eラーニングシステムの市場はどんどん拡大しており、近年では中小企業でもeラーニングシステムを導入する会社が増えています。
編集部独自調査の結果、中小企業に特におすすめのeラーニングは、「スマートスタディ」「Air Course」「Cloud Campus」の3つです!
という強みがあり、eラーニング導入を目指す企業におすすめです。
eラーニングシステムを選ぶとき、注目したいのは「機能」「料金」。同じeラーニングでも「運用・管理に特化したもの」「コンテンツに特化したもの」など特徴は異なります。
まずは自社のニーズを明確化し、コストと機能のバランスがよいサービスを選択しましょう。
本記事では、特に従業員数300名未満の中小企業におすすめできる3社のサービスを、「機能」「料金」の面から比較していきます。
このページの目次
画像出典元「スマートスタディ」
スマートスタディは、NTT東日本が提供するeラーニングサービス。
社員研修から情報共有まで幅広く使える利便性の高さが評価され、累計利用者数は29万人を突破しています。(2021年2月時点)
通信最大手ならではの安心感がある「スマートスタディ」の詳細を見ていきましょう。
スマートスタディは、1名からIDを付与できるのが魅力です。
小規模研修にちょうどよく、企業規模・研修規模の大小を問わずに使えます。
また全てのサービスはクラウドサーバー上で提供されるため、利用できるデバイスも多彩。
研修や会議参加者は、そのときの状況やニーズに合わせて、スマホ・PC・タブレットを選択できます。
eラーニングコンテンツが、クラウドサーバー上で提供されるため、自社でサーバーを設置したり保守管理したりする必要はありません。
初期費用・ランニングコストとも安価で、気軽に使いやすいのがメリットです。
1つのIDにつき必要な月額料金は、わずか198円。
IDを300名分割り振ったとしても、月ごとのランニングコストは59,400円と安価です。(ライブ配信不要なプランを選択した場合)
受講者ID休止機能もあって、ムダのないeラーニングサービス運用が可能となります。
ドキュメントやメール・動画を自由に配信できるため、効率的な情報発信もできます。
緊急性の高い話題もタイムリーに発信でき、営業所や支店とのコミュニケーションの深度を深めるのに役立ちます!
Web会議機能を使えば、物理的に離れた拠点とのやりとりもスムーズ。
テレワーク中の社員・遠方の支店とも、対面と変わらないやりとりができるでしょう。
ライブ機能はオプションのため、別途料金が必要です。
事前に登録しておけば、マニュアルやテキストを英語・中国語(繫体・簡体)・韓国語・スペイン語・フランス語・ベトナム語・タイ語に自動翻訳してくれます。
ここまで多くの言語に対応しているサービスは競合他社でも少ないので、海外拠点がある企業や外国籍の従業員が多いような会社には特に「スマートスタディ」はおすすめです。
ただし、こちらの機能もオプションとなるので、注意してください。
2015年に労働安全衛生法が改定され、常時50名以上の労働者がいる企業には毎年1回「社員へのストレスチェック」が義務付けられるようになりました。
スマートスタディでは、無料コンテンツとして「ストレス診断」を提供しています。
社員は簡単な設問に答えるだけで、スムーズなストレスチェックが可能です。
診断結果は見やすいレーダーチャートで表示されるため、個々が自身のストレス具合を簡単にチェックできます。
画像出典元:「Air Course」
Air Courseは、多彩なコンテンツが標準装備されたeラーニングサービスです。
研修コンテンツ・ノウハウがない企業でも、質の高い研修を実現できます。
大企業からベンチャー企業まで幅広く導入されている「Air Course」の詳細を見ていきましょう。
Air Courseでは、ITスキル・コンプライアンス・ハラスメント等、多彩なテーマのコンテンツが受け放題です。
「これまで社内研修をしておらず、ノウハウがない」という企業には大きなメリットとなるでしょう。
またコンテンツは、役職を想定してレベル分けすることが可能です。
「管理者に必要な研修」「新人社員に必要な研修」……、と細かく設定でき、実務に役立つ有益な研修が行えます。
コンテンツ・テーマは随時追加されており、契約中は無制限・無期限で必要なコンテンツ・テーマを選べます。
ただし、コンテンツを自由に使えるのは「コンテンツプラスプラン」の場合です。
ファイルをドロップするだけで、グループ内でナレッジを共有することが可能です。
eラーニング研修で学んだ知識を共有でき、グループメンバーの知識の底上げにつながります。
個々がパソコンやスマホに向かうeラーニングでは、知識の属人化や修得レベルに差が出やすいのが懸念事項でした。
知識・スキルを共有できれば、メンバーの学習意欲増進・レベルアップが期待できます。
グループ機能を使えば、縦割り・横割りの学習グループを簡単に作成できるのも「Air Course」の魅力です。
管理者研修用グループ・技術者研修グループなど多彩な区分分けができ、学習管理が容易です。
また全員の学習進捗状況は「管理レポート機能」でチェックできます。
進捗が遅れていたり、成績が振るわなかったりする人に声掛けやフォローを行えば、グループ内で学習進度の差が出るのを防ぎやすくなるでしょう。
レクチャーやアンケート・Webテキスト等を自由に作成できます。
作成したコンテンツは自由に組み合わせて使えるため、自社のニーズに特化したオリジナルコースの作成が可能です。
社員のレベル・階層・理解度等に合わせたコースなら、研修が非効率になりません。
既製のコンテンツのように「あれが足りない」「これは不要だった」などということがなく、社員満足度の高い研修が行えます。
オプションコンテンツとして、「動画制作・配信の依頼」が提供されています。
このオプションを選択すれば、プロのセット・スキルを使って高品質な配信動画の作成が可能です。
eラーニングサービス導入が初めての企業・魅力あるコンテンツを作りたい企業には、特にメリットが大きいといえるでしょう。
ただしこちらはオプション扱いとなるため、追加料金の支払いが必要です。
スタジオ半日貸し切りプランで「20万円(税抜)」なので、費用対効果をしっかり検討する必要がありそうです。
画像出典元:「Cloud Campus」
「Cloud Campus」は、ソフトバンクグループが提供するeラーニングプラットフォームです。
ITを活用して教育分野に多大な貢献をしたことが認められ、2017年に第2回IMS Japan賞・最優秀賞を受賞しています。
Cloud Campusのシステムを開発したのは、文部科学省認可のインターネット大学「サイバー大学」です。
サービスにはオンライン教育のプロならではのノウハウが詰め込まれており、誰でも効率的なオンライン学習が可能です。
「直感的に扱えるUI」「受講者による自己管理機能」など、ユーザー目線の使いやすい機能がたくさん搭載されています。
管理者はユーザーの登録・管理・削除が簡単に行える上、個々のレベルに合わせたコース管理も容易です。
受講期間や公開範囲も自由に設定でき、ユーザー管理の手間を軽減できます。
またユーザーの進捗状況や評価・テスト結果などは、CSV形式で簡単に出力することが可能です。
「使いやすさ」にこだわったUIが搭載されており、「コース」「レッスン」「チャプター」「コンテンツ」「マテリアル」を自由に設定可能です。
システム内のマニュアルやテキスト・動画は自由に組み合わせられるため、自社のニーズ・社員のニーズに特化した研修が行えます。
受講者の理解度を上げやすく、高い研修効果が期待できるでしょう。
自社で作成したコンテンツは、Cloud Campus内で販売可能です。
質の高いコンテンツなら、料金を支払ってでも見たい・使いたいという企業が現れます。
利用料金を徴収して動画を提供することで、コンスタントに利益を上げることができるでしょう。
受講時の言語は、日本語・英語が選択できます。
切り替え方法は、ユーザーがプロフィール画面で英語を選択するか、サインインの画面で英語を選べばOKです。
この他、管理者がユーザー登録時に言語を英語にしたり、コンテンツ制作者が言語を「英語」と設定したりすると、システム上で英語が表示されるようになります。
ここからは、「スマートスタディ」「Air Course」「Cloud Campus」の3つのシステムを各項目ごとに比較していきます。
自社のニーズを明確化し、条件に合うものを見つけていきましょう!
初期費用は、導入時に必要となる料金です。
イニシャルコストが安いほど、導入のハードルは下がります。
3社の中で言うと、「Air Course」は初期費用が完全無料なので、コスト重視の企業は必ずチェックしましょう!
基本機能 | ライブ機能(オプション) |
5,500円(税込)/契約 | 5,500円(税込)/契約 |
スマートスタディはクラウド型のeラーニングサービスです。
自社サーバーの設置が不要な分、導入コストも安価に設定されています。
初期費用は、基本機能のみ利用するなら5,500円、ライブ機能を利用するならプラス5,500円が必要です。(1契約の料金)
複数の契約を交わす場合は、それぞれに基本料・ライブ料を支払わなければなりません。
Air Courseはリーズナブルな料金設定で、初期費用は不要です。
「とりあえずeラーニングサービスとはどのようなものなのか、試してみたい」という企業には最適といえるでしょう。
Entryプラン | Standardプラン | Proプラン |
100,000円(税別) | 200,000円(税別) | 500,000円(税別) |
Cloud Campusは、プランによって初期費用が異なります。
エントリーユーザー向けの「Entryプラン」は、初期費用100,000円。
一方、基本的な機能が使える「Standardプラン」は200,000円、大規模組織向けの「Proプラン」は500,000円となっています。
ランニングコストも、eラーニングサービスを検討する上で重要なポイントです。
社員数・利用頻度などを考慮して、バランスのよいものを選ぶ必要があります。
機能 | 月額料金 |
基本機能 | 198円(税込)/1ID |
ライブ配信機能 | 220円(税込)/1ID |
コンテンツ言語変換機能 | 11円(税込)/1ページ |
1つのIDごとに、月額198円を支払う料金体系です。
例えばIDを299名分割り振った場合、月額のランニングコストは59,202円となります。
ライブ配信を利用する場合は、その分のコストも必要です。
料金は1時間あたり220円で、全てのIDのライブ配信時間をトータルした金額が請求されます。
この他コンテンツ言語変換機能を利用した場合は、1ページにつき11円が加算される仕組みです。
100~299ライセンス契約 | ベーシック | コンテンツプラス |
1ライセンスの料金(一括年払い) | 240円(税別)/月 | 380円(税別)/月 |
1ライセンスの料金(月払い) | 360円(税別)/月 | 600円(税別)/月 |
料金プランは「フリー」「ベーシック」「コンテンツプラス」の3種類があります。
無料から試してみたい場合は、「フリープラン」を選択するとよいでしょう。
「ベーシック」は自社コンテンツのみが使用できるプランで、料金は1ライセンスごとに加算される仕組みです。
100~299人の利用なら、年払いで1ヵ月につき240円、月払いで360円となります。(1ライセンスあたり)
一方、コンテンツプラスプランは、コンテンツを利用し放題のプランです。
100~299人の利用なら、年払いで1ヵ月につき380円、月払いで600円となります。(1ライセンスあたり)
Entryプラン | Standardプラン | Proプラン | |
月額料金 | 70,000円(税別) | 200,000円(税別) | 360,000円(税別) |
料金は固定制で、プランによって異なります。
「Entryプラン」の場合、月額料金は70,000円です。
一方、「Standardプラン」の月額料金は200,000円、「Proプラン」の月額料金は360,000円となっています。
いずれのプランも年間契約で、最低でも1年契約が必要です。
利用を開始する際は、1年分の月額利用料金を一括で支払わなければなりません。
eラーニングサービスで重視されるのは、「コンテンツ」と「管理機能」です。
すでに自社で内製したコンテンツが十分にある場合は、コンテンツの充実度はさほど重視する必要はありません。
研修や学習の進捗をサポートする「管理機能」に目を向けるのがおすすめです。
それぞれのシステムの利用可能機能を比較してみましょう。
動画、ドキュメント、Web会議、言語切り替え、ストレスチェックなど
スマートスタディは、どちらかというと「管理機能」特化型のサービスです。
すでに優良なコンテンツを所持している企業は、それらを使って効率的かつムダのない研修・会議が行えます。
動画配信やドキュメント配信などを配信できるほか、Web会議や言語切り替え・ストレスチェックも可能。
「ドリル」機能でさまざまな問題形式を選択できる上、受講者の回答の正誤判断も自動で実施することもできます!
電子データは形式を変換せずにそのままアップロードでき、セキュリティレベルの高い独自ビューワーも搭載。
ダウンロードや印刷に制限を掛けられるので、機密性の高い研修・会議も不安なく行えます。
オリジナルコースの作成・配信、テスト・Webテキストの作成・アンケート作成など
どちらかというと、「コンテンツ」に特化したサービスです。
300種類以上の動画研修コンテンツが利用し放題のほか、テキストやアンケート・テストなども簡単に作成できます。
個々に合わせたコース設定も容易で、eラーニングのノウハウ・コンテンツが不足している企業には最適といえるでしょう。
スマホ受講、スケジュール管理、課題管理、動画取り込み作成、外部コンテンツの埋め込み、ディベート機能など
受講者・管理者・インストラクター・コンテンツ制作者、それぞれに使いやすい機能が搭載されています。
受講者は受講ステータスを簡単に確認でき、加えてテスト回答・アンケート期限などもリマインダーで設定できます。
このほか、「グループ作成や権限不要が細かく設定できる管理者機能」「一斉にお知らせを配信できるインストラクター向けの機能」、さらには「過去のコンテンツを再利用して新しいコースに設定する制作者向けの機能」などもそろっています。
利用頻度が高い企業は、契約ごとの利用可能容量も把握しておく必要があります。
3社の利用可能容量を比較してみましょう。
スマートスタディの利用可能容量は、無制限となっています。
100~299ライセンス契約 | ベーシック | コンテンツプラス |
利用可能容量 | 100GB | 100GB |
100~299ライセンス数の「ベーシックプラン」「コンテンツプラスプラン」とも、利用可能容量は100GBです。
500MBの動画なら、約200本アップロードできます。
また容量が足りない場合は、「データ増量オプション」の選択が可能。
30,000円(税別)を支払えば、「データ容量10GB 動画アップロード10h」をプラスできます。
Entryプラン | Standardプラン | Proプラン | |
利用可能容量 | 10GB | 500GB | 1TB |
「Entryプラン」は10GB、「Standardプラン」は500GB、「Proプラン」1TBとなっています。
300名の企業の場合、「Entryプラン」では不足を感じることが多いかもしれません。
「Standardプラン」または「Proプラン」がおすすめです。
いずれも受講者数の上限は設定されていないため、「コンテンツを販売して多く稼ぎたい」という企業は、最大容量のProプランを選択してもよいでしょう。
自社に研修用のコンテンツが不足している場合は、提供されるコンテンツ数も大きなポイントとなります。
3社の既存コンテンツ数を比較してみましょう。
スマートスタディで提供されているのは、ストレスチェックのみです。
そのほかのコンテンツについては、問い合わせてみることをおすすめします。
コンテンツプラスプランを選択すれば、幅広いテーマの400コース・2,500本以上の研修動画を利用できます。
テーマには「ITスキル」「営業」「人事・労務」「ハラスメント」のほか、「MBA」といった専門性の高いものもあります。
新入社員用には「ビジネスマナー」、若手には「社内コミュニケーション」、中堅社員には「プロジェクトマネジメント」、管理者には「コーチング」など、それぞれの階層にマッチした教材も用意されています。
2022年3月現在、21本のコンテンツがアップされています。
テーマは「情報セキュリティ」「安全・衛生」などさまざまですが、いずれも無料ではありません。
価格はコンテンツによって異なるので、内容を比較検討した上で選びましょう。
画像出典元:「スマートスタディ」
eラーニング研修の管理・運用を重視する企業には、「スマートスタディ」がおすすめです。
大手通信会社という安心のバックグラウンドと、大手から中小企業まで数多くの導入実績があります。
動画・ドキュメントなどの自社教材を使って効果的に研修を進められる上、ドリル(選択式・記述式)を使った理解度チェックまで行えるのは魅力です。
受講者を組織・グループごとに管理でき、権限も細かく設定できます。
テレワーク中で拠点が散らばっている企業や、組織形態が複雑な企業にとっては特に使いやすいでしょう。
「1ユーザーから利用可能」「低価格」というメリットもあって、バランスの取れたeラーニングサービスといえます。
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まずは自社のリソースやニーズを明確にし、運用スタイル・目的にマッチするeラーニングサービスを選びましょう。
画像出典元:Unsplash