OTT(オーバー・ザ・トップ)とは?通信事業者を激変させたメディアの正体

OTT(オーバー・ザ・トップ)とは?通信事業者を激変させたメディアの正体

記事更新日: 2020/03/27

執筆: 編集部

OTT(Over The Top)とはインターネットにおいて、動画配信・音声サービス・メッセージサービスなどを提供するサービスやその事業者のことをいいます。ただし、通信事業者は入りません。

最近の高速インターネットが普及することにより、OTTが台頭してきて、かつての通信事業者がコンテンツを提供している形態が廃れてきました。

OTTとは何か?OTTが受け入れられる理由とは何でしょうか?そして、最近注目のOTTや参入しているベンチャー企業なども紹介していきます

OTTとは

OTTとはOver The Topの略で、最近の高速インターネットによる提供されてきたサービス・それらを提供する事業者のことをいいます。ただしNTTドコモやソフトバンクといった通信事業者やISP(インターネット・サービス・プロバイダ)等のインフラ業者は含まれません。

1. マルチメディアを提供するサービス

OTTは、高速インターネット上で、動画配信・音声サービス・メッセージサービスなどを提供するものを指します。なぜOver The Topという雲の上という表現をするかというと、インフラストラクチャーを超えた上でサービスが提供されているということから来ています。

かつてドコモがiモードなどのモバイルサービスを提供していましたが、これは通信事業者によるものなのでOTTには含まれません。

2. パソコン・スマートフォンに対応するOTT

当初OTTは、パソコン上で提供されるサービスを表していましたが、スマートフォンの普及とともにモバイル向けのOTTも提供されるようになりました。YouTubeやSkypeなどは、スマートフォン向けにもサービスを展開しています。

そしてメッセージアプリであるLINEは、もともとスマートフォン向けにサービスを提供していました。

OTTサービスの種類・特徴

OTTの種類は、PCで見る、スマートフォンやタブレットで見る、テレビやレコーダーで見るサービス形態があります。それぞれ見ていきましょう。

1. PCで見る

デスクトップパソコンやノートパソコンを使って見るOTTです。ブラウザを通して見るものが多く、大画面で見ることができるのが特徴になっています。

OTTとしては、YouTubeやNetflix、Skypeなどの動画・音声サービスや、FacebookやTwitter・インスタグラムなどのSNSが当てはまります。

2. スマートフォンやタブレットで見る

スマートフォンやタブレットを使ってWi-Fiやモバイルインターネットに接続してサービスを受け取ります。OTTのサービスとしては、パソコンの場合と同じようなものが想定されます。

しかし小さい画面で見るためや、限られた通信容量でのサービスを受け取るために、スマートフォン専用のアプリをダウンロードして見ることもあります。

例えば民法・NHKのテレビ動画を見るサービスTverはパソコンではブラウザで閲覧しますが、スマートフォンでは専用のアプリで見ることが可能です。

3. テレビやレコーダーで見る

ネットワークに接続されたテレビ・レコーダーを使って、OTTを受け取るスタイルがあります。こちらはNetflixやAmazonプライムビデオなどの動画配信サービスの他、YouTubeを見ることができるテレビもあります。

テレビ・レコーダーが高速インターネットに接続することで、OTTを享受することができます。テレビは大画面で閲覧することができるのが特徴です。

テレビ・レコーダーがインターネットに接続するには、内臓タイプのものやスティック型のものがあります。

通信事業者側サービスの種類・特徴

ドコモが提供していたモバイルサービスであるiモードなど通信事業者側のサービスについて見ていきましょう。

1. 1999年モバイルインターネットの始まり

携帯電話が音声通話をする以外に、ゲームや着メロ・着せ替えなどのダウンロードができるモバイルインターネットが1999年に始まりました。モバイルインターネットは、NTTドコモがiモード、DDIセルラーグループがEZweb、J-PHONEがJ-スカイでした。

現在のスマートフォンのように通信料金が定額制のものではなく、通信容量によって従量課金される仕組みでした。

2. iモードが大ヒットし固定電話を超える

2000年には、iモードが大ヒットして固定電話の契約数を超えました。さらには、J-PHONEが、カメラ付き携帯電話を販売してさらなるサービスを提供していきました。

3. ダウンロード型のゲームが遊べるように

Javaアプリの開発によりゲームをダウンロードして遊べるようになりました。その後、定額制サービスも始まり、ドラゴンクエストやアイテム課金のある釣り★スタなどが提供されるようになりました。

その後、2009年には怪盗ロワイヤルなどのゲームが大ヒットするようになったのです。

なぜOTTによるサービスが求められるようになったのか?

1. iモードが廃れていった

爆発的なモバイルインターネットの普及を牽引していたiモードですが、高速インターネットの普及により、より多くのOTTが出てくることで、廃れていきました。もはや通信業者のサービスを必要としない状況になっていったのです。

そして、2026年3月にはそのiモードも終了する予定になっています。iモードでできることは、全てOTTでできるし、より魅力的なサービスが提供されているのです。

2. 現在OTTのサービスが求められている理由

それまでの娯楽がテレビと音声通話、モバイルインターネットのゲームと限られていたのに対し、高速インターネットの普及によりNetflixやYouTubeなどの動画配信サービス、LINEなどの高機能なメッセージサービスが利用されるようになってきました。

テレビや電話、簡単なゲームという限られたエンターテイメントから、より高機能で豊富な種類のサービスを求めるようになってきたのです。

動画を見るのは、現在は、テレビだけでなく、有料の動画配信サービスで映画を見たり、海外ドラマを見ることができます。さらにはユーチューバーの活躍するYouTubeをスマホで楽しむこともできるのです。

OTTが台頭してきたことで起きた変化

1. 通信事業者の土管化

通信事業者は、OTTの活躍により通信のインフラだけを提供する土管化が起きています。

通信事業者は、もともとiモードのように通信のインフラだけでなくコンテンツの提供も行ってきました。しかし、OTTが台頭してきたことにより、ユーザは通信事業者のコンテンツを使わなくなってきました。

その流れの中で、通信事業者が通信だけを提供する土管化が起きてきたのです。

例えばiモードで使っていたメールサービスも、LINEやGmailの台頭により使わない人が増えてきたのです。

2. 通信事業者が始めるOTT

通信事業者が土管化してしまうことを防ぐために、新たな動画配信サービスなどのOTTを始める動きがでています。

もともと通信事業者がコンテンツの会社と契約して得ていた月額料金の利益も、最近ではGoogleとAppleに移動してきています。

通信事業者が通信インフラだけを提供しているのでは、利益が限られたものになってしまいます。そこで、通信事業者も新たな動画配信サービスなどのOTTを始める動きが出てきました。

例えばNTTドコモのdビデオが挙げられます。dビデオは、エイベックス通信放送が運営しているドコモユーザー向けのビデオオンデマンドです。マルチデバイスに対応しており、スマートフォンやタブレットだけでなく、パソコンやテレビで見ることもできるようになっているのです。

通信事業者が巻き返しを図るために、新たなOTTを提供し始めているのです。

今注目のOTTサービス

今、注目の人気OTTサービスを3つ見ていきましょう。

1. 年間1万試合以上も放送されているDAZN

今注目のOTTサービスとして、スポーツの動画配信を行っているDAZNがあります。DAZNは、野球やサッカーを中心としてバスケットボール、テニス、ラグビー、アメリカンフットボールなど年間1万試合以上を放送しています。

DAZNではマイナーな試合から、世界のトップレベルの試合までを観戦することができます。例えばサッカーであれば、リーガエスパニョーラやプレミアリーグを見ることができるのです。

2. Amazonの動画配信サービス

通販の大手Amazonが提供する動画配信サービスAmazonプライムビデオも注目です。有料会員のAmazonプライムに加入することで、見放題に指定された動画を見ることができます。

さらには音楽も聞き放題になるほか、KIndle本を毎月一冊無料で見ることができるようになるのです。

さらにはAmazonの通常のお急ぎ便や時間指定なども利用することができて、年間3,900円というのはかなり安いのではないでしょうか。

3. 民法公式動画配信サービスTver

民法(最近ではNHKも参加)公式の動画配信サービスTverは、無料でテレビ番組を見ることができるサービスです。

スマートフォンでもパソコンでも閲覧することができ、通常、テレビ放映されてから1週間程度閲覧することができます。

画質はテレビ並みによく、番組を見忘れてしまった場合や深夜帯で見ることができない番組などを後からゆっくりと見ることができるのです。

2019年4月から6月期の動画再生回数は、2億回を突破しています。

OTTサービスに参入しようとしている企業・起業家

OTTサービスに参入しようとしているベンチャー企業や起業家について見ていきましょう。

1. デジタルクルーズ株式会社

どこにいても身近な機器に、動画や広告を配信することができるサービスを提供しています。この会社は、HTML5準拠動画配信サービス「admintTV」や、クラウド型デジタルサイネージ「admint SIGNAGE」を提供しているのです。

admintTVでは、企業向けの動画配信サービスを提供していて、成功したことからOTT動画配信サービスを簡単に構築できる新サービスもリリース予定です。

2. SHOWROOM株式会社 代表取締役社長 前田裕二氏

夢を目指す世界中の人を応援する仮想ライブ空間を運営している会社の社長です。ライブ配信をPCやスマホで閲覧することができ、リギフティングという演者を支援する仕組みがあるのが特徴です。

まとめ

高速インターネットの普及により動画配信サービスや、メッセージアプリ、音声サービスなどを提供するOTTが台頭してきました。

高速インターネットの普及により、OTTが台頭することで通信事業者は、通信インフラを提供するだけの土管化が起きてきました。

OTTが注目される理由などについても見てきました。また、そして今注目のOTTサービスであるDAZNやAmazonプライムビデオなどを紹介してきました。

今後もさらにOTTを利用する人の割合が増えていくことでしょう。

画像出典元:Pixabay

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