TOP > インタビュー一覧 > 起業家のTwitter活用術を聞いてきたら、超勉強になった話 - ポジウィル金井芽衣さん取材
今や投資家がTwitter経由で起業家を見つけ、コンタクトをとる時代。Twitterを使っているという起業家は多いのではないでしょうか。
今回は、Twitterを活用してサービスの認知を広めたポジウィル代表に金井芽衣さんを取材。
起業家に限らず、Twitterをこれから頑張りたいと思っている人にとって、とても勉強になる内容となりました!
●ポジウィル株式会社代表 金井 芽衣
大学卒業業後、リクルートキャリアに入社し、人材紹介部門の法人営業として活躍。リクルートキャリアを退職し、2017年8月にポジウィル株式会社を設立。 2018年4月に400人だったTwitterのフォロワー数は、今や約1万6,000人以上に。(@meiem326)
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宮嵜
いきなりですが、金井さんTwitterすごいですよね。フォロワー自体の伸びも早いし、存在感も急激に増してきてびっくりしています。
金井
ありがとうございます。うざいですよね(笑)。割と短期間でグッと伸ばしたいとなると、戦略的にやらないとなかなか難しいな、と思っていますね。
金井さんのTwitterアカウント(1/30時点)
宮嵜
今日はその戦略の部分も、たっぷり聞かせていただこうと思っているので楽しみです。そもそも、なぜTwitterを始めたのですか?
金井
自分が「そうだんドットミー」というサービスをリリースするにあたって、やっぱり認知が無いと何も広まらないなと思ったのがきっかけです。
自分自身を知ってもらうとか、何をしたいかとかを分かってもらう段階で、興味を持ってもらうことって難しいと思うんですよね。
宮嵜
なるほど。「起業家だったらTwitterやってないで、事業推進にフォーカスしろよ!」とかそういう声もあると思うんですが、どう思われますか?
金井
まあそれはそうだなとも思います(笑)。ただ、SNSと上手く付き合うというのも結構大切かなとも思います。
宮嵜
たしかに金井さんを見ているとそう感じます。
金井
ニーズがあるのかわからなかったので、まずは身近な人から初めてみようと思った事がきっかけですね。今口コミでのご利用もかなり増えていて、アーリーアダプターの方々の熱狂的な想いにとても助けていただいているなと。
これが実現できたのも、Twitterを通して認知をしてもらったり共感してくれたりする人と出会えたからだなって思います。
宮嵜
具体的なTwitterの運用方法や考え方をお聞きする前に、まず一度「そうだんドットミー」の事業内容を紹介いただいた方が良いかもしれませんね。
金井
そうですね。簡単に言うと、そうだんドットミーは求人を紹介されないオンラインのキャリア相談サービスです。
宮嵜
なぜそれを始めようと思ったんですか?
金井
今はキャリアを自分で創っていく時代だと思っていて。ただ、キャリアに関する悩みを相談できる場所が無いように感じたんですね。
相談した結果、求人につなげられたりして、相談している方よりも、相談に乗っている方がどうしたいかが先行していることが本当に多い。
だから、「本人が何をしたいのか」に本当に向き合えるフラットな立場で相談できる場が必要だなと思って始めました。
宮嵜
マネタイズはどうしているのですか?
金井
今は相談した方からいただく相談料だけでやっています。そこの総数の拡大や、法人向けのサービス提供を、今後の展開として考えている段階です。
宮嵜
相談したい方に真に価値を提供するからこそ、相談料だけで成り立つということでしょうか。とはいえ、キャリア相談にお金を払うという感覚がない人が、けっこう多いと思うのですが、実際どうですか?
金井
たぶん日本人って無形商材にお金を払うっていうことがそんなにないとおもうんですよね。相談料払うとかってないと思うし。
宮嵜
たしかにそうですね。
金井
ただ、友人同士で相談するとかって、気を遣うじゃないですか。結局「私ばっかりしゃべってごめんね」とか。
話が前に進まなかったりとか、「辛いよね」「頑張ろうね」とかで止まっちゃうところを、利害関係がない第三者との時間をお金を払っているからこそ自分の時間として独占ができるんです。
自分が悩んでいることにフォーカスして、相手が自分のために時間を使ってくれることに価値があるとおもうんですよ。これが意外と快感というか。
宮嵜
お金を払っているからこそ、人間関係とかを気にせず相談できると。
金井
うちはリピート率が高いユーザーの方が多いんですけど、そういった良さというのを実感していただいた結果という部分もあると思います。
宮嵜
実際に使った方の感想は?
金井
「自分の軸が分かりました」とか「自分の長所が分かりました」とかから、次の仕事が決まりましたとか会社を辞めましたなど、幅広いですね。
転職活動中とか自分の仕事が上手くいっていないときとかってかなり落ち込むことが多いと思うので、知見がある人に相談できて、しかも営業されないっていうのが大きいのかもしれないですね。
宮嵜
その「そうだんドットミー」の認知を広げる部分で、Twitterをかなり活用しているということですが、実際どのくらい反響がありますか?
金井
たぶんサービスリリースから1カ月で、登録は2,000人くらいありました。広告とか何もやらなくても登録が増えていっています。
宮嵜
広告まったく無しでそれはすごいですね。利用者の方のうち、どのくらいが Twitter経由ですか?
金井
今はほぼ Twitterですね。あとキャリアアドバイザーも一部 Twitter経由で集めています。むしろ自分からやりたいと立候補してくださる方が多いです。
宮嵜
コンセプトに共感してくれた人が多いということですかね。ここまでTwitterに効果があるとなると「業務の一環としてやる」というのも納得がいきます。
宮嵜
普段Twitterにはどのくらい時間を割いていますか?
金井
私、実はほぼタイムラインを見られていなくて。ツイートは一日1〜2ツイートくらいですかね。
一時期は1日10ツイートくらいしてましたが生活の中心がTwitter寄りになっていたので辞めました。笑
宮嵜
Twitterをやる理由として「必要だからやる」と「やってて楽しい」のどっちもあると思うんですけど、Twitterいじるのは好きですか?やはり、ある意味、義務感もありますか?
金井
今は好きですね。
宮嵜
フォロワーの数も追っていますか?
金井
今はどっちでもいいかなと思ってますが、初期はそこそこ考えてましたね。
宮嵜
ちゃんと目標設定をしながらやっている形でしょうか。
金井
それはあまりしてないですかね。途中からどんなワードでツイートをすれば伸びるのか、伸びないのかが分かってくるので結構面白いなと。
フォロワーを伸ばしたいという方は「自分の言葉でどうしたら相手に伝わりやすいか」という感覚を早めにつかむことが一番大事かなと。がむしゃらに走ってもタイムは伸びないけど、ちゃんとフォームを正せば早くなる的な。
宮嵜
「フォームをつくる」という事で言うと、こうすれば伸びる!みたいなTwitterノウハウって世の中にあふれているじゃないですか。
そういうのを活用していくのが意外と難しいなと思うのですが、金井さんはどうやって「フォームを作って」きましたか?
金井
単純に私が社会人1年目だったらこれ知りたかったなっていうこととかをツイートしようと思っていて。こんなこと教えてほしかったとか、こんな方法あったらもっと楽だったなっていうこと。
昔は月曜日を迎えるのが本当に憂鬱で「こんなにつらい思いをしてるのは私だけじゃないか」って思ってたんです。だからそういう人に寄り添いたいなって思うし、みんな「転職活動しんどいな」って思うだろうし。
「一人じゃないんだよ」っていうのを伝えていきたいですね。
宮嵜
Twitterでは自己開示が求められてる気がします。自分の悩みや辛いことを正直に表現するというか。
金井
かっこよかったり綺麗な言葉は世の中に溢れてますが、みんななんだかんだ疲れるんだろうなぁと。出来ないことは出来ないって言えたり、ダサい自分を開示している方が楽だって気づけたら楽になる方も多いのかなと。
私の日常はインスタに食べかけのラーメンをアップしちゃうくらいバエないですが、それはそれで味わい深いなと勘違いしてます。
宮嵜
普段ツイートする内容というのは、どうやって考えていますか?普段からツイートするネタを考えていますか?
金井
自分の感情の起伏をツイートしていますかね。
宮嵜
それって難しくないですか??
金井
感情を自分の中で言語化する事をよくやっていて。「今私はこういう気持ち。何でだろう」みたいな。
宮嵜
それをツイートするというわけなんですね。どこでしますか?
金井
移動中とかですかね。
宮嵜
私は日中もTwitterが気になってしょうがないんですが、オンオフはどうしていますか?
金井
単に予定が結構詰まっている事が多いので、物理的に見れない事が多いですね(笑)。通知もオフにしてます。
宮嵜
事業推進において、やはりTwitterは重要ですか?
金井
SNSを使わない場合、最初から認知されるために広告を打つと思うのですが、ユーザー像が明確にならなかったり、響くメッセージが見えにくいのかなと。Twitterやっててよかったなっていうのは生の声を聞きやすいことですかね。
フォローしてくれる人が、私のツイートを見て「そうかもしれない」って思ったりとか、「その価値観良いな」って思ってくださった際に、私が運営をしているサービスにも興味を持ってくれることが起こる。
そういう意味で、ファン化させやすいのかなと思ってます。
たぶんインスタグラムとかも、その人のライフスタイルとか考え方とかそういう人になりたいなって思ったときに、その人がお勧めしたものを欲しいって感じるのだと思います。
今は周りに色んなものとか情報があふれている中で、何を基準に選んだらいいか分からなくなる時代だと思っていて。そういう時に「この人みたいになりたい」とか「この人がおすすめしているものがいいな」っていうのが判断軸になってくる。
そういうファンを作っていくために、経営者がSNSを通してビジョンを語ったりするのが有効なのかなと思います。
宮嵜
サービス初期のファン作りに、SNSが有効だというわけですね。
金井
ToC以外にToBでも効果があると思っています。実際に私はTwitterでの発信がきっかけで企業からも声をかけてもらったりとか。結局企業って個人の集合体なので個人が興味を持って「これやりたい」ってなったら導入される可能性も高いかもしれない。
ToCしか効果ないんじゃないかって思うかもしれないけれど、ToCの中の一ユーザーが興味を持ってくれて、企業に導入したいって話になることはあると思います。
宮嵜
起業家にとってのTwitterについて聞いてきましたが、逆にTwitter界で「起業家」という属性が強みになることってありますか?
金井
起業家っていうよりも、自分自身が何者かっていうのを分かっている方が強いんじゃないかなぁと。起業家って、自分のやりたいことが明確だったりとか、事業を伸ばしていきたいという明確な目的意識があるので、それが強みになるように感じます。
起業家じゃない学生や社会人でも、「自分自身はこういう存在なんだ」っていうのがはっきりしていて、伝えたい内容・伝えたい相手を明確に持てていれば、あとはメッセージを自分で考えて発信するだけですごく伸びると思います。
自分が何者か分からなくなっていて、誰に向けてなのか分かんなくて、何となくツイートしてもなかなか伸びにくいのかな、と。
宮嵜
参考にします…!ただ、自分自身が何者かが明確じゃない人は多いと思うんですが、そういう人はどうしたらいいんでしょうか。
金井
定義しちゃえばいいように思います。まず、自分の良いところを挙げてみるのは大事だと思います。それを自分自身が認識できないと、途中でぶれちゃうというか。
あとは自分に都合よく解釈しないこと。
宮嵜
「自分に都合よく解釈しない」というのは?
金井
表面的なやさしさでごまかそうとしないとか。自分の至らない部分を認めた方が楽だと思っていて。人間らしさをみんな求めてるというか。
学歴とか、超いい会社に入ったから良い人っていうわけじゃないってみんな薄々気付いてると思ってて。そういうことと、ちゃんと向き合うのが大事だと思います。
宮嵜
それでも、やっぱりそういうのから逃げたい場合はどうすればいいんですか?
金井
逃げていても解決しないことは確かですが、余裕ができるまでは無理に向き合う必要はないのかな、と。
私たちの身近にあるSNSの使い方として、Twitterは共感とかちょっと意味あるライフハック、インスタは憧れ、Facebookは近況報告とちょっとしたマウンティングなのかなと思っていて。
自分で取り入れられるなっていう情報を展開していくのと、人間らしさを出していくっていうところがTwitterでは大事なのかな、と。この人も完璧じゃないんだなっていうのを出していくのが大切だなと思っています。
宮嵜
最後に、起業家の方でTwitterやってない人はまだまだ多いと思うのですが、おすすめしますか?
金井
おすすめです!
私は昔から言葉を大切にしていきたいなと思っていたので、私自身はTwitterが好きですね。友達からはポエマーと呼ばれてます(笑)。逆にインスタ映えするような写真は撮れないですね。
無理してTwitterをやらなくてもいいと思うのですが、何らかのチャネルはハックしていく事が必要だと思いますね。私や弊社としてもまだまだですが。
シードの段階だと経営者が発信することでいろんなメリットがあると思うので、楽しめる程度にやって見たらいいのではないかなと思ってます。
宮嵜
今日はありがとうございました!
金井さんTwitterアカウントはこちら→@meiem326
広島出身。2018年にプロトスター株式会社に参画、起業LOGを立ち上げ。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻に所属。
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