定性調査と定量調査とは|上手に使い分けてユーザーを更に理解しよう

定性調査と定量調査とは|上手に使い分けてユーザーを更に理解しよう

記事更新日: 2021/04/23

執筆: 編集部

自社の商品やサービスの調査をしたい。

そう思ったときに「定性調査」や「定量調査」といった調査方法があるけれど、どういった調査方法なのかは詳しくは分からない。

この二つで一体何ができるの?そう感じているのはあなただけではありません。

そこで、本記事では定性調査・定量調査とはなにか?メリットやデメリット、それぞれの違いや「定性調査」と「定量調査」を使い分けることについても解説をしています。

本記事を読むことで、自社の商品やサービスの抱えている課題を解決するために「定性調査」や「定量調査」をどのように活用するとよいかが理解できるでしょう。

最後までしっかりとご覧ください。

定性調査とは

定性調査とはマーケティングでの課題の解決方法や、新しいターゲット層の発掘をするときなどに効果が期待できるものです。

なぜなら、定性調査とは数字だけでは表すことのできない、言葉での表現がなされている情報を集める調査方法だからです。

数字だけで表せないというのは「イエス・ノー」だけでは答えられないような回答など。

例えば個人の意見や具体的な行動、どのような感情で購入や利用に至ったのかなどが含まれます。

具体的には、以下のような調査方法があります。

  • ワークショップ
  • 訪問観察調査(家庭訪問)
  • デプスインタビュー(IDI)
  • グループインタビュー(FGI)
  • 行動観察調査(オブザベーション調査)
    など

定性調査は主に会話形式で、「Why(なぜ)」や「How(どのように)」を知ることで課題の解決や、新規顧客の獲得への足がかりとすることに有効とされています。

定性調査のメリット

定性調査のメリットは大きく分けて2つです。それぞれについて詳しく解説をしています。

定性調査はターゲットにより刺さる商品開発のヒントになる

「なぜ」ユーザーが購入や不購入だったのか。

その「結果」に至る行動を起こした背景を知ることはとても重要です。

なぜなら、ターゲットのベネフィット(利益)は何かを考えたとき、市場から生の意見を直接聞くことはとても効果的だからです。

定性調査では会話形式の質問で、ターゲットの行動の背景を探ることができます。

ユーザーから具体的な意見を聞くことで、「結果」が「狙っていた」ことであったり、「意図していない」ことが「結果」に繋がっていたりといったことを知ることができます。

したがって、商品の改善をするのか、そのまま据え置きをするのかの判断材料になり得、よりターゲットに刺さる商品開発のヒントを得ることができるでしょう。

定性調査では消費者のより深い心理を知ることができる

「なぜ」購入したのか、「どのように」使用しているのかなどを知ることは、ユーザーが購入をする際の後押しをすることに役立ちます。

定性調査では「なぜ」や「どのように」などの質問を会話形式で繰り返し行い、ユーザーの行動背景をより深く追求することができます。

費者が商品を購入する場面でどのようなアピールをすることが効果的なのか、商品にどんな機能が付いていればユーザーは購入を決めるのか。

調査しなければこれらは仮説の域を超えません。

ユーザーを購入へ導くためにも、生の「深い」意見を集めることはとても重要です。

定性調査のデメリット

定性調査のデメリットは大きく分けて3つです。それぞれについて詳しく解説をしていますので、しっかりとご覧ください。

定性調査では本来得たい回答が得られない場合も

定性調査では本来得たい回答が得られない場合があります。

なぜなら、出題者による質問によって大きく回答が変わるからです。

例えば、「商品の使用感の満足度」を知りたい場合、「満足度のみ」を聞いた場合にユーザーから得られる回答は「商品価格」や「外見」の満足度かもしれません。

出題の仕方によっては、本来得たい回答を得られない場合が定性調査では考えられます。

定性調査では全体像が把握し辛い

定性調査では個人の考えを回答で得るため、ひとつひとつのデータの量が多くなってしまいます。

そのため、調査結果が長文になり全体像が把握しづらくなります。

例えば、使用感の調査で全体的にどういった意見が多いのかをまとめる場合、長文のデータばかりであると、それぞれの内容を把握するのに一つ一つ最後まで読まなければなりません。

読むだけでも時間が掛かってしまいますし、それぞれ言いたいことが同じだとしても表現が異なるため、解釈にも時間が掛かります。

そういったことから、全体像の把握には定性調査は適しているとは言い難いでしょう。

定性調査では多くのデータを集めることに向いていない

定性調査ではデータ一つ一つの量が多いため、集めるためのコストや時間が大きく掛かります。

したがって、多くのデータを集めることには向いていません。

なぜなら、調査者は一人一人の意見を集めるために回答者と少なくない時間、会話します。

また、調査者は一度に数万人を一人で対応することは難しいでしょう。

そのようなことから、定性調査では一度に多くのデータを集めることには向いているとは言えないでしょう。

定量調査とは

定量調査とは、数字やグラフなどの見てすぐに分かるデータで表せるものを調査する方法です。

数字やグラフなどのデータは、見た人が客観的に捉えることができるので説得力があります。

「アンケート形式」「イエス・ノー」「〇✖」「年齢、性別、地域」など、数字化が容易なデータを調査します。

具体的には以下のような調査方法です。

  • はい・いいえなどの「スコアリング方式」アンケート
  • ネットリサーチ
  • 会場調査(CLT)
  • ホームユーステスト(HUT)
  • 郵送調査
  • 街頭調査
  • 来店者(来場者)調査
  • 電話/FAX調査
    など

 

定量調査のメリット

定性調査のメリットは大きく分けて2つです。それぞれについて詳しく解説をしています。

定量調査は誰が見ても結果が分かるもの

数字や表は客観的で説得力があります。

例えば、「当社の製品は多くの人から支持されています」といった表現と、「当社の製品は1万人から支持されています」といった表現では、後者の表現がより具体的なため説得力が生まれます。

このような、具体的な数字を集めることの出来る調査方法が定量調査です。

定量調査は短時間で多くのリサーチができる

定量調査は、回答者が答えやすい調査方法でもあります。

「〇✖」や「イエス・ノー」でのチェック方式など、回答者がすぐに答えられる内容での調査など。

回答者は取りかかりやすく、回答も選択式で簡単なため素早く調査が終わります。

その結果、大きくコストを抑えることができ、短時間で多くのリサーチを行うことができます。

定量調査のデメリット

定性調査のメリットは大きく分けて2つです。それぞれについて詳しく解説をしていきます。

定量調査は得たい回答が得られない場合がある

定量調査でも定性調査と同様に、質問によっては得たい回答が得られない場合があります。

調査担当者の質問の方法によっては求めている回答と異なる場合や、回答者が本心ではない回答を行う場合も。

調査者は仮説を元に、回答者が答えやすい質問を用意する必要があります。

定量調査は出題がしっかりしていないと調査結果が説得力に欠ける

定量調査ではしっかりとした前提と出題がなされなければ、調査結果の数字に説得力が生まれません。

例えば「商品を使っての満足感」と、「商品の使いやすさの満足感」では同じ1万人でも商品へのイメージが大きく変わります。

定量調査では、なにを調査したいのかをしっかりと定めて調査を行う必要があります。

上手く使い分けるためのポイントは?

定性調査と定量調査をうまく使い分けるためのポイントは、お互いのメリットやデメリットを把握した上で実施をすることです。

なぜなら、定性調査と定量調査はお互いの足りない部分を補足することができるからです。

例えば、新規商品のアイディアが市場で需要があるのかを調べる場合。

定性調査を事前に実施し、得た回答から仮説を立てて定量調査で仮説の根拠付けをすることができます。

反対に、すでにある商品の売れ行きの傾向を定量調査でデータ化し、定性調査でその背景を調べるということも。

定性調査と定性調査の特徴を適切に活用、併用することで、より効果的な調査結果を得ることができるでしょう。

まとめ

定性調査・定量調査についてのポイントは以下の通りです。

  • 定性調査は数字では見えない、言葉での意見を調査するもの
  • 定性調査で原因を追求することで、より良い商品開発のヒントを掴むきっかけとなる
  • 定量調査は数字や表で表すことのできるデータを調査するもの
  • 定量調査は誰が見ても分かりやすく「低コスト」「短時間」「大量のデータ収集ができる」
  • 定性調査と定量調査のメリットをそれぞれ活かすことで、よりターゲット層に刺さる情報収集に期待ができる

定性調査と定量調査を使い分けることで、よりターゲット層へ刺さりやすい戦略を立てることができるでしょう。

定量調査で全体像を把握し、定性調査で原因を追求ことでより詳しい原因を調べることで、それぞれがお互いのデメリットを補う形で調査ができます。

より効果的なデータを集めて、収益アップに繋げていきましょう。

画像出典元:Unsplash、Pexels、写真AC

最新の記事

ページトップへ