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マーケティング施策を考えるときに利用される「AIDMA(アイドマ)の法則」。
消費者が商品などを購入するまでのプロセスを説いた法則です。
近年では、インターネットの進化に伴い様々なフレームワークも提唱されています。
今回は、「AIDMA(アイドマ)の法則」の段階プロセスや活用例から、進化したフレームワークである「AISAS(アイサス)」の概要まで、詳しく解説します。
このページの目次
まずは、AIDMA(アイドマ)の法則とは何かについて解説します。
AIDMA(アイドマ)の法則とは、消費者が物を購入するまでの流れを表したフレームワークです。
1920年代にサミュエル・ローランド・ホール氏が提唱した法則であり、5つの段階プロセスの頭文字をとって「AIDMA(アイドマ)の法則」と名付けられました。
100年前に定められた法則だからこそ「古いのかな?」と感じる人もいますが、AIDMA(アイドマ)の法則はマーケティングを考えるうえで、なくてはならないフレームワークです。
消費者が購入にいたる経緯は今も昔も大きく変わらないので、現在も十分に使うことができます。
AIDMA(アイドマ)の法則が示す段階プロセスは以下の通りです。
消費者は、「商品を認知し、興味を持ってから買いたいと考え、記憶した後に購入する」といった流れを辿ります。
つまり、これらの段階で適切なアプローチができれば、販売促進へ大きくつなげることができるのです。
先ほどお伝えしたAIDMA(アイドマ)の法則が示す段階プロセスに応じて、消費者はどんな行動をするのでしょうか?
段階ごと具体的に解説していきます。
消費者は、商品を購入するにあたって最初に「認知」を行います。
販売側が「これは絶対に売れる!」と感じる商品を作ったとしても、消費者に認知されなければ購入されることはありません。
そのため、まずは消費者に商品の存在に気付いてもらうための認知行動が必要となります。
ターゲット層を綿密に分析することで、「SNSで認知拡大を図ろう」など、効果的な施策が見えてくるでしょう。
購入をする消費者は、商品を認知した後、興味を持つ段階に進みます。
認知が成功して「こんな商品があるんだ」と消費者に気付かせたとしても、興味を持たせることができなければ、購入を促すことができません。
消費者に興味を持ってもらうには、ターゲット層の悩みが解決できることをアピールし、「こんな商品が欲しかった!」と思ってもらうことが大切です。
ターゲット層のニーズを把握することはもちろん、競合とは異なる自社の強みを理解したうえで、適切なアプローチをしてみましょう。
消費者は、商品に興味を持ったとしても、「買いたい!」と感じるほど強い欲求がなければ、購入には至りません。
「買いたい」と思わせるためには、消費者に「私はこれを必要としているんだ」と実感させてみましょう。
商品を買うことでどんなメリットがあるのかを具体的に提示したり、価格の安さを全面に押し出したりなど、消費者に買いたいと思わせる工夫が必要です。
消費者は、「買いたい!」と感じた後にすぐ購入へ進むことは少ないです。
多くの物が溢れている現在では、「やっぱり他も検討しようかな」と考え、いつの間にかその商品を買いたいと思っていたことさえ忘れてしまいます。
だからこそ、購買を促進させるためには、商品の存在や魅力を思い出させることが必要不可欠です。
消費者の記憶に残るようなインパクトの強いアピールを行なったり、忘れさせないようにアプローチを続けたりなどの対策を講じてみましょう。
消費者が商品の良さを思い出すと購入する段階へ進みます。
ただ、この段階で購入方法が分かりづらかったり工程が多かったりすると、面倒になってしまい手に入れることを諦めてしまう消費者も多いです。
消費者の「よし買うぞ!」といった思いを消さないように、スムーズに購入へと進ませることが重要でしょう。
「どうすれば買えるのか」といったことをはっきりとさせ、購入意欲のある消費者を逃さないようにしてください。
マーケティングを考えるうえで基本となる「AIDMA(アイドマ)の法則」ですが、100年前に提示されたこそ「古いのではないか?」という声も上がっています。
こちらでは、「AIDMA(アイドマ)の法則」の進化版といわれる「AISAS(アイサス)の法則」について解説しましょう。
AISAS(アイサス)の法則とは、インターネット環境を考慮して消費者の購買行動モデルを示したフレームワークです。
2005年に日本の広告会社「電通」によって提唱されたもので、AIDMA(アイドマ)の法則と同じく段階プロセスの頭文字をとって名付けられています。
AISAS(アイサス)の法則が示す段階プロセスは、以下の通りです。
AISAS(アイサス)の法則によると、消費者は商品を認知し、興味を持った後、インターネットで情報収集し、購入後に共有します。
Googleなどの検索エンジンで、「〇〇のテント」のように商品と関連するキーワードを検索し、買うべきかを判断するのです。
そのため、消費者を購買へと進ませるためにはSEO対策を万全にし、検索されるキーワードで自社サイトが上位に表示される必要もでてきます。
そして、消費者が商品を購入した後、ブログやSNSなどを用いて商品を紹介したり、口コミをシェアするところまでが考慮されています。
「AIDMA(アイドマ)の法則」と「AISAS(アイサス)の法則」との違いは、インターネットが関わっているか否かという点です。
AIDMA(アイドマ)の法則は従来の一般的な消費行動を説いたもの。
一方、AISAS(アイサス)の法則はWebマーケティングの重要性を説いた、現代に合ったフレームワークと言えます。
Googleなどの検索エンジンにより多くの情報収集が可能になったり、InstagramなどのSNSの普及で購入者のリアルな意見を見聞きできる環境が整ってきたためです。
ただ、AISAS(アイサス)の法則はAIDMA(アイドマ)の法則をもとに考えられていることも忘れてはいけません。
「AIDMA(アイドマ)の法則は古い」と決めつけるのではなく、どちらも考慮したうえで自社に適切なマーケティング施策を実施してみてください。
AIDMA(アイドマ)の法則と似ているフレームワークとして、以下の3つをピックアップしました。
それぞれの特徴を解説していきます。
AISCEAS(アイセアス・アイシーズ)とは、AISAS(アイサス)と同じくインターネットを用いて、以下の段階プロセスを踏む消費者の購買行動モデルを示しています。
商品の口コミや評判を掲載しているサイトが増えたことで、消費者は「Comparison(比較)」「Examination(検討)」を行うことが可能になりました。
良い口コミを書いてもらえるように、商品の質はもちろんサービスにも力を入れるべきでしょう。
AIDCAS(アイドカス)とは、以下の段階プロセスを用いる消費者の購買行動モデルです。
消費者に満足してもらうことを目標にマーケティング施策を行うことで、リピート率を高めることができます。
また、ブランドや商品のファンになってもらえれば、企業から促さなくても消費者自身が広告塔となり、情報を広めてくれるメリットも挙げられるでしょう。
SIPS(シップス)とは、以下のようにSNSを高頻度で利用する消費者の購買行動モデルを表したフレームワークです。
SIPS(シップス)によると、消費者は「SNSで共感をしてから情報を確認し、リツイートなどで投稿に関わりながら自身の行動を共有・拡散する」といった流れを行なっていると考えられています。
SNSが浸透している現代において、SIPS(シップス)を意識したマーケティングが必要不可欠となるでしょう。
AIDMA(アイドマ)の法則は具体的にどんなものか、アパレル接客を例に出して解説します。
お店に入店したお客さんは、どんな商品があるのかチェックします。
販売員はさり気なく観察をしながら、どのアイテムに興味を持っているか観察しましょう。
お客さんが服を手に取ったり、立ち止まったりなどの行動をしたときは、特定のアイテムに興味を持った証拠です。
さり気なく話しかけながら、どんなニーズによって特定の商品に興味を持ったのかを聞き出してみてください。
お客さんに「買いたい」と思わせられるよう、商品のメリットを伝えてみましょう。
シチュエーションに合ったコーディネートの提案をしたり、他の商品と比較したりなどを行いながら、購入を促します。
商品の魅力を伝えてすぐに即決するお客さんは少ないので、1人で考える時間を与えるのも大切です。
お客さんから少し離れてリラックスした環境を作り、「自分で買うと決めた」という気持ちを持ってもらえば、返品も避けられるでしょう。
購入を迷っているお客さんに「いかがでしょうか」などと声をかけながら、購入を後押ししてみてください。
購入するきっかけを店員側が作ることで、お客さんもスムーズに決断することができます。
ぜひAIDMAの法則を上手に使いこなし、売上アップにつなげていきましょう。
AIDMA(アイドマ)の法則とは、消費者が物を購入するまでの流れを表したフレームワークです。
消費者が段階プロセスでどんなことを考え行動するのかを押さえておけば、適切なアプローチをすることができます。
AISAS(アイサス)の法則など、他のフレームワークも参考にしながら、自社に適したマーケティング施策を実施してみましょう。
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