世界的に見てもスタートアップの数が圧倒的に多い、アメリカ。
そんなアメリカでは、スタートアップの数が増加するとともにVC(ベンチャーキャピタル)の競争率も高まっています。
そんなアメリカVC業界に新風を巻き起こし、スタートアップの聖地であるシリコンバレーでかなり注目を集めている会社が、「Atomic」です。
どんな会社?スタートアップがスタートアップを生むとは?
急成長企業「Atomic」を徹底解剖します!
このページの目次
アメリカのシリコンバレーの首領たちである「ピーター・ティール」や「マーク・アンドリーセン」を始めとする有名投資家たちが、ある1つのスタートアップ企業に注目しています。
その名も「Atomic」。
Atomicはサンフランシスコに拠点を置き、既に起業家としても投資家としても大成功している”ジャック・アブラハム”が集大成としてこのAtomicを設立しました。
名だたる投資家を後ろ盾に、 Atomicは実に1億5000万ドルの資金調達に成功。
日本円に直すと、約164億円です。
この規模感をわかりやすく日本国内でのスタートアップ企業に例えると、「東洋経済すごいベンチャー100」にも選出され、その調達資金の額の大きさにも話題を呼んだ国内有数のユニコーン企業「SmartHR」があります。
SmartHRは156億円の資金調達をしたとして注目を浴びましたが、Atomicはそれを上回る規模です。
この調達資金の莫大さから、非常に大きな期待をされていることがわかります。
そんなAtomicはなぜこんなにも期待されているのでしょうか。
シリコンバレーの首領たちが高額投資した「Atomic」の魅力に迫ります。
Atomicの事業は「スタートアップスタジオ」と呼ばれるもので、例えるならば「スタートアップを増殖させる工場」のようなものです。
「スタートアップを増殖させる工場」とは一体どういうことでしょうか。
VC(ベンチャーキャピタル)と聞くと、将来有望なスタートアップに次々と出資していく。こういったイメージかと思います。
対してこの「Atomic」は、「良いアイデア」・「資金」・「良い起業家」を全てAtomicが用意します。
こうしてどんどんスタートアップを量産させていく。
まさに「スタートアップの工場」ですよね。
Atomicが起業家、アイデア、資金、スキルやノウハウを結集し、プロダクトの開発検証を繰り返し、スピンオフするような形で新しいスタートアップを設立させるのです。
一般的にVCは、スタートアップの創業期、シードラウンドの支援をします。
つまり起業家、アイデア、メンバーはある程度揃っている状態で、「資金」の面でのサポートをします。
Atomicはもっとその前段階、アイデアやスキルなど、「資源」の提供も行うということです。
「Yコンビネーター」など、他の人のアイデアに資金をつけて提供する企業もありますが、「Atomic」はアイデアも全て自家生産というところが特徴です。
一般的なVCは「サポーター」というような位置付けがふさわしいですが、Atomicの場合アイデアも資金もノウハウなども提供することによって、「共同創業者」のような位置付けになると言えます。
VCのようにピッチを受けず、一緒につくっていく、というイメージです。
消費者と認可された医療専門家をつなぐマルチスペシャリティの遠隔医療プラットフォーム。10億ドルの評価がつきました。
最近では、アフガニスタンの避難民に無料の医療訪問を提供しています。
住宅不足の課題解決。ルームシェアを加速させるルームシェアマッチングを行っており、AirbnbやWeWorkよりも急激な成長を遂げています。
データ×映画でグローバルな映画製作の新時代を築く。
Youtube、Reddit、Wattpadなどのプラットフォームから何十万ものビデオをスキャンし、有望な才能を探し出し、バイヤーやプロデューサーとペアリングします。
「サンフランシスコで最も急成長しているスタートアップ」にAromicの支援から出た企業が2つもトップ10入りしていたらしい!
VCは、スタートアップの起業家に対して、できることなら「次のGAFAになり得るようなスタートアップ」に投資をしたいですよね。
ただ、創業者のジャックは、『そんな天才はゴロゴロいるわけないだろう』として、「もっと仕組みとして”スタートアップセット”なるもの用意してどんどんスタートアップを量産する」という方法に至りました。
創設者のジャックは自らもスタートアップの起業家でしたが、スタートアップを起業しているときに通勤時間が2時間半かかったそう。
その通勤時間の間に、毎日次々とスタートアップをつくる新しいアイデアだけが降ってくる。
ついには250社程のアイデアが溜まってしまった。
そこで、「会社を作ることがうまい人」と「腕の良いエンジニア 」をどんどんアイデアとくっつけていったら、どんどんスタートアップが立ち上がるのではないか、ということで始めたのがこの「Atomic」だったといいます。
「お金がつくことが決まっている」
「人がつくことも決まっている」
「アイデアも決まっている」
ので、垂直に新しいスタートアップが立ち上がるという点で、設立までのスピードが圧倒的に速いです。
単にアイデアと起業家をくっつけて、会社を作るだけでは意味がありません。
Atomicはどのアイデアが本当に良いのかと選び抜くプロセスの精度が圧倒的に高いと言われています。
500を超えるアイデアをブレストして、良いアイデアかどうか見極めるということは、メンバーの経験値と肌感覚の高さがものをいいます。
Atomicの記事によると、1アイデアあたりわずか25~100,000ドルのコストでテストを実行することができる、と書かれています。
良いアイデアを選び抜くプロセスと、迅速で効率的なテストが相まって、あまり魅力的でないアイデアを素早く潰すことができます。
その上、システム的に大勢の知見が合わさることで課題解決も速いと言われています。
Atomicでは、才能のある人々とその人の才能が活きる新しいアイデアを適切に組み合わせることで、社会に大きなインパクトを与えることを目指しています。
Atomicではパンデミックになり経済がうまく回らない状況や、起業家たちが直接会えなくなった状況であっても、1年間で12社以上の新しいスタートアップを立ち上げたといいます。
スタートアップスタジオの中でも急成長をしている、大注目の企業です。
Atomicが今までに立ち上げたスタートアップ企業の実績を見ても、これからもこのAtomicのプログラムによって、社会に大きな影響をもたらすスタートアップが次々できることは間違いありません。
日本では、こういったスタートアップスタジオがまだあまり認知されていません。
起業家が足りないと言われている日本でも、「アイデアがない」という障壁で才能ある人材の機会損失を招いている場合があります。
こういったことを防ぐためや日本でのスタートアップ業界がもっと盛り上がるためにも、Atomicのようなスタートアップスタジオは、非常に重要な役割を担うことになるでしょう。
米国で注目を集めるAtomic。
Atomicのステートメントには、
「VCだがVCではない。Investorであると同時にCo-Founderである」
とあります。
単に出資者だけでなく、共同創設者という位置付けは、その新しいスタートアップと共に創業期から関わり続けて汗を流すということです。
そういった意味でも、一社一社に対する想いや確信が強いのだろうという印象を与えます。
Atomicから次々と革新的なスタートアップが生まれるのは、Atomicの経験やノウハウだけでなく、そういった起業家に対してのリスペクトや想いが、次世代ユニコーン誕生につながっているのかもしれません。
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