TOP > インタビュー一覧 > データドリブンな総菜デリバリー事業『つくりおき.jp』で「機会の不平等」の解決に挑むAntway・前島恵氏
株式会社Antway 代表取締役 前島 恵 氏
「あらゆる家庭から義務をなくす」
このミッションを掲げ、総菜デリバリー事業『つくりおき.jp』を手がける株式会社Antway。同サービスは2020年2月に東京23区の一部エリアから始まり、現在では提供可能エリアを全国規模に広げ、急成長を遂げている。
家庭の中で絶対に欠かすことのできない「食事づくり」という家事を代替する『つくりおき.jp』。事業アイデアの背景には、Antway代表・前島 恵(まえじま・けい)氏が幼少期から抱いていた「機会の平等」に対する疑問があった。
今回、そんな前島氏にインタビューを実施した。前島氏のこれまでの歩みを伺い、価値観や考え方を紐解きながら、『つくりおき.jp』が生まれた背景に迫る。また実は、Antwayはデータ活用という強みを活かして惣菜デリバリー事業の磨き込みを行い、急成長を実現してきている。サービス運営に対する考え方についても、詳しく話を聞いた。
このページの目次
——家庭でつくったかのような手料理を調理の手間なく楽しめる『つくりおき.jp』は、2023年8月に提供食数が850万食を超え、サービスローンチから急拡大を続けています。「家庭での食事づくり」を代替するサービスはいろいろとある中で、貴社が一気に成長できた秘訣はどこにあると思いますか?
その理由は、競合優位性の話とつながってくるかもしれませんね。実は、弊社サービスの各特徴は、一つひとつを細かく見てみると、他社も対応している点が多くあります。
例えば、ひと手間調理の不要な総菜である点や管理栄養士が監修したメニュー、できたての料理が毎週届くという点は、その要素だけ見れば、他社でも特徴として打ち出しているサービスはいくつかあります。
でも、一度登録すればメニューを毎週選ぶ必要がなく、調理したての新鮮な「手づくり料理」が冷蔵便で届き、子どもが食べても栄養面で心配がないといった特徴をすべて兼ね備えているサービスは他にありません。だからこそ、多くの共働きの子育て世帯で利用していただいているのだと思います。
credit:株式会社Antway
——『つくりおき.jp』は、毎週異なるメニューの料理が届くのも特徴の一つですよね。さらに今お話しいただいた複数の特徴も同時に持ち合わせている。どれか一つの特徴に絞って強化しても良さそうなものですが、なぜすべての要素を兼ね備えたサービスとして設計したのですか?
家庭における食事づくりのあらゆる手間を省きたく、そのためにはすべての要素を持っている必要があったからです。食事づくりには、献立を考えるところから始まって、買い物や下ごしらえ、調理、片づけまで、さまざまな工程が伴い、時間と労力がかかります。
それらの工程をすべて省くことができれば、家庭内にはゆとりが生まれ、キャリアの機会、趣味の機会、家族とやすらぐ機会など、さまざまな機会を多くの方の手の元に取り戻すことができます。
弊社がこの事業を通じて最終的に実現したいのは、社会の「機会の平等」と「条件の平等」です。食事をはじめとした家事労働を市場化することで、家事を行っている人、家庭で家事を担うと選択した人も等しく評価され、尊敬される社会をつくっていきたい。
そして、たまたま生まれた場所にある文化や価値観、慣習が人の可能性を制限してしまうようなことがない、平等な社会を実現していきたいと思っているんです。
——前島さんが「機会の平等」「条件の平等」を実現したいと思うようになったきっかけを教えてください。
自分の育った家庭環境と小学生のときに不登校だった経験が、大きなきっかけであるように思います。
実は僕、熊本に住んでいた小学校2年生のころから中学校に入学するまでの4年間、学校に行けなくなってしまって。親が放任主義で幼稚園時代を伸び伸びと過ごしてきたこともあって、集団行動を求められる学校生活が肌に合わなかったんです。しかも、僕の通っていた小学校は規律に厳しい学校でしたから、余計に「合わない」と感じてしまったのかもしれません。
不登校になってからは、時間を持て余すと同時に、外に出るのが恥ずかしくなってしまい、大きな閉塞感と恐怖感を心の内に持っていました。一人自宅で同じ漫画を何度も読み返しながら、どこか「このまま僕の人生はこの家の中で終わってしまうのかもしれない」とゾッとする自分がいて。
そんな気持ちを抱える中で、自分では選べない出生地や環境のせいでつらい思いをする人がいることに憤りを感じ、「環境に関係なく、人が平等な機会を得られる世界になればいいのに」と考えるようになりました。それが「機会の平等」について意識を向けるようになった第一歩でした。
家庭環境に関しては、僕が小学3~4年生のころに父が重度のうつ病を患ったことで、一時期母子家庭のような形で過ごしていたことが影響しています。その時期は、やはり母がとても大変そうで。仕事から帰宅して食事の準備のために夜な夜な台所に立つ母が、すごくしんどそうだったんです。
それで、僕も小学4年生のころから料理を作るようになりました。それが母にとても喜ばれて。そのときの体験が僕の中で原体験として大きく残っていたんです。
——小学生時代の不登校から立ち直ることができたのは、何がきっかけだったのでしょうか。
埼玉県にある私立の中高一貫校への入学が決まったことです。というのも、僕と同じく不登校だった2人の兄が、その学校に通い始めたことで楽しそうに生活していたんです。兄と同じ学校に入れるのなら、自分の未来も少しは明るいかもしれないと思えるようになったことは大きかったですね。
——では、中学校に行ってからは楽しく過ごされたのですね。
そうですね。その学校は校則がなく、授業もオリジナルのカリキュラムで進めているような、本当に自由な校風でした。その中で僕もひたすら自分の感性のままに過ごすことができて。ヒッチハイクで旅行をしたり、バンド活動をしたり、ねぶたをつくったりして、課外活動に力を入れた学生生活でした。
——私立の中高一貫校を経て、大学はどちらへ?
早稲田大学の人間科学部です。でも、本当は東京大学を目指していたんですよ。
——そうなんですか!中高で自由に過ごす傍らで、勉強にも力を入れていたとは。
いえ、実際は逆で、小学校時代に不登校で勉強に強いコンプレックスがあったこともあり高校3年生までは勉強に全く手を付けずに過ごしてきました。それまでは本気でドラマーになろうと思っていたので。
——プロの音楽家志望から、なぜ大学進学に進路を切り替えたのですか?
正直にお話すると、失恋をしまして。
——失恋がどうして、大学進学と結びついたのですか……?
中高生時代の恋愛って、何を基準に評価されるのかよく分からないじゃないですか。失恋をきっかけに、何も持っていない自分が怖くなったんですよね。一応、当時の自分としては「音楽ができて造形が得意」という自己評価をしていたのですが、僕はそういった定性的・感性的な自己認識で自己安定が図れるタイプではないと気が付いてしまって。
その気づきをきっかけに、取り組めば取り組むほど結果が出るものとして思い至ったのが「学問」という答えだったんです。それで、ドラマーから一転、研究者を目指し始めました。
——なぜ、東京大学を志望校に?
当時の僕は、あまりにも無知で大学といえば東京大学だと思っていたからです。なので、国公立大学向けの勉強をしていました。ただ、大学進学を決めてからは高校時代を遊びつくすと決めて、親にもその宣言をして自由に過ごしました。浪人して受験勉強に取り組み、最終的に合格をもらうことができた早稲田大学に進学しました。
——大学教員、研究者を目指していた前島さんですが、Antway を創業される前はリクルートに勤めていらっしゃったのですよね?
そうですね。早稲田大学を卒業後に東京大学大学院に進学し、学際情報学修士を取得して、リクルートで働き始めました。
——学問の世界からビジネスの世界へと進路を切り替えたのは、どのタイミングだったのでしょうか。
大きなきっかけは、修士1年のころにシリコンバレーに行ったことでした。当時、学生から見ても勢いがあったDeNAに興味が湧いたことから同社のインターンシップに参加したのですが、その中で良い成績を収めたことで、シリコンバレーのスタートアップ見学ツアーに連れて行ってもらったんです。
そのツアーでは、創業10~20年前後のスタートアップやベンチャーを何社も見ることができ、非常に大きな刺激を受けました。アメリカのスタートアップやベンチャーは、短期間で規模を一気に拡大させ、世界中にサービスを提供して社会に何らかの影響を与えている企業が多くて。その様子を見て、ビジネスの世界への興味が膨らんだのです。
それからもう一つ、所属していた研究科の先生でご著書を通して親しんでいた西垣 通先生のキャリアにも影響を受けました。西垣先生は、社会人を経て研究の道に入られた方で。僕が専攻していた社会科学は近年、データ分析などが欠かせなくなり、コンピューターサイエンスとの融合が強くなってきていました。
そのため、いずれ研究職に就くとしても、僕も若いうちは西垣先生のように社会人となって社会を見て、特に理数系の仕事に就いてスキルを得たほうがいいのではないかと思うようになりました。それで、エンジニアを目指すようになりました。
——就職先としてさまざまな選択肢がある中で、なぜリクルートへの入社を決めたのですか?
就職活動ではIT系のメガベンチャーかコンサルティング会社を目指していたのですが、最終的に働き方と提供するサービスが自分の価値観に合っていたリクルートを選びました。当時から、「社会に対してポジティブな影響を与えられる仕事がしたい」という想いは持っていたので。
——リクルートでは、どのような仕事に携わってきたのですか?
3年8ヶ月ほど勤めた中で、大きく四つの仕事に携わりました。まず最初の半年間は、エンジニアとして「ショプリエ」という新規事業に関わり、入社1年目の後半には「保険チャンネル」という保険系サービスの開発責任者を務めていました。
その後、2年目からは「ホットペッパービューティー」の開発業務を統括するポジションに。とはいえ、分からないことが多発する中での統括だったため、この業務に携わっていた約2年間は、絶えず冷汗をかきながら何とか目の前の課題を乗り越えていくことの連続でした。
そのポジションを経験した後は、自ら希望してホットペッパービューティー内での新規事業のサブリーダーに就任。リクルートでは、将来的な起業に向けて新規事業開発、エンジニアリング、マネジメントの3種類の経験を最速でしたいと思っていたため、自分自身の目標をしっかりと達成することができた約4年間でした。
——リクルート時代の経験で、現在に役立っていることは何かありますか。
リクルートでは上司に恵まれて、僕にかけていただいた言葉の数々からたくさんのことを学ぶことができました。
——上司の言葉の中で、最も印象に残っているものがあれば教えてください。
例えば「役職名で人を引っ張るな、個人名で引っ張れ」という話は、僕も今社内のメンバーに伝えることがありますが、これは僕が上司からかけてもらった言葉の一つです。
あとは「ラストマンになれ」という言葉も、リクルート時代の上司からもらったものです。仕事においては、実際には責任を取る役目として上司がついていますが、上司がいるからと安心するのではなく、自分が最後の砦だと思いながら仕事と向き合った方が思考が深まり、視野も広がるもの。
そのため、上司は僕ら現場メンバーに自ら考えて行動せよという意味で、「ラストマンになれ」とよく声をかけてくれていました。
——リクルートを退職後は、すぐに起業を?
そうですね。正確には、リクルートを辞める1ヶ月前にフライングで会社を立ち上げました。
——創業後は、最初から『つくりおき.jp』の事業アイデアにたどり着いていたのですか?
いえ、起業直後はmixiコミュニティのような、コミュニティ形成で企業を応援可能な仕組みをビジネスとして実現させようとしていました。でも、これは残念ながら上手くいかなくて。半年ほどやってみて、次の事業に行こうと撤退の判断をしました。
——『つくりおき.jp』のアイデアが出てきたきっかけは、何かあるのでしょうか。
ニッセイ・キャピタルの主催する50Mというアクセラレーションプログラムに参加したことが大きいです。期間にしておよそ1ヶ月、ニッセイ・キャピタルに投資していただきながら、キャピタリストの方と壁打ちを続けてたどり着いたのが現在のサービスの構想でした。
やはり、ニッセイ・キャピタルから当面の活動資金を得られたのは、精神的にも大きな支えになっていましたね。当時、僕はちょうど結婚をしたばかりのころだったんです。何かと支出がかさむ時期で、余計に明日の日銭を稼がなきゃいけないというマインドになっていて。
だからこそ、しばらくは何とかやっていける活動資金を500万円も提供していただけたことは、本当に大きな支えになりましたし、社会のためになることを事業としてやらなければとマインドが切り替わりました。
——アイデアも何もない段階で、ニッセイ・キャピタルが前島さんに活動資金を投資してくださった理由はどうしてだと思いますか?
ニッセイ・キャピタルの方によれば、良い意味でプライドがないけれども、自己効力感のある人間だったことが投資の決め手になったようです。VC側としては、没案にはこだわらずにいち早く次のアイデアを検証してほしいもの。「自信はあるけれど、プライドはない」という特徴を持つ人は、そういった動きをしやすいのだと思います。
——ニッセイ・キャピタルのキャピタリストからは、事業創出にあたって、どのようなアドバイスを受けたのでしょうか。
当時、週2~3回ほどメンタリングを受けたのですが、その中では市場性と社会性の両方が大切だということをよくアドバイスしていただいていました。キャピタリストとの面談の中で、早期に失敗の種を潰せたことは、本当にありがたかったなと思います。
——『つくりおき.jp』は、最終的に市場性と社会性があり、前島さんの大きな熱量を伴った事業アイデアだったからこそ、サービスとして実現できたのですね。
そうですね。『つくりおき.jp』のアイデアをプレゼンしたとき、ずっとメンタリングをしてくださっていた投資部長の方が、「このビジネスアイデアは否定する要素がない」とおっしゃっていたのをよく覚えています。2019年6月にアイデアが固まり、その9ヶ月後の2020年2月にはサービスをスタートさせていました。
——貴社は、ただ総菜をデリバリーするだけでなく、データ活用も重視されているそうですね。
そうですね。私がエンジニア出身で、技術に一定の素養があったこともあり、データをどう活用するかという点は当初から意識して取り組んできました。特に総菜デリバリー事業においては、データ以外の部分はなかなか実質的に競合優位になりづらいと思っているんです。
——具体的に、どのようなデータを取得し、活用されているのでしょうか。
取るデータは少しずつ増やしているのですが、サービス開始当初から取得しているのはお客様へのアンケート調査のデータですね。あとは、キッチンの中での稼働人数や稼働時間、レシピのデータなども社内でまとめています。これらのデータは、お客様の満足度をさらに向上させることができるようサービスの最適化に活用しています。
——そうしたデータドリブンな運営体制があるからこそ、先日プレスリリースでも募集開始を告知していた「フランチャイズ」も可能になるのでしょうか。
おっしゃる通りです。フランチャイズは全国で募集をしていて、近畿地方や九州地方の企業から応募が来ています。また、10月20日には飲食店事業やフランチャイズ開発事業を展開する株式会社串カツ田中との業務提携契約を発表しました。
串カツ田中さんやこれからフランチャイズ契約を結ばせていただく企業様に僕らのノウハウを活用いただいて、全国のご家庭のニーズに応えられる体制を目指しています。
——そもそも、なぜ「フランチャイズ」での展開を? 他社工場への製造委託もありうるのではないでしょうか。
実はフランチャイズでないと調理が難しいんです。僕らのサービスは、メニューを週替わりにし、多数の品目を同時並行で大量に調理していきます。しかも、料理にはできるだけ冷凍の既製品などを使用せず、多くのメニューは原材料から調理している。そういった製造工程を踏める食品工場は、実は非常に少ないんです。
だから、僕らが当初、製造を依頼しようといくつかの工場に打診してみたのですが、すべて断られてしまいました。それで、スタートアップにもかかわらず自社キッチンを持っているんです。
credit:株式会社Antway
——「家事の代替」という性質を持つサービスは、資金調達を行う際、解決しようとしている課題の根深さなどを投資家に理解してもらうのが大変だったのではないでしょうか。
課題の深刻さを理解いただくのに難しさを感じた投資家の方もいましたが、そういったところからは、やはり投資していただくことはできませんでした。でも、最近のVCは若くしてキャピタリストになられていて、新しい感覚を持たれている方も多いので、初期の資金調達でそこまで大変さを感じる場面は少なかったように思います。
——これまで投資家に評価されたポイントは、どういった部分でしたか?
主にビジネスモデルと社会的インパクトの部分を評価していただくことが多かったですね。これからトレンドが来るであろうフードデリバリーや食事の外注というジャンルの中でも、週1回の配送で利益率が高く、データ活用ができているという点に期待していただいています。
——今後の展望についても教えてください。
まだまだ全国に『つくりおき.jp』を待っていただいているお客様がいらっしゃるため、これからはサービスの全国拡大に力を入れていきたいです。
加えて、社会的な規範も変えていかなければならないと感じています。「食事を自分でつくらないなんて」「家事の外注なんて恥ずかしい」と考えている方も依然として多く、そういった価値観や規範意識の部分が変わらなければ、家庭内における機会不平等といった課題の真の意味での解決にはつながらないと考えています。
そのような規範意識の変革の第一歩として、9月にブランドのリニューアルを行いました。新しいブランドロゴとブランドメッセージに変更したことで、弊社サービスをより覚えていただきやすくなったと思います。
これからは『つくりおき.jp』のブランドロゴが、「自分や家族の幸せのために、家事の外注を選択した人」「人生をより楽しく生きている人」を象徴するものになればと願っています。
credit:株式会社Antway
——ここからは貴社について伺いたいです。まず、貴社で活躍されている方は、どのような方ですか?
弊社は中途入社の社員が多いので、何らかの経験を持ちつつも、現在の状態で硬直せずに常に学び続けている人が活躍している印象があります。あとはオープンマインドを持っている方でしょうか。
スタートアップとしてキッチンを持ちながら、前例のない事業を進めているので、課題も考えるべきことも山ほどあるんです。だからこそ、オープンに他者と協働できる方のほうが活躍しやすいと思います。
——貴社のカルチャーについても、教えていただけますか。
「スタートアップ」と聞いてイメージするような「若さゆえの向こう見ずな熱さ」みたいなものは、弊社にはあまりありません。どちらかというと、あまり群れずに、自律したメンバーが多いように思います。穏やかで優しい方も多いです。
一方で、穏やかで静かな人が淡々と仕事をしている環境かというと全くそうではなく、発言や意見をオープンに発することも多いです。代表の私への意見もそうですが、他のチームの領域のことであったとしても変に遠慮せず、言うべきことは言う文化がありますね。
——今後入社していただきたいのは、そのようなカルチャーに合う方ですか?
経営者としては組織内のバランスを考えています。穏やかで優しい人が多くなり過ぎても良くないですし、事業の性質から考えると、もっとリスクを取りに行ける方やチャレンジ精神の強い方も今後は採用していきたいです。
——前島さんが組織運営で心がけていることを教えてください。
会社の財務状況や問題も含め、あらゆる情報をオープンにすることでしょうか。誰でも発言でき、何でも知ることのできる組織を心がけていますね。
弊社が行っている事業は、既定路線がありません。線路が引かれていないからこそ、集合知をもとに事業を進めていくのが一番良いと考えているんです。だからこそ、オープンカルチャーを維持しています。
運営コストはかかりますが基本はボトムアップでの提案を許容した上でオープンに議論を行い、最終的にはトップダウンで決めるという方式が組織も事業もうまく回る気がしています。
——プレシード・シード期のスタートアップに、応援メッセージをいただけますか?
プレシード、シード期のスタートアップには、社会にとって意味がある事業づくりをやっていただきたいなと思います。起業しようと思える方は、ある意味で、精神的・経済的な「ため」があるんですよね。
それは、子どものころなどに「やればできる」という原体験をすることができたからこそで、その体験ができたことは、社会や周囲の環境のおかげです。だからこそ、自分が利益を得るためだけに事業をしてほしくない。自分が得たものを社会に還元するような気持ちで、ぜひ事業と向き合っていただきたいなと思います。
——最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
弊社が現在手がけている『つくりおき.jp』という事業。これははっきり言って、本当におもしろいものです。
とはいえ、最近流行っている領域ではありません。ニーズは大きいですし、社会課題の解決にも結びつきますが、トレンドだけを見れば、ブロックチェーンや生成系AIに関連したスタートアップに行きたいと思う方も多いでしょう。
しかし、弊社の事業は、世界を変える力を秘めていると信じています。このサービスを広げ、社会の規範を変えていくことで、きっとこの社会はより良いものになるはずです。社会の最先端で、社会を変え、多くの方に喜びをもたらしているという経験をしたい方は、ぜひ弊社にお越しいただけたら嬉しいです。
株式会社Antway
・住所 東京都千代田区神田三崎町3-6-14 THE GATE 水道橋 6F
・代表者名 前島 恵
・会社URL https://antway.co.jp/
・採用ページURL https://antway.co.jp/recruitment
フリーのライター・編集。広報として大学職員、PR会社、スタートアップ創出ベンチャーを経験後、ライターとして独立。書籍や企業のオウンドメディア、大手メディアで執筆。スタートアップの広報にも従事中。
サイト:https://terukoichioka128.com/
Twitter:https://twitter.com/ichika674128
“裸眼のVR”で新しいバーチャル表現で池袋のカルチャーとコラボレーションするkiwamiの取り組みとは
日本のHR市場がこれから目指すべき、TalentXが描く「タレント・アクイジション」の世界
TalentX代表 鈴木貴史氏
「上場=目的達成のための手段」Kaizen Platformの創業者が語る“上場”とは
ビジネス書大賞『売上最小化、利益最大化の法則』の作家に聞く 「利益率29%の⾼収益企業を作る方法」
資金調達に新しい選択肢を。ブリッジファイナンスとしてのファクタリングを「PAY TODAY」が解説
【令和の渋沢栄一になる】エンジェル投資で日本にイノベーションを
米国新興市場上場を経て10億円を調達 「代替肉」で社会課題に取り組むネクストミーツの歩み
海外で活躍する女性起業家の実態 〜2児のママがシンガポールで起業した理由とは?株式会社ハニーベアーズ〜
湊 雅之が見る欧米と日本のSaaS業界の違い | 注目海外SaaS 6選
BtoB/SaaSベンチャー投資家 湊 雅之
広告事業だったのにコロナ禍で売り上げ上昇! 〜売り上げ90%減からの巻き返し〜
代表取締役 羅 悠鴻