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SWOT分析とは、企業や事業の経営戦略やマーケティングの意思決定など、さまざまな局面で使われる分析手法です。
とてもシンプルなフレームワークゆえに、上手く活用できなければ、曖昧な分析結果を得るだけとなってしまいます。
ここではSWOT分析について、メリットとデメリットなどの特徴から、有効活用するためのポイント、使い方までをわかりやすく解説しています。
このページの目次
SWOT分析は、
・Strength(強み)
・Weekness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)
の4つの要素から成る分析手法です。
「SWOT(読み:スウォット)」とは、各要素の頭文字をとったものです。
各要素について、それぞれ見てみましょう。
理解が深まるように、併せて例も挙げておきます。
ここでは、外資系カフェの代表格・スターバックスの各要素を引き合いに出しています。
企業や事業の戦略やマーケティングを行う際に、自社の強みとなる部分です。
・ブランド力が強い
・スタッフの士気が高い
Strengthとは対極に位置し、自社の弱みとなる部分です。
・商品単価が高い
・年配層の利用率が低い
自社のチャンスとなる要因にあたる部分です。
・居心地の良さ
・コーヒーに対する本物志向
自社の強みを打ち消してしまうような要因にあたる部分です。
・競合他社の増大
・健康志向の高まり
SWOT分析は、上図のように4つの要素を組み合わせて、経営戦略やマーケティングなど自社の現状を分析するために使うことができます。
自社を取り巻く環境を内的・外的の両面から見つめ、自社のビジネス機会創出や再発見するために有効なフレームワークです。
また、問題点を改善した事後評価を行うために使われることもあります。
たとえば、自社にとってプラス要因である
・「Strength(強み)」
・「Opportunity(機会)」
を掛け合わせることで、強みを生かして積極的にチャンスを掴む、その施策を検討できます。
施策を実行してみて、それが上手く展開できないことも考慮して、マイナス要因の
・「Weekness(弱み)」
・「Threat(脅威)」
を掛け合わせることで、防衛策を検討することも可能です。
このように4つの要素を組み合わせることによって、自社がどういう方向性で動いていけばいいのかを検討・共有しやすくなります。
多くの起業家や経営者がSWOT分析を重要視している背景には、差別化が図りにくくなった現代社会において、生き残り競争が熾烈化していることが挙げられます。
自社ではコントロールできない環境や要因に対して、どうアプローチしていくのか。経営者が知りたいのは、そこではないでしょうか。
企業が戦略を練る際には、集めた情報から課題を見出し、それをどう実現させるのか、実行してどうだったのかまでを考えます。
SWOT分析は、
「どう実現させるのか」
の部分で役立ちます。
一目で問題点や課題を見出せ、スピーディな意思決定に繋がるところが、さまざまな局面でSWOT分析が重要視されている理由だといえます。
SWOT分析のメリットは、現状把握から将来にわたり、シンプルな手法でアイデアを導き出せる点にあります。
さらに、SWOT分析では、内部環境と外部環境の両面から分析することで、客観的に状況を捉えることができます。
分析対象についてのプラスとマイナスも一手に把握できるため、意思統一にも役立ちます。
SWOT分析では、物事を二極化して考察します。
たとえば、自社の強みと弱みを振り分ける内部環境では、どちらともいえないもの、場面によって反転するものがあります。
それをSWOT分析では、どちらかの要素に分類しなければなりません。
この場合、強みと弱みに対する定義づけが必要になるでしょう。
SWOT分析の結果を有効的に活用するのであれば、
「何のために分析をするのか?」
という目的を明確に定めておくことが重要です。
さらに、それを考察メンバー全員で共有しておくことも必要不可欠です。
そのうえで議論したり、分析をおこなったりすることで、次のアクションに繋げていける結果が得られます。
SWOT分析をするうえで必要な前提条件は、必ず整理しておくことが大切です。
前提条件が異なれば、強みや弱み、機会や脅威も変わるからです。
分析の対象は何か、どんな目標があるのか、競合・顧客の属性など、目的に応じた前提条件を明確にしておくことで、全員の認識が統一できます。
SWOT分析を複数人で行う場合は、参加するメンバーの選出も重要なポイントです。
似たような視点の持ち主が集まれば、偏った分析になってしまいます。
広い視野での分析をおこなうには、分析目的や対象に合わせて立場の違う人を選出しましょう。
SWOT分析では、目的に対してまずは、自社の機会と脅威に着眼して調査・分析を進めます。
自社の機会にまつわる質問や、自社の脅威に関係する質問に対して、それぞれ回答をグルーピングします。
それによって、市場規模や事業の成長性などを読み取ることができます。
このとき、SWOT分析のフレームワークだけでは漏れや抜け、重複が出ることがあります。
網羅的に分析するために、必要に応じて他のフレームワークも積極的に利用しましょう。
次いで、内部環境の調査・分析を進めていきます。
特に内部環境は、外部環境に比べて主観が入りやすい部分です。
内容が主観に偏ってしまわないように、メンバーから広く意見を集めてください。
このとき、取り上げるほどでもないと思うような些細な意見に対して、ジャッジすることは控えましょう。
また、強みと弱みに振り分けられない意見については、シーンを併せて書き出すと、パターンを把握しやすくなります。
分析が終わったら、書き出した内容を一旦SWOTの各フレームにまとめます。
ここで抜けや漏れがないかを再度チェックしておくと、次のクロス分析の有用性が高まります。
各環境下での調査・分析の結果をベースに、戦略の策定や施策を計画に落とし込むための分析を行っていきます。
SWOTの4つの要素を掛け合わせて分析を行うところから、「クロス分析」と呼ばれています。
クロス分析は、最初に掲げたSWOT分析の目的を達成するために、現実的な対応を導き出すのに有効な分析手法です。
多面的に分析することができるため、戦略やマーケティングから個人活動まで広く使えます。
ここでは、各クロス分析がどんな場面に有効なのか、どう考えればいいのかをまとめています。
同じ事象であっても、視点を変えることで強みや弱みに転換できるものがあります。
一つひとつの事象を多面的に解釈して自社の可能性を洗い出すことで、目標達成が可能な計画が立案できます。
各シーンごとに、導き出すべき答えに対する問いを用意しています。
これらの問いを、自社の課題に合わせてアレンジしてみてください。
強み(S)×機会(O)|自社の成長戦略を考えるときに有効な組み合わせ
・自社の強みを活かし、機会を活かすにはどうするのか?
・自社や事業の成長機会にどんな施策を実行するのか?
弱み(W)×機会(O)|自社が持つ弱点を攻略して機会を掴むのに有効な組み合わせ
・自社の弱みを克服して、機会を活かすにはどうするのか?
・自社の弱みを補強して、機会を活かす方法には何があるのか?
強み(S)×脅威(T)|自社の脅威への対抗戦略と機会損失回避に有効な組み合わせ
・自社の強みを活かして脅威に対抗するにはどうすればいいか?
・自社の強みを活かした脅威への回避策には何があるのか?
・自社に影響を及ぼす脅威が降りかかったときに、どんな機会があるのか?
弱み(W)×脅威(T)|脅威に対する回避策や防衛策を考えるときに有効な組み合わせ
・自社の弱みを理解して脅威を回避するにはどうすればいいか?
・自社の弱みによる脅威の影響を、最小限に留めるにはどうすればいいか?
クロス分析まで終えたら、いよいよアクションプランへ落とし込んでいきます。
ここではまず、目標達成に貢献できるか否かを軸にして、具体的にどんなアクションを取っていくかを決定します。
ピックアップすべきアクションは、実行できる案のなかから最も目標達成に有効なもの、最も実行しやすいものです。
それらに優先順位をつけて実行していきます。
実行したあとに行う評価にも、SWOT分析やクロス分析は有効です。
問題点や課題点があれば、再度プランを見直して目標達成へのアクション精度を高めていきましょう。
SWOT分析は、企業の外部環境や内部状況の把握に有効な分析手法です。
SWOTの各要素をクロス分析すれば、企業は自社の持つ資源を有効活用したり、機会や脅威に対する戦略を導き出すことができます。
企業を取り巻く環境や状況は、刻一刻と変わり続けています。そのため、SWOT分析は定期的に実施するのが望ましいでしょう。
また、SWOT分析は事業だけでなく、個人に対しても使えるフレームワークです。人材の適所配置など、さまざまな場面で活用できます。
効果的な戦略で、ぜひビジネスチャンスを掴んでください。
画像出典元:Pixabay、O-DAN