TOP > インタビュー一覧 > 唯一無二の「在庫分析」ソリューションで、世界の大量廃棄問題に挑むフルカイテン・瀬川直寛氏
フルカイテン株式会社 代表取締役 瀬川 直寛 氏
小売業において、「適正在庫の見極め」は、どの企業も直面する大きな課題の一つである。在庫を抱え過ぎればキャッシュフローが減少して黒字倒産のリスクが高まり、在庫が少な過ぎれば売上が減ってしまう。
過去のさまざまなデータから適切な在庫量を見極めようにも、傾向は商品によって大きく異なるため、扱う品数が多いと、それだけで複雑な分析と管理が必要になる。
こうした在庫の問題は解決が難しく、長年の間、画期的なソリューションが登場しない領域となっていた。
しかし、フルカイテン株式会社は、独自開発の「FULL KAITEN」というSaaSを用いて、そのような在庫分析の課題解決に2017年から挑んでいる。
同サービスは今、その有用性と将来性が評価され、市場でのシェアが拡大。多数の投資家からも評価を受け、2023年には11.6億円の資金調達を完了したという。
そこで今回、フルカイテン代表の瀬川 直寛(せがわ・なおひろ)氏にインタビューを実施。
これまでのキャリアから事業立ち上げの経緯、フルカイテンという会社の組織風土などについて詳しく伺った。
瀬川氏の考え方や生き方に迫る、ロングインタビューをお届けしたい。
このページの目次
——まずは改めて、フルカイテンの事業内容を教えてください。
弊社は、小売業のお客様に対して、適正在庫の予測・分析が可能なソフトウェアサービス「FULL KAITEN(フルカイテン)」を開発・提供しています。
FULL KAITENは、ECや店舗、倉庫にあるすべての在庫をAIで分析し、商品力をワンクリックで可視化。これまで多くの小売業が頭を悩ませてきた在庫の問題を解決に導くサービスとして、2017年より展開しています。
——事業を通じてつくりたい世界観についても、教えていただけますか。
私たちがつくりたいのは、本当に必要な製品だけが必要な量だけ流通する「適量生産・適量消費」の社会です。
これまで、私たち人類は大量生産、大量消費、大量廃棄のサイクルを回すことで産業を発展させてきました。
しかし、地球上の資源には限りがありますから、そのようなサイクルでの発展は持続可能ではありません。
大量廃棄がすでに地球環境を悪化させていますし、製造コストなどの問題から、各国間の労働条件などにおいて不平等も生じています。そのような現在の世界を動かす仕組みに、在庫分析のテクノロジーで変革を起こし、大量廃棄問題の解決につなげたい。そのような想いのもと、事業に取り組んでいます。
とはいえ、この世界観は、創業当初から持っていたものではありませんでした。「FULL KAITEN」は、私が小売業を手がけていた際に在庫問題で苦労した経験から立ち上げたサービスのため、もともとは小売業を営む方の悩みを解決したいという想いが起点になっているんです。
——そうだったのですね。一段視座の上がった世界観を持つようになったのは、どうしてですか?
フルカイテンをスタートして約1年半が経ったころ、大手アパレル企業との商談の際に大きな気づきとなる言葉をいただいたことが、先ほどお話したような世界観を持つきっかけになりました。
商談の終盤、その企業の取締役が「FULL KAITEN」が世界中の企業に広がっていったら、地球にとってすごくいいですね」と、在庫の適正化が地球環境と資源の保全につながることを教えてくださったのです。そこで初めて、私は「フルカイテン」という事業のポテンシャルに気づくことができました。
——ここからは、フルカイテンを創業するまでの歩みをお聞きしていきたいと思います。まず、大学ではどのようなことを学んでいたのですか?
慶應義塾大学の理工学部 機械工学科で「天然ガスの熱力学性質に関する近似予測」というテーマで研究に取り組んでいました。
ただ、大学で過ごす中でアカデミックの世界には自分よりもはるかに才能豊かな人材がたくさんいると実感し、研究職の領域では自分に勝ち目がないと思うようになりました。
そこで、自分がより輝ける場所として、理系ならではの考え方や数学的知見が武器になるであろうビジネスの世界に活路を見出しました。特に理系人材が少ないであろう営業職を目指すことを決意し、新卒で外資系のコンパックコンピュータ(現・ヒューレット・パッカード)に就職しました。
——コンパックコンピュータでは、どのような経験をされたのでしょうか。
3年ほど勤めて退職したのですが、この会社で過ごした日々は、営業として大きな力をつけることができた期間だったように思います。とはいえ、最初の1年間は先輩方から学びつつ、苦労しながら自分なりの営業手法を確立する期間でした。
いろいろと模索した結果、入社2年目には6億4,000万円の売上を立てることができるようになっていました。
——新卒2年目で6億円超の売上をつくったとは、すごいですね。営業パーソンとして急成長できた秘訣は、どこにあったのでしょうか?
闇雲に営業経験を積むのではなく、契約にたどり着くまでのプロセスを構造的に捉え、分析していったことが大いに役立ったと思っています。
どういうことかというと、先輩の言葉や行動、態度、つくり出す空気など、商談を構成する一つひとつの要素について、それが行われた理由を突き詰めていったのです。
例えば、先輩の中にはわざと「変な間」をつくる方がいたのですが、理由を聞いてみると、相手が沈黙に耐えかねて思わず本音を話してしまう効果を狙っていたことが分かりました。
そのように商談で行われている内容を分解して理解していくと、次第に自分でも商談の構造を把握できるようになります。
私は自分が担当する商談の前には、必ずA3ノートの見開き1ページを使って当日の流れをシミュレーションし、どのような経過をたどっても目的にたどり着けるよう準備していました。
こうした努力が功を奏し、入社2年目のころには自力で商談の流れを見通せるようになりました。その結果、新規開拓した企業で商談を成功させることができ、6億円を超える売上をつくることができました。
——「物事を構造化して分析・思考する」というやり方は、理系出身者ならではのアプローチだと感じました。新人営業は多くの場合、経験を数多く積む中で営業の本質に気づき、手法を確立していくように思います。
先ほどお話したようなアプローチを実施できたのは、コンパックコンピュータの営業部門は中途採用のトップセールスマンが何人も所属する組織で、新卒を育成する制度がほとんどなかったことも影響しているかもしれません。
一匹狼のように活躍している方が多い部門でしたが、自分なりにやり方を見つけて結果を出そうと必死に頑張っている若手に対しては、とてもあたたかく接してくださる方が多かったのです。
最初こそ、私から先輩方にいろいろな質問をしていましたが、いつの間にか先輩方のほうから商談後にさまざまなことを教えてくださるようになり、本当にありがたい環境だったなと思います。
——そのような環境から、なぜ3年で転職を?
大きなきっかけは、コンパックコンピュータがヒューレット・パッカードに買収されることが決まったからでした。
実は私、コンパックコンピュータが大手企業を買収したことで生じた組織の大混乱を、入社初年次に経験していて。昨日までは競合他社だった企業の社員同士が急に同じ組織で働き始めると、業務フローやポジションを巡って派閥闘争のようなものが起きるんです。
そのような空気を再び経験するのはしんどいなと思っていたところ、スタートアップを立ち上げた元上司の営業マネージャーと営業本部長から「お前もうちに来ないか」と声がかかって。そこで、同社の営業と新規事業立ち上げを担うべく、転職することに決めました。
——2社目では、具体的にどのような仕事を手がけたのですか?
私に与えられた使命は、「IP電話関連で何か新規事業をつくれ」というものでした。
非常にざっくりとしたオーダーだったため、まずは営業活動を行う中で、顧客となる全国の通信事業者のニーズを探るところからスタートしました。ただ、営業するといっても、事業の立ち上げ前ですから、ソリューションは一切ありません。
伝手も何もないところから、全国の事業者をそれこそ相撲の巡業のように一軒一軒訪問して回って、彼らが本当に求めているものは何なのかを見つけていきました。
その結果分かったのは、IP電話の電話交換機における通信規格の問題です。電話同士をつなげるためには電話交換機の存在が必要不可欠なのですが、IP電話における電話交換機は製造したメーカーによって通信規格がバラバラで、規格の異なる交換機同士では通話することができなかったんです。
電話交換機の通信規格の差分を誰かが回収しなければ、IP電話は全国的に普及していきません。
そこで、その差分を埋めるようなソフトウェアをつくれば通信事業者向けに販売できるとひらめき、ペーパーソリューション化。
2巡目の全国行脚で事業の確度を証明できたため、ある企業が特別に発注してくださった費用を原資に、電話のソフトウェア開発においてはかなり有名だった知人のエンジニアを2名ほどヘッドハンティング。あっという間に開発チームを組成して、ソフトウェアをつくりました。
このソフトウェアが完成した後は、110番や119番など、緊急電話に対応する通信処理が可能なサービスも開発しました。
緊急通報ができるようになると、IP電話でも「03」や「06」といった固定電話と同じ電話番号を使えるようになりますから、通信事業者向けに高く売れるはずだと事業化したんです。その結果、年商15億円規模の事業に育てることができました。
——その会社を経て、フルカイテンの起業に至ったのでしょうか?
いえ、私が起業するまでには、さらに2社の転職を挟みます。2社目に入社した企業はIPO直前まで成長したものの、残念ながら組織崩壊が起き、IPOができなくなってしまって。ちょうどそのころ、お付き合いのあったエンターテインメント関連のスタートアップから声がかかったこともあり、営業職としてその会社に転職することに決めました。
3社目の会社では、新規事業を育てるまでの間に必要な資金を獲得するため、受託開発の営業に従事。そして、4社目ではCRM系のSaaSを手がける大阪のスタートアップで新規事業の部門長を担当し、最終的に現在のフルカイテンの前身となる企業を創業しました。
——営業職として大きな実績を残すことができていた瀬川さんなら、企業の中で引き続き活躍する道もあったように思います。なぜ、起業を選択されたのでしょうか。
特に3社目以降、営業の仕事に楽しさを感じることができなくなってしまったことが大きな理由です。受託開発はいくら営業が仕事をとってきても、焼畑農業的なんですよ。お客様も自社のエンジニアも、みんなが納期に追われて、たとえシステムをリリースできたとしても、どこにも笑顔がない。
その様子を見るにつけ、私は自分の仕事が誰かの人生にとってプラスになっているのか疑問が湧いてきてしまいました。ただただ、いろいろなお客様を次々と自分の報酬に変えているだけに思えてしまったんです。
そんな想いを抱えて仕事をしている中で、新規事業の部門長を務めていた4社目の会社で決定的な出来事が起こりました。部下の男性若手エンジニアの誕生日を祝うために、バルーンギフトを手配して、オフィスにあるその人の席まで配送してもらったところ、オフィスにいた多くの社員に笑顔が生まれたんです。
長野オフィス近辺の景色と瀬川代表
Credit:フルカイテン株式会社
バルーンギフト自体は、何の変哲もない、よく売っているものを購入しました。ヘリウムガスの入ったバルーンが、箱を開けたらふわっと宙に浮かんでいく。
ただそれだけの、単純なギフトです。でも、オフィスに突如として届けられた大きな段ボールから、可愛らしいバルーンが部下のまわりに浮かんでは天井に上がっていった様子を見て、オフィスの誰もが大爆笑していました。
普段はシーンと殺伐としていたオフィスが、たった一つのバルーンギフトで多くの笑顔にあふれる空間になった。そのすごさに気づいたとき、自分が働く意味を改めて考えました。
私もこの風船のように、人を笑顔にできる仕事がしたい。そう思ったことで、4社目を退職して、自分で会社を興す道を選びました。
——起業後は、まず小売業を手がけられたのですよね。どのような商材を扱っていたのですか?
子どもが生まれ、欲しいベビー服がなかなか手に入らなかった経験から、ベビー服を扱うECサイト事業を行っていました。
会社をつくった当初は将来的なIPOなど全く考えておらず、単純に誰かを笑顔にできたらというモチベーションで事業と向き合う日々でした。
——そこから、どうして「FULL KAITEN」が誕生したのですか?
EC事業を行う中で、倒産の危機を3回ほど経験したことがきっかけでした。3回の危機のうち、2回はセールをすることでなんとか乗り越えたのですが、そのときに利益を十分確保するためにも、セールをする必要がない商品を見極めたいと感じたのです。
でも、積みあがった在庫の山を前に、在庫リスクとなっている商品を発見するのは至難の業でした。そこで、私は倒産の危機が迫る中、大学時代の研究も思い出しながら、大学生のころよりもはるかに多くのグラフを書いて、危険在庫を見出す計算ロジックをひたすら考えていきました。
そのときに見つけたロジックが、現在の「FULL KAITEN」の原型になりました。
——「FULL KAITEN」は投資家からも高い評価を得ていますよね。投資家は具体的に、貴社サービスのどのようなところを評価しているのでしょうか。
在庫が業績に与える影響の大きさと、適正在庫の見極めという重い経営課題に対して、ほぼ唯一無二のソリューションを提供し、それが実際のお客様の業績改善に役立っている点を大きく評価していただいています。
——貴社の社風を教えてください。
仕事において、手を抜く人が一人もいない会社です。そこは本当に誇りに思っているところで、基本的にはどのメンバーも非常にストイックに働いています。
ただ、そのような中でもちょっとした遊び心は忘れておらず、ストイックさと遊び心をバランスよく兼ね備えたカルチャーがあるように思います。
Credit: フルカイテン株式会社
——組織運営で気をつけていることは、何かありますか?
壁をつくらないようにするということは日頃から意識していますね。役職的にはトップなので、自分の持つ権限の大きさに自覚的になって気をつけるようにしなければ、やはり話にくい存在になってしまうと思うので。
——瀬川さんは従業員と向き合うとき、「人の成長は螺旋階段である」ということを意識しているそうですね。
そうなんです。自分の子どもが生まれて、その成長を目の当たりにする中で、人は螺旋階段を上るように少しずつ成長するものなのだと学びました。全く成長せず、同じ場所をぐるぐるしているように見えても、それは自分がその人を螺旋階段の上から眺めているからなんです。
螺旋階段を横から見てみれば、その人なりに日々努力を重ねて、着実にステップを上がっている。それが本当の成長なのだということに、子どものおかげで気づくことができました。
私たち日本人は子どものころから良い成績をとることに重きを置きすぎて、どうしても一回の失敗に厳しい態度を取ってしまいやすいのですが、実はこの考え方が新規事業を行う際に邪魔をすることがあります。
新規事業は一回で成功することなどありえません。だいたいが失敗するものです。失敗の中から改善点を見つけ、螺旋階段式に積み上げることで、大きな実りのある事業に育っていくもの。
だからこそ、失敗に一喜一憂せず、確実にステップアップできているかを重視することが大切です。そういう意識を全体で共有できている会社になっていけば、楽しく働けるようになるのではないかと考えています。
——今後、どのような方に貴社にジョインしてほしいと思いますか?
これまでの経験から、スタートアップに転職する方は2種類に分かれるなと感じています。一つ目が、「勝ち馬に乗りたい」というタイプの方で、自分の待遇面向上のために急成長している評判の良さそうな会社に転職したいという方。二つ目が、会社のビジョンや事業に共感し、絶対に自分が事業を成長させるのだという気概を持っている方。
弊社に来ていただきたいのは、もちろん後者です。私はスタートアップに勝ち馬なんていないと思っているんですよ。一見良さそうに見えても、どこかで足元をすくわれる可能性もあります。大波に乗ろうと機会をうかがっている方ではなく、自分が会社を成長させてやるという気持ちがあるかどうかが、採用活動においては非常に大切なポイントだと考えています。
——ところで、貴社の公式サイトを拝見した際、「相手によって態度が変わらない」という瀬川さんの紹介文を見つけました。瀬川さんは昔から、そのようなスタンスでいるのですか?
そうですね。相手の状況を見てコロコロと態度を変えるかっこ悪い大人になりたくなくて、子どものころから「誰に対しても態度を変えない」というスタンスをずっと貫いています。高校生のときは、それをこじらせすぎて、学校に行かなくなったこともあったくらいです。
——ええ!それはまた、どうしてそのような事態に?
難易度の高い国公立大学の医学部に現役で合格したくて、高校3年間で学ぶカリキュラムを自主的に2年次までに終わらせて、3年生の間は自宅に引きこもってひたすら受験勉強をしていたんです。
——登校しないのはさすがに学校から怒られるのでは……?
おっしゃる通り、成績は良かったものの、学校に来ないことで先生から呼び出しを食らったことがありました。でも、そんなときでも急に態度を変えて先生にすり寄ったりはせず、あくまで自分のやりたいことに忠実に、先生と交渉したんですよ。
自分の成績はこんなにも良いのだから、先生が勧めた大学を全部受験して合格を勝ち取り、高校の宣伝に貢献するので、学校を欠席することにも目をつぶってくれないかと。
そうしたら、先生も私の出した条件で譲歩してくださって。私は先生の勧めてくれた大学を本当にすべて受験して、すべてに合格しました。
しかし、行きたかった医学部だけ落ちてしまいました。それで、最終的に慶應義塾大学へと進学することにしたんです。
——今後の展望を教えてください。
今後は、早ければ2024年にも、在庫問題の「作り手側」に位置する商社やメーカー向けの新サービスをスタートする計画です。
弊社の事業資産は、小売業のお客様からお預かりしているデータにあります。現在、売上高にして8,500億円規模の売上データを預かっています。
いずれはこのデータを活用し、競合他社の状況や業界のトレンドなども含めた在庫予測と分析が可能なサービスを提供できればと考えています。
——Amazonや楽天といった大手EC事業者も膨大な売上データを保有しているかと思います。そのような企業との違いは、どこにあるのでしょうか?
特定の販売プラットフォーム上での売上データなのか、各販売チャネルを包括した売上データなのか、という点に大きな違いがあります。
弊社が保有しているのは、後者のデータです。Amazon、楽天、ヤフーショッピング、実店舗、アウトレット店など、小売業を営む事業者が展開するすべての販売チャネルで在庫分析を行い、売上データを蓄積しています。在庫の予測や分析を行う上で、本当に必要なデータがそろっているのです。
——貴社の目指す世界観の実現に向けて、いずれは世界進出も考えていらっしゃいますか。
そうですね。いずれは「FULL KAITEN」の仕組みを世界に展開していけたらと思っています。そのためにも、まずは国内で仕組みをつくり上げたいです。
——プレシード・シード期のスタートアップに、応援メッセージをいただけますか?
ぜひ、仕事の定義を今一度考えていただけたらと思います。スタートアップをやるということは、「明日、ご飯食べられるかな」の世界に飛び込み、大変なことや恐怖、絶望、失望が押し寄せてくる毎日を経験することになります。
私自身、「FULL KAITEN」の事業を立ち上げてからも、もう何度経験したか分からないほど危機的な状況を幾度も乗り越えてきました。例えば、2019年の12月末は、14人の社員が在籍していながら、会社の預金残高が20万円しかなかったこともあったんですよ。あのときは本当に生きた心地がしませんでした。
でも、そのような日々を超えた先にきっと、会社員時代には味わえないような心が震える歓喜の瞬間が待っていると思うんです。私たちスタートアップは、決して「楽しい趣味」の延長にいるわけではありません。世の中を良くしたいと考えて事業を立ち上げたのだからこそ、そのことを改めて自覚して、事業ととことん向き合う覚悟を持てているかを意識してほしいなと思います。
——最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
スタートアップへの転職を考えている方は、自分がこの事業を成長させるのだという意識を強く持っていただけたらと思っています。
先ほど弊社の求める人物像の部分でも少しお話しましたが、自分の給与額を自動的に引き上げてくれるような「勝ち馬」のスタートアップは、みなさんが思っているほどは存在しません。スタートアップでは、給与額がすなわちその人に期待する成果の大きさになるわけで、勝ち馬志向でいることは非常にリスキーだと思います。
下手をすると「高い給料を払ったのに、この人は全然仕事をしてくれない」と、たいして仕事を任されなくなり、死に体のキャリアになっていってしまう可能性もあります。自分自身が勝ち馬になって、会社の未来を引っ張っていく。
それくらいの気概を持って、スタートアップの門を叩いていただけたら嬉しいなと思います。
フルカイテン株式会社
・住所 大阪府大阪市福島区福島1-4-4 セントラル70 2階-B
・代表者名 瀬川 直寛
・会社URL https://corp.full-kaiten.com/index.html
・採用ページURL https://corp.full-kaiten.com/index.html#506908career
撮影場所:WeWork日比谷フォートタワー
フリーのライター・編集。広報として大学職員、PR会社、スタートアップ創出ベンチャーを経験後、ライターとして独立。書籍や企業のオウンドメディア、大手メディアで執筆。スタートアップの広報にも従事中。
サイト:https://terukoichioka128.com/
Twitter:https://twitter.com/ichika674128
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