個人事業主あるいは法人の代表となった際に直面する問題が「税金」です。
サラリーマンのような従業員であれば「税金」は会社などが計算して勝手に引かれていくものですから「節税」を意識することはあまりないですが、事業主などになった以上「節税」は死活問題となります。
「節税」のためには税のスペシャリストである税理士に依頼するのが有効な手段ですが、そのためにはそもそも節税とはどういうことか、節税に強い税理士とはどのような税理士か、ということを知っておく必要があります。
そこで今回は税理士に節税をお願いする時のポイントについて、節税の意味を交えながら解説していきます。
このページの目次
「節税に強い」とはどういうことかを理解するためには、「節税」と「脱税」との違いという視点から税について適切に理解しておく必要があります。
個人や法人が事業活動を行ったり、あるいは生活をしていくためには、様々な形やタイミングで行政サービスを受けることになります。
その行政サービスの運営資金の原資となっているのが個人や法人が納める税金です。
個人や法人が納める税金は、「すべての人が平等に納める」税金と、「それぞれの負担能力に応じて納める」税金との2種類に分かれます。
特に後者についてはさらに「個人か法人か」や「会計上の費目」などといった観点から課税対象であるかの判断や税率の大小が変わってきます。
「脱税」とは、「本来納めるべき税金を納めないこと」であり、これは違法行為です。税金はすべての人が平等に、かつそれぞれの負担能力に応じて納めるべきものであると認識すべきでしょう。
「節税」とは、先述のとおり税率などの課税の仕組みについて熟知し、法の範囲内でより納税額を小さくするための会計管理を行うものであり、いわゆる「企業努力」です。
法の範囲内で節税を行うためには、課税の仕組みに精通していなければなりません。しかし、税は法律にのっとって仕組みが作られており、非常に複雑な内容です。
個人事業主や一人社長が事業を行いながら勉強をしていったとしても、ある程度の理解はできるでしょうが「節税」の目的を十分に達成できるまでの理解には至ることが困難です。
そこで税理士の出番となります。税理士は課税の仕組みや会計管理などについて徹底的に学習して国家から資格を与えられた「税のスペシャリスト」です。
個人事業主や一人社長が独学で努力しても十分に取り組むことが難しい「節税」について、スペシャリストの立場から事業主などに代わって取り組んでくれます。
事業主は税理士に仕事を依頼することにより、適法な範囲で最大限効果的な「節税」をすることができるとともに、自身は事業に集中できるようになるというメリットも享受できます。
「節税」という作業をより端的に表現すると、個人事業主や法人の事業活動などに課税される税金に対して、経費算入や控除制度の活用などのアプローチにより納税額を減額していく作業ということになります。
具体的に説明すると、例えば「所得税」は個人事業主や法人が出した利益に対してかかる税金ですが、利益の大きさに応じて税率が上がっていく「累進課税」という仕組みがとられています。
つまり利益が大きくなればなるほど納める税金の金額も膨れ上がってしまうというデメリットがあります。
これを防ぐためには利益を小さくするというアプローチが有効であり、そのためには経費として算入できる支出を適法の範囲で算入したり、あるいは利用できる控除制度をしっかりと利用するなどの方法がとられます。
「節税に強い」とは、適法の範囲で様々な「節税」のためのアプローチを事業主などに提案できること。そして、そのための知識とノウハウの両方を十分に保持していることを意味します。
先述のとおり、「節税に強い」税理士とは、すなわち適法の範囲で様々な「節税」のためのアプローチを事業主などに提案できる税理士のことをいいます。
そのためには知識とノウハウの両方を持っていなければいけません。
しかし、残念ながら一言で「税理士」といっても、国家試験に合格したてでまだ知識しか備えていない新米税理士もいれば、多くの法人などの案件を担当して独自のノウハウを蓄積してきたベテランの税理士もいます。
特に「ノウハウ」の部分は税理士によって大きく差があるのが実情です。
ノウハウを蓄積してきたベテラン税理士であれば、そのノウハウに基づき最大効果の「節税」を行うためのありとあらゆるアプローチを提案できますが、知識しかない新米税理士となるとそうはいきません。
ノウハウの蓄積が十分ではない税理士に依頼しても、教科書どおりの無難なアプローチしかしてくれないなど「節税に消極的」となってしまう可能性があります。
税理士の本業は、日常的な会計作業や毎年行う確定申告などの税務作業をサポートすることであり、「節税」に関する提案や相談はあくまで「サービス」の一環です。
「節税」をすることそのものが税理士の報酬に直結するわけでもありません(それでは事業主にとって「節税」の意味がない)から、どうしても税理士によって「節税」に対する積極性に差異が発生します。
とはいえ、税理士としても多くの仕事を受注するためには税理士としての評価を上げなければいけません。
「節税」に対するアプローチ能力の有無も税理士の評価指標のひとつですから、意欲的な税理士であれば直接的な報酬にはつながらなくとも積極的に「節税」に関する提案をしてくれたり相談を受けてくれます。
要は税理士自身のスタンス次第で「節税」に対する積極性も変わってくるということです。
税理士を探す場合、最も重要になってくるのはできるだけ多くの選択肢から選ぶことです。
特に何も考えず、知り合いの税理士さんに仕事をお願いする人もいますが、これは非常にもったいないことです。なぜなら、その税理士さんが本当に自分に合った税理士なのかは分からないからです。
やや大げさな例ですが、税理士探しは結婚相手を探すことに似ています。一度決めたら、変えるのはそう簡単ではありません。変えるのにはお金も時間もかかります。
たまたま知り合いだからという理由で、その人と結婚する人はいないですよね?色んな人と一緒にでかけたり、話してみたりして、誰と一番相性が良さそうかを考えるはずです。
これと同じで税理士選びにおいても、複数人の税理士を比較して検討するのが理想です。
このとき便利なのが、税理士紹介サービスです。税理士紹介サービスとは、豊富な税理士ネットワークからあなたに合った税理士を無料で紹介してもらえるサービスのことです。
すでに税理士候補がいる場合でも、税理士紹介サービスを通して紹介してもらって他の税理士と比較することで、より確信をもって選ぶことができます。
税理士紹介サービスを使うとき、まず使ってほしいのが税理士ドットコムです。
登録税理士が5,600人と多く、何人でも無料で紹介を受けることができるため、税理士ドットコムさえ使っておけば他の税理士紹介サービスを使わなくてもたいてい納得できる税理士が見つかります。
また専任の担当がついて、税理士選びをサポート、第三者的観点からアドバイスをくれるのも魅力です。
検索機能も充実しており、それこそ「節税が得意な税理士」に絞って検索することも可能です。
はじめて税理士を探す人も、すでに税理士候補がいる人もとりあえず一回は使ってほしいサービスです。
また、税理士ドットコム以外であれば、税理士紹介ラボもおすすめです。
税理士ドットコムと同じく紹介料・手数料が無料であるだけではなく、「税理士紹介ラボ」経由で紹介した税理士と契約する場合、顧問手数料1ヶ月分が無料になる点が魅力的です。
顧客満足度も96.8%と非常に高いです。
なお、税理士の探し方・選び方については以下の記事も参考にしてください。
「節税」に強い税理士を探す際の最も重要なポイントは、税理士としての実績とノウハウを見極めるということです。
先述のとおり、税理士としての実績とノウハウは節税に対する積極性やアプローチの多様性などを左右する重要な要素となっています。
税理士として積んできたキャリアや担当してきた仕事の内容などをしっかりと確認して十分な実績とノウハウを有しているかを見極めましょう。
先述のとおり「節税」は税理士の本業ではないからこそ、節税に対して積極的に提案や助言を行ってくれそうな税理士は、事業主としては有り難い存在といえます。
そもそも事業主は節税に対する専門的な知識を持っていないから税理士にお願いをするのですから、節税に対して税理士の方から提案をしてくれないのであれば、その税理士は節税に強みを持っていない可能性が高いです。
今回は税理士に節税をお願いする時のポイントについて、節税の意味を交えながら解説してきました。
「節税」と「脱税」は違います。あくまで適法の範囲で最大限の「節税」を達成するには税に関する専門的な知識とノウハウを蓄積してきた税理士によるアプローチが必要です。
事業主としては、「節税」目的で税理士を探す際にはそういった知識やノウハウを有しているかを確かめること、そして「節税」に対して積極的に提案などをしてくれるかを見極めることが必要です。
画像出典元:写真AC、Pixabay、Pexels
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