旅行ベンチャーが次々爆誕!右肩上がりのアジア市場で競争が激化中

旅行ベンチャーが次々爆誕!右肩上がりのアジア市場で競争が激化中

記事更新日: 2019/02/14

翻訳: 篠田侑李

観光業界が安定した成長を見せる中、「トラベルテック (TRAVELTECH)」という、旅行・観光産業に特化した旅行ITベンチャーが次々と誕生している。

この記事ではトラベルテックの競争が激化する、アジアの現状を詳しく見ていく。

トラベルテック急成長の背景にある、アジアの観光産業

数字から見るアジア市場

2015年、世界観光業収益は1.27兆ドルだった。同業の世界経済への貢献は8.27兆ドルに上った。

観光業界はほぼ毎年安定した成長を見せている。国際観光客は2005年の5.28億人から2015年までには11.9億人に増え、2030年までには18億人を超えると予測されている。

世界海外旅行消費額の約4割はアジアと環太平洋エリアからきており、その額は2016年度に4730億ドルに上った(日帰り旅行者と宿泊客の合計額)。

旅行客数は同エリアが全世界の約39%を占めており、この数は2000年から20パーセントも上昇している。同エリア内で旅行消費額が一番高いのは北東アジアで、全体の74%を占めている。

観光業界における、中国の圧倒的な存在感

中国が海外旅行マーケットをどんどん牽引する存在になっている。

中国観光業の消費額は、2007年から毎年二桁台の伸びを見せ、アジア環太平洋地域、米国、そしてヨーロッパの複数の国における観光客の増加に寄与している。今ではアジアのアウトバウンド消費額の55%を占めており、世界の観光産業収入においては21%も占める。そして中国人観光客の消費額は2016年に12%も増加した。

中国人の海外旅行熱は旅行回数にも表れている。彼らは世界最大の旅行好きであり、2016年には中国本土の人々は1.35億回海外へ旅立った。ちなみにその殆どは北東・東南アジアに向かった。

中国のほかには、韓国とインドが、2016年にそれぞれ2,200万回の出発回数を記録しており、次に日本(1,700万回)、台湾(1,500万回)と続く。

消費額で中国に次ぐのは韓国で、2016年には270米億ドルの旅行消費額を記録した。オーストラリアはそれに次ぐ3位で、250米億ドルである。

 

宿泊予約サービスだけの時代は終わり。多種多様な旅行ベンチャーの活躍が目覚ましい

GrabとUber、そしてGo-Jek?

住宅宿泊事業法によりAirbnbが日本での収益を落としているようだが、最近Grabはトヨタと10億ドルの投資契約を結び、企業価値が100億ドルとなった。そしてGrabは確実に、その巨額を特にアジアに使おうとしている。

Grabについて

Grabはシンガポールに拠点を置く交通サービス系ベンチャー。Uberと同様のライドシェアサービスを提供している。2012年にマレーシアでサービスを開始し、東南アジアで急成長している。


しかし、Grabが約16億ドルの契約でUberの南アジア事業を買収したことを忘れてはならない。複数のメディアによると、この契約には多くの問題があり、会社の首を絞めているという。

5月末にアリババが所有するSouth China Morning Postが以下のように報じた。

3月末に行われた、GrabによるUberの南アジア事業の買収は、Grabの競争相手を市場から強制排除することでGrabを地域トップの座に導いた。しかしそのすぐ後の5月には、インドネシアのスタートアップGo-Jekが5億米ドルを投資して、ベトナム、タイ、シンガポール、そしてフィリピンで交通サービス展開を始めると発表した。東南アジアで思いのままに事業展開できるように見えたGrabは、新たな競争相手や独占禁止法に今悩まされている。

これからも目が離せないトラベルテック業界

トラベルテック業界は急速に成長している。
旅行者に割引価格を提供するだけでなく、旅行プラン立てや、お金の振り替え、そして旅行自体をVRやARの技術を使って豊かにするというサービスも提供している。

この業界に参入し始めているのはフィンテック企業だけでない。様々なクロスオーバーが起きており、旅行業界は消費者、特にミレニアル世代の需要に応えるために急速に変化している。

所得の向上により、アジアのミレニアル世代の海外旅行消費額は、2020年までに3,400億ドルに上ると、シンガポール観光局は予測している。

World Travel and Tourism Council (WTTC)は2016から2026の間に、レジャー旅行の目的地として急速な伸びを見せるのはインド、アンゴラ、ウガンダ、ブルネイ、タイ、中国、ミャンマー、オマーン、モザンビーク、そしてベトナムだと予想している。

この予想がどうなるかはまだわからない。アジアの旅行ベンチャーはどれもパワフルだ。市場はすぐそこにあり、投資家も興味を持っている。そして消費者もそのテクノロジーやサービスの恩恵をすぐ受けられる状況だ。

スタートレックに描かれたようなテレポーテーションはまだ不可能だが、そのうちトラベルテックベンチャーの一つや二つがやってくれるかもしれない。

最後に、トラベルテックベンチャーに活発に投資しているVCを以下にまとめた。

 

最もアクティブなトラベルテック投資家ランキング

1. 500 Startups 

500 Startupsはトラベルテック領域で最もアクティブな投資家で、2013年からポートフォリオに16のスタートアップを入れている。

投資先は米国から東南アジア、ヨーロッパにまで及び、宿泊施設予約サービスを展開する企業(デンバーに拠点を置くSilvernestやフランスのMisterb&bなど)を重点的に支援している。

500 Startupsは自称 「車のAir b&b」サービスを展開する、タイのDrivemateを2017年にポートフォリオに加え、タイのバケーションレンタル企業FavStayへの投資に次いで2回目のタイ企業への投資をした。

他に東南アジアのトラベルテック企業でポートフォリオに入っているのは、シンガポールのMetroResidencesとRedDoorz、そしてインドのTripotoとMalaysiaのCatch That Busだ。

2. Global Founders Capital

Global Founders Capitalはロケットインターネット社のVCだ。

2013から2017の間に、インドネシアのユニコーン企業Travelokaを含む10のトラベルテック関係企業に投資した。

このVCのポートフォリオに入る会社の多くは、ヨーロッパと米国に拠点を置いている。例えば、TravelBirdという、オンラインブッキングサービスや、トラベルラゲージを売るAwayという会社などだ。直近の投資は、アメリカに拠点を置くホームレンタル会社Stayawhileというシード期の会社にされた。

3. Gobi Partners

中国のGobi Partnersは2013年から8つのスタートアップに投資しており、投資先はアジアに集中している。(3つが中国、2つがインドネシア、そしてシンガポールとマレーシア)同VCのアジア外の唯一の投資先は米国に拠点を置くWayBlazerで、AIを駆使した旅行オススメサイトだ。

4. Plug and Play Ventures、Accel Partners、Caixa Capital Risc (同率)

これら3つのVCはそれぞれ7つのスタートアップに投資している。

Plug and Playは米国中心で投資しており、AIを使った価格予想サービスを提供するFLYRや、旅行計画サービスのスタートアップUtripなどに投資している。

Caixa Capital Riscはスペインに拠点を置くシード期のスタートアップ投資にフォーカスしたVCで、直近は旅行セールスシステムのTravelCompositorへ投資した。

Accel Partnersは2017年度、新たな投資をトラベルテック領域にしなかったが、そのポートフォリオにはフランスのユニコーン企業であるBlaBlaCarや、ホテル予約サイトを運営するHotelTonightなど、有名なトラベルテック企業が沢山入っている。

※当記事で使用したデータ出典元:CB Insights (Oct 2017)、UNWTO/GTERC Asia Tourism Trends Report (2017)

【原文】Jumpstart Magazine Issue 22, pp.24-25(翻訳:篠田 侑李)

画像出典元:unsplash

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