顧問税理士の役割・仕事内容を解説!顧問契約を結ぶメリット・デメリットも紹介

顧問税理士の役割・仕事内容を解説!顧問契約を結ぶメリット・デメリットも紹介

記事更新日: 2020/08/26

執筆: 編集部

税理士に仕事を依頼することを検討するときに、顧問契約を結ぶべきかそれとも必要なときだけ依頼すべきか悩む方も多いことでしょう。

結論から言いますと、顧問税理士との契約を検討すべきタイミングは、売上が1,000万円に到達する段階です。

売上1,000万円以上になると消費税の課税事業者となり、消費税の申告を行う必要がでてきます。それに伴い経理の仕事や税務処理も複雑になります。

正確な税金の申告を行うためにも売上1,000万円をひとつの基準することはおすすめと言えます。

この記事ではさらに詳しく、顧問税理士の仕事内容、税理士と顧問契約を結ぶことのメリット・デメリットを紹介します。この記事を読めば、自社にとって税理士と顧問契約を結ぶ方がいいのか、それとも必要なときだけ仕事を依頼すればいいのかより深く理解できるでしょう。

顧問税理士の仕事とは?

税理士が行うことのできる仕事は税理士法の第2条により次の3つの仕事が行えると規定されています。

  • 税務代理
  • 税務書類の作成
  • 税務相談

顧問税理士は税理士のこうした基本的な仕事に加えて、定期的に経営陣と会合を開き、会計や税務に関する報告、会計状況の分析、改善点の提案などを行います。

税理士の基本的な仕事に加えて、経営コンサルタント的な役割を果たすのが顧問税理士です。

税理士の基本的な仕事について説明を加えます。

税務代理

納税者の代わりに税務署に対して税金の申告や申請を行うのが「税務代理」の業務です。

基本的に法人税や所得税、相続税などは自主申告・自主納税なので納税者が自分で計算し納付しなければなりません。

しかし、税法は複雑であり、たびたび改正されるという傾向があります。ですから専門知識のない一般人が自分で申告・納付することは難しいので、税理士がその手伝いをできるようになっています。

税務調査の立ち会い

税務代理の業務に「税務調査の立ち会い」があります。

税務署は申告者が疑問の残る申告を行った場合、申告者に聞き取りをしたり、会計帳簿や証拠書類を調査します。この税務調査のときに、税理士は申告者に同行し代理で説明を行います。

税務書類の作成

税務書類の作成業務とは、税務官公署(国税については国税庁、国税局、税務署がこれに該当し、地方税は地方公共団体の税務課や府県税事務所などが該当する)に対して各種申告書、申請書、請求書、不服申立てなどの提出書類を作成することです。

年次業務としては確定申告書の作成、決算書の作成、そして年末調整があります。

月次業務としては伝票整理、総勘定帳や残高試算表の作成、また依頼があれば給与計算や源泉所得納付書の作成なども行います。

年末調整や確定申告のときだけスポットで税理士に仕事をお願いするということもできますが、顧問税理士であればいつでも税務関係の仕事を依頼できます。

税務相談

税金についての相談にのるのも税理士の仕事です。

顧問契約と業務委託契約の違い

顧問弁護士と契約を結ぶメリットについて考える前に、顧問契約と業務委託契約の違いについて理解しておく必要があります。

顧問契約は、顧問料を支払うことで、特定の分野の知識、経験を持っている人物に専門的な業務の遂行、専門的なアドバイスや提案を求めることができる契約です。

企業や個人は、専門家と顧問契約を交わすことで、その知識や能力を経営に活かすことができます。

業務委託契約とは、外部の企業や人物に業務内容や費用、期間などを取り決めて特定の仕事を引き受けてもらう契約です。

広い意味では顧問契約も業務委託契約の1種類です。しかし、業務委託契約は一般的に期間が限定されているのに対し、顧問契約は継続的なものという違いがあります。

ですから経営陣が税理士の必要性を感じているなら、継続的に税務関連の仕事を依頼できる顧問契約にするのか、それとも決算申告や確定申告の時期だけといった業務委託契約にするのかを考えなければなりません。

顧問税理士と契約を結ぶメリット

顧問税理士と契約を結ぶメリットとしては以下の8つがあります。

1. 税務についてのアドバイスがもらえる

2. 節税対策ができる

3. 本業や経営に専念できる

4. 資金調達面で有利になる

5. コスト削減が可能

6. 正確な税金の申告ができる

7. 税務調査に立ち会ってくれる

8. 司法書士や社会保険労務士などとの連携

それぞれの点について説明を加えます。

1. 税務についてのアドバイスがもらえる

顧問税理士にはいつでも税務上の問題や悩みを相談することができます。そしてそれに関する的確なアドバイスがもらえます。

顧問税理士は、スポットで仕事を依頼する税理士とは違い、顧問を務めている企業の会計状態を常に把握しています。ですからより実際的で現実的なアドバイスが可能です。

さらに外部の人間としての第三者的な立場から客観的に物事を観察しアドバイスすることができます。

2. 節税対策ができる

税理士は節税に関する知識を持っています。たとえば税金がかからない助成金の使用法、正しい控除の受け方、経費として計上できる内容などの知識です。

さらに税制は国の状況などでたびたび変化します。たとえば「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例」などがありますが、こうした特例をどのように活用できるのかも、税理士は教えてくれます。

また節税を行うためには、決算前に対策を講じるよりも、早めに準備するほうが効果的です。時々しか会計状態を観察しない税理士よりも、顧問税理士の方がその点でも有利です。

3. 本業や経営に専念できる

中小企業などでは経営者自身が会計や経理の仕事を行っていることがあります。しかし会計や経理の仕事を税理士に依頼すれば、その時間と労力を本業や経営に振り分けることができます。

4. 資金調達面で有利になる

「顧問税理士がいる」というだけで金融機関や取引先への印象が良くなります。実際に金融機関に決算書を提出するときに、法人税の確定申告書も添付しますが、その書類に税理士の印鑑があるだけで信頼度が高まります。

資金調達が必要であれば、銀行からの融資、助成金や補助金の活用法について税理士からアドバイスをもらうことができます。また金融機関から融資を受ける場合に必要な事業計画書の作成も手伝ってもらえます。

さらに「経営革新等支援機関」として認定されている税理士に依頼すれば、中小企業支援施策を受けやすくなるというメリットがあります。たとえば、中小企業が経営革新等支援機関の認定を受けた税理士の助けを借りて経営改善に取り組む場合、信用保証協会からの保証料が減免されます。

5. コスト削減が可能

顧問税理士と契約することでコスト削減が可能になる場合があります。なぜなら税理士には経理の仕事を依頼することができるからです。

たとえば次の仕事を税理士に依頼できます。

  • 会計ソフトへの入力
  • 給与計算
  • 年末調整

もしこうした仕事を行ために何人かの人を教育する、もしくは新たに雇うとなると採用、教育、毎月の給与、福利厚生などの分野でコストがかかります。

しかし顧問税理士に丸投げすればこうしたコストはかからなくなります。

もちろん顧問料以外の追加料金を支払う必要がありますが、トータルで考えるとコストが削減できることがあります。

6. 正確な税金の申告ができる

税制は定期的に変更されるので経営者や経理担当者がそれについていくのは大変です。しかし税理士に依頼すれば、最新の税制に対応し正確な処理をしてくれます。

また不正確な申告をした場合、修正申告や追徴課税を支払う必要があります。税理士に依頼すれば正確な税金の申告を行ってくれるので、こうした問題も回避できます。

7. 税務調査に立ち会ってくれる

顧問税理士は経営者の代理として、税務調査の事前通知の受領、日程調整、調査で必要な書類の準備、当日の調査官への説明などを行ってくれます。

こうした仕事を代理で行ってくれるので、経営者は税務調査による精神的負担から解放され、そのためにたくさんの時間を取られることもありません。

8. 司法書士や社会保険労務士などとの連携

税理士は同じ士業の司法書士や社会保険労務士、弁護士などとすでにつながりを持っている場合があります。

顧客とのトラブルが合った場合、従業員同士でトラブルが合った場合などは弁護士や社会保険労務士に相談するのがふさわしいです。税務以外の問題が生じた場合には、税理士を通じて信頼できる他の専門家を紹介してもらうことも期待できます。

顧問税理士と契約するデメリット

顧問税理士と契約を結ぶデメリットは「顧問料が必要」という点です。

しかし顧問料以上の節税効果が得られる、新しく経理担当者を雇うよりもコストがかからないというのであれば、このデメリットは相殺されるでしょう。

もし顧問税理士と契約することに決めたのであれば、税務処理の繁忙期だけでなく、必要な仕事があればいつでも活用するようにしましょう。

顧問料の相場と契約するタイミング

顧問税理士の顧問料は企業や個人事業主の年間売上額に比例して高くなります。毎月の顧問料の相場を表にまとめました。

この額はあくまで相場であり、実際の金額については個々の税理士と相談する必要があります。

顧問税理士と契約するタイミングは?

顧問税理士との契約を検討すべきタイミングは、売上が1,000万円に到達する段階です。

売上1,000万円未満の事業者は、消費税の課税事業者とならないので、消費税の申告は必要ありません。

しかし売上1,000万円以上になると消費税の課税事業者となり、消費税の申告を行わければなりません。それに伴い経理の仕事や税務処理も複雑になります。

正確な税金の申告を行うためにも売上1,000万円をひとつの基準として顧問税理士への依頼を検討したほうがいいでしょう。

税理士費用を抑えるために

税理士費用を抑えたい方は、複数の税理士に相談することをおすすめします。

いわゆる「合い見積もり」をとるイメージで、複数の税理士のサービス内容や報酬を比較し合うことで、より良い税理士を選択することができます。

税理士探しで重宝するのが、税理士紹介サービスです。税理士紹介サービスとは、豊富な税理士ネットワークからあなたに合った税理士を無料で紹介してもらえるサービスのことです。

すでに税理士候補がいる場合でも、税理士紹介サービスを通して紹介してもらって他の税理士と比較することで、より確信をもって選ぶことができます。


税理士紹介サービスを使うとき、まず使ってほしいのが税理士ドットコムです。

登録税理士が5,600人と多く、何人でも無料で紹介を受けることができるため、税理士ドットコムさえ使っておけば他の税理士紹介サービスを使わなくてもたいてい納得できる税理士が見つかります。

税理士の報酬相場などを熟知した専任の担当がついて、税理士選びをサポート、第三者的観点からアドバイスをくれるのも魅力的なポイントです。

はじめて税理士を探す人も、すでに税理士候補がいる人もとりあえず一回は使ってほしいサービスです。

 

また、税理士ドットコム以外であれば、税理士紹介ラボもおすすめです。


税理士ドットコムと同じく紹介料・手数料が無料であるだけではなく、「税理士紹介ラボ」経由で紹介した税理士と契約する場合、顧問手数料1ヶ月分が無料になる点が魅力的です。

顧客満足度も96.8%と非常に高いです。

 

なお、税理士の探し方・選び方については以下の記事もぜひ参考にしてください。

 

まとめ

顧問税理士の役割や仕事内容を紹介しました。

税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つの基本的な仕事に加えて、税務や経営に関するアドバイスを経営者にする、資金調達の手助けをするなどの仕事も行います。

また給与計算や会計ソフトへの入力などの経理の仕事も依頼できました。

売上が1,000万円程度の水準まで達したなら節税対策や正確な税金の申告のために顧問税理士との契約を検討しましょう。すでにこの基準に達しそうであれば、この機会に顧問税理士に仕事を依頼してみてもよいでしょう。

画像出典元:pixabay

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