MOOCsとは?無料で世界トップクラスの授業を受ける方法を解説

MOOCsとは?無料で世界トップクラスの授業を受ける方法を解説

記事更新日: 2024/09/27

執筆: 太田繙

インターネット環境が発達したことにより、オンラインで学習を進められる「MOOCs(ムークス)」が注目を集めています。

MOOCsとは一体何なのか、利用することでどのようなメリットがあるのかなど、MOOCsの使い方がわからない人も多いでしょう。

本記事では、MOOCsの概要や受講の流れ、活用するメリット・デメリットについて解説します。

MOOCsとは?

MOOCs(ムークス)とは、インターネット環境を利用し、オンラインで世界トップクラスの授業が受けられるサービスです。

2012年ごろから世界的に利用され始め、2015年には3,500万人以上に活用されています。

公開されている授業の多くは原則無料で受講できるため、好きな場所で学習が可能です。

世界中の授業が受けられるオンラインサービス

世界中の有名大学や研究機関の多くが、MOOCsに授業を提供しています。

質の高い授業にも関わらず、修了書の発行や有償授業以外は無料で受講可能です。

提供されている多くの授業は、専門知識がない人でも理解しやすい内容で構成されています。

使い方も非常に簡単なので、初めてでも気軽に受講できるでしょう。

MOOCsの仕組み

MOOCsポータルサイトが大学や研究機関に対して、Web上に動画を公開する環境を提供し、そのリターンとして受講者に公開しています。

MOOCsに登録した受講者は、基本的に配信されている授業は何度も視聴可能です。

受講者はMOOCsポータルサイトに公開されている動画を受講して、授業に対するフィードバックを実施します。

MOOCsポータルサイトの中には、動画提供側と受講者がコミュニケーションできる環境が設けられているため、より深く内容が把握できるでしょう。

登録から修了証取得までの流れ

MOOCsは、各プラットフォームから登録可能です。

授業内容は提供機関によって分類されており、スキルやキャリアアップに役立てられます。

基本的に1つの授業時間は10分程度で、1週間に5〜10本の公開です。

全ての授業視聴が完了した後は総合課題を提出し、全体の評価基準を満たしていれば修了証を受けることができます。

MOOCs利用5つのメリット

ここでは、MOOCsを活用するメリットを5つ解説します。

1. 無料で有名大学の授業が受けられる

社会に出てから新しい知識を学ぶために専門学校や大学に入学すると、一定のコストが必要です。

一方、MOOCsは無料で有名大学の授業が受けられます。

実際に大学で行われている授業なので、質も高く、初めて受講する場合でも理解しやすい内容が多いです。

コストをかけることなく質の高い授業を受けられるのは、とても大きなメリットといえるでしょう。

2. 1回の授業が短く隙間時間が利用できる

MOOCsで公開されている授業は、基本的に1本10分程度です。

授業時間が短いことから、移動中や休憩時間など、隙間時間で学習できます

授業はパソコンだけでなくスマートフォンからも視聴できるため、ストレスを感じることなくスムーズに受講が可能です。

3. 小テストで自分の理解度が分かる

MOOCsポータルサイトの多くは、理解度を確認するため定期的にテストが行われます。

受講者もMOOCsを利用しながら、どの程度授業を理解できているのか把握でき、効率的な学習が可能です。

最終課題に挑戦するまでに小テストを受けることで、復習すべきところも分かるでしょう。

4. 時間や場所に縛られない

大学や専門学校で学ぶ場合、あらかじめ授業の時間が定められていたり、所定の場所へ出向いたりする必要があります。

一方、MOOCsはスマホやパソコンを利用して学習を進められるため、時間や場所に縛られることはありません

インターネット環境と端末さえあればどこでも学習できるため、仕事や家事が忙しい人でも続けやすいといえるでしょう。

5. 修了証明書が発行される

MOOCsは最終課題を受講し、一定の条件を満たすことで修了証明書が発行されます。

発行された修了証明書は公的な書類であるため、対外的に実績のアピールが可能です。

獲得した修了証明書をもとに就職活動やSNS上など、様々なシーンで活用できるでしょう。

MOOCs利用4つのデメリット

MOOCsの利用にはメリットだけではなく、デメリットも存在します。

ここでは、MOOCsのデメリットを4つ解説します。

1. 学位取得はできない

MOOCsでは、最終課題の条件を満たすことで修了証明書を取得できますが、学位は得られません。

つまり、取得した修了証明書では、大学の単位は得られないのです。

MOOCsは、自身の学力向上のための利用に適しています。

2. モチベーションの維持が難しい

MOOCsは基本無料で授業を視聴できるため、モチベーションの維持が難しいです。

費用を支払って学習する場合は「授業料を支払ったから簡単にはやめられない」という気持ちになり、モチベーションも維持されやすくなります。

無料だと簡単に受講をやめられるので、モチベーションを維持しにくい点はデメリットといえるでしょう。

3. 他の受講者と交流できない

一般的な大学や専門学校の場合、自分以外にも受講者がいるため、学習意欲が掻き立てられます。

しかし、MOOCsは基本的に自分1人で学習を進めるので、他の受講者と交流する機会がありません

インターネット上の掲示板などで交流できるMOOCsもありますが、仕事や家事が忙しい人にとっては参加が難しいといえるでしょう。

4. 授業内容が限られている

年々MOOCsで公開される授業内容は増えていますが、学習分野は限られています。

特にビジネスに関する内容が多く、音楽や芸術などのクリエイティブな授業は少ない印象です。

ビジネス関連以外を学びたい場合は、MOOCsは向いていないかもしれません。

国内最大のオンライン授業 JMOOCsとは?

JMOOCsとは、一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会の略で、国内最大のオンライン授業です。

2014年にサービスを開始しており、海外有名大学以外にも、国内大学や企業の授業を300以上公開しています。

インターネット環境と端末があれば学習を進められるため、自学自習に最適のサービスといえるでしょう。

参画している大学・専門学校

JMOOCsには、以下のような大学が参画しています。

  • 立命館大学
  • 京都大学
  • 早稲田大学
  • 東京工業高等専門学校
  • 函館工業高等専門学校


JMOOCsでは、大学だけではなく企業の授業も受講できます。

受けられる授業例

JMOOCsでは、以下のような授業が受講できます。

立命館大学 

ーーー運動と健康の理論・実践ーーー

高血圧や動脈硬化などの生活習慣病やサルコペニア・ロコモティブシンドロームの評価方法、予防方法を紹介。

 

京都大学 

ーーーフィールド医学への誘い1 -日本からブータンへーーー

フィールド医療の概要を紹介し、日本及びブータンで取り組んでいる高齢者の健康を守るための活動を紹介。

 

早稲田大学 

ーーー材料力学 2020ーーー

構成式や応力・ひずみ・変形など、材料力学の解析方法を解説。

 

東京工業高等専門学校 

ーーー電気回路 2020ーーー

複素数表示を用いた正弦波交流回路の解析など、電気回路について解説。

 

函館工業高等専門学校 

ーーー品質管理 2020ーーー

数学的な予備知識がなくても、得られたデータからツールとしての品質管理の手法を求められる方法について解説。


情報工学系として、ブロックチェーン入門や情報法・オペレーティングシステムなどを解説している授業も存在します。

1週間と1ヵ月コースが選べる

JMOOCsは、1週間で見るべき授業が公開される「1週間コース」と、1週間コースを4週間繰り返す「1ヵ月コース」の2つから受講が選べます。

自身のスケジュールや忙しさに合わせて選択できるため、無理せず学習できるでしょう。

JMOOCsで人気の授業と傾向

続いては、JMOOCsで人気の授業と傾向について解説します。

全体的に人気の授業

JMOOCsで人気のある授業は、心理学や歴史音楽などが挙げられます。

全体的に教養系や実務系科目の人気が高く、注目されている分野といえるでしょう。

受講する科目は、性別やこれまで学習した内容によって分かれる傾向があるようです。

男性に人気の授業

JMOOCsで男性に最も人気の授業は「経済学&金融」です。

男性はビジネス・実務関連の授業に人気があることから、経済学&金融は2年続けて開講されています。

女性に人気の授業

JMOOCsで女性に最も人気の授業は「心理学」です。

心理学は、MOOCs全体の受講ランキングで6年連続1位となっています。

女性受講者の傾向として、教養系や生活密着系への注目も高まっているようです。

MOOCsで受けられる企業の授業3つ

MOOCsでは、大学が提供する授業だけではなく、企業が公開しているものもあります。

ここでは、企業の授業を受けられるMOOCsを3つ紹介します。

1. edX(エデックス)

edXとは、マサチューセッツ工科大学とハーバード大学が出資して設立した、非営利のMOOCsです。

公開している授業は基本的に無料で、費用を支払うことで修了証明書も取得できます。

授業で用いられる言語は英語となり、ITやビジネス系の授業を多く取り揃えている点が特徴です。

2. Coursera(コーセラ)

Courseraとは、2012年に設立されたMOOCsです。

世界中の大学や企業の授業を取り扱っており、英語や日本語・中国語で受講できます。

受講は基本的に無料ですが、修了証明書の発行には費用が必要です。

経済学や生物学・AIに関する授業を主に公開しています。

Googleやmeta(旧Facebook)など、世界的IT企業の授業も無料で受けられ、自身のビジネスにも役立てられるでしょう。

3. gacco(ガッコ)

gaccoとは、JMOOCs公認のMOOCsです。

授業の受講は基本無料で、言語は日本語が用いられています。

授業の受講方法はJMOOCsと同じく、1週間コースと1ヵ月コースの2つが用意されているので、スケジュールに合わせた選択が可能です。

国内では日本航空や伊藤園が授業を公開しているため、海外企業以上に内容も理解しやすいでしょう。

MOOCsがもたらした影響とは?

MOOCsはコストをかけることなく、インターネット環境と端末があれば学習できます。

質の高い授業を無料で受講できることから、様々な影響を与えているのです。

ここでは、MOOCsがもたらした影響について解説します。

当時15歳のモンゴル人少年の場合

当時15歳のモンゴル人少年は、edXが公開していた「電子回路」の授業を受講し、最終課題で満点を獲得して修了証明書を獲得しました。

その後、edXで獲得した実績を活用して、MITに学費免除で進学しています。

当時10歳のパキスタン人少女の場合

当時10歳のパキスタン人少女は、MOOCsで「人工知能」や「物理学」の授業を受講し、好成績を収めたのです。

それがきっかけで、「世界経済フォーラム年次総会」オンライン教育関連のセッションにゲストスピーカーとして招待されています。

パキスタンでは、ブロードバンドの普及により、多くの子供がMOOCsを利用して、中等・高等教育の授業が受けられるようになりました。

参考:総務省「特集 ICTがもたらす世界規模でのパラダイムシフト

 

まとめ

MOOCsは、世界トップクラスの授業を無料で受講できるサービスです。

インターネット環境と端末があれば、いつでもどこでも学習できることから、世界中で影響を与え、「人生が劇的に変わるきっかけ」となっています

MOOCsが公開している授業は有償もありますが、多くは無料なので、気になったら学習を始めてスキルアップしてみましょう。

これまでの人生を「大きく飛躍させるチャンス」になるかもしれません。

画像出典元:unsplash、pixabay

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