ベンチャーキャピタル(VC)とはスタートアップやベンチャー企業に投資し、その企業が成長した後に株を売却することでお金を稼いでいる機関です。
この記事では起業家の目線に立ち、VCから出資を受けるとはどういうことなのかを説明します。
自分の事業はVCに出資を受けるのでいいのか、メリット・デメリットを考慮して決めましょう。
このページの目次
IPOやM&Aなどエグジットを視野に入れ、成長拡大を目指す企業に投資する組織です。
簡単に言うと有望なベンチャー企業にお金を出し、企業の価値を上げてもらい、株を売却することでお金を稼いでいる機関です。
VCは投資家(機関投資家・事業会社・ファミリーオフィス・個人)から資金を集め、そのお金でベンチャー企業に出資します。
出資という形で企業の株式を買っているので、企業側は原則、お金を返す必要はありません。
起業家は出資を受けても、原則そのお金を返す必要がないと先程述べました。ではVCはどうやって利益を得ているのでしょうか。
VCは投資家、ベンチャー企業2つの取引先があり、それぞれから収益を得ています。
この2つがVCの収益源です。
例えば、1億円のファンドの価値が最終的に2億円になったとします。
VCの運用期間は比較的長く、10年以上とされています。10年だとして計算すると、年200万円の管理報酬が10年。1億円のキャピタルゲインで、2,000万円の報酬。
VCがこのファンドから得られる報酬は4,000万ということになります。
そしてVCの投資は銀行などの融資とは違い、出資した10社のうち1社が大当たりすればリターンが出るという手法を用います。
キャピタルゲインとは企業がイグジットした際に、VCが所持している株式を売却し、出資時との差額利益のことです。
ラウンドごとの資金調達額と調達期間の一覧です。自分の企業が今どの位置にいて、どのくらい調達額を得られるのか目安にしてください。
VCはハイリターンを狙った手法を用いるため、手堅く稼ぐ事業を展開している企業には出資しません。
短期間で指数関数的な成長を目指す起業家である「スタートアップ」のシード、アーリー辺りを対象にします。
ここでVCから出資を受けるとはどういうことか、起業家のメリット、デメリットに触れて説明します。
ベンチャー企業にとって資金は死活問題です。
いくら魅力的なアイディアを持っているとしても、それが世間に知られなければ成功することはできません。VCから出資を受けるということは、それだけ事業が魅力的だと世間にアピールすることにつながります。
VCは多くの起業家や企業、投資家とつながりを持っています。そのネットワークを活かすことで、事業提携先を見つけられる可能性があります。
VCから役員を派遣してもらい、経営などの支援を受けることができます。例えば学生起業だと社会経験の浅さゆえ、失敗することがあります。第三者の意見をもらうことで、事業の見直しができ、成長することが期待できます。
VCは資金回収のため利益を重視しがちです。資金回収が見込めないためと判断され、事業の大幅な変更を求められることもありえます。事業内容、経営方法に介入されても、起業家は出資を受けていることで、拒みにくいです。
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現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
「事業計画の修正」の際には投資家からの承認を得る必要があるという条項が投資契約書に盛り込まれていたため、VCに交渉し承認を得ようとしたが、「最初の予定と違うではないか!」とVCに言われてしまい、事業が進まないどころか、ストップしてしまったということもあります。
出資を受ける代わりに株式数に応じた経営権を与えることになります。
複数のVCから出資を受けた結果、外部の出資比率が50%を超えてしまうと、取締役を解任できる権利が生じるので、経営者の立場を失う可能性が出てきてしまいます。
VCによる資金調達で失敗しないために、起業家はどのようなことに気をつければいいのでしょう。
出資を受けるということは、そのVCと一生付き合い続けるということです。
出資を受ける前に担当者と人間関係を築き上げ、「この人とならやっていける」という確信が必要です。
もちろん出資を受けた後も友好関係を保つと同時に、担当者に事業に関する良いこと、悪いこと両方定期的に報告しましょう。
VCにはその出資元や投資方針によって独立系、地域特化系、大学・政府機関系、金融機関系、海外系という種類があります。また事業会社が事業シナジーを狙って投資実行するコーポレーションベンチャーキャピタルというものがあります。
複数のVCから出資を受けるのであれば、独立系→金融系→事業会社のような順番がいいです。
これは出資を受けることによって色を付けないようにするためです。
日本の投資家には「リード投資家がいれば投資します」といったところが多いです。投資を受ける直前にそれを言われ、探すが間に合わずキャッシュアウトというケースもあります。
リード投資とは企業が複数の投資を受ける計画の際に、中心の立場となることです。
調達期間を考慮して、資金が底を尽きる半年前から動き出すようにしましょう。
資金調達の際に気をつけたいことを他にもまとめてあります。
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出資を受けて、飛躍的に成長した企業を紹介します。
オンラインメディアの運営とセールス&マーケティング支援をやっている企業です。
2016年7月 設立
2016年11月 1.5億円:GMO VenturePartners株式会社
(営業およびサポート体制の拡充と開発体制増強のため)
2017年3月 非公開:元ソニー会長の出井伸之氏、元楽天副社長の島田亨氏、メルカリ小泉氏文明氏
(人材拡充、海外戦略強化およびオンラインコマース市場への展開のため)
2017年7月 6億円:株式会社ジャフコ
(既存事業の人材拡充、海外進出およびEコマース事業への展開を強化するため)
ただ資金を調達するのではなく、事業に必要なことや受けたいサービス、目的に合わせて資金調達先を選択することができた企業です。
多くの起業家に「どのVCが良いかわからない」「VCの選び方はどうしたら」という悩みがあると思います。
どのようなことを注視してVC選びをすればいいのでしょう。
VCによって、採用の手伝いをしてくれるところ、販売の手伝いをしてくれるところなど専門性の高い内容のサポートをしてくれます。どんなサポートが得られるのか、事前にVCから聞き出すことが重要です。
起業家は資金調達だけではなく、自分の事業に必要なサポートは何かをしっかりと見極め、自社に合うVCを選びましょう。
VCは多くの起業家、投資家とつながりを持っています。新規提携先をどこにするか決まっていれば、そのネットワークを持っているVCを選ぶべきです。
定期的に新しいファンドを出せているVCは、それだけ資金調達ができているということです。
資金調達ができているということは、成功しているベンチャー企業とコネクションを持っていて、実績を出していることになります。
成功例の企業のように複数の出資を受けるところもあります。
しかしながら必ず複数から出資を受けるべきというわけではありません。いくら資金が必要なのか、どんなサービスを受けたいのか考えること。そしてVCなのかCVCなのかエンジェル投資家なのか、バランスを見極めて進めましょう。
このようにVC選びでは、さまざまな条件を加味して自分に合ったVCを選び出す必要があります。
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近年CVCの数が激増しています。事業会社がベンチャー企業とのシナジーを求めて投資を行うために設立したVCのことを言います。本記事ではCVCとはなにか?という基礎知識から、数多くあるCVCを一覧でまとめ、おすすめを紹介します。
起業家にとって資金調達は大事なことです。しかし安易に出資を受けることを決めてしまうと、思わぬ事態になりえます。
銀行の融資を受けるのか、VCから出資を受けるのか、またそのVCでよいのか。自分の事業に合う資金調達をしっかり考えましょう。
以下の記事は国内のVCを出資元や投資方針によって分けた一覧です。参考にしてください。
ベンチャーの資金調達手段は、VCからの出資以外にもあります。
経営者が知っておくべき資金調達手段については以下の記事でまとめています。
画像出典元:Pexels