バリューチェーンとは?意味や分析方法を詳しく解説!活用事例も紹介

バリューチェーンとは?意味や分析方法を詳しく解説!活用事例も紹介

記事更新日: 2020/10/14

執筆: 編集部

事業戦略を立てるときに、どのようなフレームワークを使うにしても加味しなければならないとされるのが「バリューチェーン」という考え方です。

顧客ロイヤリティが、結局は顧客が感じ取る企業(製品・サ―ビス)の価値によるとすると、企業活動のプロセスを「価値付与の連鎖」ととらえて見直してみるのは、たしかに意味のあることです。

この記事ではバリューチェーンの意味や分析方法の概要を分かりやすく解説するとともに、バリューチェーン分析を使って成功した企業の事例も紹介しています。

バリューチェーンとは

事業戦略策定の主要フレームワークの1つと言われる「バリューチェーン」(価値の連鎖)とはどのような手法なのでしょうか?

企業活動を各プロセスでの「価値付与の連鎖」と考える

企業活動は、原材料の仕入れから最終的な製品、サービスの提供まで、途切れることのない1つのチェーン(連鎖)になっています。

そのチェーンのなかでは、次の工程に渡す前に何かの価値が付与されています。

例えば、1枚の鉄板が車のボディになるのは価値の付与です。コーヒー豆がひき立てのコーヒーになるのも価値の付与です。

価値の付与は価格に反映されるので、付加価値が多ければ良いわけでなく、必要な付加価値であることとコストが適正であることが求められます。

バリューチェーンとは、このような企業活動のプロセスを「価値の連鎖」ととらえる考え方です。

事業戦略策定のフレームワークとしての「バリューチェーン」は、各プロセスで付与される価値に注目して次のような分析を行ないます。

  • その価値をつけるのにお金をかけ過ぎていないか
  • ムダな価値をつけていないか
  • つけるべき価値をつけていないのではないか
  • 顧客が評価している価値は何か

これを一目で洞察する天才経営者もいるかもしれませんが、そうでない場合は 各プロセスや顧客の評価を詳細に検証・分析して問題点を洗い出し、それを改善しなければなりません。

自社だけでなくライバル企業についても、できるだけ分析したいところです。

どの企業でもある程度はこういう検証・分析を行っています。しかし、なかなか良い答えは見つかりません。

そこで、どうせやるならキチンとやろうというのが「バリューチェーン」というフレームワークです。

ポーターの競争優位の戦略、5フォース分析との関係

バリューチェーンというフレームワークを考えたのは、アメリカの経営学者マイケル・E・ポーターです。

マイケル・E・ポーターといえば、フレームワークを勉強したことがある人は「競争優位の戦略」や「5フォース分析」を思い出すでしょう。

競争優位の戦略とは、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」という3つの基本戦略のどれで自社の競争優位を確立するかを考えるフレームワークです。

5フォース分析は、勝負しようとしている業界にどんな魅力や将来性があるかを分析するフレームワークで、業界内で収益に影響を与える「5つの力」(競合同士の敵対関係・新規参入の脅威・代替品・代替サービスの脅威・供給者の交渉力・買い手の交渉力)を分析します。

これらのフレームワークにバリューチェーン分析を加味することで、

  • 3つの基本戦略の中のどの戦略で競争優位を目指すべきか
  • 業界の現在と将来において自社の強み(フォース)は何か

という企業戦略にとって生命線になる重要な知見が得られるとポーター教授は説いています。

チェーンを構成しているレイヤー(層)を分類する

バリューチェーン分析をするには、まず企業活動を各レイヤーに分解して、それぞれが生みだす価値とそのコストやバランスを分析しなければなりません。

主活動と支援活動

バリューチェーンは企業活動を次図のようなレイヤー(層)に分類します。

出典:「競争優位の戦略」マイケル・E・ポーター著、土岐 坤 訳、ダイヤモンド社

企業活動は大別すると「主活動」と「支援活動」に分れます。

主活動は、最終的に顧客が受け取る価値(製品やサービス)に直結する活動で、そのレイヤーは業種によって違います。図は製造業の例です。

支援活動は、主活動をサポートする活動で、製造業では工場インフラの整備、労務管理、技術開発などのレイヤーがあります。

主活動と支援活動の各レイヤーが重なって(連鎖して)生み出されるのがマージン(利益)です。

これらのレイヤーのムリとムダを省き、必要なレイヤーにはより「ヒト・モノ・カネ」を投入することで付加価値を最大化し、利益を増やそうというのがバリューチェーンの考え方です。

自社の強みと弱み

企業活動の各レイヤーが生みだす付加価値を計量し、全体の中でのバランスを検討することで、自社の「強み」や「弱み」がどこにあるかが見えてきます。

例えば、ロイヤリティの高い顧客の声を分析することで、顧客がそれほど重視していない価値にムダなお金をかけていたことが分かるかもしれません。

ライバル企業について詳細なバリューチェーン分析をすることはできませんが、できるだけやってみると、自社の強みと弱みがより鮮明になります。

バリューチェーン分析はどう行うか

自社のレイヤーを図式化する

まず先ほど紹介した図のように、自社のレイヤーを図式化してみましょう。

レイヤーは業種によって大きく異なります。先ほどは製造業の例でしたが、例えば店舗販売業なら主活動は次のようなものになります。

商品企画⇒仕入⇒店舗運営⇒集客⇒販売⇒アフターサービス

 

各レイヤーのコストを把握する

レイヤーの分類と図式化ができたら、各レイヤーのコストを詳細に割り出していきます。

このとき重要なのは、単に「どこにどれくらいコストがかかっているか」を把握するのではなく、「コストに影響を与える要因」を洗い出して検討することです。

例えば、従業員の熟練度による作業スピードや不良品の発生率などのコストドライバー(コストを動かす要因)を突き止めて評価します。

どのレイヤーが優先されるべきかを見きわめる

バリューチェーン分析の目的は事業戦略を立てることですから、「分析」を「戦略」に反映して、「行動」に移さなければなりません。

コストドライバーを分析すると、自社の「強み」と「弱み」がさまざまなレイヤーで見つかります。

その中で現在と将来の利益にもっとも影響を与えるレイヤーがどれかを見きわめて、そこにリソースを集中させることが重要です。

3つの基本戦略の「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」のどれで戦うか決め、その土俵で発揮される強み(価値)を最大化するのです。

VRIO分析を援用する

企業の持つ強みと弱みは、企業が生みだす「価値の種類」を見ることによって、より的確に把握することができます。

VRIO分析というフレームワークによると、価値の種類には次の4つがあります。

  • 経済価値(Value) 会社が世の中どのように役立っているか
  • 希少性(Rarity) 商品・サービスに他社にない希少性があるか
  • 模倣困難性(Inimitability) 特許や老舗ののれんなど他社が真似できないものがあるか
  • 組織(Organization) 企業風土、社員の意識などに強みや弱みがあるか

自社が作り出す価値がこのどれにあたるかを分析することで、競争優位の戦略の3つの選択肢のどれを選ぶべきかが明らかになります。

バリューチェーン活用事例

バリューチェーンの提唱者であるポーターの名を冠した「ポーター賞 受賞企業・事業レポート」から、このフレームワークの活用事例を紹介します。

ユニクロ

ユニクロのユニークな価値提供として評価されたのは次の点です。

1. 部品としての服 : デザインがベーシックなので、さまざまな服とコーディネートしやすい

2. 高品質の商品を大幅な低価格で提供

3. 新しい機能を持った衣料品を提案 : 飛躍的な高保温機能によって冬に厚着しないファッションを提案したヒートテックなど。

これらの価値はいくつかの大ヒットを生み、ヒートテックは 2008 年に 2,800 万枚を売り上げ、日本人の4人に1人が着る「国民的下着」になりました。

ユニクロの独自のバリューチェーンとして評価されたのは、製造工業の垂直統合の仕組みを衣料小売り業で構築して成功させたことです。

ユニクロは、国内外のビジネスパートナーと協業しながら、商品企画・素材開発・生産・マーケティング・販売を一貫して自社でコントロールして、高品質・低価格を実現しました。

青山フラワーマーケット

青山フラワーマーケットのユニークな価値提供として評価されたのは、法人ではなく個人を顧客ターゲットにしたことです。

多店舗展開している生花販売業が法人需要を訴求せず、個人の「プライベートな日常使い」のニーズに訴求したのはこれまで例がありませんでした。

同社は「キッチン・ブーケ」「リビング・ブーケ」などの商品を創出し、モノとしての生花ではなく「花のある時間と空間」という価値を提供して成功したのです。

独自のバリューチェーンとしては、「本社による集中発注」というレイヤーを省いて、各店舗のショップクリエーターが自店の顧客をイメージしながら発注する新しいレイヤーを設けたことです。

また、配達中に花が折れたりするのを防ぐために、商品をていねいにあつかうことに慣れた陶器専門の運送業者に輸送を依頼したのもの独自のバリューチェーンの創出といえます。

まとめ

自社の強みと弱みを、価値付与の各局面(レイヤー)に立ち返って見直すのがバリューチェーン分析の特徴です。

バリューチェーンによる企業活動の分析は、コスト戦略を取るにしろ差別化戦略や集中戦略を取るにしろ、戦略の成否を決める重要なポイントになります。

画像出典元:pixabay

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