源泉徴収票を再発行したい!社会人なら知っておきたい紛失時の対処法

源泉徴収票を再発行したい!社会人なら知っておきたい紛失時の対処法

記事更新日: 2021/06/02

執筆: 浜田みか

会社勤めをしていると、年に一度発行される源泉徴収票。

住宅ローンの審査や転職、確定申告などの手続きで使うものですが、目的がないと普段は使う機会がないだけに、つい紛失してしまいがちな書類の一つではないでしょうか?

そこで今回は、源泉徴収票を紛失したときの再発行について解説します。再発行手続きの手順から源泉徴収票が必要になるシーン、再発行における困った!を解決する方法まで網羅しています。

これを読んでおけば、源泉徴収票の重要性も再発行時の対処、再発行で起こりやすいトラブルへの対処法もわかります。

源泉徴収を紛失したらすぐに再発行手続きを

源泉徴収票が必要になったけど、見当たらない。そんなときは、迷わずすぐに再発行手続きをしましょう。

ここでは、間違えやすい源泉徴収票と支払調書の違い、再発行手続きの手順、再発行にかかる期間、再発行に伴う費用、そして再発行できる回数の上限について解説しています。

源泉徴収票と支払調書の違い

源泉徴収票は、その年に会社から支払われた給与や、自身が支払った所得税の金額が記された書類です。

一方で、外注として仕事を請け負っていたり、駐車場の使用料や賃貸ビルの賃料などの支払いをしている個人に対して発行されるのは「支払調書」です。

支払調書は通称で、正しくは「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」といいます。

上記のような取引がある個人や業務請負をしている個人事業主の場合、源泉徴収票は発行されず、必要に応じて支払調書が発行されます。

支払調書が発行されるのは、会社が税務署に提出するため。源泉徴収票のように個人に対してが目的ではありません。

源泉徴収票は給与を支払った労働者に対して企業側に発行義務がありますが、支払調書には取引先相手に対しての発行義務がないのです。

支払調書は、あくまでも会社が報酬や料金を支払った相手の所轄税務署に提出するための法定書類だからです。

ですから、個人に発行される支払調書は、あくまでも取引先による会社の厚意によるものであり、手元に届くのは原本ではなく写しです。

原本は税務署への提出に使われるため、「こんな内容で提出しました」のお報せとして送付されると考えておくといいでしょう。

その前提を踏まえたうえで、支払調書が必要な方は、取引先へ発行依頼しましょう。源泉徴収票は、再発行であっても発行義務が会社にありますから、再発行の依頼に躊躇は要りません。

源泉徴収票の再発行手続きの手順

源泉徴収票の発行は、所得税法で「給与支払者が源泉徴収票を発行する」ことが定められています。

そのため、再発行も勤務先(転職に伴う場合は元勤務先)に依頼することになります。

再発行の手続きについては、法的な手続きは必要ありません。発行元の会社や担当者と連絡が取れるのであれば、電話やメール、郵送などで依頼します。

依頼するときは、自身のフルネーム、住所と併せて「○○年度分の源泉徴収票を紛失したため、再発行をお願いします」と伝えるだけです。

郵送で再発行を依頼するなら、できれば返送用の封筒と切手を同封しておきましょう。

紛失は個人の落ち度。それを考えれば、会社の経費を使わせるのは二重に会社に負担をかけるようなものです。

社会人として、せめてもの気遣いは見せるのが親切というものです。

再発行にかかる期間は即日~3週間

源泉徴収票は、会社で作成された後、社内で保管することが義務付けられていますから、本来再発行自体はすぐに行えるはずです。

しかし、年末や源泉徴収票の作成を税理士に委託している場合には、再発行してもらうまでに時間を要することがあります。

以上を踏まえると、再発行されたものが手元に届くまでに3週間ほどかかると見積もっておきましょう。

源泉徴収票の提出先から期日を言い渡されている場合には、依頼する際に念のため「○○日までに再発行できないか?」とあらかじめ相談しておくのがおすすめです。

必ずしもその通りに対応してもらえるとは限りませんが、伝えておけば、期日があることを前提に手続きを進めてもらえる可能性があります。

再発行にかかる費用は基本0円

源泉徴収票は、手数料は基本的には無料で再発行できます。

しかし、源泉徴収票の作成を顧問税理士など外部に委託している場合には、手数料を請求されることもあります。この場合、かかる費用は数百円程度です。

再発行を依頼する際は、必ず手数料の有無、手数料がかかる場合はその支払い方法も確認しておきましょう。

再発行できる回数に上限なし

源泉徴収票の再発行には、回数の制限はありません。提出する先が複数にわたる場合、同一年度の源泉徴収票が複数枚必要になることもあります。気にせずに必要部数を依頼しましょう。

過去3年分までは遡って再発行できる

提出先によっては、過去複数年度分の源泉徴収票が必要になるケースもあります。

遡って再発行を依頼する場合、勤務年数によっては過去に勤めていた会社複数社に依頼することもあるでしょう。

税法上、会社が源泉徴収票を保管する期間は7年と定められています。一方で、労働基準法では給与関係書類の保管は最低3年と決まっています。

そのため、会社によっては3年を超える場合、対応を相談しなければならないこともあります。

したがって、遡ってスムーズに発行できるのは3年までと覚えておくといいでしょう。

再発行の依頼は本人でなくても可能

源泉徴収票の再発行は、本人でなくても依頼できます。

本人以外が再発行を依頼には、税理士から発行元の会社や経理担当者に連絡、すでに新しい職場に勤めているときにはその会社の経理担当者経由で依頼してもらう方法があります。

その際、依頼先の会社によっては委任状を提出するよう申し伝えられることもあります。

源泉徴収票が必要なのはどんなとき?

源泉徴収票は、普段の生活でそれほど頻繁に必要となるものではありません。しかし、次のケースにおける手続きには必須となります。

源泉徴収票がなくて困るのはこんなとき!

・確定申告

・住宅ローンの審査

・扶養家族に入るとき

・転職や再就職するとき

・保育園に入園するとき

・失業保険の給付を受けるとき

・年金を受け取るとき

近年、会社勤めをしながら週末起業や副業をする人が増えました。副業や事業収入のある方は、年度末の確定申告をしなければなりません。

その際に、会社から支払われている給与額の証拠として源泉徴収票が必要です。

また、住宅ローンの審査では支払能力を確認するために、どれくらいの給与を受けているのかの証拠として源泉徴収票の提出が求められます。

仕事を辞めて扶養家族に入るときや、転職・再就職、保育園の入園、失業保険の給付、年金の受け取りでは、源泉徴収票に記載されている給与額を基にして控除額や所得税の算出などのために必ず提出が求められます。

これらの予定がある方は、早めに源泉徴収票があるかを確認し、なければすぐに再発行手続きをしておきましょう。

再発行で困ったときの対処法

源泉徴収票の再発行を依頼する場合、時に困った自体に直面することがあります。たとえば、次のケースです。

  • 会社が再発行に応じてくれない
  • 転職先に提出予定だが、発行元会社と不仲で再発行依頼がしにくい
  • 発行元会社がすでに倒産していて依頼できない

こうしたケースでは、どのように対処すればいいのでしょうか?

会社が再発行に応じてくれないとき

会社が応じてくれない理由の一つに、再発行の社内処理や手続きが面倒だというのもあるようです。

外部に税務を委託している場合や年末などで経理が多忙な時期に重なると、手間が増えるというのもあるでしょう。

しかし、労働者が源泉徴収票の再発行を求めた場合、会社はその発行を拒んではならないと所得税法によって定められています。

すなわち、どんな理由があっても、会社は再発行を断るのは許されていないということです。

それを裏付けるように、所得税法では源泉徴収票を発行しなければ、「懲役一年以下、または20万円以下の罰金」刑を設けています。

確定申告などで源泉徴収票が再発行されていないことがわかると、税務署では源泉徴収票を発行していないものとしてみなします。

再発行してもらえない事態に直面したら、発行元の会社に拒否する理由を尋ね、会社を管轄している税務署に相談しましょう。

あるいは、住民登録している居住地の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。

受理された後、会社に対して税務署による行政指導が入りますから、源泉徴収票を再発行してもらえるはずです。

詳しくは国税庁『[手続名]源泉徴収票不交付の届出手続』で確認してください。

発行元会社と不仲など再発行を依頼しにくいとき

すでに『再発行の依頼は本人でなくても可能』でもお伝えした通り、直接依頼しづらいときには転職先の経理担当者や、税理士に依頼して発行元に連絡してもらうのがスムーズでしょう。

発行元が倒産!?再発行の依頼先が破産していたときは

再発行を依頼しようにも、発行元の会社が倒産しているケースもあるでしょう。このようなときは、会社の倒産手続きで破産管財人となっている弁護士に連絡をしましょう。

破産管財人が誰かを調べるには、次の3つの方法があります。

  • 破産した会社(もしくは事務所)に出向き告示書を確認する
  • 倒産した会社の取引先経由で破産管財人または破産手続きをした裁判所を聞く
  • 破産手続きがされている裁判所に問い合わせる

破産管財人の弁護士に依頼すれば、源泉徴収票を再発行してもらえます。どうやっても破産管財人がわからない場合は、税務署に相談しましょう。

まとめ

源泉徴収票は、使用頻度がとても低い書類ですから、まずは紛失しないように保管することが何よりも大切です。

それでも失くしてしまったり、破損してしまったりした場合は、ご紹介した方法で再発行手続きを行ってください。

紛失してしまった非から、再発行のお願いがしづらいということはあるかもしれません。しかし、源泉徴収票は、受け取った給与の証拠となる重要書類です。

探しても見つからないときには、遠慮せず、すぐにでも再発行を依頼するようにしましょう。

画像出典元:Unsplash、StockSnap、PEXELS

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