フロンティアスピリッツ溢れるスタートアップと協業 !富士通アクセラレーター第9期採択企業発表会

フロンティアスピリッツ溢れるスタートアップと協業 !富士通アクセラレーター第9期採択企業発表会

記事更新日: 2020/12/26

執筆: 池守 りぜね

12月21日(月)に、富士通アクセラレーター第9期採択企業発表会が開催された。

今回の発表会は、コロナウイルス感染予防のため、初の試みとなるオンライン配信で行われた。

第9期となる今回のプログラムでは採択企業、国内から17社、海外から2社に絞られた。本日の第9期採択企業発表会では国内17社が登壇しプレゼンを行った。

なお、12月21日(月)に行われた本イベントは”見逃し配信”が行われている。

下記URLから視聴したいコンテンツ・スタートアップを選ぶことで、発表会が再度視聴できるようだ。ぜひ積極的に見逃し配信も活用したい。

「第9期採択企業発表会 見逃し配信」はこちらから

富士通アクセラレーターとは

富士通アクセラレーターとは、スタートアップの技術や製品と、富士通グループのソリューション、サービスとを組み合わせることで、世の中に新たな価値を提供することを目的としている。

豊富な顧客基盤を持つ富士通グループの事業部門と、スタートアップとのマッチングを行い、新たな事業機会の創出を目指している

富士通アクセラレーターは、富士通グループの事業部門からスタートアップ協業に対して熱意を持つ事業部門の責任者が、協業検討責任者としてプログラムに参画する。また、富士通アクセラレーターの事務局メンバーや、デザイン・知財など各種専門家が協業成立をサポートする。

まさに、スタートアップにとっては非常にやりがいがあり、魅力的なプログラムと言える。

イノベーションで、世界をより新しいものに

今回のイベントでは、オープニングメッセージとして、富士通株式会社 執行役員常務CIO兼CDXO補佐 福田譲氏が登壇した。

「大企業も最初は、スタートアップ。富士通は12年ぶりにパーパスを刷新した。目的をもって、世界をより持続化していく。世の中イノベーションは当たり前。ものごとにどのような新しい価値を取り入れるかが、ビジネスに重要な要素。パーパスを実現し、新たな価値を社会に提供していく。それが、私たち自身のDX。富士通アクセラレーターが、みなさんにとってイノベーションを生む活動になることを祈っている」と、今回の協業に込めた思いを語った。

採択企業発表会 セッションA

今回の採択企業発表会では、セッションをそれぞれ、AからCに分け、プレゼンが行われた。

最初にセッションAヘルスケアから紹介する。

株式会社プレシジョン

https://www.premedi.co.jp/

プレシジョンは、情報産業としての電子診療支援を提案。

あらかじめ、患者にスマホから病気の症状を入力してもらうことで、医師に患者からの情報が届きカルテを作る時間を減らすことができる。手入力と比べ、電子問診票を利用すると入力時間が3分の1に削減できる。これにより、医療従事者を激務から解放できるという。

また、医療従事者の多くがGoogleを利用していることから着想を得て、医療分野に特化した検索エンジンを開発。

「医療は大きな産業。医療行為は医学と医療の掛け算。コンテンツとテクノロジーの融合で、現場で使えるようにしていきたい」と締めくくった。

株式会社MEDICOLAB 

https://medicolab.co.jp/

医療情報のサービスの向上を掲げたのは、MEDICOLAB

医師看護師向けのアプリ『医学略語』は、すべて専門医が監修した専門用語が6000語収録。音声でも検索が可能。

医師向けのおくすり手帳スキャンサービス『KusuriScan』は、薬を撮影するだけで詳細な情報がわかる。2万種類の薬に対応。どれも医療現場で使えるサービスであり、富士通との共同開発により、電子カルテへの自動反映など、今後のサービスの充実により一層期待が高まる。

株式会社エスケア

https://www.escare.co.jp/

栄養状態を可視化するツールの開発に取り組んでいるエスケア。

食にまつわる課題解決を、塩と栄養の2つに特化したという。ソルトコントロールとは、減塩に代わる新しい塩分管理の方法。妊娠中でも食べられるSALTFREE商品の製造、販売も手掛ける。

『TEACHING KITCHEN』の企画、運営を通し、食文化、歴史を学びながら、どういう風に調理を行えば美味しくなるか研究している。

AZAPA株式会社

https://www.azapa.co.jp/

「これまでは、企業は機能や価格が安いなどで、商品価値を高めていた。しかし、これからは“この商品を使うと心地が良い”と感情に訴えかけたり、個別化された

付加価値をいく社会が来る」と唱えたのは、AZAPA。

感情を可視化しデータ分析するツールの開発を行う。例えば、車であれば自動運転の時代だが、“この人のブレーキって怖い”というように、自動運転の制御を人によって変えることができる。「その人のことをわかっていると、それにあった世界観が実現する」という。

感情をアルゴリズムで解析して、専門家の意見を交えながら、一連の流れでできるようなプロジェクトを進めていくそうだ。

WINフロンティア株式会社

https://www.winfrontier.com/

WINフロンティアは、2000年に東京大学教授・板生清(現東京大学名誉教授)が創立した、東京大学発のNPO法人ウエアブル環境情報ネット推進機構(通称NPO法人WIN)が母体。ウェアラブルを使った心拍変動解析による感情判定を行う。

『COCOLOLO』というアプリを使い、スマホだけで指先から簡単に心のチェックが行える。スマホカメラでの測定精度は80パーセント以上という。アプリの解析技術を、『COCOLOLO ENGINE』としてモジュール化し、保険会社やメーカー、自治体などのアプリに組み込むことで、ライセンス提供している。

リストバンド型センサーと感情解析アルゴリズムにより、オフィスの快適性、生産性向上、社員の健康管理に取り組む。

採択企業発表会 セッションB

セッションBでは、リテール・センシング・金融に取り組むスタートアップを紹介する。

株式会社スマートショッピング

https://smartshopping.co.jp/

スマートショッピングは、起業7年目のスタートアップ。

IoTを用いたゼロクリック在庫管理・発注SaaSを提供している。独自のIoT重量計『スマートマット』で、重量を自動計測する。そのデータをクラウドソフトに送信することで、在庫や消費の見える化が可能になり、発注などの自動在庫管理が可能となる仕組み。

「商品の在庫を保管し消費するには無駄が発生する。その無駄を技術の力を使って解消する。日々のモノの流れを超スマートにすること」を目指している。

株式会社wevnal

https://wevnal.co.jp/

wevnalが開発・販売するチャットボットプラットフォーム『BOTCHAN』。

ECサイトなどで、平均68パーセントのユーザーが離脱しているという事実に着目。そこで、人工知能(AI)が搭載されたchatbotを簡単に作れるCMS『BOTCHAN』を組み込むことで、フォーム離脱を改善する。『

BOTCHAN』は、一問一答形式会話型なので、チャットでの接客が可能。入力ごとにエラーが出ても都度修正できるなど、汎用性も高い。

株式会社I'mbesideyou

https://www.imbesideyou.com/

オンライン上の1人1人をAIで見える化し、個人をより深く理解する、ベストなコミュニケーションに近づけるサービスを提供しているI'mbesideyou。

コミュニケーション特化のマルチモーダルAIは、世界でも唯一無二という。現在、世界153カ国に特許16件出願済み。2021年には100件予定。

「動画解析に国境はない。売上一千億を目指す」と意気込んだ。

株式会社toraru

https://toraru.co.jp/

その場に行けない”を解決する遠隔作業代行サービス『GENCHI』を手掛けるtoraru。

イベントや展示会などに理由があり行けない人と、現地にいる人をマッチングする。まさに人間版Uber Eatsのようなサービス。移動時間や移動予算などの制約もなく、コロナ禍の安全性も確立。映像画質はTVと同じフルHDが可能。

「Overseas Worker Order。地方での新しい仕事の創出と、家から出なくてもどこへでも行ける。まさに疑似どこでもドア。ボディシェアリングのプラットフォームサービス」と構想を語った。

株式会社ダイナミックプライシングテクノロジー

https://dynamic-pricing.tech/

ダイナミックプライシングテクノロジーは、全自動ダイナミックプライシングAIツール『throough』を紹介

価格戦略を自社で開発するとコストや時間がかかるが、『throough』ならユーザーが原価、コスト、上限、加減価格を入力するだけで、商品の売り上げ情報を収集し、需給バランスに応じて値付けされる。

楽天市場や、Yahoo!ショッピングにもAPI連携済みで、会社の規模や業種に依存しない。今後は、リアル店舗を含めた小売業界全体への開発拡大を狙う。

株式会社justInCase

https://justincase.jp/

SaaS型システム『Master』を手掛けるjustInCase。

保険会社は、商品開発が遅いと言われている。『Master』は、API、Plug inを接点とした保険の開発により迅速な商品開発が行える。クラウドベースでテックの部分を提供する。固定費用を一定費用支払うことで、よりコンバージョンが高いソリューションになるという。

「従来の保険会社に接続するというのがハードルとなっている。そこに、富士通と組むことで、風穴を開けたい」と前向きな姿勢を見せた。

採択企業発表会 セッションC

セッションCでは業務効率化、見える化に取り組むスタートアップを紹介する。

Workato, Inc.

https://www.workato.com/

Workatoの手掛けるサービスは、単一プラットフォームで、様々なユースケースに対応。

企業側でのサーバー調達や、運用も不要なうえ、高性能(負荷分散、冗長化)、アジャイルでの実装が可能となっている。適応範囲が広いため、俊敏なビジネス変化に対応できる。

株式会社QuantumCore

https://www.qcore.co.jp/

QuantumCoreは、発言者ごとの文字起こしサービス『sloos』を手掛けている。「ビジネスはクリエイティブな時間が必要なため、議事録が必須だが手間である。そこで、実用的な議事録を簡単かつ安全に作成できるツールを開発した」。

ミーティングやコールセンターなど、話者まで特徴し、文字起こしができる。認識の精度も高い。個人の発言数を数値化し、分析レポートも可能。より生産性も高められる。

サンクスラボ株式会社

https://thankslab.biz/

サンクスラボは、『IT×福祉』をテーマに、障がい者の就労支援を行う福祉施設を運営

デジタル系の業務を担うことができる障がい者の育成と同時に、多用なネットサービス運営や、BPO事業を展開している。障がい者に、デジタル業務の機会を提供し、必要なスキルを教えている。

ストックマーク株式会社

https://stockmark.co.jp/

ストックマークの『Anews』は、ビジネスに直結するニュースをAIが選んで届ける。組織の情報感度を高め、ナレッジ共有を促進するサービス。

ユーザーの、“効果的な情報共有の仕方がわからない”という声にこたえて、最先端の人工知能を使い、情報収集と共有をサポートする。国内外3万メディアの記事を厳選して配信。メンバーにも簡単にシェアでき、チーム全体の情報感度を高めていける。部署を超えた横断的なコミュニケーションの促進が可能となる。

3i Inc.

https://www.3i.ai/

3iは、VRとAIの技術を利用した次世代プラットフォーム『3i INSITE』の開発・運営を行うスタートアップ。

ファシリティーマネジメントをオンラインで行うサービスを提供している。これにより遠隔にいる人でも、リモートで現場調査が可能となる。ウィズコロナ時代に、さらなる需要増加を狙っている。

conect.plus株式会社

https://www.conect.plus/

conect.plusは、クラウド型IoTデータ可視化サービスを手掛けている。『conect+』は、『conect+ Lite』と『conect+ Studio』の2つのサービスを提供。

どちらもノーコードで、ウィジェットを選ぶだけで様々なデザインも可能。IoTアプリケーションがすぐに作成できる。開発コストを掛けられないという、企業のIoTアプリケーションの現実に、向き合ったサービスとなっている。

スタートアップに熱意を燃やす立役者

スタートアップの各セッションのプレゼン後は、オンラインでJR東日本スタートアップ株式会社 シニアマネージャー/株式会社TOUCH TO GO 代表取締役社長 阿久津智紀氏と、富士通アクセラレーター 事業開発担当 松尾圭祐氏の対談が行われた。

今回の対談のテーマは、「今さら聞けない。でもこっそり聞きたい・・・スタートアップ連携のポイント」

阿久津氏が手掛けたA-FACTORY、JRE POINTという功績の紹介から始まり、現在のJR東日本スタートアップ株式会社では、約80社の協業プランを採択し、JRグループとして課題を解決しているという話題にまで及んだ。

また、富士通アクセラレーター事業開発担当 松尾氏は、「結果を見せるため、誰よりもスタートアップの現場に行っていた。自分が持ち込んだ企画をやる時心がけていたテーマは、役員を恐れない、危険から逃げない。偉い人のところにいくと“うん”と言ってしまう。そのためイレギュラーを起こすのは難しい。でも僕は1日、2日で結果を出して、結果重視で信用してもらった」と、独自の持論を展開。

スタートアップの未来に掛ける意気込みを熱く語った。

終わりに

クロージングは、富士通アクセラレーター代表 浮田博文氏が登壇。「今回は、オンラインと言うことで、多くの方に参画してもらえた。今後は、発表を通じて、ソリューションやサービスに興味を持った方には事務局にご連絡が欲しい。PoCなど通じてイノベーションの事例を作りたい」と呼びかけた。

今後は、PoCの実施に向けての協議が進められ、来年4月にPoCの成果の発表を検討している。

なお、富士通アクセラレーター事務局メールアドレス:contact-fap@cs.jp.fujitsu.comに問い合わせることで、登壇したスタートアップへのより詳細な情報が得られるようだ。

池守 りぜね

この記事を書いたライター

池守 りぜね

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