創業2年半でYoY事業成長率900%を実現! インテントセールスで事業拡大を支援するSales Makerの経営手腕と創業秘話

創業2年半でYoY事業成長率900%を実現! インテントセールスで事業拡大を支援するSales Makerの経営手腕と創業秘話

株式会社Sales Marker 代表取締役 小笠原 羽恭 氏

記事更新日: 2024/03/25

執筆: 市岡光子

これから数年間で、企業の営業スタイルが様変わりするかもしれない。

「インテントセールス」という営業手法をご存知だろうか。インターネット上の検索行動データを分析し、自社サービスに対してニーズのある企業や購買意欲のある企業を探し出し、アプローチをかける手法のことである。アメリカではすでに2017~2018年ごろから多くの企業が取り入れている営業・マーケティング手法だが、日本ではまだ馴染みのない企業のほうが多いだろう。

電話やメール、広告、LP、ホワイトペーパーなどで顧客接点をつくり、各セールス担当者の力量のもとに、なんとか商談や契約に結び付けていく。そんな従来の営業活動は、あまり効率的とは言えなかったうえに、顧客のニーズをリアルタイムで把握できないため、ミスマッチを生じさせることも多かった。インテントセールスは、そうした課題を一挙に解決できる。

そんなインテントセールスを実現可能にする「Sales Maker」という営業支援SaaSを展開するのが、株式会社Sales Markerだ。同社の代表・小笠原 羽恭(おがさわら・うきょう)氏は、なぜインテントセールスに着目し、サービスを構築したのだろうか。また、創業から約2年半で事業成長率900%を達成できた秘訣とは。小笠原氏の起業背景と経営手腕に迫る、ロングインタビューをお届けする。

顧客ニーズをリアルタイムで可視化できる「Sales Marker」とは

——貴社のプロダクト「Sales Marker(セールスマーカー)」は、現在どのような企業が利用しているのでしょうか。

SaaS企業、人材系の企業、エンタープライズ企業を中心に350社ほどにご利用いただいております。

Sales Markerは、企業のWEB検索行動をリアルタイムに取得し、約500万件の法人データベースと組み合わせる事によって、自社サービスへのニーズが顕在化した企業を特定し、AIを活用して自動でアプローチすることが可能です。

また、検索されているキーワードやボリュームを分析することで、顧客のニーズや検討状況を具体的に把握できるほか、部署や人物情報もリスト化されており、その会社で意思決定を担うキーマンに最適なチャネルから直接コンタクトをとることができます。このようなサービスは日本ではまだ当社しかなく、現在も多くの企業からお問い合わせが相次いでいる状況です。

Sales Marker 画面
Credit:株式会社Sales Marker

——顧客のニーズをリアルタイムで把握できるとはすごいですね。具体的にどのような仕組みで成り立っているのでしょうか。

鍵となっているのは「Web上での検索行動」です。

例えば、企業が自社のオウンドメディアを制作するためにライターを探していたとすると、たいていの場合、Googleなどで検索をかけると思います。企業や個人のサイトをチェックし、納期や金額などを比較しながら依頼先を探すはずです。つまり、企業がWeb上で何らかのサービスを検索・比較しているのであれば、それは「サービスを求めている」というシグナル。Webの検索行動を分析することで、ターゲットとなりうる企業にどのようなニーズがあるのかを明確化することができるのです。

「Sales Marker」では、検索行動の分析を行う部分に特許申請済みの独自技術を使用しています。オリジナルのアルゴリズムで分析結果の精度を高めている点は、弊社ならではの強みです。

——「Sales Marker」の事業アイデアにたどり着いたきっかけを教えてください。

大きく二つのきっかけがあります。

一つ目が、私自身の原体験です。私は前職のコンサルティングファームで、お客様に対して、営業戦略の立案を支援していたことがあります。その際、ターゲット層のニーズ調査に多大な時間がかかってしまうことに、大きな疑問と課題を感じていました。

もう少し具体的にお話すると、ニーズ調査は、資料ベースのリサーチと企業へのヒアリングで構成されています。その結果をもとに、およそ1万件もの企業のデータをExcelにまとめ、お客様がより確度の高い営業活動を行えるよう、ニーズの強度ごとにスコアをつけていきます。こうした作業をすべて終えるのに、通常の場合、約3ヶ月ほどの時間がかかります。

しかし、顧客のニーズは絶えず変化するもの。3ヶ月もあればニーズは変わっていてもおかしくありません。お客様のターゲット層となる企業が「今」、「どのようなものを欲しているのか」を明らかにできないことに、もどかしさを感じていたんです。

二つ目のきっかけが、共同創業者のひとりであるCOOの荻原の経験から、営業活動において商談化率・成約率を上げるためには「ニーズデータ」が大切だと気がついたことです。荻原はもともと新卒でキーエンスに入社し、成績が全国1位の営業職として活躍していました。荻原がキーエンスで全国トップを獲得できた理由を探ってみると、営業成績を上げるために欠かせない要素として、お客様のニーズに合わせた提案を行うことが浮かび上がってきました。

これら二つのきっかけをもとに、データやテクノロジーを活用し、お客様のニーズをリアルタイムで可視化できる営業支援ツールをつくろうと、「Sales Marker」のアイデアに思い至ったのです。

——なるほど。小笠原さんも含め、貴社の創業メンバーの原体験が合わさって「Sales Marker」が生まれたのですね。

おっしゃる通りです。実はインテントセールスのための仕組みは、アメリカでは6〜7割の企業が使用していると言われています。日本初のツールとして、インテントセールスを日本に広げていくべく、事業拡大を目指しています。

爆速で経験を積み、濃密な時間を過ごした野村総研時代

——ここからは、小笠原さんが起業に至るまでの道のりをお聞かせください。小笠原さんは、子どもの頃から起業を志していたのでしょうか?

特に考えていませんでしたね。子どもの頃は、将来はシステムエンジニアになりたいと思っていました。

——エンジニアを目指すようになったのは、どうしてですか?

エンジニアとして働く父に憧れていたからです。自宅でパソコンが動かなくなってしまったときも、父のところに持っていけば、すぐに解決して直してくれていました。その姿を見て、本当にかっこいいなと思いまして。私も父のようにパソコンやソフトウェアに詳しい人間になりたい。そんな想いからエンジニアを志し、大学でもコンピューター・サイエンスを学べる学部に進学しました。

——大学を卒業後は、新卒で野村総合研究所(以下、NRI)に入社されたそうですね。NRIでは、どのような仕事に携わったのでしょうか。

入社したばかりのころは、システムエンジニアとして、ソフトウェアの開発業務に従事していました。金融機関向けの基幹システムの開発や新規事業の企画立案を担当した後、リーダーを担当。加えて、先端技術の研究開発チームにも参画し、NRIと野村ホールディングスのジョイントベンチャーを立ち上げながら、ブロックチェーンのプラットフォーム構築などに携わっていました。

新卒で入社してから転職するまで、およそ2年間、非常に充実した時間を過ごすことができました。

——たしかに、NRI時代はかなり濃密な経験をされていますね。同期の中でも非常に早くキャリアを形成されたほうなのでは?

そうかもしれません。ほかに新規事業を手がけている人はいませんでしたし、プロジェクトのリーダーを務めて、プラットフォームの構築まで担当している同期もほとんどいなかったと記憶しています。ジョイントベンチャーの設立に関しても、全社で約6,500名のメンバーがいる中、10名ほどしか経験できない非常に貴重な機会をいただいたと感じています。

——「いち早く経験を積もう」という考えがあったのでしょうか。

経験の数や知識量を増やして、自分の強みをつくろうとするマインドは常に持っていたように思います。

——そうしたマインドを持つようになったのは、どうしてですか?

学生時代、スタートアップで9ヶ月ほどインターンシップをしていた経験が、大きく影響しています。

当時、職場の先輩から、「組織の中で役に立つためには、特定の分野で誰よりも強い領域をつくるのが有効だ」と教えていただいたことがあったんです。

私はそのアドバイスをもとに、インターンシップ先でブロックチェーンに関して最も詳しいポジションになることを目標に掲げ、朝起きた瞬間から出社までの1~2時間をずっとブロックチェーンについて学ぶ時間に充てるようになりました。

そして出社後も、専門性を高められるよう行動していたところ、最終的に社内で上位2位に入るほどブロックチェーンに詳しい人材として評価していただくことができました。さらには、専門性を持った人しか入れないようなプロジェクトにも参加させてもらえるようになりました。

この成功体験があったからこそ、NRIでも「30歳までに経験したいこと」を戦略的に考えながら、いち早く経験を積むマインドを持ってキャリアを築くことができたのだと思います。

ハッカソン アジア大会で優勝したプロダクトは「1円も生み出せなかった」

——NRIの後は、どのようなキャリアを歩んだのですか?

ベイカレント・コンサルティングというコンサルティングファームに転職しました。NRIで30歳までに経験したいと思っていたことを2年ですべて実現することができたため、ビジネス経験を積むことと新規事業開発に携わることに主眼を置き、最も条件の合致したベイカレント・コンサルティングに入社しました。

——ビジネス経験を積むこと、新規事業開発に携わることを重視したのは、どうしてですか?

大きなきっかけは、ハッカソンに出場したことです。もともと大学生のころから、エンジニアとしてプログラミングコンテストやハッカソンに何度も出場していました。全部で8回出場し、6回の入賞経験があります。そのうちの2回は、アジア大会に進出し優勝した事業アイデアとなりました。

しかし、コンテストでいくら良い成績を収めても、プロダクトを実際に世の中にリリースしてみると、1円も生み出すことができなかったんです。その経験から、エンジニアとしての技術力を高めても、ビジネスの知見も持ち合わせていなければ、世の中に役立つサービスをつくることは難しいと痛感。それで、ビジネスや新規事業の経験を積みたいと考えるようになりました。

——アジア大会で優勝したプロダクトは、どのようなものをつくっていたのでしょうか。

1回目はNRI時代に出場しておりまして、そのときは洪水対策のアプリケーションをつくりました。その翌年はコロナ禍となったタイミングだったため、料理などのデリバリーに関わるアプリを開発して、それもアジア大会で優勝しました。そのときは四つある賞のうち、3冠をいただきました。

——洪水対策やデリバリー関連のアプリは、なぜ収益化に至らなかったのでしょう?

洪水対策アプリに関しては、洪水に対してペインを感じている方々が実際に水害に遭った方だったという点が大きいです。被害に遭われた方々からお金をいただくわけにはいきませんし、洪水は一つの場所で頻繁に発生するものではありませんから、ビジネスモデルとして成立させるのが難しかった。そのため、事業化することはできませんでした。

デリバリーアプリに関しては、資本力が大きな壁になりました。この領域は、すでに出前館などの大手が莫大な資金を投じて全力で事業を開発し、推進しています。つまり私たちのような小さなチームが1億円や2億円を集めてデリバリーアプリをローンチしたところで、太刀打ちできないと分かったんです。そのため、ビジネス化を途中で断念。白紙に戻すことを決断しました。

ハッカソンで築かれた創業メンバー4人の絆

——起業を視野に入れ始めたのは、いつですか?

社会人2年目のころからですね。

——何かきっかけが?

大きく二つの理由があります。まず、外発的な動機としては、NRIに入社後、周囲の方から「君は起業しそうなタイプだ」とよく言われていたことが影響しています。起業しそうだと言われることが多かったために、自分でも起業を意識するようになったんです。

また、内発的な動機としては、NRIやベイカレントで会社の設立や新規事業に携わったことで、自分が考えたサービスで世の中に貢献したいと思う気持ちが強くなったことも起業に至った大きな理由です。

実は会社員時代、イントレプレナーとして事業立ち上げに挑戦したこともあります。でも、イントレプレナーは、既存事業との兼ね合いを気にしたり、上司との対話を重ねなければいけなかったりして、どうしても「やりたいことと違う」と違和感を覚えてしまいました。もっと市場と対話して、世の中が本当に求めているものをつくりたい。それならば自分で会社を設立したほうが早いと思い、起業することを決めました。

——創業メンバーは小笠原さんを入れて4人いらっしゃいます。このメンバーとは、どこで出会われたのでしょう?

CTOの陳と、取締役の渡邉については、先ほど申し上げた大学時代のインターンシップ先で一緒に働いていました。20名ほどのインターン生がいたのですが、その中で最も優秀だったメンバーです。

COOの荻原は、私や陳、渡邉がハッカソンに参加していたころに、あるイベントで知り合ったメンバーです。会話をする中で、荻原も将来的には社会課題を解決できるようなサービスをつくりたいと考えていることが分かり、私とビジョンが一致していると感じました。そのため、一緒に事業をつくろうと、私のほうからビジネスコンテストへの参加を誘ったところ、そのコンテストで入賞をいただくことができたんです。

そこでふと、私のもとには陳と渡邉の「技術に強く何でもつくれるエンジニアチーム」と、荻原と組んだ「ビジネスを共につくれるセールスが強いチーム」の両方があることに気がつきました。この二つのチームを合体させたら、会社ができるのではないか。そう思ったことで、渡邉と陳、荻原とともに4人で起業することに決めました。

——創業メンバーが4人いるメリットとデメリットを教えてください。

まず、デメリットは一切感じたことがないですね。

メリットに関しては、組織的な観点と事業的な観点からそれぞれ良いポイントがあると思っています。事業的な観点から言うと、荻原は営業、私は戦略、陳と渡邉は技術と、それぞれに突出した強みがあるため、4人の力が掛け合わさることで市場で戦えるような事業推進ができていると感じています。

組織的な観点については、私と同じ目線を持ったメンバーがほかに3名いるということに大きなメリットを感じています。スタートアップとして、経営層の考えていることや見ているものを、組織の中に浸透させやすいんです。経営において、キャパシティが4倍になっている実感があります。

例えば、経営者一人につき100名のメンバーを見ることが限界値なのだとしたら、弊社は現時点で、創業メンバー4人で400名のメンバーを見ることができます。今後はマネージャー層も増やしていくことで、1,000人規模でも、概念やビジョンを現場までしっかりと浸透させることができるのではないかと思っています。

——創業メンバーの目線合わせは、かなりスムーズに行えるのですか?

そうですね。「以心伝心」のような、多くの言葉を使わずとも真意の伝わる4人で創業したため、4人の目線がズレていると感じたことは一度もありません。

——創業メンバーに対して圧倒的な信頼感が持てているのは、やはりハッカソンやビジネスコンテストを一緒に乗り越えてきた経験が大きいのでしょうか。

そうだと思います。特にハッカソンに関しては、短期間に集中して一つのアプリをつくるので、密なコミュニケーションと非言語の中に込められたメッセージを察知する能力、先読みの力などが求められます。ある意味「極限」のような状況を、陳や渡邉、荻原と何度も潜り抜けてきましたから、弊社の創業チームの絆は、相当強いものになっていると思います。

事業成長率900%を達成できた三つの理由

——ちなみに貴社は2023年12月、YoY事業成長率が約900%に達したと、資金調達を発表するプレスリリースの中で公表されていました。圧倒的な成長率を実現できたポイントは、どこにあると考えていますか?

三つの理由があると考えています。一つ目が、市場的な観点として、大きなペインポイントが存在していたにもかかわらず、まだ誰も参入していなかった領域に踏み込めたことが大きかったと考えています。営業活動において、お客様のニーズを知る方法がないために困っていたセールス担当者は多かったはずです。誰もが諦めていたところに「Sales Marker」が登場したからこそ、サービスに期待して利用してくださる方が増えたのだと思います。

二つ目は、営業担当者の仕事内容や課題、成果を上げるためのノウハウを荻原が理解しており、彼の知見をもとに高い開発力を持つチームがプロダクトをつくりあげたという点です。弊社の強みが存分に発揮されたからこそ、プロダクトが現場で使いやすいものに仕上がった。プロダクト開発者は、多くの場合、理想を語って現実的なところを無視しがちなのですが、そこを荻原がうまくサポートして解決し、プロダクトに反映しているんです。こうしたサイクルがしっかりと回っているからこそ、お客様に喜んでいただけるサービスをリリースできたのだと考えています。

三つ目は組織的な観点で、我々が「全ての人と企業が、既存の枠を越えて挑戦できる世界を創る」というパーパスを掲げているとおり、働くメンバーがそれぞれ目標に向かって挑戦できる環境を整えている点です。どのメンバーも活き活きと、モチベーション高く働ける組織づくりができているからこそ、お互いに良い刺激を与えあい、協力し合いながら、継続的に高い目標を達成することができているのではないかと思います。

——貴社には、活き活きと働くメンバーがたくさんいらっしゃるのですね。

そうですね。外からは冷静でスマートに仕事をこなしているように見えるけれど、内側には熱いものを持っているという人が多いように思います。

——やはり営業畑出身の方や大手企業出身の方が多いのでしょうか?

職種によります。例えば、エンジニア職であれば、GAFAM出身のメンバーも多くて。Google、アリババなどの「中国のGAFA」と呼ばれるような企業や、LINE、マイクロソフト、PwC、メルカリなど、トップクラス企業出身のメンバーが多い印象です。

営業職でいくと、キーエンスやリクルートなど、営業が強いと言われている企業で成果を上げた人が多いです。ビジネス領域では、私がNRIの出身ですし、CFOはボストン コンサルティング グループ出身で、デザイナーに関してはYahoo!でブランドデザイン本部長を務めていた方など、各業界・職種のトップクラスのメンバーが集まっています。

——すごいですね。そうした優秀な人材が集まっている理由については、どのように捉えていますか?

明確な理由は分析できていないのですが、一つ思い当たるのは、事業領域に面白さがあるからではないでしょうか。面接などでインテントセールスの将来像を候補者の方にお伝えすると、「誰にも解決できなかったことを解決できるようになるのなら、そこに自分も参画したい」と強い想いを持ってくださる方が多いように感じています。あとは、実際に弊社で仕事をしているメンバーが楽しそうに働いていること。この二つが影響しているのかなと思います。

また、採用活動においては、「過去に挑戦をして、失敗をしたけれど、枠にはまらないやり方でまた著しい成果を上げた」という方を重視して採用しているので、弊社の中にある「お互いに尊敬し合う関係性」にも大きな魅力を感じていただけることが多いです。

——今後はどのような方に仲間に加わっていただきたいですか?

何かに挑戦してきた方にお会いしたいですね。例えば、業界の中で既存の手法に疑問を感じ、自分なりにそれを変えようと挑戦したことのある方。失敗しても成功するまで何度も挑戦してきた方は、どのような局面になっても諦めず、どのような課題でも解決できることが多いと思います。現在の会社で挑戦が歓迎されないことにもどかしさを感じている方は、弊社でやりがいを持って働いていただけると思います。

あとは、社会課題を解決したいと考えている方。特に営業分野では、セールス担当者が精神的に病んでしまうことも多く、8割の方がノルマがきつくて辞めたいと思っているというデータもあります。そうした営業活動における精神的な課題を解決していきたいと思った経験のある営業経験者には、ぜひジョインいただきたいです。

「本質的に解決すべき課題」にフォーカスし、市場のニーズの有無を見極めることが大切

——今後の展望をお聞かせください。

最終的には、事業開発におけるあらゆる領域でサービスを提供していきたいと考えています。

「Sales Maker」はセールス領域の事業ですが、現在は「Sales Maker Lead」というマーケティング領域の事業に加え、商談領域の事業へも拡大を進めている段階です。これに加えて、開発の領域、人材の領域、ファイナンスの領域のプロダクトがそろえば、事業開発に必要なあらゆる領域を自動化することができます。

それぞれの領域に特化した自動化の仕組みはすでに存在しているので、現在はそれらの仕組みを一つずつ集めながら、弊社のサービスに統合できるような環境を整えようと計画しているところです。

いずれは、解決したい社会課題が見つかったとき、それを自動的にスケーラブルな事業として立ち上げられるプロダクトにしたいと思っています。この構想を実現できれば、解決したい課題を前にしながら、ノウハウやリソースがないために事業化を諦める人が減るはずです。

「既存の枠を超えた挑戦」ができるような仕組みをつくり、我々の存在価値もさらに高めていきたい。それを2030年ぐらいまでには実現していきたいと思っています。

——プレシード、シード期のスタートアップに応援メッセージをいただけますか。

成功しているスタートアップには、二つの特徴があると考えています。一つ目は、VCから資金調達をしていること。二つ目が、ピボットを何度もしていること。これが共通点です。

一つ目については、私がリストアップして調べた企業では、グローバルでも認知度の高いSaaS系スタートアップは、どの企業も必ずVCから資金調達を実現していました。ある特定の領域で愛され、価値を提供しているプロダクトは世の中にたくさんあります。しかし、その多くは認知されておらず、利用数が増えずに横ばいとなっています。そうした企業と世の中に浸透しているサービスを手がける企業との違いは、やはりVCからの資金調達の有無だと言えると思います。

二つ目に関しては、SmartHRの宮田さんも10回ほどピボットをしているなど、やはり成功しているスタートアップは何度も試行錯誤を繰り返しています。私自身も、「Sales Maker」は10個目のプロダクト。何か発見があったときに飛びついて転換することは、実は大切な行動です。

あとは、スタートアップをやっていると、よく「プロダクトマーケットフィット」を目指せと言われます。しかし、そもそも「プロブレムソリューションフィット」ができてない人が多い印象があります。本質的に解決すべき課題にフォーカスしながら、お客さまが自分のつくったプロダクトを本当に必要と感じているのかどうか見極めていただきたいです。

見極め方としては、「こんなサービス、あったら使いますか?」とさまざまな方に聞いてみることです。「いくらで買います」と返事がなければ、それは誰にも必要とされてないサービスなので、やらないほうがいいと思います。

徹底的に調査をして、バーニングニーズを捉えるのが非常に重要です。新しいアイディアをいろいろな方に話してみると、たいていは「欲しい」と言ってくれますが、その多くはお世辞です。それが本当にビジネスとして成立するかは別問題なので、そこはしっかりと見極めるべきだと強くお伝えしたいです。

——最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

皆さんが企業で経験してきたことの多くは、スタートアップで活かせると思います。そして今は、スタートアップに転職するのに、ベストなタイミングと言えるのではないでしょうか。

その理由は二つあって、一つは国としてスタートアップを盛り上げていく環境が整いつつあります。各スタートアップの平均年収が大手企業の数値を超えたというデータもありますから、経済面でもちょうどいいタイミングと言えると思います。

二つ目は、今は転職が当たり前の時代です。もしスタートアップに入ってみたとして、ダメなら別の企業に行けばいいのです。いつでもどこにでも行けるような時代になっているので、まずは挑戦してみて、自分がやりたいことに熱中して、それから次の道を考えればいいと思います。

周りの成功者を見ていても、まずは飛び込んでみるというのは大事なことだと感じます。挑戦したいと思ってる方は、ぜひスタートアップの世界に飛び込んでみてください。そしてもしよろしければ、ぜひSales Makerを受けていただければ嬉しいです。

株式会社Logpose Technologies

・東京都渋谷区道玄坂1丁目12−1 渋谷マークシティW22F
・代表者名 羽室 行光
・会社URL https://logpose.co.jp/
・採用ページURL  https://careers.logpose.co.jp/

市岡光子

この記事を書いたライター

市岡光子

フリーのライター・編集。広報として大学職員、PR会社、スタートアップ創出ベンチャーを経験後、ライターとして独立。書籍や企業のオウンドメディア、大手メディアで執筆。スタートアップの広報にも従事中。

サイト:https://terukoichioka128.com/
Twitter:https://twitter.com/ichika674128

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