TOP > インタビュー一覧 > 【起業家たちの再チャレンジ体験談】失敗しても諦めない!反省点を次の起業に活かした6名によるピッチ|元起業家を積極的に採用する企業ピッチも紹介
TOKYO Re:STARTER コミュニティイベント 1月開催
「TOKYO RE:STARTER」は起業後の多様なセカンドキャリアに関する情報発信をすると共に、リスタートを目指す起業家を支援する東京都の取り組みだ。
2025年1月29日のコミュニティイベントでは、過去の起業経験を糧に新たな挑戦をはじめたゲスト達によるピッチを実施。
登壇者
すべて体験談のため、机上の空論ではなくリアルな実情を知ることができる点がメリットだ。
イベント後半は、起業経験者を積極的に採用している企業による会社紹介ピッチと交流会を開催。
起業経験の生かし方について様々な視点で語られたイベントをレポートする。
このページの目次
プロフィール
株式会社LeapAI 代表取締役
学生起業し複数の失敗を経験。新卒で株式会社リクルート入社後、転職マーケティング業務に2年間従事しその後独立をして株式会社LeapAIを創業。
今回お伝えするのは、私のしくじり体験の数々です。
1つ目は、大学4年生の時に、当時の恋人とタピオカ店を始めたこと。
一時的に伸びましたが、ブームが終わったら売り上げが低迷しました。
2020年からはTikTokに挑戦し、2ヶ月でフォロワー4万人まで増えたものの、当時は企業案件もなくマネタイズできずに撤退。
見切り発車ではうまくいかないことに気づき、課題起点で考え、次はトークから始まるマッチングアプリ(大学生限定)をリリースしました。
これは、メッセージのやり取りが面倒だと感じた体験から生まれたサービスです。
しかし、チームビルディングがうまくいかず、撤退決定の上でのサービスローンチ となり、すぐにでもお金を稼がないと生活が厳しくなってきました。
手堅く稼ぐために受託案件に切り替えて、クラウドファンディングの代行・支援事業にチャレンジしました。営業利益ベースでそれなりの金額になりましたが、一時的なもので継続せず。
そんな経緯があって「やっぱり自社事業をやろう」と思って始めた犬の洋服のEC事業では、単価設定が低すぎて収益が小さかったため再投資できず、少額のM&Aで終わりました。
その次に手がけたのは、ゴルフウェアのECです。
最初は売上、営業利益ともに順調に伸びたのですが、どんどん競合が出てきて、商品価値が高くなかったので収益が安定せず、結局こちらも少額でM&Aを行いました。
何度も失敗した原因は、資本主義におけるゲームルール「市場規模=単価×対象客数」を理解していなかったこと。
私は「利益がでて黒字化できれば良い」と思っていたせいで、適正な単価設定ができずに失敗しました。
対象客数に関しては、時代の流行りに乗っただけでは流行りが終わる頃に客数も少なくなります。
成功した企業は、社会情勢を加味したマクロな視点で戦略を立てているんですよね。
今はマニュアル生成AIで仕事を簡単に依頼できるサービスを提供していますが、過去の失敗で得た教訓を生かして、課題起点の「ボトムアップの事業家思考」とマクロな視点の「トップダウンの経営者思考」の両方を意識しています。
プロフィール
株式会社cup of tea 代表取締役 CEO
サイバーエージェントグループ企業にてマーケティングコンサルティング事業の立ち上げ、営業部門責任者に従事。その後、スタートアップの取締役を経て、個人事業主として独立起業。メーカーのブランディング、DX化の促進、マーケティング戦略実行を支援。スタートアップ期〜グロース期の事業全体の戦略構築、マーケティング施策の実行をリード。その後、NTTドコモグループ取締役を経て株式会社cup of teaを創業。(https://cupoftea.inc/)
私はサイバーエージェントグループの株式会社マイクロアドで、コンサルティング事業の立ち上げを経験しました。
その後、2018年にはスタートアップの取締役COOに就任し、マーケティング支援事業は順調だったものの、代表と意見が合わず、円満とは言い難い辞め方をしたんですよね。
これが、1つ目の失敗体験だといえるでしょう。
2019年からは個人事業主として様々な企業のマーケティング支援、組織・事業の立ち上げや組織改善を行っていました。
そこでも最終的には事業がクローズしてしまい、これが2つ目の失敗体験です。
失敗から学んだのは、経営者はビジョンがブレてはいけないということ。
くわえて、なにが起きても諦めない胆力をもつことも大切です。
そんな学びを生かして、現在は酒類事業を営んでいます。
お酒は流通量の90%以上を卸、酒販店が取り扱っている一方で、卸、酒販店では在庫管理のDX化にとどまっていてメーカーへの受発注は未だDX化されていません。
メーカーへの受発注は電話、fax、メールなどで行っていて、人件費などに年間約960万円かかっています。
ここにビジネスチャンスがあると思い、お酒の受発注や在庫管理を自動化する「サカビー」を立ち上げました。
サカビーをつかえば、酒造メーカーは年間数百万円、卸や酒販店も100万円以上のコストを削減できます。
まずは卸、酒販店での導入を進め、それから酒造メーカーへの導入も促すことで効率的に規模を拡大する予定です。
我々の強みは、(M&Aにて)旧酒販免許を取得済みであること。
小売、卸、EC販売、貿易を含む制限のない免許を持っており、デジタル版酒販店として酒造メーカーに受け入れてもらいやすいでしょう。この免許は、現在、M&Aでのみ取得可能な希少価値の高いものとなっています。
プロフィール
blocksky株式会社 代表取締役
90年代より大手広告代理店に在籍し、2000年初頭よりデジタル広告事業に携わる。D.A. Consortium 、Overture inc. に勤務後、サーチテリア株式会社を共同設立。広告配信ロジックの特許立案やパブリッシャー開拓、プロダクト開発などに尽力。上場企業に売却後は、店舗向けロイヤルティプログラムアプリの開発や人材マッチングサービスの立ち上げに携わる。(https://blocksky.xyz/)
私は1993年から総合広告会社に勤めていて、その頃は起業をまったく考えていませんでしたが、2000年にデジタル広告業界に携わって起業を意識し始めました。
最初の起業は2004年、35歳の時。
当時のGoogleやYahoo!はPC向けのリスティング広告サービスしかなかったので、世界初のガラケー向けリスティング広告会社をつくりました。
競合が出てきただけでなく、リーマンショックで打撃を受け2011年にM&Aという形で終わりました。
その次はプラスチックや紙のポイントカードが主流だった時代に、スマホ向けのポイントアプリをつくりました。
しかし、新型コロナウイルスの蔓延でアプリをつかっていた店が次々と閉店し、4年前にはサラリーマンに戻りました。
2つ目の事業が失敗した原因は、参入タイミングが早すぎたことと、当時LINEが似たサービスの提供を開始していたことです。やはり大きな競合企業が出てくると難しいですね。
くわえて、新型コロナも影響していましたが、それは予測できなかったことです。
このようにうまくいかない原因には、想定できるものと想定できないものがあります。
そのうえで、2回の起業経験で強く感じたのは、チームの重要性です。
大きいことは1人では絶対にできないので、自分は何が得意で何が不得意かを理解したうえで仲間を集めないといけません。
その際には、人を巻き込む力が必要です。
いろいろな人に熱意が伝われば、たくさんの人が仲間になってくれるでしょう。
今はブロックチェーンと広告プラットフォームを掛け合わせた事業をグローバル展開しています。
メンバーの半分は日本人以外、基本英語でコミュニケーションをとっていて、今後はグローバル人材のチームビルディングやAI活用に挑戦する予定です。
プロフィール
株式会社One Technology Japan 代表取締役
1996年に高崎経済大学を卒業後、専門商社、コンサルティング会社を経て、モバイルインターネットスタートアップの取締役時代にはSNSゲーム事業で年商15億円を達成。2015年に株式会社One Technology Japanを設立。100社以上のさまざまなシステム開発を経験。現在はiPhoneのLiDARスキャン技術やXR開発を活用し、建設業界向けに3Dデータを活用したデジタルツインの管理ソフトをものづくり補助金を活用し開発中。(https://onetech.jp/)
私は大学時代にバックパッカーで中国各地を巡った時に海外で働きたいと思い、商社に入りました。
しかし、非効率な作業がたくさんあったんですよね。
非効率なことが大嫌いだったので他の仕事をしたくなり、楽天やアマゾンのようなEC事業に興味がわいて上場ベンチャー企業に入りました。
IT知識ゼロで入ったのに、入社1日目からHTMLコードを書いたり、半年後に上司がいなくなり私とアルバイトの2人だけで頑張って利益を出したりと、色々と経験しました。
次に入ったモバイルベンチャー企業では、ソーシャルゲーム事業責任取締役として年商20億円を達成し、ITサービスの爆発力を知りました。
その後、起業家となりましたが、創業したのは3社です。
1つ目は、2015年に始めたオフショア受託開発会社。
毎年黒字決算で昨年までは売上も右肩上がりでした。
2つ目は2016年創業のベトナム屋台株式会社ですが、こちらは譲渡しました。
3つ目は、ベトナム人ネットワークを活かした人材支援会社です。
2017年から始め、コロナで打撃を受けたものの、今も細々と継続しています。
オフショア受託開発会社は、アジアナンバーワン企業になるために法人会員数1万社を目標にしていましたが、実際にはお金をまわすための受託案件に追われていました。
お客様のビジネス課題を考える余裕がなく、ただ言われた通りに案件をこなすだけだったことが反省点です。
ベトナム屋台株式会社では、原価管理を徹底しすぎたせいでサンドイッチのパンの分量が本来の半分程度になってしまったことがありました。
それでお客様からのレビューが悪くなり、ちょうどその時に今の社長に出会い、すべて任せたらうまくいき、現在は6店舗に増えています。
これらの失敗理由は、起業した時期は子育てを優先していて、仕事にあてる時間が足りなかったことだと思います。
もちろん、子育てを優先していた事に後悔は無いですが、時間的な余裕ができた今は、さらに社会の役に立つために建設業界での新ビジネスに取り組んでいます。
プロフィール
株式会社Xtraveler 代表取締役
ポルシェ限定のカーシェアサービス、ポルシェアを始めとするカーシェア事業、車両の販売買取事業を展開。賢く、楽しく、安心して車に乗れる社会にすべく車が大好きなメンバーで事業を作っている。(https://porshare.jp/)
私は武蔵野大学のアントレプレナー学部の1期生で、今は休学中です。
17歳の時にアメリカのシリコンバレーに行き、起業家になりたいと思いました。
最初は2019年にモバイルオーダーサービスの会社を設立しましたがうまくいかず、次は2021年にエンジェル投資家から資金調達をしてホテルガチャ事業を始めました。
各ホテルの空室を一元管理して、ガチャ(お客様は部屋を選べない)で泊まれるサービスです。
しかし、コロナの影響もあってクローズしたため、2022年に受託開発へとピボットし、2024年からモビリティ事業(ポルシェ限定のカーシェアサービス)を立ち上げました。
並行して2022年に学生の友人とVTuber事務所を立ち上げましたが、こちらは2023年に売却しています。
これまでの起業で失敗した理由は、事業の検証前に開発に力を入れすぎて開発費用を回収できなかったこと。
メンバーにエンジニアが多かったこともありますが、なにより開発がすごく楽しくて、プロダクトづくりに専念していました。
「誰のための何を解決するサービスなのか?」という視点を忘れて、自分たちがつくりたいものをつくってしまったことが一番大きな失敗です。
大事なのは、開発より「課題が本当にあるのか?」「どの課題を解決できるのか?」という視点。
こういった検証をしてから、開発に予算を投じないといけません。
いま運営しているポルシェ限定のシェアリングサービスを始めたきっかけは、私自身がポルシェを貸し出していたカーシェアリングのサービスが終了したことです。
サービス終了のタイミングでポルシェのオーナーさん達に連絡をし、カーシェアのサービス利用に興味がある人を募ったところ約20人が集まってくれました。
つまり今回はプロダクト先行ではなく、需要の有無を検証してから起業したケースです。
ポルシェのオーナーは法人が多く稼働時間が少ないので、空いている時間に貸し出すシェアリングサービスにうってつけでした。
ユーザーは憧れのポルシェに気軽に乗れて、ポルシェを通じて車の楽しさをシェアできるサービスです。
今後は、BtoCカーシェアプラットフォームを立ち上げて規模を拡大していきます。
プロフィール
合同会社KOS CEO
3歳でPCに触れ、プログラミングの世界に魅了される。10代からWebサイト制作を手がけ、起業への夢を抱き、慶應義塾大学在学中の20歳で株式会社ispecを創業。7年間のソフトウェア開発会社を経営し、その後退任。現在は、開発会社5社の顧問として、組織改革支援やテックリード業務を提供。『テクノロジー企業の良さを惹き出す』をミッションに、新たな挑戦として開発会社に特化したM&Aプラットフォームの立ち上げを進めている。
私が最初に起業したのは、慶應義塾大学 環境情報学部に在学中の2017年です。
慶應SFCの友人2人と株式会社ispecを創業して、テザリングシェアサービス、モバイルオーダーペイ、スキルシェアサービスなどいろいろなことをしましたが、「ビジネスはよくわからない」と感じ、私はエンジニアなので受託開発事業に転換しました。
しかし、2024年にトラブルが発生、くわえてメンタルヘルスの不調でCEOを辞任しました。
辞任した後は、2ヶ月ほどアフリカに行き、それまでの7年間の経営期間を客観的に見ることができました。
それまで「自分は無能だ」と思い苦しんでいましたが、できていた部分に気づけたり、反省点が明確になってきたんです。
事業がうまくいかなかった原因は、固定費がすごく高かったこと。
正社員20名で利益率が15%ほどでしたが、これは役員報酬を抑えていただけです。
事業自体の問題ではなく、案件と案件の間にエンジニアの稼働時間が余ってしまったりして利益を圧迫していました。
また、お客様への価値提供に最後までこだわりきれなかったことや、自分自身が開発の現場から離れすぎていて、現場とのコミュニケーション不足も問題だったと思います。
一方で、目の前の人が何を思っているかを聞くことや、周りの人のモチベーションを上げること、適正な能力評価が自分の得意分野だと気づきました。
営業時にはお客様の決裁権や組織図、担当の方のことだけではなく、社内の誰と誰がどのような関係値で、 それがどのように変化しているかまで徹底して把握したので、ここも私の強みです。
そして、ビジネスはポジションの取り方も重要ですが、医療に特化した受託開発をしたら売上が一気に1.5倍になりました。
過去の起業経験やそれを経ての自己理解の結果を生かせる事業として、今はシステム開発会社に特化したM&Aプラットフォーム事業を行っています。
経営コンサルティングをして出てきたデータを元に、M&Aのためのマッチングなどの後方支援をします。
自分の強みを生かせるだけでなく、労働集約型だった状態から抜け出せるのもメリットと考えています。
後半は元起業家を採用したい企業6社によるピッチが行われた。
「チームで大きなことを成し遂げる力」「グローバル市場で戦う視点」「経営と現場をつなぐスキル」など、それぞれの企業が求める人物像はさまざまだが、どの企業からも元起業家が活躍できる場を提供したい!という熱い想いが語られた。
実際に元起業家がすでに活躍している企業も多く、「ここなら次のキャリアとして挑戦できるかも」と感じた方も多かったのではないだろうか。
会社紹介ピッチ登壇企業は以下のとおり。
左から、
株式会社Another works 執行役員 吉川 彰悟 氏
エレファンテック株式会社 代表取締役社長 清水 信哉 氏
株式会社ユーザベース 採用責任者 渡瀬 雄平 氏
株式会社スタジオプレーリー 共同代表 片山 大地 氏
株式会社ユカシカド 代表取締役CEO 美濃部 慎也 氏
株式会社エニキャリ 代表取締役 小嵜 秀信 氏
イベント最後には交流会が開催された。
交流会は、参加者が自由に会話できる場所。
特に、起業の経験を持つ人が集まり、再起業や転職といったキャリアについて考える場というのは珍しい。
公の場では語れない裏話も聞けるのが交流会の良さで、近い距離感の会話が盛り上がっていた。
東京都は、過去に起業した経験を糧に再起を目指す有望な起業家を掘り起こし、再チャレンジにつなげる「東京都リスタート・アントレプレナー支援事業(TOKYO Re:STARTER)」を実施しています。
リスタートのきっかけを提供しておりますので、ぜひ下記のボタンから情報をチェックしてください!
また2025年3月22日(土)に、2024年度の成果報告会としてリスタート・アントレプレナーの祭典「TOKYO Re:STARTER CONFERENCE」を開催いたします。
当日は、スタートアップとしてのリスタートを目指し、アクセラレーションプログラムで事業を磨き上げてきた採択者が成果を発表するとともに、起業経験者のリスタートをテーマにしたパネルディスカッションを行います。
リスタートを目指す起業家の皆様及びその支援に興味のある方はぜひ下記ボタンより詳細ご覧ください!
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