトスターで磨いた『問いを立て、深掘る力』~

インターン入社2週間で20人の起業家と話した私が起業家になるまで~AdMel代表・高橋桃花が語る、プロトスターで磨いた『問いを立て、深掘る力』~

株式会社AdMel代表・高橋桃花氏

記事更新日: 2026/01/30

執筆: 編集部

インターンにもかかわらず、起業家向けイベントを開催した。

大学2年生の高橋桃花さんがプロトスター共同創業者・栗島祐介氏(現HAKOBUNE代表)直下のインターン枠に応募し、入社直後に任されたミッションは、「起業家向けイベントの企画」だった。起業家の知り合いはほとんどいない。でも、「起業家に聞いてみたら良い」のアドバイスのもと、Twitter(現X)でDMを送りまくった。

学生インターンを「単なるバイト」ではなく、「1人のプロフェッショナルとして打席に立たせる」――それがプロトスターのスタイルだ。

それから約4年。彼女は独立系VC「HAKOBUNE」の創業メンバーを経て、2024年6月に株式会社AdMelを創業。アプリ内音声広告という新市場に挑んでいる。

「起業準備の場」としてのプロトスター、そして「実践を通じて学ぶ環境」が、どのように一人の学生を起業家へと変えたのか。高橋さんに聞いた。

現在の事業紹介――「愛される広告」を目指すAdMelとは

――まず、現在の事業について教えてください。

高橋:株式会社AdMelは、2024年6月に創業しました。今1年半くらいですね。アプリ内音声広告プラットフォームを開発・提供しています。

スマホゲームを遊んでいる時間に、音声でCMが流れるという仕組みです。従来の広告がコンテンツの邪魔をしてしまう体験を変えたいんです。

――「愛される広告」という理念が印象的ですね。

高橋:はい。実は私、学生時代にウェブマーケティングの会社でインターンしていて、YouTube動画広告を作っていたんです。でも、ちょっとグレーな表現とか、小手先のテクニックで興味を引かせるような広告を作ることに違和感があって。

「これって本当にユーザーのためになってるのかな?」って。

その後、VCで働く中で、スタートアップのマネタイズには広告が切り離せない存在だと学びました。でも「広告を入れるとユーザーが離れちゃうよね」というジレンマもある。だったら、新しいプラットフォームを作ろうと思ったんです。

株式会社AdMel 公式サイトはこちら

大学2年生、プロトスターとの出会い

――プロトスターとの出会いを教えてください。

高橋:大学2年生の時です。実は高校生の頃からビジネスの仕組みを考えるのが面白いなと思っていて、ビジネスコンテストに出たりもしていたんです。ただ、当時は起業とかは全然考えていませんでした。

大学1年生からインターンを始めていて、1社目は新卒採用支援の会社、2社目はウェブマーケティングの会社でした。2社目で海外のスタートアップのリサーチをする中で、「スタートアップ」というキーワードを意識するようになって、次のインターン先を探していたんです。

その中でプロトスターを見つけました。

――どうやって見つけたんですか?

高橋:インターン採用媒体ですね。

――なぜプロトスターを選んだんですか?

高橋:「起業家を支援する場所」だったからです。スタートアップに興味があったので、起業家の近くで働けば、そのリアルを学べると思いました。

あと、インターン採用媒体で「栗島さん直下のインターン」という募集を見つけて、「この人の下で働けるなら、絶対にプロフェッショナルとして成長できる」と直感したんです。当時はまだ自分が起業するとは考えていませんでしたが、スタートアップのリアルに触れたいという思いで飛び込みました。

「2週間で20人と話す」――最初のミッションで学んだこと

――プロトスターでの最初の仕事は何でしたか?

高橋:初日のオリエンテーションで栗島さんから、「起業家向けのイベントを開いて」と言われました。企画して、実施して、NPS(参加者満足度)を測って、高いものを作れと。

――いきなりそんな大きな仕事を? 経験はあったんですか?

高橋:ほぼなかったですね(笑)。ちょっとしたイベントサークルみたいなのはやっていましたけど、そもそも起業家の知り合いがいなかったので、誰を呼ぶんだろう、何をするんだろうって全然イメージが湧かなくて。

――どうしたんですか?

高橋:いろんな人に「どうしたらいいですか?」って聞いたら、「起業家に聞いてみたら良い」と言われて(笑)。それで、自分なりにTwitter(現X)やSNSを使って同世代の起業家にDMを送り、お話を聞いて回ることにしたんです。

2週間で約20人ほどの方とオンラインでお話をさせていただきました。そうやって直接声を聞くことで、ようやくイベントの「解像度が上がった」という感覚がありました。

――大変でしたね。

高橋:そうですね。当時は本当に無茶ぶりだなって思って(笑)。でも、期待してもらってるんだなって感じたので、頑張れました。

栗島さん直下で働くということ

――栗島さんの下で働いた経験は、どんな影響を与えましたか?

高橋:一言で言うと、「決断の速さと、本質を見抜く力」を学びました。

当時の私からすると、栗島さんは理解不能な生き物でした(笑)。決めてやるまでのスピードがすごく速くて、サイクルが早く回っている。

今、自分でスタートアップをやり始めてから振り返ると、「むしろそれくらいのスピード感が当たり前」だと理解できるんですけど、当時はびっくりしていました。

栗島さんは結構いろんな動きをされていて、マネジメントという感じではなかったんです。でも、別の社員さんがサポートしてくれていて、私が孤立しないように気にかけてくれていました。

――プロトスターでは幅広い業務をされていたんですよね。

高橋:はい。行政向けの営業、スタートアップのリストアップ、起業家コミュニティ運営のサポート、VC向けのインタビュー記事作成など、結構幅広くやらせていただきました。

――印象的なエピソードはありますか?

特に印象的だったのが、起業家コミュニティでのエピソードです。

若手起業家から「学生とかにヒアリングしたい」という依頼があって、私が学生を繋いだんです。そしたら、起業家の方から皆さんの前で「高橋さんのおかげです」って言ってもらえて。

普段の仕事は数字では表せないものだったので、こういうところで自分のやっていることが評価されたという実感が持てました。すごく嬉しかったですね。

VCへ、そして起業へ――「やるかやらないか」だと気づいた瞬間

――プロトスターの後、VCの創業メンバーになったんですよね。

高橋:はい。大学3年生の時に、独立系VC「HAKOBUNE」の創業メンバーとして参画しました。

実は、プロトスターでVC向けのインタビュー記事を書く仕事をしていて、そこでVCという仕事に興味を持ち始めたんです。

ただ、ある時、前川さん(プロトスター代表、元VC)とランチに行った時に「なんでVCなんてやりたいの?」って、結構きつめのフィードバックをいただいて(笑)。

そこで、VCの仕事とか、自分が何ができるかを真剣に考えるようになりました。

――VCではどんな仕事を?

高橋:主にシード期のスタートアップの支援です。資金調達のサポート、事業計画の壁打ち、ピッチ資料の作成アドバイスなど。学生インターン時代から含めて2年半くらいやらせてもらいました。

ここで学んだのが、ファイナンスの実務です。これが今、AdMelでの事業運営にすごく役立っています。

――VCでの経験が、起業へと繋がっていったんですね。

高橋:そうですね。いろんな起業家さんと接する中で、起業という生き物が、あまり特別すぎるものではないと感じられたんです。

プロトスターの時は、「起業ってすごい生き物だ」みたいに思ってたんですけど、「案外、やるかやらないかだな」と。

いい意味での勘違いをしてスタートできたというのはあります(笑)。

希少性を活かす場の見つけ方

――プロトスターでの経験が、今の事業にどう活きていますか?

高橋:一番大きいのは、「本当に求めている本質的な価値は何か」という問いを持って動くことです。

プロトスターでは、行政や事業会社など、いろんなステークホルダーと向き合う仕事が多かったんです。それぞれの思惑や課題、目指すものがある中で、表面的な問いの立て方じゃ難しい。本質を引き出して、繋げることが大事だと学びました。

――現在、AdMelのチームはどんな体制ですか?

高橋:社員はまだいないんですが、業務委託が10人くらいいます。開発メンバーが中心ですが、最近はセールスとか外向けに動いてくれる方も増えてきました。

――どうやってメンバーを見つけたんですか?

高橋:先輩に頼るのが一番だと思って。

自分が作りたいものに近い広告プロダクトを作った経験がある方にお話しに行って、手伝ってもらえるようになったり、株主になってもらったりと広がりました。

今いるメンバーはベテランの方が多くて、皆さん私よりも全然歳が上です。そういう方に支えてもらいながらやっています。

――若手として、BtoB事業で大変なことはありますか?

高橋:はい。正直、経験がないことも多いし、業界の慣習も分からない。若手が戦うのって大変だなってめちゃくちゃ感じています。

でも、プロトスターで栗島さんに教わったんですけど、Facebookを積極的に使うようになりました。

私たちの世代って、日常でFacebookなんか使わないし、「おじさんたちのもの」みたいなイメージで(笑)。でも、逆にそこに食い込んでいくからこそ、若手でもビジネス界に入れるし、目立てもする。

自分の希少性を活かせる場ややり方を見つけていくことが大事だと思っています。

未来の挑戦者へ――責任を持ってやり抜いた先にあるもの

――挑戦者支援の場は、日本にもっと必要だと感じますか?

高橋:はい、本当にそう思います。

最近はいろんな制度が増えてきたとは思うんですけど、挑戦することが特別すぎない雰囲気、仮にうまくいかなくても大丈夫だよという環境は、もっともっと手厚くなってもいいと思います。

最近、スタートアップ業界ではネガティブなニュースも多いんですけど、「やっぱり大手に就職した方がいいじゃん」じゃなくて、「まだまだスタートアップだからやれることがあるよ」って言っていく必要があると感じています。

――最後に、これからプロトスターで挑戦しようと思っている人へメッセージをお願いします。

高橋:ぜひ、受け身ではなく、自分がどうすれば目の前の時間を1秒でも価値あるものにできるかという視点で飛び込んでほしいなと思います。

プロトスターは、本当にいろんなチャンスをもらえる場です。その中で責任感を持ってやり抜く。それをした先にしか、信頼とか「あなたのおかげです」という言葉はもらえないと思うんです。

それを言ってもらえた時の嬉しさは本当に格別です。

ぜひそれを目指してチャレンジしてほしいです。

クロージング(編集後記)

取材を終えて、高橋さんの言葉で最も印象的だったのは、「プロトスターは、学生を単なるインターンではなく、1人のプロフェッショナルとして打席に立たせてくれた」という一言だ。

大学2年生に「起業家イベントを企画して」と任せる。「起業家に聞いてみよう」と送り出す。一見、無茶なようにも見えるが、これこそが「起業の準備」に最も必要なプロセスなのだろう。

高橋さんは、当時は起業を明確に意識していたわけではなかった。でも、プロトスターやVCでの経験を通じて多くの起業家と接する中で、「起業という生き物が特別すぎるものではない」「やるかやらないかだ」と感じ、自然と起業への一歩を踏み出していった。

プロトスターは、挑戦者を本気で育てる場所だ。そして、その挑戦者たちが、次々と起業家として羽ばたいている。

高橋さんのように、「スタートアップに興味がある」「いつか何かに挑戦したい」と思っているあなた。

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