PDCAを社内で共有するために起業家がやるべき具体策と失敗事例

PDCAを社内で共有するために起業家がやるべき具体策と失敗事例

記事更新日: 2018/10/27

執筆: 浜田みか

PDCAは、事業を成長させるためにも「しっかりと回す」ことが重要です。しかし、業務改善の基本でありながら意外にもうまく回らないことがよくあります。

PDCAをちゃんと回すためにすべきこと、PDCAの社内共有の方法を、具体的な失敗事例を交えて解説します。

PDCAとは

PDCAは、業務改善のための手法のことです。Plan・Do・Check・Actの4つの段階で構成され、各段階の頭文字を取って「PDCAサイクル」と呼ばれています。

サイクルと表現されるのは、P(Plan)からA(Act)までを1サイクルとし、「A」から再び「P」に繋がり、それが螺旋状にレベルアップしていくからです。

どのような事業にもビジョンがあり、そのビジョンを遂行していくには、きちんとした計画が必要です。しかし、計画を立てても、計画通りに実行しなくては成果に繋がりません。

P・D・C・Aそれぞれの段階を突き詰めることによって、望む結果を引き寄せることが可能になるのです。

Plan(計画)

目標を設定し、その目標を達成するための仮説を立てて、計画をつくることです。

目標は、これまでの実績や将来の事業予測をもとにして立てることもあります。仮説は、次のように細分化して立てるのがベストです。

  • 何を
  • 誰に
  • なぜ
  • どの程度
  • いつまで

やるべきことも、やらなくていいことも、それぞれ5W1Hを基本に考えます。それを極限まで突き詰めることにより、具体的な計画が立てやすくなります。

Do(実行)

上述した「Plan」の内容を実行することです。

実行するうえで大切なことは、結果を必ずデータとして残しておくことです。

時間や数字(数値や数量など)といった計測できるものを定量的に記録しておくことにより、結果を公正に評価することができます。

実行する際は、のちに結果を検証することに意識を持つことが大切なポイントです。

Check(評価)

計画に沿った実行ができていたかを検証・評価することです。

良い・悪いといった評価以外にも、計画を実行するうえでの問題点がどこにあるか、改善できる点はあるのかといった検証も併せて行います。

このときデータがあれば、検証における具体的根拠を示す材料になり、論理的で公正な評価を下すことができます。

Act(改善)

検証結果から、どう改善すればいいのかを見つけ出し、その改善案や施策を練ることです。

実施内容が計画に沿わない点を課題と捉え、その解決策を考えることでもあります。

改善策を考えるときには、再び計画すること(Plan)に意識を置いて考察することが重要なポイントです。

たとえば、実行した計画そのものを今後どうするかも含めて考えることも大切です。

  • 計画を続けていくのか
  • 計画を止めるのか
  • 計画を改善して実施するのか

計画を立てると、それを実施することに固執してしまうことがあります。時に、その執着が失敗を生むこともあります。

最初の計画に拘らず、柔軟な視点を持つことが真の改善に繋がっていきます。

PDCAの具体例

簡単な具体例を示します。ここでは「売上の悪い本を販促する店長」の状況を設定しましょう。

< 解決したい課題 >

まず、PDCAサイクルを回す目的を決めましょう。この場合には「ある本の売上を上げる」となります。

< Plan >

売上を上げるための施策として「ポップを出す」「目立つ場所に本を置く」などが考えられるでしょう。上述した通り、5W1Hを意識して計画を立てます。

ここでは簡単に「本を目立つ棚に置くことで、1ヶ月の売上を20%アップさせる」とします。

やるべき行動が具体的であること、今月に期間を指定していること、売上目標を数値設定していることが重要です。

< Do >

実際に本を目立つところに置き1ヶ月試行してみます。測定できる数値をしっかり記録するようにしましょう。ここでは毎日の売上は必須です。

< Check >

1ヶ月経過したら、計画に対して結果がどうだったかを検証します。目標としていた売上20%アップを達成できたかどうか、その結果の理由をじっくりと考察しましょう。

結果の良し悪しに関わらず、なぜその結果が得られたのかを見つけることが次に繋がります。

例えば、売上が10%だけアップしたのであれば「顧客の目に止まることで一定の販促効果がある」と考察できます。

< Act >

最後にCheckで得られた知見を元に次の施策を練ります。

今回の場合「顧客の目に止まることで一定の販促効果がある」ことが分かっていますから、「棚のレイアウトを改良する」「ポップを付けてさらに目立たせる」などの案が出せます。

次の施策が決まったら、再度具体的なPlanを設定してPDCAを回していきましょう。

PDCAで最も大切なものは「C」と「A」

PDCAサイクルを回すうえで最も難しく、大切なのが「C(評価)」と「A(改善)」です。

大雑把なものでも、「計画(P)」と実行さえすれば、いとも簡単に「P」と「D」は実践できてしまいます。

ところが、「C」と「A」は先の2つの段階のようにはいきません。「C」と「A」を確実に行うためには、2つのポイントがあるのです。

「C」と「A」に時間をかけてイレギュラーを想定内に

実際には具体例のようにきれいな「C」と「A」を見出すことは非常に難しくなります。

実務では、イレギュラーな出来事がよく起こり、計画していた仮説検証ができない場合が多いからです。だからこそ、「C」と「A」に時間をかけることで複雑な状況からも知見を必ず得るようにしましょう。

2サイクル目では、そうしたイレギュラーな事態も想定した計画を立て、突発的な事態にペースを乱されないようにしましょう。

実行したことを都度検証することによって、イレギュラーはイレギュラーでなくなり、対応できる想定内の事態へと変化していきます。

定例ミーティングで時間と場所を確保

検証や改善点を導き出すにも、それぞれを考えるための「時間」と「場所」を確保することが大切です。

時間は、放っておいても作り出すことはできません。なぜなら、業務が止まることなどありえないからです。

時間をつくる際、その時間のうちに集中して考えられる場所も併せてセッティングしましょう。

これらを毎週決まった日程で確保することにより、「C」と「A」を考える環境が整います。

無印良品やMUJIで知られる良品計画の元会長でもある松井忠三氏は、平日は「P」と「D」に時間をかけ、週末に「C」と「A」を徹底的に考えていたといいます。

1週間ごとに、その週の計画や実施したことを評価し、改善すべき点を洗い出し、その案をもとに次の1週間を計画することを繰り返していたのです。それだけ「C」と「A」は重要なのです。

PDCAを失敗に終わらせる事例

PDCAサイクルを滞りなく実施するには、サイクルをストップさせる要素を取り除くことが重要です。

その要素をリストアップしましたので、PDCAを回す際の参考にしてください。

強大な反対勢力

ベンチャー企業には少ないかもしれませんが、古い伝統や考えを重んじ、変化を受け入れることを拒否する勢力が多いと、改善どころか計画さえも上手くいかなくなります。

この場合は、根回しするなどして反対勢力の数を減らすのも一案でしょう。

前例主義

慎重派といえば聞こえが良いですが、前例がないことを受け入れられない勢力がいる場合には、PDCAの結果得られた改善案を実行できない場合があります。

十分な「C」によって見つけた課題に対しても、凡庸な改善しかできないようでは良い結果は得られません。

クオリティを求めすぎる

組織の場合、業務改善自体が目的になってしまうことがあります。PDCAをきれいに回し、素晴らしい改善案を出していることは、戦略的で優秀だという評価を受けやすいからです。

しかし、改善案を出すことにばかり時間をかけていては意味がありません。質だけでなくサイクル数も大事にしましょう。

意識の共有化がされていない

経営陣や各組織の幹部クラスでPDCAを導き出したら、それらは組織レベルや社員レベルで共有するようにしましょう。

共有できていないと、一見PDCAが上手く回っているように見えても、きちんとデータが取れていない、改善計画通りに実行できていないといった事態が起こる原因になります。

まとめ

PDCAを回すことは、大企業でも簡単なことではありません。その証拠に、ユニクロなどの大手企業であっても、検証と改善のためだけの会議を毎週設けているほどです。

そうやって「C」と「A」を考える仕組みを業務に組み込むことにより、各段階を一つ、またひとつと上の段階へと引き上げているのです。

サイクルがストップしてしまう場合も、必ずどこかに原因があります。力技でゴリ押ししても不要な反発を招くだけですから、それもPDCAで考えれば乗り切ることも可能でしょう。

社内でPDCAを共有する際には、組織レベルで行うことが重要です。この場合「時間」と「場所」がキーワードであることを覚えておいてください。

PDCAに代わるメソッド「OODA」

なお、試行錯誤により確実に改善を重ねていくPDCAは、環境や状況の変化への対応が遅れるという弱点があります。

特に事業環境が目まぐるしく変化するスタートアップにおいて、PDCAは十分に機能せず、もはや時代遅れとまで言われています。

そこで近年登場した、PDCAに代わる新たなメソッドがOODAです。

以下の記事では、戦場生まれの「即応性」が強みのメソッド「OODA」について解説しています。スタートアップ経営者はぜひ読んでください。

画像出典元:ペイレスイメージズ

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