TOP > インタビュー一覧 > イノベーションの聖地としての可能性、「京都B面」梅小路エリアとは?~スタートアップ、若者が集う知られざる魅力をレポート~
今回紹介するのは、京都リサーチパークを中心とした、梅小路エリア。
京都は国際文化観光都市として、国内だけでなく海外からも注目されている場所。
よく知られているのは、祇園や清水寺など、歴史ある仏教寺院や庭園、神社、伝統的な王道エリアではないだろうか。これらを京都のA面だとすると、「梅小路エリアは京都のB面だ」と語るのは、京都リサーチパークの理事である足立 毅氏。
入山 章栄氏は「イノベーションが沢山起こりそうな場所が、まさか京都のこんな場所にあるなんて」と、本エリアを回遊後に驚きをあらわにした。
どうして梅小路は、こんなにも可能性を秘めた場所なのか。
ぜひ、動画をご覧いただき、いまだ知られざるB面の魅力をお楽しみいただきたい。
00:00~ まるで“産業集積街区”!500社以上が入居する、京都リサーチパークとは?
05:21~ 隠れた魅力が満載!京都のB面「梅小路エリア」
07:00~ 誰もが“ものづくり“にチャレンジできる場所「Kyoto Makers Garage」海外のスタートアップや投資家との交流も!
13:49~ 金属3Dプリンターが街のど真ん中に!世界最大手の工作機械メーカーである「DMG森精機」による「Umekoji MArKEt」
15:42~ 現代アートが生まれるホテル「河岸ホテル」若手作家が暮らしながら、創作活動を。
19:49~ ~エンディング~ぜひみなさん梅小路エリア/京都リサーチパークへ!
このページの目次
京都リサーチパークとは18棟のビルが集まっているビジネス拠点であり、イノベーション創生に向けた取り組みを行う場所でもある。
今回、そんな京都リサーチパークを訪れたのは、経営学者で早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール教授でもある入山 章栄氏である。
〈動画一部抜粋〉
入山氏:どういった方々、組織がこの京都リサーチパークにいるんですか?
足立氏:約500社ほどですが、大手企業の研究所やオフィス、バイオ系企業、IT企業、税理士弁理士の個人事務所など、規模も業態も多様性に富んでいます。500社のうち80社ほどは創業10年以内のベンチャーですね。
入山氏:大企業、ベンチャー、士業、IT、バイオと、もう本当に1個の産業ですね、街みたいになってるという。
足立氏:「産業集積街区」といっても過言ではないと思います。
入山氏:興味深いですね。特定の業界とか特定のプレイヤーだけだと、イノベーションは起きないんですよね。京都リサーチパークの構想はどういうものなんですか?
足立氏:新産業、新ビジネスを創造していくお手伝いをする場所ですね。新しいことをしたい企業や人々に集まってもらって、彼らをサポートする舞台装置を作っていきたいと思っています。
京都リサーチパークには、学生などが無料で利用できる”たまり場”があり、入居企業とは関係ない人々も集まれる場所になっている。
「”たまり場”は昼は入居企業の打ち合わせ場所だが、夕方からは学生向けイベントや企業向けセミナーを開催している」と足立氏は語る。
入山:ここはどういうフロアですか?
足立:ここは、”たまり場”という名前で、昼間は入居企業の打ち合わせスペース、夕方以降は学生などに無料で解放しているフリースペースです。学生向けピッチイベントや、企業向けセミナーもやっています。
入山:様々な人が集まれるスペースですね。
次に足立氏が紹介するのは、平安時代の埋蔵文化財を展示する”平安展示室”である。注目すべきなのは、京都リサーチパークがある場所は平安時代の都の中心部であったことだ。歴史的にみても重要な場所なのが、隠れた魅力だと言えるだろう。
足立:こちらは”平安展示室”です。この場所の下から平安時代の住居の柱などがでてきたので、埋蔵文化財を展示しています。
入山:平安京時代の都の中心は、今我々がいるココということですか?
足立:はい、ココです。
入山:実は京都リサーチパークは、平安時代の華やかな京都のど真ん中に位置しているんですね。
京都リサーチパークの南側(梅小路エリア)にある「京都市中央卸売市場」の場外は、若い人が集まってきているエリアだ。若者たちが梅小路エリアの空きスペースを利用することで、さらに多種多様な人々のつながりが発生し、イノベーションが起こる確率がより一層高くなるだろう。
京都リサーチパークをはじめとする梅小路エリアは、立地的にもイノベーションが起きやすい条件を兼ね備えた場所なのだ。
足立:京都リサーチパークの南側に京都市中央卸売市場がありますが、築地とはまったく風情が違います。
入山:どういうことです?
足立:ほとんどが市場の事業者の倉庫兼事務所で、早朝の仕事が終わった後は、ほぼ誰も人がいない。そこに若い事業者や手仕事の工芸の方が、事務所や工房に使い始めているんです。
入山:すごくいいですね!若い人が集まってきてるんですね。
足立:京都リサーチパークとは違う属性の方々が集まっています。
入山:どういった人たちですか?
足立:まず年代が若いですね。たとえば、リノベーションした場所のフロア貸しをしている30代の不動産事業者がいます。京都市の中心をA面とすると、ここら辺のエリアは”京都市のB面”といえますね。
入山:いいですね!
足立:「B面がかっこいいよね!」と感じた若者たちが集まっていると思います。
入山:若い人が入ってきて、いろんなお店があって、ベンチャーキャピタルもあって、なんかぐちゃぐちゃしていて、まさにイノベーションが起こりそうな場所ですね。
そういう場所は滅多にないのですが、まさか京都のB面にあるというのは驚きです。
「Kyoto Makers Garage」は、3Dプリンターやレーザーカッターなどのデジタル機器が置かれた場所だ。ここでアイデアをカタチにするための試作品作成が行える。誰でも利用できて、作品制作以外にも、ものづくり相談や制作の依頼を行ったり、ワークショップの開催、イベント会場としての貸し出しなど、利用方法は多岐にわたる。
京都市と共に「Kyoto Makers Garage」を設立したのが、ベンチャーキャピタル「Monozukuri Ventures」の代表牧野成将氏だ。
Monozukuri Venturesは、モノづくりに関連するスタートアップへの投資&試作支援の両方を行っているのが特徴である。日本と米国に投資していて、海外のスタートアップや投資家と京都のモノづくりの現場をつなぐことを目標としており、製造業にイノベーションが期待される。
足立:ここは元々は乾物屋の寮兼倉庫でした。現在は「京都メーカーズガレージ」というファブラボとして利用しています。
入山:Monozukuri Venturesは、ベンチャー企業ですか?
牧野:モノづくりハードウェアに関連するスタートアップに投資をするベンチャーキャピタルです。50社以上に投資をしていて、半分は国内、半分はアメリカです。
ただ、ハードウェアのスタートアップは単にお金を投資しても、なかなかうまくいかなくて、モノづくりのマシーンが必要です。そこで、2017年に京都市と一緒にこの「Kyoto Makers Grage」をオープンしました。
入山:モノづくりのスタートアップが商品をつくる部分の支援もしているんですね。すごいですね!ベンチャーキャピタリストがモノづくりの現場にいるのは!
牧野:イノベーションが起こる地域を世界規模でみると、実は”B面”が多いんですよ。
入山:日本中でいろいろなベンチャーの拠点が出てきてますが、京都のこのB面にスタートアップがたくさんいることはあまり知られてないんですよね。
牧野:この作品はARグラスですが、セコイヤキャピタルなどが投資しているスタートアップがつくりました。
入山:え!!セコイヤが投資するスタートアップに投資できてるのは、とてもすごいことだと思います。アメリカはモノづくりがあまり得意ではない……そう考えると、京都のモノづくりスタートアップとシリコンバレーのスタートアップが協力してなにかに取り組んだり、という可能性もありますね。
牧野:京都のモノづくりの技術と海外のスタートアップをつなげれば、製造業にイノベーションを起こせるのでは?と考えてMonozukuri Venturesを立ち上げました。
入山:今後はここにアメリカのスタートアップの方々や、セコイヤのような投資家が来て京都の人々と交流するかもしれないですね。
牧野:コロナ前は、「京都メーカーズガレージ」に毎月200名以上の方々が訪れていて、その中に外国人の方がたくさんいました。
「Umekoji MArKEt」の1階は、世界最大手の工作機械メーカーである「DMG森精機」のラボがある場所だ。ここには、金属3Dプリンターが置いてある。
「DMG森精機」の職員によると、金属3Dプリンターの認知を拡大するために、この場所への設置を決めたという。
「Umekoji MArKEt」の2階には、ワークショップなどを行う「梅小路マーケットの交流スペース」があり、訪問当時は工芸品が展示されていた。
足立:Umekoji MArKEtの1階にはDMG森精機のラボが入っています。
入山:これは金属の3Dプリンターですか?
職員:普通は、金属の鎖帷子は一個一個の部品を繋いでつくりますが、3Dプリンターだと一個一個が組み合わさった状態でつくれるので切れ目がないんです。
入山:すごいですね。金属3Dプリンターを、なぜこの場所に置こうと思いましたか?
職員:金属の3Dプリンターはまだ日本だとあまり普及していないので、いろいろな人が気軽に来れるところに置いて、まずはこの技術を知ってもらおう!と思いました。
足立:2階は梅小路マーケットの交流スペースで、ワークショップをしたりイベントを行っています。こちらは、デザインウィーク京都というオープンファクトリーイベントに出展されている、伝統産業企業のサンプルがあります。
入山:1階は金属加工で、2階ではこういう生地のような工芸品なんですね。
「河岸ホテル」は、現代アートの若手作家の住居&創作活動をする場所だ。10名の作家が住んでおり、地下に天井高が高く大きな作品もつくれるスタジオがある。家賃は、スタジオの利用料金込みで5万円とのこと。
5階には一般客向けのホテルが5室用意されている。ここでは、お客様が選んだ若手作家の絵を宿泊する部屋に飾ることができる。
「ギャラリーにもできないし美術館にもできないことが、ここではできる」と河岸ホテルのオーナー扇沢友樹氏は語った。
足立:ここは「河岸ホテル」で、現代アートの若手作家が住んで、創作活動をしてる場所です。こちらがプロデューサー兼ビジネスオーナーの扇沢さんです。
扇沢:メインはホテルですが、地下にスタジオがあって10人の作家が制作しながら住んでいます。アート作品の生まれるホテルですね。
入山:ぜひ地下をみせてください。
扇沢:天井高が4Mあります。この天井高で、生活もできる場所は京都市内にほとんどないんです。それで、大きい作品をつくれる作家用の住居をつくろう!作家がプレゼンできるホテルだともっと良いよね!と考えました。
入山:これがあったら良いよね!という思いを実現させたんですね。
扇沢:家賃5万円で部屋とスタジオを利用できます。
入山:5万円なんですね!
扇沢:こだわったのは、ワンルームの賃料で利用できる作家向けの環境をつくることです。その点は努力してます。
入山:素晴らしいですね。
扇沢:ホテルの部屋は、5階に5室あります。お客様に部屋に飾る絵(若手作家の作品)を選んでもらって、スタッフが部屋に掛けに行きます。
入山:アート作品が部屋にあるホテルはありますが、ここは自分で選ぶんですね。
扇沢:ギャラリーにもできないし多分美術館にもできないことが、ここではできると思っています。
入山:すごいですね!
扇沢:今後は、近くにあるDMG森精機さんなどとのコラボもしたいと思っています。
最後は足立氏が「京都のB面の魅力と可能性をもっと伝えたい。事務所を探している企業の方や新しい京都を知りたい方は、ぜひご連絡ください」と京都リサーチパークへの訪問を呼び掛けた。
入山氏は「本当に面白かった!京都のB面にすごい魅力と可能性を感じました」と興奮まじりに感想を述べました。
イノベーションを起こしたい方、ものづくりに関心がある方はもちろん、京都のA面しか知らない方でも十分に楽しめるだろう。ぜひ京都リサーチパーク、梅小路エリアを訪れてほしい。
入山:僕は、この京都のB面にすごい魅力と可能性を感じました。足立さん、動画を見てくださってる方にメッセージをお願いできますか?
足立:京都ファンのみなさんに、祇園だけではない京都の別の魅力をお伝えしたいです。企業の事務所をお探しの方や京都の知られてない場所に行ってみたい方などには、ご案内しますので、お待ちしています。
入山:足立さんや京都リサーチパークにご連絡をすれば案内してくれる?
足立:京都リサーチパーク地区内も周辺のエリアもご案内できます。
入山:京都のB面である「梅小路地区」はすごく面白いです!ぜひ、B面好きの方、カオス好きの方、イノベーションを起こしたい方、モノづくり大好きな方、アート大好きな方、ぜひ一度足を運んでみていただければと思います!
住所:京都市下京区中堂寺南町134番地
HP:https://www.krp.co.jp/
住所:京都府京都市下京区朱雀宝蔵町73-1ライトワンビル1F
HP:https://kyotomakersgarage.com/
住所:京都府京都市下京区朱雀宝蔵町34
HP:https://umekojimarket.com/
住所:京都府京都市下京区朱雀宝蔵町99
HP:https://kaganhotel.com/
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