ICOとIPOを5点で比較します。

ICOとIPOを5点で比較します。

記事更新日: 2019/02/18

翻訳: 篠田侑李

起業家の悩みで尽きないのが、資金調達の問題。仮想通貨が普及していくことで、ICOをしてトークンセールスをやってみようと考えている起業家も多いはず。

この記事では資金調達の方法としてIPOをするかICOをするか迷う起業家のために、クアラルンプールのデザインストラテジストPeyton Ong (ペイトン・オン)氏がまとめた、考えておくべき5点を掲載する。

プロフィール

Peyton Ong (ペイトン・オン)

デザインストラテジスト。テックとソーシャル関係のスタートアップで経験を積み、SuperCharger FinTech Acceratorに入社後KL FinTech Academy を率いる。

ICO vs IPO

ICO(新規仮想通貨公開) は、スタートアップ側が「トークン」という仮想通貨を初めて発行し販売、トークンセールスをすることだ。

一方でIPOは、新規株式公開のことで、証券取引所に上場して、会社の発行した株式を投資家が売買できるようにする。

ICOもIPOも実態のない資産を扱うという点で同じように見えるが、目的と資金繰りに違いがある。

成功するICOは、会社の核となるビジネスアイデアを実行するのにトークンを使用していく前提で実行される。会社のトップは経営権の一部(株式)を手放す必要がないまま、投資をしてもらえる。そこで投資家に渡ったトークンは、これから会社が始めるサービスやプロダクトに使ってもらえたり、また他のものとの交換もしてもらえる。

一方でIPOをするにあたっては、企業経営権の一部を手放す必要がある。よってIPOは基本的にベンチャーがある程度成長し、自社サービス/プロダクトが企業の成長を後押ししていく将来の見えるときに行われる。

考えたい5つの点

1. 意思決定

IPOをする場合ベンチャーのトップは部下たちに、資本収益を確保するような戦略決定を任せることができる。

一方でICOの場合、トップは重大な決定を最初から下さなければならない
例えば、実現可能性を加味した目標設定や、どんなタイプのトークンを発行しどういったスケジュールで進めるのかなど、様々な決定が求められる。これらはその後の経営に多大な影響を及ぼすし、心の負担になるような問題だ。

トークンセールス関連の詐欺について警鐘が鳴らされている為、買い手はどんどんリスクに敏感になっている。
よってスタートアップは、トークンセールスを始める際にとても丁重な準備を求められる。この準備には、ホワイトペーパーを書く事以外にも、コミュニティー作りの活動も含まれる。

全ては、買い手の信用を得て、自分たちのプロジェクトに価値を植え付ける為だ。
それができなかった場合、投資家たちは元の投資先を切り捨て、他の伸びしろのある企業に投資する。結果元の投資先企業のトークンは暴落することになる。

もしICOをすると決定したのなら、発行するトークンに他の暗号通貨との交換柔軟性を持たせるべきだし、IPOの場合は、どの株式市場に顧客や投資家が多いか見極めねばならない

2. コスト

意思決定においてコストは重要な鍵になる。

 ICOにもIPOにもお金はかかるが、ICOのコストはIPOほどしっかり決まっていない。

 IPOには決められたプロセスがあるため、コストも決まっている。PricewaterhouseCoopersによると、IPOには平均して720万米ドルが必要になる。

一方でICOにはまだ決められたプロセスがない
ただ、コストがどのフェーズでかさむか大まかに見積もる事はできる。  
例えば、

    • ICO前後のPRやリーガルアドバイザリー費用
    • 優秀なブロックチェーンディベロッパーやテクニカルライターを雇う為の人件費

などは、ICOプロセスにおいて最もコストのかかるものの例に挙げられる。

最適なトークンの値段と、効果的なトークンセールのやり方を決められるかどうかが、ICO成功への分かれ道だ。

3. 安全性

IPOもトークンセールスも一長一短だ。

IPOは従来から法が整備されているのでトークンセールスと比べて安全である。安全かつ安定の道だが、長期間の締め切りに追われるプロセスと引受業務が必要になる

一方トークンセールスは多額の資金がオンライン上でやり取りされるため、サイバー犯罪に対する脆弱性が指摘されている。未だに枠組みも曖昧な点が多くリスキーであるため、法の整備が急がれている

しかし、プロセスの明確化は進められているし、ブロックチェーン業界を率いるリーダーたちがより良い方法を確立し始めている。また、安全性を高めるためにTruStoryやMetaCertなどの企業のサービスが、サイバー犯罪に強いシステムを構築している。

4. 時間とリソース

スタートアップのCEOは、IPOやICOをするまでにどれだけ時間が必要か、必ず考えるべきだ。

IPOとICOは似ているが、会社のトップがコミットする時間に違いが出てくる。

IPOは計画から実行、そして安定させるまで大体1~2年かかるが、ICOは大体6か月から1年ほどだ。

5. リスクと落とし穴

ICOやIPOでファンディング計画を立てるのはいいが、長い目で見ると不安の種になりかねないので、注意が必要だ。

スタートアップは成長するにあたり、リスク回避型を取り、投資家の収益率を確保していかなければならない。投資家との信頼関係を保つためにも、透明性確保は欠かせない。

それでも、小さな失敗などが起こると企業価値は下がる。ヒビの入った会社の評判が、懐疑や批判を呼び込むことになり、次のファンディングラウンドに備える時にキツくなりうる。

まとめ

市場のコンディションは変動する。スタートアップはICOかIPOを決めて実行に移す前に、上場に最適な仮想通貨取引所/株式市場を選ばなければならない。

トークンセールスにもIPOにもそれぞれ長所短所があるので、スタートアップはどの方法を使えば会社の帆にうまく風を当て軌道に乗っていけるか、考えていくべきだ。

【原文】Jumpstart Magazine Issue 23 pp. 22-23(翻訳:篠田 侑李)

画像出典元:unsplash

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