2月10日(月)に東京ミッドタウン日比谷のBASE Qにて、FUJITSU ACCELERATOR第8期ピッチコンテストが開催されました。
国内外から15社が登壇し、富士通グループの事業部門との協業に向けて熱いプレゼンを行いました。
FUJITSU ACCELERATORでは富士通だけではなしえない価値を提供することを目的とし、スタートアップと富士通グループの事業部門とのマッチングを行っている。
5年間で7回のプログラムを実施しており、協業検討した企業は120件以上、協業実績は70件以上にもなる。
8期目となる今回のプログラムでは、国内から93社、海外からは138もの企業から応募があり、ピッチコンテストの時点で15社にまで絞られた。
FUJITSU ACCELERATORの最大の魅力は、協業検討責任者が最初のテーマ設定の時点から積極的に参加することだ。
このピッチコンテストでは、協業検討責任者が個別面談したい企業を選定する。
また同時に、審査員によって新規性・成長性の観点から最優秀賞1社、優秀賞2社を選出する。
イベントでは富士通の代表取締役社長、時田隆仁氏も登壇。
「日本は課題先進国と言われている。大都市圏だけでなく、地域の課題も解決していきたいが、大企業がゆえに富士通だけではすぐに実行できない。スピード感のあるスタートアップと素早く取り組むことで、熱い情熱をも後押ししていきたい」と、協業に込めた思いを語った。
また、FUJITSU ACCELERATORプログラムについては「社会に貢献するテクノロジーで世界中の人々をハッピーにする、という思いで取り組んでいる。同じような情熱を持った方々と交流したい」と述べた。
IDEAAIは独自技術「iVS」を開発。
これはAI技術と画像処理技術を統合したもので、動画や画像から特定の形状を分類・検出する。
その精度はかなり高く、5~8ピクセルとかなり微細な欠陥でさえも検出できる。
調査分析に必要なデータは検査基準と、良品・不良品それぞれ20個ずつと、負担も小さい。
今後は外観検査に注力し、映像分析やインフラ点検も視野に入れるという。
キャッシュフローリノベーションは、人の行動を作業動線と作業動画のデジタルデータでIoT化する「生産性向上システム」を東京大学とともに開発した。
製造業で改善の技術者が不足している問題を解決する。
デジタルデータを取得する方法は、まず足首にセンサー、肩部分にカメラが付いた専用ベストを装着。
ところどころに固定カメラを置き、通常通り作業を行う。
すると2時間後にはデジタルデータとして確認できるようになる。
それを元に概略稼働率を1分でグラフ化することも可能だ。
今後はAIによる改善システムの開発目指していく。
OVOMINDは人間と機械の関係を革新するため、AIに感情を取りいれることで、より人間に近いAIを生み出そうとしている。
現在、感情を識別するテクノロジーには表情や声を認識するものが多い。
しかし、それだけで感情を正確に判断するのは難しい。
OVOMINDではウェアラブルデバイスによって自律神経の情報にアクセスする。
その情報をもとに、クラウドを使って感情を分類。SDKに生かす。
この技術はゲームディベロッパーから「プレイヤーの感情をゲームシナリオに組み込むことができる」として注目されている。
多くのB向けSaaSが開発されている昨今。
大企業も積極的に取り入れているが、システム操作に慣れない人も多い。
そういった課題をすべて解消したのが、Webシステム操作ガイド「テックタッチ」だ。
「テックタッチ」ではオーバーレイ表示によって、システムの画面上に操作ガイドを追加できる。
ブラグインもしくはタグによって簡単に操作ガイドを作ることができるため、新たなシステム開発も不要だ。
日本は今、広告不況となっている。
個の時代が到来したことによって、かつての広告では訴求できない層が増えたからだ。
そこでホイップはChar☆me ASを開発。
企業がChar☆me ASに広告依頼を出すと、依頼内容にマッチングしたオピニオンリーダーが広告を配信。
費用や時間を削減し、かつ企業の信念や価値観を最適な層にPRできる。
また広告効果もデータとして収集することができる。
xenodata lab.は自然言語処理技術を活用し、需要予測、業績予測プロダクト「XENO BRAIN」を開発した。
これはニュースやレポートなどの文章情報を解析することによって、将来の動向をスコア化。
幅広い経済トピックや、40万もの企業の予測に対応している。
ブラックボックス化を防ぐため、なぜそのような予測になるのかもわかるような設計になっている。
ゆくゆくはAPIによる連携を行い、信用リスクのスコアモデルや株価予測モデルも提供できるようにしていきたいと話す。
アルステクネ・イノベーションは芸術が人の創造性に革新をもたらすと考え、芸術にデジタル技術を取り入れた。
その一つがリマスターアートだ。
DTIP(超高品位質感情報記録処理技術)によって、色彩や作家の筆のタッチを忠実に再現したレプリカを制作することを可能にした。
この技術を生かし、NTT東日本と協力し、「Digital×北斎【序章】」を開催。
葛飾北斎の「富岳三十六景」を和紙の繊維1本1本まで再現したリマスターアートを展示した。
DATAFLUCTは共創DXスタジオとして、起業してから13年間で15もの事業を立ち上げた。
そのうちの一つが「DATAFLUCT marketing」だ。
出店する際の条件を入力すると、いくつかの立地を提案。
その立地をクリックすると売上推定額などの情報がわかり、出店が成功するかどうか判断できる。
このようにあらゆる業界に対してサービスを提供し、データを収集。
最終的には業界を横断した価値あるデータでサービスを行い、あらゆる経済情報が見える世界を作る。
Datumixはデジタルツインを活用し、優秀な人の意思決定に至るまでの思考プロセスをモデル化する。
デジタルツインとは現実世界をデジタル空間にコピーしたデータやプログラムのこと。
DatumixではSlack上のやり取りから優秀な社員をモデル化。
Slackbotがレコメンドすることで、若手社員にノウハウを共有する。
これにより目標達成率をあげることを可能にする。
現在はモデル化されたデジタルツインを再評価し、最適なものをレコメンドする技術を開発中だ。
現在はセキュリティというとログイン認証が当たり前。
しかしパスワードにしろ、指紋や顔にしろ、認証する対象がわかっているため、すぐに偽装されてしまう。
この問題を解決したのがAnchorZだ。
AnchorZはバックグラウンド認証「DZSecurity」を開発。
本人が使っている間に、搭載されたAIが本人の生体情報と行動情報を収集、不定期で更新していく。
そのため使えば使うほど、セキュリティは高まっていく。
生体情報と行動情報を完全にコピーするのは不可能であり、偽装される心配もない。
MeeCapはキーボード操作、マウス操作から社員の業務プロセスをフロー図として表示。
これによって、手戻りをしている箇所の発見や、繰り返し作業などを抽出。
RPAにより自動化、システム化すべき業務プロセスの分析を容易にした。
また勤務状況を把握したり、内部統制をしたりするも役立つ。
現在はプロセスマイニング市場でトップシェアを誇っている。
今後は収集したデータを生かし、生産性の高い働き方や技術を共有できるプラットフォームを開発する。
NeoXは誰でも人工知能をすぐに作り、使える技術「MoAir」を開発した。
画像を認識し、GUI操作でAIモデルを作成できることにより、コスト削減と時間短縮を実現した。
プレゼンではリンゴ農家が作ったAIモデルが登場。
一つ一つのりんごをどのくらい熟しているか判断していた。
複数オブジェクトも同時に認識でき、30個まで可能だ。
今後はWebサービスをAI化したクラウド識別をリリース予定だ。
ここ数年、SaaSの盛り上がりは著しく、一社当たり10~20のSaaSプロダクトが使われていると言われている。
しかしその連携はかなり面倒で、エンジニアを必要とする上に、3週間もの時間がかかってしまう。
Anyflowはこの課題を解決するため、プログラミングなしで連携できるサービス「Anyflow」を開発した。
海外に類似サービスは多くあるが、日本語や日本のSaaSプロダクトに対応しているのはAnyflowのみ。
今後も多くのSaaSプロダクトが誕生するであろうことから、ビジネスの持続性も高い。
高齢化がより一層深刻化している日本。
病院の存在価値は高まっているが、ほとんどの病院が個人経営であるがゆえに、テクノロジーがあまり取り入れられていない。
それ故、今なお、長い待ち時間や現金払いのみなど、アナログな課題が多い。
Linc'wellはその課題を解決すべく、スマートクリニック「クリニックフォア田町」を開業。
Web予約やキャッシュレス決済を導入し、待ち時間から診療まで15分で終了させることを可能にした。
今後も同様のスマートクリニックを増やすほか、オンライン診療や院内オペレーションの最適化の実現を目指している。
電話営業による顧客対応をAIによって可視化した。
これまでの営業は何をどのように話しているか他者は知ることができず、属人的なものとなっていた。
これを解決するべくMiiTelでは電話営業をすべて録音、解析。
さらには音声を文字起こしし、いつでも内容を振り替えられるようにしている。
またそれぞれの従業員のダッシュボードがあり、優秀な人の営業方法を参考にすることも可能。
将来的には音声解析を主軸として他の領域にも事業を広げ、グローバル展開を目指す。
実際に富士通との協業を進めている過去の採択企業から、3社が登壇した。
地方におけるドライバー不足や公共交通の衰退といった課題を解決すべく立ち上がったのがPerceptIn Japan。
自律走行する低速電動車両(LSEV)を使用したマイクロモビリティ「MICRO MOVER」を、自動運転車の10~20分の1の価格で実現した。
富士通とは観光地での実証実験で協力。
富士通が開発した「オンデマンド交通サービス」を活用し、自動運転で周遊する車両を複数停留所での乗降ニーズに応じて、効率的に配車することが可能となるか検証した。
製造業で必須となる作業、検査。
しかし、他の工程では作業用ロボットが導入されているにもかかわらず、検査だけは熟練工の五感に頼っている状況だ。
アダコテックは正常データのみで異常を検知できる生産工程モニタリングと映像監視ソフトウェアを開発。
工場の全自動化を目指す。
富士通とはトレーサビリティ基盤の開発で協業。
向上における全工程で導入できるようにしていく。
デジタル広告サービスを展開するヒトクセは富士通総研とともに視線トラッキングシステムを開発。
ユーザーのスマホ操作から視線を予測、定量化することで、ユーサーの関心を見抜くことができるようになった。
これにより効率的にサイトを改善できるほか、関心層のみに広告を配信できるようになる。
さらにはコンバージョン率も計測できるため、サイト上のどのパーツがどれだけ売り上げに貢献したかもわかる。
ここでは優秀賞2社が発表された。
1社目はWebシステムの操作方法をガイドするテックタッチ。「作業効率を高める方法がユニーク」だと評価された。
2社目はSaaS連携を簡易化したAnyflow。「SaaS連携サービスは日本では他にない、新規性を高く評価した」とコメントされていた。
最優秀賞に選ばれたのは営業分析サービスを開発したRevComm。
テッククランチ東京2019で優勝した実力者がここでも評価された。
受賞理由は「コールセンターの効率性には課題が多い。成長性を感じた」と発表された。
RevCommは「日本社会は信用経済。誰がやってるのかということが大事だし、実績も求められる。だからこそ、富士通に後押ししてもらえるとより一層挑戦できるようになる」と喜びを語った。
なおスポンサー賞については以下の通り。
fabbit賞:RevComm
ケップル賞:DATAFLUCT
パソナグループ賞:ホイップ
また、すべての企業が協業に向けて個別面談へと進むことが明らかになった。
すべての企業が協業へと一歩足を進めることになった、今回のピッチコンテスト。
表彰するだけでなく、協業するかどうか評価するという形式は珍しく、筆者もドキドキしながら見守っていた。
今後彼らの協業がどのような結果をもたらすのか、目が離せない。
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